弓子と大輔は病院を出てとある喫茶店に入った。
「いらっしゃいませ!お二人様ですね。」
弓子「奥の席に通してくれ。」
「かしこまりました。こちらへどうぞ。」
弓子「アイスコーヒー2つだ。」
弓子は席につく前に注文を頼んだ。
弓子「兄貴、どういうつもりだ。」
席について早々にどすの利いた声で大輔に尋ねた。
大輔「なんだい、いきなり。」
弓子「兄貴、AB型だったよな。」
大輔「そうだね。それがどうしたんだい?」
弓子「中島を見殺しにするつもりだったのか!」
大輔「弓子達と入れ違いに事務所来てた新田君が輸血を提供してくれたからね。必要ないと思っただけだよ。それに僕はお金にならない事には興味はないから。弓子も知っているだろう?」
弓子「中島が死のうが関係無いとでも言いたいのか!!」
弓子が大声をあげる。
大輔「弓子、お店の中で大声をあげないでくれ。それに他の輸血提供者が現れて助かったんだから良いじゃないか。」
弓子「ユキムラが連れて来なかったら中島は死んでいたかも知れないのだぞ。」
大輔「でも助かったのだから良いじゃないか。それより弓子、最近受けた依頼だけど結構悪魔を見逃しているね。」
弓子「倒す敵は倒している。」
大輔「倒す敵はじゃなくて全て倒さないと話にならない。前回もグレムリンを見逃しただろ。」
弓子「倒す必要ないからな。依頼主達がアイツ等を気に入ったからな。仕事も手伝ってくれて大助かりだそうだ。」
大輔「悪魔だぞ。全て倒せよ!」
弓子「大声を出すなよ。兄貴、何が気に入らない。依頼主から感謝されて金も手に入って。」
二人の間に沈黙の時間が流れる。
「アイスコーヒーお待たせしました。」
沈黙の時間を遮るようにウエイトレスがアイスコーヒーを持ってきた。
弓子「すまねえな。」
「ごゆっくりどうぞ。」
ウエイトレスが離れて少しして大輔が口を開いた。
大輔「僕達の両親は悪魔に殺されたんだぞ。」
弓子「だからって関係無い奴等も全員倒す必要ないだろ。」
大輔「弓子、あの中島君が事務所に来てからだ。悪魔を見逃したりし出したのは。」
弓子「悪魔にも良いやつも居れば悪い奴も居る。」
大輔「中島君が弓子をそうさせたのかい?」
弓子「あたしは何も変わっちゃいねえ。気に入らない奴はぶっ飛ばすしな。兄貴こそ、中島に嫉妬しているだけだろ。」
大輔「何を言い出すんだ、そんな訳ないだろ!」
弓子「兄貴が使えなかった悪魔召喚プログラムを使い、仲魔を作り楽しそうにしている中島が気に入らないだけだろ!それに兄貴には到底勝てないユキムラやタダカツが側に居る。だから輸血をしないで見殺しにしようとした、違うか!!」
大輔「ユキムラにタダカツ…か。弓子、クーフーリンにスサノオだ。それにスサノオは親の仇だ。」
弓子「まだそんな事を言ってるのか。」
大輔「そんな事ってなんだよ!僕達の両親が殺されたせいで…。どれだけ惨めな思いをしてきたと思っているんだ。」
弓子「それはあたしらの親が親戚中に疎まれていたからだろ。そんなのは最初だけであたしの方はそこそこ仲良くしていたけどな。それを兄貴が僻んで親戚みんな魔法で焼き殺して…。」
大輔「僕が一方的に悪いような言い方だな。アイツらは僕らの両親を侮辱して僕も陰湿な嫌がらせを受けてきた。そんな奴等は死んで当然だ。」
弓子「あたしらの親とそっくりだな。常に自分が正しいと思い込んでいる辺りがな。」
大輔「僕は…間違っていない。スサノオもいずれ倒す。」
弓子「タダカツも中島の仲魔になった。諦める事だな。」
大輔「なんでだ…。中島君にそんな力はないはずだ!なんで、スサノオが中島君の下についたりするんだ!」
弓子「中島だから仲魔になったんだよ。前にも言っただろ。下じゃねえ。」
大輔「中島君に従うって事だから同じじゃないか。」
弓子「まず、その考え方が違うんだよ。今の兄貴には分からねえと思うがな。」
大輔「僕には小さい時から特訓して得た魔力ある。その力を使えば、中島君の悪魔召喚プログラムだって僕の物に出来るんだ!」
弓子「無理だな。兄貴じゃ中島には勝てない。返り討ちになるだけだ。それに兄貴に従う奴など誰もいない。」
大輔「僕の魔力があれば…。悪魔の一匹や二匹ぐらい…。」
弓子「これ以上言っても無駄の様だな。そう言えばあの昼間来た奴等にも不意打ちをした挙げ句に痛い目に遭ったんだよな。」
大輔「あの子は、僕の知らない魔法を使ってきた。」
弓子「手加減されていたから兄貴は死なずに済んだんだよ。アイツらは真面目に戦ったら兄貴より強いぞ。」
大輔「僕が弱いような言い方だな…。」
弓子「ああ。大事な物が何もない兄貴は弱いよ、誰よりもな。まあ、色々言ったが仕事は今まで通りしてやるよ。明日、タダカツを連れて山川組の若頭に会いに行く。アスラ組も気になるしな。」
大輔「駄目だ弓子、まだアスラ組には手を出すな。」
弓子「はぁ?舐められたまま引き下がれって言うのか!」
大輔「違う。あの後、アスラ組を調べたのだけど…愛知県警のキャリアの幹部と繋がっている。闇雲に手を出してはいけない。」
弓子「兄貴、愛知県警が悪魔と手を組んでいるとでも言いたいのか?」
大輔「悪魔?まさか…。」
弓子「ああ、全てじゃないがアスラ組の連中、人間に化けた悪魔だった。」
大輔「何?」
弓子「あたしとタダカツで襲ってきた連中はみんな倒したがな。幹部の男は確か…オセだったかな。そんな名前だった。」
大輔「オセ…。そんな悪魔が…。」
弓子「口先だけでクソ弱かったがな。最後も『アスラ組に逆らったらどうなるか分かっているのか!』とか抜かしていただけだからな。」
大輔「弓子、不味いぞ…。」
弓子「何が不味いんだよ。あたしとタダカツで全員ぶっ飛ばしたらいいだけじゃないか。」
大輔「警察がバックについてるんだよ。敵の強さだけじゃない。」
弓子「だからと言ってこのまま引き下がれないな。兄貴、歯向かう悪魔は全て倒すべき敵だよな?」
大輔「いや今回は…。」
弓子「敵だよなぁ?兄貴、さっき言ってたよなぁ?警察がなんだ、すでにタダカツの奴がアスラ組の幹部のオセの心臓を貫いて殺している。もう後には退けないんだよ。」
大輔「分かったよ。僕は市長さんに話をしておくよ。警察の動きを止めれるかも知れないからね。タダ働きになるけど今回は仕方がないか。」
弓子「兄貴、こんな状況でも金の事しか頭に無いんだな。」
大輔「当たり前じゃないか。お金より大事な物なんてこの世には無いからね。僕の両親も一億ぐらいの生命保険に入っていたら子供の時に苦労もせずにスサノオを恨んで生きていなかったのにな。」
弓子「…。」
大輔「なんだい?急に黙って?」
弓子「兄貴…。1つ聞いていいか?」
大輔「ん?」
弓子「もしかして、親戚みんな魔法で焼き殺したのって…。」
大輔「嫌がらせを受けてきた恨みもあるけど、みんな一斉に殺したら保険金に火災保険などのお金は全部僕の物になるからね。そのお陰でこの事務所を建てて僕達は大学まで出れたんじゃないか。」
弓子「…。聞くんじゃなかった…。」
大輔「自社ビルを建てれたんだよ。そこだけはあの親戚連中には感謝しないとね。」
弓子「兄貴、親戚みんなに化けて出てこられても知らないぞ?」
大輔「ああ、みんな昔に怨霊となって出てきたよ。まあ、みんな魔法で消滅させたけどね。悪魔は全て倒すべき敵だからね。」
自分勝手なサイコパスである。
弓子「あたしはこんなのと血が繋がっているのか…。」
喋る気力を失った弓子は会計をした。
弓子「釣りは要らねえ…。」
「あっ、あの!」
大輔「弓子がお釣りを要らないなら僕が代わりにもらっておくよ。」
何処までも金の事しか頭に無いサイコパスであった。
皆が病院から帰ったころ…
中島は意識の無い状態が続いている。その傍らには中島が倒れてからずっと回復魔法をかけていたティンクが疲れ果てて中島に寄り添う様に眠っている。
ティンク「なかじま…。」
眠りながらもティンクは中島を心配している。
中島は夢を見た。
何もない世界…。中島は一人何処かも分からず歩いている。
「朱美、朱美…。」
中島は誰かに呼ばれた声の方に歩いている。
「朱美…。朱美…。」
声がする方へ歩いていると大きな川にたどり着いた。
「朱美…。こっちだよ…。」
中島「あっ、お爺ちゃん。」
生前、中島を可愛がってくれた祖父がいた。
「朱美…。久しぶりだね…。こんなに早くお前が来るとはね…。因果なものだよ。」
中島「お爺ちゃん、ここは何処なんだな?」
「死後の世界…。三途の川だよ…。」
中島「三途の川?もしかして…。僕は死んでしまったの?」
「この川を渡ると死んでしまう事になるよ。」
中島「そんな…。」
「朱美…。こっちでお爺ちゃんと一緒に暮らそう。戻っても良いことなんて1つも無いよ。」
中島「でも…。」
「朱美の様子は見ていたよ…。探偵なんてしていても良いこと無いよ。」
中島「…。」ダメ…。
何処からかかすれた声が聞こえてくる。
「戻ってもあの女探偵にいじめられるだけだよ。お爺ちゃんと一緒にこっちで暮らそう。」ダメダヨ…。
またかすれた小さい声が聞こえてくる。
「朱美…。こっちにおいで…。」
中島「ぼ、僕は…。」ナカジマ、ダメ…。
小さい声が少しずつ大きくなる。
「朱美…。こっちに来たらもう辛い思いはしなくていいんだよ。」
「中島、行っちゃダメだよ。」
中島「今の声は?」
中島の耳に何者かの声が聞こえた。
「声なんて聞こえないよ…。お爺ちゃんの所へおいで…。一緒に暮らそう…。」
「中島!行っちゃダメ!行かないで!」
中島「ティンクの声なんだな!」
「声なんて何も聞こえやしないよ。朱美、いったいどうしたんだい?」
「中島、お願い帰って来て!」
中島「やっぱりティンクの声なんだな…。お爺ちゃん、僕は…まだ死ねないんだな。ティンクが僕を呼んでいるんだな。」
「朱美…。あれは悪魔だよ。戻っても良いことなんて無いよ。」
中島「お爺ちゃん、ティンクは僕の大事な友達なんだな。僕はまだティンクやジャックにパスカル、ユキムラにタダカツに弓子さん達と一緒に居たいんだな。だから、ごめん…。まだ、そっちには行けないんだな。」
「朱美…。」
中島「お爺ちゃん、僕はみんなの所へ戻るんだな。」
「朱美…。分かったよ…。お爺ちゃんの負けだよ…。本当は朱美を天国に連れて来いと言われていたけど、かわいい孫の頼みだ。ここの帰り方を教えてあげるよ…。」
中島「帰り方?」
「なんだい、知らないで戻るって言ってたのかい?いいかい?このまま今来た道を振り返らずにずっと真っ直ぐ行くんだよ…。絶対に何があっても振り返ったら行けないよ…。」
中島「振り返らずに?」
「そう…。振り返ったら最後、地獄に無理矢理連れて行かれる事になるからね…。」
中島「じ、地獄に…。無理矢理…。こ、怖いんだな…。」
「朱美は昔から変わらず怖がりだね…。みんなの所へ帰るのだろ?」
中島「う、うん。ティンクが待っているんだな。」
「だったら、戻らないと。お爺ちゃんも着いて行ってあげるから…。」
中島「うん。分かったんだな。」
中島はもと来た道を歩きだした。
中島はひたすらもと来た道を歩いている。
???「ヒーホー!中島、こっちだぞ!反対だぞ!」
「朱美、真っ直ぐだよ…。惑わされては行けないよ。」
中島「でも…。ジャックが…。」
「振り向いては行けないよ。ああやって朱美を惑わして来るからね。絶対に振り返ったらダメだよ。」
中島はひたすら歩き続ける。
???「HEY!マスター!こっちだよ!このイケメンである僕がいるこっちへ振り向くんだよ。」
中島「今度はユキムラの声なんだな。」
中島はひたすら歩き続ける。
???「なーかーじーまー!このあたしを無視するとはいい度胸だな!こっちを向け!」
中島「ひっ!弓子さんなんだな!」
???「中島!テメエ!あたしに蹴り飛ばされたいのか!」
中島「…。本当の弓子さんだったらすでに蹴り飛ばされているんだな。だから、君は偽物なんだな。」
???「…。」
「朱美…。その弓子って人に酷い目にあっているのだね…。戻ったらお爺ちゃんがその人にきつく言ってあげるよ…。」
中島はまだ歩いて行く。
ヒタヒタ、ヒタヒタ、後ろから何者かの足音が聞こえてくる…。
中島「誰かが着いてきているんだな…。」
「朱美…。絶対に振り返ったらダメだよ。地獄に連れて行かれるからね。」
中島はさらに歩いて行く。
しばらく歩くと明るい光が差し込んで来た。この先が出口かも知れない。
中島「明るくなって来たんだな。」
???「ヒーホー!そっちじゃないぞ!」
???「ナカジマ コッチムク!」
???「なーかーじーまー!この白鷲 弓子様を無視するんじゃねえぞ!こっちを向けよ!」
中島は仲間に似せたあらゆる声を無視して先を進む。
???「中島、もう出口だから振り返っても大丈夫だよ。」
中島「ティンクの声なんだな!」
「朱美、ダメだ!振り返ったら!」
中島は思わず振り返ってしまった!
「ハハハハハハ!やっとこさ振り返ったぜ!」
「さあ!楽しい楽しい地獄にご案内だぜ!」
中島は瞬時に悪魔達に取り囲まれた!
餓鬼が8匹現れた!
モウリョウが5匹現れた!
ヨモツイクサが6匹現れた!
スペクターが7匹現れた!
グールが8匹現れた!
中島「い、いっぱいいるんだな…。」
悪魔達は中島を取り囲み一斉に襲いかかって来た!
「オオオオマエ!ジゴクイキィー!」
スペクターは口から火の玉を放った!
スペクターは口から火の玉を放った!
スペクターは口から火の玉を放った!
スペクターは口から火の玉を放った!
スペクターは口から火の玉を放った!
スペクターは口から火の玉を放った!
スペクター達の放った火の玉が一斉に中島に襲いかかる!
中島「あああああ!熱いー!」
「オマエエエエエ!ミミミミチズレエエエー!」
間髪いれずモウリョウ達が襲いかかる!
モウリョウの攻撃!
モウリョウのデスタッチが中島の体力を奪う!
モウリョウの攻撃!
モウリョウのデスタッチが中島の体力を奪う!
モウリョウの攻撃!
モウリョウのデスタッチが中島の体力を奪う!
モウリョウはムドを唱えた!
死の呪いが中島に降りかかる!
モウリョウの攻撃!
モウリョウのデスタッチが中島の体力を奪う!
中島「ううう…。苦しい…。」
「お前、旨そう!いただきマンモス!」
更に餓鬼達が中島に襲いかかる!
餓鬼の攻撃!
餓鬼は中島に噛みついた!
餓鬼の攻撃!
餓鬼は中島に噛みついた!
餓鬼の攻撃!
餓鬼は中島に噛みついた!
中島「ああああ!痛い!僕は食べても美味しく無いんだな!」
「血の味ジューシー!いただきマンモス!」
餓鬼の攻撃!
餓鬼は中島に噛みついた!
餓鬼の攻撃!
餓鬼は中島に噛みついた!
餓鬼の攻撃!
餓鬼は中島に噛みついた!
中島「や、止めるんだな!僕はみんなの所へ帰りたいだけなんだな!放して欲しいんだな!」
「死人は地獄に行くのが決まりなんだよ!無理矢理でも連れて行ってやるよ!」
ヨモツイクサ達が中島に襲いかかる!
「朱美、こうなったら戦うのだよ。」
中島「そ、そんな…。」
「朱美、お爺ちゃんの言うことをよく聞きなさい。」
中島「う、うん…。」
「ここは魂だけの世界…。ここだと、朱美の魔力を解放しやすい。」
中島「ぼ、僕に魔力?」
「朱美。今までもピンチの時に朱美は魔力を解放してきているよ。思い当たる事が有るだろ?」
中島「…。」
「お爺ちゃんの言う通りにするんだよ。まず、心を強く持つんだ。」
中島「心を…強く…。」
ヨモツイクサ達が中島の目の前まで攻撃しに来ている!
「そして、その強く持った心を爆発させるイメージで、こう叫ぶんだ。『メギドラオン!』ってね。やってごらん?朱美なら出来るよ。」
中島「わ、分かったんだな!心を強く気持ちを爆発させて…。」
「地獄にご案内だー!」
ヨモツイクサが持っている棒で中島に殴りかかる!
中島「『メギドラオン!!』」
「何!」
魔力を解放し中島が放ったメキドラオンの核の炎が悪魔達に襲いかかる!
ヨモツイクサは爆発した!
ヨモツイクサは爆発した!
ヨモツイクサは爆発した!
ヨモツイクサは爆発した!
ヨモツイクサは爆発した!
餓鬼は爆発した!
餓鬼は爆発した!
餓鬼は爆発した!
餓鬼は爆発した!
餓鬼は爆発した!
餓鬼は爆発した!
餓鬼は爆発した!
餓鬼は爆発した!
スペクターは爆発した!
スペクターは爆発した!
スペクターは爆発した!
スペクターは爆発した!
スペクターは爆発した!
スペクターは爆発した!
スペクターは爆発した!
モウリョウは爆発した!
モウリョウは爆発した!
モウリョウは爆発した!
モウリョウは爆発した!
モウリョウは爆発した!
グールは爆発した!
グールは爆発した!
グールは爆発した!
グールは爆発した!
グールは爆発した!
グールは爆発した!
グールは爆発した!
グールは爆発した!
「あれだけいた数が一撃で…ひ、ヒィィィィー!」
一匹残ったヨモツイクサは一目散に逃げ出した。
「朱美、今の感覚を忘れたらダメだよ。朱美だけが持つ魔法だからね。」
中島「い、今のを、ぼ、僕が…。」
中島は自分の放った力に恐怖した。
「朱美は本当に優しい子だね。でもね、朱美の仲間達が本当にピンチの時はその力を使わないといけないよ。」
中島「お爺ちゃん…。僕は…。」
「朱美…さあ今のうちに先に進もう。もう少しだからね。」
中島「分かったんだな…。」
中島は再び光が差し込んでいる方に歩き始めた。
どれだけ歩いただろうか。知らない内に中島の意識はなくなった。
中島は夢から目を覚ました。
すっかり夜が明けて気持ちのいい日本晴れだ。
「おや?太っちょのサマナー、どうやら峠は越えたみたいだね。」
中島「あっ、お婆さん。僕は…拳銃で撃たれて…。」
「そうかい、あんたは出血多量で死にかけていたんだよ。」
中島「お婆さん、助けてくれてありがとうなんだな。」
「あたしじゃなくあんたの横で眠っている妖精のおチビちゃんに言いな。あんたが倒れてからずっと回復魔法をかけ続けていたんだよ。疲れきって倒れるまでね。」
中島「僕、三途の川でティンクの声を聞いたんだな。それで戻らないとって思って。」
「そうかい?だったら尚更感謝しないといけないよ。」
中島「うん。」
中島がヨモツシコメの婆さんと話をしているとティンクが目を覚ました。
ティンク「うーん。あたし、いつの間に寝ちゃっていたんだろう?あっ!中島!良かったよ…。無事で本当に良かったよ…。」
中島「ティンク…。また君に助けてもらったんだな。また君と一緒に居れるのが嬉しいんだな。」
ティンク「なかじまー!心配したんだよ!あたし!あたし!」
ティンクは中島に飛びつきわんわん泣き出した。
「さあ!元気になったんだからとっとと出ていきな。病院は元気な奴が居る所じゃないからね!」
中島「うん!お婆さん、ありがとうなんだな!」
ティンク「お婆さん!ありがとう!」
「ほら!とっとと帰りな!」
中島達はヨモツシコメの婆さんにお礼を言って病室を出た。
病室を出ると直ぐに主治医の先生に出くわした。
「おや?すっかり良くなったのだね。」
ティンク「先生…。あの…。あたし…先生に酷い事を言って…。」
「ハハハ!気にしなくて良いよ。君、中島君って言ったかな?」
中島「は、はい。」
「デビルサマナーなんだね?」
中島「デビルサマナー…。」
「警戒しなくて良いよ。私のご先祖もデビルサマナーだったから知っているだけさ。」
中島「ご先祖様が?」
「大塩平八郎…名前ぐらいは聞いた事はあると思うよ。」
中島「大塩平八郎?知らないんだな…。」
大塩平八郎、江戸時代の儒教家である。大阪では日本史の授業で必ず習う。しかし、有名な大塩平八郎の乱の具体的な内容は皆あまり知らない。
「大阪の人しか知らないのかな…。その時のデビルサマナー、大塩平八郎の仲魔の一人が夜茂津主任だったって話みたいなんだけど…。」
ティンク「お婆さん、サマナーに仕えていたんだ…。」
中島「他の仲魔は?」
「みんな大塩平八郎の乱で殺されたそうだよ…。夜茂津主任だけが大塩平八郎の家族を先に逃がす為に別行動だったから助かったみたいだけど…。詳しい事は聞かされていない。夜茂津主任、よっぽど無念だったのだろうな。今でも言ってるよ「あたしのサマナーは大塩平八郎だけだ」ってね。」
中島「そんな事が…。」
「まあ、そう言うことだから君達の事情は知っている。君の仲魔がもし何かあったら診察位は出来るから何時でも頼って欲しい。出来る限り協力するよ。診察料はいただくけどね。」
中島「ありがとうなんだな。」
ティンク「ありがとう、先生。」
「良いよ。お礼なら夜茂津主任に言いなよ。あれでも君達の事を気にしているからね。」
中島「本当にありがとうなんだな。」
中島達は主治医の先生にお礼を言い病院を出ていった。
中島とティンクは事務所に帰ってきた。
ジャック「中島が帰ってきたぞ!」
ユキムラ「マスター、もう大丈夫なのかい?」
中島「みんな、心配かけてごめんなんだな。」
新田「中島氏!無事で戻ってきて良かったですぞ!」
中島「新田君、僕の為に輸血してくれてありがとうなんだな。」
新田「我が輩が中島氏のお役に立てて嬉しい限りですぞ!」
中島「ティンクから色々と教えてもらったんだな。新田君とユキムラが連れて来てくれた人が僕の為に輸血をしてくれたって。」
ユキムラ「ハハハ、このイケメンである僕の力にかかれば輸血提供者の一人や二人は直ぐに見つかるさ!」
中島「ユキムラ、ありがとうなんだな。」
ユキムラ「お礼なんて水くさいよマスター。」
タダカツ「よくそんな事が言えますね。通報されて警察に連れて行かれそうになっていたのに。」
弓子「そうだぞユキムラ、迷惑をかけた詫びとして死ね。遺書はちゃんと書いたのだろうな?原稿用紙3枚以上だぞ!」
ユキムラ「ハハハ!弓子はバカだなあ。このイケメンである僕が死んでしまったらファンのみんなが悲しむじゃないか。そんな当たり前の事が分からないのかい?」
弓子「ほう?この白鷲 弓子様に逆らうのだな?だったらファンのみんなが悲しむかどうか今からテメエを殺して確認してやるよ!」
ティンク「ユキムラって本当にバカだよね…。」
タダカツ「ええ。ノブナガさんも手を焼いています。」
弓子がユキムラを蹴り飛ばそうと狭い事務所で暴れだした。
ユキムラ「マ、マスター、助けて!」
弓子「死ね!」
中島「ぶへぇ!」
ユキムラを狙った弓子の蹴りが近くにいた中島にヒットして中島が吹き飛んだ!
中島「うう…。」ポロポロ
中島は泣き出した。
ユキムラ「あっ…マスター…ごめんよ。僕が避けたばっかりに…。」
ティンク「弓子!何するのよ!中島が泣いちゃったじゃない!」
パスカル「ナクナ ナカジマ。」
中島「うう…。僕は…嬉しいんだな…。」ポロポロ
弓子「はぁ?ついにおかしくなっちまったか?」
中島「また…こうして…みんなと一緒に居れて…僕は本当に嬉しいんだな。」ポロポロ
ユキムラ「マスター…。」
ティンク「中島…。」
パスカル「ナカジマ…。」
弓子「はぁ…。なーかーじーまー。いつも言ってるだろうが!嬉しい時は笑え!いちいち泣くな!」
タダカツ「そうですね。中島殿、泣いている場合ではありません。貴方にはしてもらう事があります。」
中島「えっ?何を?」
タダカツ「今回、私の為に怪我をされた事は大変申し訳ありません。しかし!本来、貴方がしっかりしていたらあんなヤクザ程度にティンクが拐われピンチに陥る事は無かったのです!」
ティンク「何よ!その言い方!中島に助けてもらったくせに!」
タダカツ「貴女は黙ってください!」
ティンク「何よ!」
弓子「チビ、最後まで聞け。」
タダカツ「そこで中島殿。」
中島「は、はい!」
タダカツ「貴方には強くなってもらいます。まずはこれを差し上げます。」
タダカツは中島に一本の剣を渡した。
中島「お、重いんだな…。」
タダカツ「それは練気の剣という代物です。使いこなす事が出来れば貴方にとって最高の武器となるでしょう。まずは毎日、朝と晩100回素振りをしてもらいます。」
中島「こんな重い物を100回も…。」
弓子「なんだ?ちょっと貸せ。何だよこれ?何キロあるんだよ!」
弓子が練気の剣を手に取ると鉛の様に重くなり全然持ち上がらく床に落としてしまった。
新田「白鷲女氏、落としたら危ないですぞ。何なのですぞぉ!この剣は!」
新田が拾おうとするが剣はとてつもなく重くて持ち上がらない。
中島「重たいけど、二人とも大げさなんだな。」
中島が剣を拾う。重いが中島は手に取る事が出来た。
タダカツ「さあ、今からそれを使いこなす様に素振りです!」
中島「わ、分かったんだな…。でも、こんなのを持って町を歩いていたら銃刀法違反で捕まってしまうんだな…。」
タダカツ「屁理屈が多いですね。それは貴方の悪魔召喚プログラムの中にしまう事ができます。必要な時に召喚できます。」
新田「中島氏、こんな物を素振りなんて正気ではありませんぞ!腕が折れてしまいますぞ!」
中島「僕は…いつもみんなに助けて貰ってばっかりだから少しでもタダカツや弓子さんの様に強くなってみんなの力になりたいんだな。だから頑張るんだな。」
新田「中島氏…。」
タダカツ「さあ、今から始めて下さい!」
中島「わ、分かったんだな。」ブン!ブン!
しかし、手がスッポ抜けて剣は事務所の壁に突き刺さった。
ジャック「ヒィィィィ!オイラの真横に刺さったぞ!」
弓子「中島!危ないだろ!外でやれ!」
中島「ご…ごめんなんだな…。」
いつも助けてくれる仲魔達の為に今度は自分が仲魔を助ける事が出来る様にと強くなろうと決心する中島であった。
タダカツ「はぁ…。前途多難ですね…。」