中島が退院して2日後、弓子達はアスラ組の動向を探っていた。
弓子「タダカツ、山川組の若頭の所に行く。一緒に来い。」
タダカツ「御意。」
ユキムラ「マスター!弓子達が出かけている間、僕達は水族館に遊びに行かないかい?」
弓子「ユキムラ。てめえ、今の状況を分かっているのか。」
ユキムラ「ハハハ!弓子は馬鹿だなあ。これを見てくれたまえ!」
ユキムラは弓子達に1枚のチラシを見せた。
タダカツ「魅惑のマーメイド?」
ユキムラ「そうさ!今、この水族館では美しいマーメイドがお出迎えしてくれるのさ!どうだい?このイケメンである僕が行くにふさわしいイベントだとは思わないかい?」
弓子「くだらねえ事を言っているんじゃねえよ。今は一刻も早くアスラ組のクソ悪魔共をぶっ飛ばさないといけないんだよ。遊びに行ってる暇は無いんだよ!」
大輔「いや、せっかくだから行ってきたら良いと思うよ。」
弓子「兄貴!」
大輔「弓子、確かに今はいつアスラ組が僕達に襲って来てもおかしくない状況だ。でも、そんな時だからこそ気晴らしも必要だよ。」
ユキムラ「そう言うことさ。さあ、みんな!美しいマーメイドに会いに行こうではないか!」
ティンク「ねぇ中島、せっかくだから行こうよ。」
中島「水族館、楽しみなんだな!」
タダカツ「お待ちなさい。中島殿、今朝の鍛練は終わったのですか?」
中島「う、ま、まだなんだな…。」
タダカツ「水族館は鍛練が終わってからです。」
ジャック「タダカツ、細かい事を気にしたら駄目だぞ!オイラ、早く水族館に行きたいぞ!」
ユキムラ「そうだよ。1日くらいはしなくても大丈夫さ!」
タダカツ「いけません。」
ティンク「なにさ!1日くらいサボったても良いじゃない!」
中島「か、帰って来てからちゃんとやるから、み、みんなを待たせたくはないんだな。」
タダカツ「ダメです!!そう言う心構えでどうするのですか!貴方の為の鍛練なのですよ!」
中島「わ、分かったんだな。」
中島は悪魔召喚プログラムを起動させて錬気の剣を召喚した。
中島「お、重いんだな…。」
タダカツ「さぁ!朝の鍛練素振り100回です!」
中島「わ、分かったんだな…。」
中島は事務所の外に出て素振りを始めた。
タダカツ「それでは弓子、我々はその山川組の所に行きましょうか。」
弓子「あ、ああ。そうだったな。兄貴、ちょっと行ってくるよ。」
大輔「分かったよ。僕もこのあと依頼主に品物を届けに行くから帰りは外で食べて来るよ。」
弓子「ケチな兄貴が何が『外で食べて来るよ』だよ。どうせ、デパートの地下の試食コーナーで腹を膨らませるだけだろうが…。」
ユキムラ「弓子…。いくらケチなお兄さんでもさすがにそれは失礼だよ…。」
ティンク「そうだよ!そんなの常識のある人間のすることじゃないよ!」
大輔「弓子…。ちゃんと外で食べるよ。それに最近じゃデパートやスーパーマーケットでは僕の顔が割れていてね。試食コーナーに行くとみんなすぐに片付けられてしまうんだ。」
ユキムラ「…。」
ティンク「…。」
ジャック「…。」
タダカツ「…。」
この発言にはさすがにドン引きである。
弓子「なんでこんなのと血が繋がっているんだあたしは…。その辺の残飯を漁っているバカ犬と同じレベルじゃないか…。」
パスカル「オレサマ コンナノト オナジチガウ」
弓子「まあ、取りあえず行ってくるよ。お前等、もしアスラ組のクソ共に遭遇したら問答無用でぶっ飛ばせよ。タダカツ、行くぞ。」
タダカツ「御意。」
弓子とタダカツは出ていった。
それを見送ったユキムラは直ぐ様外にいる中島の元に近づいた。
ユキムラ「さぁマスター。一緒に水族館に行こう!」
中島「で、でも、僕は朝の鍛練がまだ終わっていないから…。」
ユキムラ「マスター。タダカツは出かけて行ったからサボってもばれやしないよ!」
ティンク「そうだよね。1日くらいなら大丈夫だよ。」
ジャック「ヒーホー!オイラも早く水族館に行きたいぞ。」
中島「う、うん…。みんなが言うなら…。」
中島が錬気の剣を仕舞おうとした時!
タダカツ「何をサボろうとしているのですか!!」
タダカツが『トラポート』の魔法で戻ってきた。
ユキムラ「うわぁ!」
ジャック「急に出てくるなよ!」
タダカツ「中島殿?まだ終わっていませんよね?」
中島「う、うん…。まだなんだな…。」
タダカツ「では、後150回素振りです。」
中島「ふ、増えているんだな…。」
タダカツ「サボろうとした罰です。」
ジャック「酷いぞ!」
ティンク「そうだよ!パワハラだよ!」
タダカツ「黙りなさい!!元はと言えば貴方達が中島殿をサボらそうとしたのが原因です!貴方達も罰としてスクワットを200回してもらいます!」
ユキムラ「ハハハ!このイケメンである僕にそんな筋トレなんて相応しくないからパスさせてもらうよ。」
タダカツ「何?」
タダカツは今までみたこと無い殺意でユキムラを睨みつける。
パスカル「アイツ ジョウダン ツウジナイ ヤレ…」
ユキムラ「わ、分かったよ…。」
タダカツ「はい!それでは始めてください!」
ジャック「なんでオイラがこんな目に…。」
皆、一斉にスクワットを始める。
タダカツ「それでは、私は行きますのでちゃんとしといてくださいね?」
ティンク「早く行きなよ…。弓子が待ってるよ…。」
タダカツ「そうですね。」
弓子「タダカツ!何している!早くしろ!」
弓子が戻ってきた。
タダカツ「弓子、彼等が鍛練をサボろうしたので叱っていた所です。」
弓子「ああ、アイツ等は後であたしに蹴り飛ばされる運命だから放っておいて行くぞ。」
タダカツ「わ、分かりました。」
弓子とタダカツは再度、山川組の事務所に向かった。
ユキムラ「このイケメンである僕に筋トレなんて似合わないよ…。」
ジャック「オイラ、もう飽きたぞ…。」
パスカル「オレサマ カンケイナイノニヤラサレル…」
みんな、文句を垂れながらスクワットをしている。
大輔が外出するのか外に出てきた。
大輔「あれ?みんな水族館には行かないのかい?」
ジャック「タダカツに筋トレをやらされてるんだぞ…。サボると魔法で直ぐに戻ってくるんだぞ…。」
大輔「そうなんだ。行かないのなら事務所の留守番をしていてよ。来客が現れるかも知れないからお願いするよ。」
ジャック「大輔の兄ちゃんは何処に行くんだ?」
大輔「僕は依頼主に会いに行くんだよ。これを届けにね。」
中島「その箱は?」
大輔「ああ、中身はヘソの緒だよ。依頼主の吉田 孝則さんに頼まれてね。」
ユキムラ「お兄さん…それ、なにか呪術が仕込まれているよ。」
大輔「ああ、そうだね。無知な者が適当に施しているからね。呪術をかけた吉田 孝則さんに跳ね返るね。」
中島「そんな…大変な事なんだな…。」
大輔「まあ、僕はお金さえ貰えれば後はどうなろうと知ったことではないからね。じゃあ、留守番ヨロシクね。」
ティンク「…。」
大輔はそう言って出かけて行った。
中島達が事務所の外で鍛練を再開しだすと一人の来客が現れた。頭からは血が出ていて歩くのもやっとの状態である。
その青年はふらつきながら中島の前に倒れこんだ。
「た、たすけて…くれ…」
中島「た、大変なんだな!ティンク!」
ティンク「うん!『ディアラマ!』」
青年の傷が回復した。
中島「あっ!君は!」
「君は…あの…白鷲 弓子の…仲間だね…。アリス達が…拐われて…。」
この青年はシャチホコエビフリャーズのDJバフォメ、そう!バフォメットが人間界での変装した姿である。
ユキムラ「取りあえずみんな、彼を事務所の中に入れよう。」
中島「わ、分かったんだな。」
中島達はバフォメットを事務所の中に入れて事情を聞くことにした。
中島「何があったか教えて欲しいんだな。」
「俺達がシャチホコエビフリャーズ野外ミニライブの準備をしている時だったんだけど…。いきなりアスラ組って名乗る連中が現れて…」
中島「アスラ組…」
「アスラ組の連中が自分達の島で何かするならみかじめ料を払えって言ってきて…抵抗するにも人間相手に魔法を使う事も出来なくて…。リリーが捕まったのを始めにアリスもセイレンも連れて行かれて…ライブに使う機材も全部盗られて…。」
ティンク「酷い…。」
「最後まで抵抗したけど、この様だ。あんた達にこんな事を頼める筋合いではないけど…。お願いだ!みんなを助けてくれ!」
中島「分かったんだな。」
ジャック「中島?いいのか?勝手に依頼を受けても?」
中島「いいんだな。ジャック、大切な人を自分勝手に連れ去ったりするアスラ組を僕は許せないんだな…。僕に何かできるかは分からないけど…。」
ティンク「中島…。」
「引き受けてくれるのか?」
ユキムラ「所でそのアリスって子達は女の子だろ?」
「ああ、そうだけど…。」
ユキムラ「だったらこのイケメンである僕に任せておきたまえ!」
ジャック「なんでユキムラに任せるんだ?よく分からないぞ?」
ユキムラ「ジャック…。ああ!君はなんておバカなんだい。女の子達を華麗に救出して笑顔にするのはこのイケメンである僕に与えられた使命だからに決まっているじゃないか!」
ジャック「どうでもいいけどオイラ、ユキムラだけにはバカだなんて言われたくないぞ。」
中島「うん…。取りあえず弓子さん達にも相談して調べてみるんだな。」
「ありがとう…。ありがとう…。」
ユキムラ「では、早速そのアリスって子達を救出しに行こうではないか!さぁみんな!このイケメンである僕に付いて来たまえ!」
ユキムラは一人、颯爽と事務所を飛び出して行った。
「…。あの人、何処に向かったんだろうか?」
パスカル「アイツ バカ アイテスルナ。」
ティンク「…。ユキムラって本当にバカだよね…。」