〈ツヴァイ Side〉
俺はお茶を飲みながら、レンが起きて来るのを待っていた。
マイスターは目の前で静かにお茶を飲んでいる。
空気が非常に重く、ここは話題を何か考えた方が良いのか?
いや、マイスターはあまり話したがらないタイプだしマジでどうしたらいいんだよ………
俺が色々なことを考えていると
「相変わらず蛇の連中には追われているのか?」
マイスターが、俺にそう訪ねてきた。
「そうですね。『深淵』、『鋼の聖女』、『幻惑の鈴』、『告死線域』、『鉄機隊』は連れ戻そうと必死になってますね。
あの執念を他のことにまわしてもらいたいとは思ってるのですが…………」
「ふむ。『盟主』もお主には戻ってきてもらいたいと思っているのではないか?」
「………………それは、無いでしょう。私はあの人の考え方や、やろうとしていることに反発し袂を別ったのですから、あの人が私に戻って欲しいと思っている可能性は低いと思います。」
「確かにお主が盟主に反発したと言うのは、蛇の中でも大騒ぎになるほどであったな。闘いにまで発展し、お主は盟主や蛇の使徒共を無力化し、組織から抜けたとレンからは聞いておる。
何か他にも理由があるのではないのか?」
「ええ、レンが言っていた通りで、盟主の考え に納得できないから反発し、組織を抜けたただの裏切り者ですよ……………。」
「…………そうか。 お主は組織の奴らを嫌いになったのか?」
「いいえ、嫌いになるわけがないですよ。『白面』は苦手でしたけど、蛇のメンバーは家族みたいなものですから。重たい過去を背負った奴らの集まりですが、盟主を中心にすごく暖かい場所でした。まあ、人様や世間にだいぶ迷惑かけてる時点で良くは無いんですけどね………。」
「そうか。レンも執行者としてどうするか迷っているみたいだから、お主からアドバイスでもしてやってくれんか? お主にはやたらなついておったしの。」
「彼女は、エステルとヨシュアのことで悩んでるんですね…………。私としては、アドバイスというより、レンの話を聞いて背中を押してあげるぐらいですかね。彼女は、エステル達の所へ行けば幸せになれるでしょうから、そうできるように助けてあげるつもりです。執行者としてたくさん悪いことをしたとしても、幸せになってはいけないという訳ではないですからね。」
「……そうか。やはり、お主は蛇におったのが不思議な奴じゃの。」
とヨルグ・マイスターは、笑っていた。
「マイスター、それは言わないでくださいよ。
……………それで、レン。さっきの話を聞いて君はどうするんだい?」
俺は背後に人の気配を感じ、問いかけると紫色の髪の少女が俺の背中に抱きついてくるのだった…………。