女神転生 中島   作:ジャックオニール

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多発!誘拐事件!後編

弓子は中島達を連れて刑事が待っているコメダ珈琲館に入る。

 

「いらっしゃっいませ。」

弓子「連れが待っているんだ。」

「ああ、こちらです。どうぞ。」

 

弓子達は奥の喫煙席に案内された。

 

デスメル「白鷲さん、こっちです。」

弓子「なんだよ、喫煙席か。デスメル、お前一丁前にタバコなんて吸うようになったんだな。」

デスメル「ち、違うよ。今はお昼時なんで喫煙席しか貸し切れなかったんだよ。」

弓子「貸し切りか…。そんなに警戒しないといけないのか?」

デスメル「ええ…。これでも甘いぐらいです。僕の上司にあたる人もこちらに向かっていますので細かい事はそれから話をしましょう。皆さん、お昼はまだでしょう。好きなものを頼んで下さい。」

ジャック「兄ちゃんがお金払ってくれるのか?」

デスメル「ええ。まあ…。」

中島「そんな…。悪いんだな。」

弓子「なーかーじーまー!デスメルが良いって言っているんだから良いんだよ!」

中島「でも…。」

弓子「いいか!相手の好意を無下にしたら逆に失礼になるんだよ!デスメルに謝れ中島!」

タダカツ「弓子、言いたい事は分かりますがそのデスメルっていうアダ名が1番失礼なのでは…。」

ティンク「そうだよ!弓子が1番失礼だよ謝りなよ。」

デスメル「良いんだよ。実はここの代金は経費で落とすから気にしないで。」

弓子「なんだよ。最初からそう言えよ。」

中島「ありがとうなんだな。えっと…。」

デスメル「デスメルで良いよ。」

ティンク「えっ?なんで?それ、悪口だよね?」

デスメル「うん。中学の時代に影で言われていたアダ名だよ。でも、白鷲さんだけは面と向かってその名で呼んで来てくれて僕を他の人と同じ様に接してくれたんだ。だから白鷲さんのようにそう呼んでくれる方が僕は嬉しいかな。」

ティンク「いや…きっとその当時弓子が何も考えていなかっただけだよ。」

タダカツ「ティンク、貴女は弓子の人を差別などしない崇高な心が理解できないのですね。」

中島「多分、違うような気がするんだな。」

弓子「中島、なにか言ったか?」

ティンク「きっと弓子の寛容な心に中島も感動していたんだよ。」

弓子「そうか?まあ良いや。とりあえずなんか注文しようぜ。」

 

弓子達は店員さんを呼びそれぞれ好きなものを注文した。

 

弓子「それにしてもデスメルが警察になったとはなぁ。しかも刑事だもんな!」

デスメル「警察学校に入って必死だったよ。所で白鷲さんはなんであんな所にいたんだい?」

弓子「ああ、あたしは兄貴と一緒に探偵事務所を立ち上げてな。こっちにいる中島はあたしの助手で雇ってやっているんだよ。」

中島「中島 朱美なんだな。」

デスメル「よろしく。」

 

デスメル刑事は中島と軽く握手をした。

 

弓子「デスメル、頑張ったんだな…。そう言えばお前、特殊捜査6課って言っていたな?デカは4課までだったよな。」

デスメル「ああ、それはですね…。あっ!僕の上司が来ましたね。」

 

貸し切りの喫煙席に一人の刑事と見慣れた面々が入ってきた。そう、前回警察に連れて行かれた三蔵達である。

 

???「邪魔するで~。」

デスメル「佐野警部、お疲れさまです!」

佐野警部「おう。で、どうだった?山川組の事務所は。」

デスメル「いえ、特にめぼしい物は…。」

佐野警部「そうか…。で、一緒にいるのは白鷲 弓子と中島 朱美やな。」

中島「なんで僕の事を?」

弓子「!?何者だ、テメエ!」

佐野警部「そう突っかかるな。ワシは愛知県警特殊捜査6課の佐野や。」

三蔵「佐野のおっさんは仕事中に競馬してるのがバレて大阪府警から愛知県警に左官されたんや。」

佐野警部「あんとき大穴の8ー6ー12の三連単が来てたらなぁ、ってアホ!ワシはスカウトされて愛知県警に来たんや。」

悟空「窓際族のおっさんがスカウトされる訳ないやんけ。ホンマ佐野のおっさんのボケはおもろないわ。」

佐野警部「何を言うてんねん!ちゃんとワシは悪魔捜査のスペシャリストとしてやなぁ。」

八戒「おっさん、何が悪魔捜査のスペシャリストやねん。大阪で活躍したワイらの手柄横取りしとっただけやんけ。」

弓子「…。何でテメエらも居るんだよ。邪魔だから帰れよ。」

三蔵「そうかじゃあ帰ろか、佐野のおっさんも帰るでえ。」

佐野警部「よっしゃ、帰ろか!」

三蔵 悟空 八戒 佐野警部「って、なんでやねん!」

弓子「面倒くせえ…。所で特殊捜査6課って何だよ。」

佐野警部「ああ、まだこいつから聞いてなかったんか。捜査6課ってのはな、オバケや人間以外の犯罪、オカルト関係、お前らに分かりやすく言うと悪魔が起こす犯罪の捜査や。せやからお前らの事もよう知っとる。中島 朱美がワシが連れてきた武井とおんなじデビルサマナーやって事もな。」

弓子「なっ!何でそれを知っているんだ!」

佐野警部「せやから警戒すんなや。まあ、事情通ってやつや。武井からも色々聞いとる。」

三蔵「白鷲 弓子、久し振りやなぁ。」

弓子「久し振りじゃねえよ。3日前に会ってるだろ。」

デスメル「佐野警部、彼女達は?」

佐野警部「ああ、一応紹介しとくわ。こいつは武井 千枝子、大阪のデビルサマナーや。今は何でか知らんけど名古屋の女子高に通っとる。そんでそこの2匹は武井の使い魔や。ワシが大阪に居たときからの付き合いでな。」

悟空「俺様は斉天大聖、孫悟空様や。」

八戒「ワイはカマアププ、八戒でええで。その方が分かりやすいやろ。」

三蔵「ほんでウチが32代目三蔵法師に襲名した武井 千枝子や。男前の兄ちゃん、こんな役立たずの佐野のおっさんが上司になって災難やなあ。」

佐野警部「誰が役立たずやねん!ワシがおらんかったらお前ら今頃は刑務所で臭い飯食わされてる所やってんぞ!」

弓子「そう言えば、お前らが中島を助けてくれたんだったな。すまねえな、愚図の中島のせいで面倒かけてしまって。」

三蔵「そんなんええねん。それより警察はどないなっとるねん!」

弓子「警察のキャリアの人間がアスラ組と繋がっていて末端のお巡りまで手が回っているって所だな。」

デスメル「それでは、何の罪もない人を警察は逮捕しているって事ですか!?」

佐野警部「そうや。残念な事にな。」

「お待たせしました。」

 

先程弓子達が注文した品が運ばれてきた。

 

悟空「ちょう待てや、何でお前らだけなんか頼んでんねん!」

八戒「ホンマや。美味そうやんけ。」

弓子「だったらお前らも頼んだら良いだろ。」

 

店員さんがすかさず後から来た四人に注文を聞く。

 

「お連れの方、ご注文はお決まりでしょうか?」

佐野警部「そうやなあ。とりあえずレーコーにするわ。」

三蔵「お前ら、どうすんねん?」

悟空「食いもんは後で決めるわ。とりあえずレーコーや。」

三蔵「姉ちゃん、とりあえずレーコー4つや。」

「はい?」

三蔵「だから、レーコーや。」

「レー?コー?」

 

レーコーとはアイスコーヒー、冷たいコーヒーの略である。今時、こんな時代遅れの言葉を使うのは大阪新世界の昔ながらの喫茶店ぐらいである。

 

「えっと…。あの…。」

佐野警部「姉ちゃん、とりあえずレーコー持ってきてくれや。」

「レーコー?って言われましても…。」

八戒「姉ちゃん、アイスコーヒーや。ナウいヤングは冷たいコーヒーを略して冷コーって言うんや。こんなんは一般常識やで。さては姉ちゃん新人やな?」

「は、はぁ…。(バイト2年目だけど初めて聞いた…。)」

悟空「とりあえず姉ちゃん、レーコー持ってきてくれや。その間に食うもん決めとくさかい。」

「は、はい。」

 

困惑した顔で店員さんは厨房に向かって行った。その間に四人はメニューを凝視している。

 

弓子「デスメル、やっと五月蝿い奴等が黙った所で情報を整理しようか。」

デスメル「は、はい。アスラ組の事ですね。」

弓子「ああ、まずは奴等のアジトは分かるか?」

デスメル「それは…山川組が独自で調べていたって情報を聞いていたので山川組の事務所をあたったのですが…。」

弓子「ああ、それで事務所にいたんだな。実はな、山川組が調べたアスラ組のアジトだが全てもぬけの殻だったそうだよ。警察の方が人手不足のヤクザより2手も3手も遅れているのかよ。」

佐野警部「警察の内部はアスラ組の連中の手が回っとる。マトモに動けるんは外部から来たワシと新人のコイツ位や。」

タダカツ「市民を守る警察官が悪魔と手を組んでいるとは…嘆かわしい…。」

佐野警部「そうやな、兄ちゃんの言う通りや…。情けないわ…。」

デスメル「それより、悪魔と警察が?」

弓子「ああ、アスラ組の幹部連中はみんな悪魔だ。あたしらは幹部の一人を倒したから確かな事だ。」

デスメル「悪魔を倒した?白鷲さんが?」

弓子「ああ、あたしらはオカルト関係、主に悪魔がらみ専門の探偵だ。」

佐野警部「そうか、でもここから先は警察の仕事や。実は武井達が警察に捕まった後、武井の通ってる学校のクラスメートがみんな何者かに拐われとる。誘拐事件になっとるからな。後はワシらに任せとけばええ。」

弓子「おっさん、あたしらに引き下がれってか?舐めるんじゃねえぞ。」

佐野警部「なんや白鷲 弓子、警察に喧嘩売る気なんか、今ここで公務執行妨害でお前を逮捕してもええねんぞ。」

弓子「先にアスラ組から喧嘩を売られたのはこっちなんだよ、公務執行妨害だと?やれるもんならやってみろよ!」

 

一触即発の雰囲気の中、店員さんがアイスコーヒーを運んできた。

 

「アイスコーヒー、お待たせしました。」

 

アイスコーヒーが4人に配られた。

 

悟空「ちょう待てや姉ちゃん、何やこれ?」

三蔵「ちょう、姉ちゃん!ウチ等こんなん頼んでへんで、何やこの豆は!」

「サービスの豆菓子です。」

八戒「サービス?そんな上手いこと言うてワイ等を騙そうとしてもそうはいかんで。」

佐野警部「八戒、伝票かせ!こう言うのはお通しって言うてなあ、サービス料でキッチリと値段が割り増しされてるんや。」

 

佐野警部が伝票を凝視する。

 

弓子「やい、おっさん!あたしを無視するな!」

佐野警部「白鷲 弓子、ちょっと黙っとれ。それどころやない。」

「あの…それ…ドリンクにつくサービスなので…御代はいただいてません…。」

悟空「そんなおいしい話がこの世にあるかい。」

八戒「そんな訳ないわ、この世にタダの物なんて存在せえへん。他のもんは騙せてもワイ等は騙されへんで。」

「いや…タダです…。サービスなので…。」

三蔵「またまたー、冗談上手いわー姉ちゃん。まあ、どうせ金を払うんは佐野のおっさんやからウチ等はええんやけどな。」

佐野警部「お前ら…。この姉ちゃんの言っとることホンマや…。伝票にお通し代が入ってへん…。」

三蔵「佐野のおっさんのボケはホンマおもろないわぁ。そんな訳ないやろ、伝票見せてみい。…ホンマや!サービス料って項目があれへん。」

「だから、サービスなので…。」

悟空「じゃあ姉ちゃん。この豆、食うてもええんか?」

「え、ええ。」

三蔵「おっ、美味いなこの豆。ホンマにタダなんか?めっちゃ美味いやんこれ。レーコーに合うわ。」

佐野警部「あっ!お前!何を勝手に食うてんねん!姉ちゃん、後でサービス料とか言うてもワシは絶対に払えへんからな。」

「だからサービスです。タダです。」

悟空「この豆美味いなぁ。」

八戒「そうや、食うもん頼むの忘れてたわ。姉ちゃん、ワイはこの網焼きチキンサンドと唐揚げにするわ。」

佐野警部「お前!2つも頼むなや!」

三蔵「ウチはこのグラタンとホットドックにするわ。」

悟空「じゃあ、俺様は…。このビーフシチューとこのハンバーガーや」

「こちらですと量が大変多くなりますが大丈夫でしょうか?」

悟空「姉ちゃん、この俺様はなあ、マクドが昔ハンバーガー1個60円のセールの時になぁ、1食で5つも平らげたんやぞ!」

「かしこまりました。追加のご注文は以上でよろしいでしょうか?」

佐野警部「姉ちゃん待ってくれ、ワシはこのヒレカツのプレートにするわ。」

「以上でよろしいでしょうか?」

三蔵「とりあえず以上や。また後で注文するわ。」

「ご注文繰り返します。」

悟空「姉ちゃん繰り返さんでええさかい、はよ持ってきてくれや。」

「失礼します。」

 

店員さんはオーダーを通しに厨房の奥に入って行った。

 

佐野警部「えっと、白鷲 弓子。なんの話をしとったっけ?」

弓子「なんなんだよこのおっさん…。面倒くせえのが4人に増えただけじゃねえか…。」

佐野警部「面倒くさいってなんやねん。武井達と一緒にするなや。」

弓子「デスメル、あいつ等は無視して話を戻すぞ。」

デスメル「え、ええ…アスラ組の居場所ですね…。」

弓子「ああ、こんだけ大胆に人を拐ったりしているんだ。何か手がかりがある筈なんだ。」

佐野警部「お前らはもうお役ごめんや。捜査1課がお前をマークしとる。大人しくしとけ。」

中島「でも、僕達はアスラ組から拐われた人を助けて欲しいって依頼を受けているんだな。」

弓子「おっ?中島お前、愚図の癖に言うようになったな。そう言うことだおっさん、あたしらはこの件に関して引くつもりはねえ。」

佐野警部「どうしても引く気はないんか、白鷲 弓子に中島 朱美。」

中島「ぼ、僕は大切な人を拐ったり何もしていない人に暴力を奮うアスラ組は許せないんだな。放ってはおけないんだな。」

弓子「だ、そうだ。おっさん、どうする?あたしらを逮捕するか?」

デスメル「ちょっと、白鷲さん、佐野警部も冷静になってください。」

佐野警部「ワシは冷静や。白鷲 弓子、ワシを挑発するな。お前らの言い分は分かった。じゃあこうしようか。」

悟空「そうやな。それが1番や。」

佐野警部「まだなんも言うてへんわ!」

八戒「決まりやな。」

佐野警部「だからまだなんも言うてへん!」

三蔵「まあ、今の現状じゃそれしか手はないからな。それでいこか。」

佐野警部「だからまだなんも言うてへんわ!ええ加減にせいよ!」

 

いちいち話の腰を折る連中である。

 

佐野警部「白鷲 弓子、ええか?コイツにお前達を監視させる。ほんでワシは武井達の監視をする。」

弓子「どう言うことだ。」

佐野警部「話は最後まで聞けや、せっかちやなあ。お前らと武井達は警察にマークされとる。だから、ワシ等がついていたら警察も簡単には逮捕する事は出来へんからな。」

三蔵「佐野のおっさん、何でウチ等が警察にマークされとるんや。ウチ等がいったい何をしたんや!」

佐野警部「武井、お前等はお前のクラスメートと担任の教師の誘拐の容疑や。」

悟空「なんでやねん!そんなんおかしいやろ!」

八戒「ワイ等は千枝ちゃんのクラスメート達が行方不明になった時は警察におった。辻褄があえへんやんけ。」

佐野警部「証拠があるないは関係無いんや。アスラ組にとってお前等が厄介やからでっち上げで警察に逮捕させようって魂胆や。」

弓子「兄貴がアスラ組には手を出すなって言っていたことはこう言うことだったのか。」

 

pipipipipipipipipipi

突如、弓子の携帯電話の着信音が鳴り響く。

 

佐野警部「とりあえず出ろや。」

弓子「ああ、話の腰を折ってすまねえな。」

 

弓子は電話にでた。

 

弓子「もしもし?」

 

弓子「兄貴か?どうした?」

大輔『弓子、市長さんから依頼が来た!依頼内容はアスラ組の壊滅、及び拐われた人達の救出、手段は選ばなくていい。』

弓子「何!?」

大輔『アスラ組は今、船で名古屋から出ていくつもりだ。』

弓子「場所は!」

大輔『名古屋港、飛島埠頭の大型フェリーだ。市長さんの使いの者が詳しい事を話してくれるみたいだ。』

弓子「使いの者?」

大輔『今、弓子達のもとに向かっているみたいだよ。』

弓子「分かった!兄貴は?」

大輔『僕も別ルートで現場に向かう。』

弓子「ああ、分かった。また後でな。」ピッ

 

弓子は携帯を切った。

 

三蔵「どうしてん?」

弓子「アスラ組の居場所が分かった。」

佐野警部「何やて!?」

タダカツ「本当ですか?」

???「私が説明いたしましょう。」

 

何処からともなく空間から歪みが現れ1体の悪魔が出てきた。

 

弓子「テメエは!」

ティンク「アスラ組のメルコム!」

八戒「何や?えらい弱そうな奴やな。」

メルコム「ホホホ。白鷲 弓子、またお会いしましたね。」

弓子「何しに来やがった!アスラ組の使いのテメエがよ!」

メルコム「ホホホ。相も変わらず好戦的な方ですね。」

悟空「何やお前は?」

メルコム「おやおや、初めての方もいらっしゃいますね。改めて自己紹介を、私は堕天使メルコムと申します。以後お見知り置きを。」

 

メルコムは軽く会釈をして空いている席に座った。

 

三蔵「何を勝手に座っとんねん。」

メルコム「おや?ここは喫茶店ですよ。席に着いてドリンクと共にくつろぎの空間を提供する店ですよ。」

デスメル「これが悪魔…。」

メルコム「私は貴方達と戦いに来たのではありませんよ?このボタンですね。」

 

ピンポーン。メルコムは席にあるボタンを押して店員さんを呼んだ。

 

「ご注文お伺いします。」

メルコム「元祖ジェリコとたっぷり玉子のピザトーストをいただきます。それから食後にシロノワールをいただきます。」

「はい、かしこまりました。ご注文繰り返します。元祖ジェリコにたっぷり玉子のピザトースト、食後にシロノワールでお間違いありませんね?」

メルコム「ええ、御代はそこの刑事さんに付けておいて下さい。」

「かしこまりました。失礼します。」

三蔵「ちょう待てや、姉ちゃん!」

「なにか?(また絡まれる…。嫌だな…。)」

三蔵「何でアイツだけ3つも頼んでんねん。ウチも食後にチーズケーキ追加や!」

悟空「俺様はコーヒーゼリーや。」

八戒「ワイはアイツが頼んだシロノワールって洒落乙なんくれや。」

「かしこまりました。失礼します。」

佐野警部「所でワシ等が注文したんがまだ来てへんけどまだか?」

「すみません…何だか大事なお話をされているみたいでしたので…。直ぐにお持ちします。」

 

店員さんは直ぐ様厨房に向かった。

 

弓子「メルコムって言ったな?何をしに来た。」

メルコム「アスラ組に対する情報提供ですよ。」

タダカツ「どういう風の吹き回しでしょうか?」

メルコム「アスラ組の連中、私に対する等価を払わない処か取り立てに向かったら私を殺そうとしてきましてね。それでアスラ組と対立している貴方達と手を組んでお金をいただくと言うことです。」

弓子「お前、そのままアスラ組に殺されたら良かったのにな。」

メルコム「おやおや?昨日の敵は今日の友、って言うではありませんか。」

中島「じゃあ君は僕達に協力してくれるの?敵では無くて?」

メルコム「ホホホ。私は何時でも貴方達と敵対したことはありませんよ?」

ティンク「中島、こんな奴信用したら駄目だよ。」

メルコム「ホホホ。私達は共通の敵と対峙する言わば仲間です。ここは協力し合うのが吉ですよ。」

弓子「とりあえずアスラ組の情報を教えろよ。」

メルコム「そうですね。でも、その前に食事にしましょう。」

 

メルコムがそう言うと同時に店員さんが注文の品を運んできた。

 

「大変長らくお待たせしました。」

三蔵「おお!やっと来たわぁ。」

 

それぞれに注文の品が目の前に置かれる。

 

悟空「ちょう、姉ちゃん。」

「は、はい。」

悟空「このハンバーガー、何やねん。めっちゃデカイやんけ。」

「先程も申し上げましたが…。量が多くなると…。」

悟空「量はええねん。俺様が言いたいのはな、マクドのテリヤキバーガーなんかこれの4分の1の大きさで320円もするんや。これこのデカさでたったの420円って、安すぎるやんけ。見てみいこのバンズ!フッワフッワやぞ。こんなんやったら俺様はしょっちゅう通うぞ!サービス良すぎやんけ。」

「はぁ。」

八戒「確かに食いもんのクオリティが高いよな。サービスもええ。ワイも気に入ったで姉ちゃん。」

「はぁ、ありがとうございます。それではごゆっくりどうぞ。」

 

店員さんはもう絡まれたくないのかイソイソと厨房に戻って行った。

 

メルコム「それでは、アスラ組の情報についてお話しいたしましょう。」

三蔵「このグラタン美味いなぁ。」

八戒「ワイが頼んだチキンもええ味やで。」

メルコム「あの…。」

弓子「あいつ等は無視しろ。話が進まなくなる。」

メルコム「分かりました。まずアスラ組の連中は明日の晩に日本から撤退します。」

弓子「明日の晩だと?」

メルコム「ええ、原因は白鷲 弓子、貴女達がオセさん、アスラ組の幹部を一人倒したのが理由です。」

タダカツ「アスラ組、勝手な連中ですね。」

メルコム「全くです。貴女達とやり合ったら被害が大きいと判断したのでしょう。撤退してからの資金を得るために昨日と今日で多くの女性を誘拐しています。」

弓子「女ばかりか。」

メルコム「大陸に売るためです。」

ティンク「酷い…。」

中島「そんなの酷すぎるんだな。どうしてそんな酷い事を…。」

メルコム「酷くはありませんよ。彼らにとって人間なんて物に過ぎません。」

弓子「反吐がでる。それに加担していたテメエもだがな。」

メルコム「私は人間でも悪魔でもビシネスパートナーとして接しています。勘違いしないでいただきたいですね。」

弓子「よく言えるな。人間を悪魔の材料にする奴がよ。」

メルコム「ホホホ。」

三蔵「何を笑とんねん。」

デスメル「人を実験材料に…。そんな事、許される訳ないだろ。」

メルコム「しかし、私が持っているアスラ組の情報が無いとどうにもならないのではないですか?言わばこれは司法取引と言うやつです。」

佐野警部「まあ、ええわ。そう言うことにしといたるわ。」

デスメル「佐野警部!」

佐野警部「気持ちは分かるけど黙っとれ。ええからアスラ組の情報を言えや。」

メルコム「話が早くて助かります警部さん。まず、アスラ組の連中は名古屋港、飛島埠頭にいます。そこに停まっている豪華客船、劉玄丸で明日の晩に名古屋から撤退します。」

弓子「出港する前にアスラ組を叩かないといけないのか…。」

メルコム「いえ、それだと幹部の連中はしたっぱを切り離して逃げられます。叩くのは出港してからです。」

佐野警部「先に船の中に潜入しなあかんのやな。武井、お前一人わざと捕まって船の中に入れ。」

デスメル「ちょっと!佐野警部!相手はヤクザなのですよ!女の子が一人で捕まったりしたら何をされるか…。」

三蔵「男前の兄ちゃん、心配はあれへん。佐野のおっさんの割にはなかなか良い手やな。それで行こか。」

メルコム「あの…。進入でしたら…。」

三蔵「お前は信用出来へん。ウチ等はウチ等のやり方で行く。」

悟空「ちょう!勝手な決めるなや!俺様達はどうしたらええねん!」

三蔵「アホか、ウチが船の中に入ってから召喚したらええだけやろ!」

佐野警部「そう言うことや。ワシはそのまま船に入る。」

デスメル「そのまま入るって?」

八戒「佐野のおっさんは見た目がヤクザみたいやからそのままで行けるやろ。」

佐野警部「誰がヤクザやねん!ちゃんと変装するわ!」

弓子「大丈夫かよ…。それよりメルコム!幹部は全部で何人居るんだ。」

メルコム「私が知っている限りでは白鷲 弓子、貴女達が倒したオセさんにミノタウルスさん、ティターンさん、バロールさん、そして、首領格のカンセイテイクンさん。後、お会いした事はありませんが女性の幹部の方が居ますね。」

三蔵「その女性の幹部って奴、ウチが殺らせて貰うわ。心当たりがあんねん。」

タダカツ「三下には興味はないので構いませんよ。所でその首領のカンセイテイクンって言う悪魔はどういう者でしょうか?」

メルコム「中国、三國志の英雄関羽雲長。皆さんも名前くらいは聞いたことがあるでしょう?」

弓子「中国の大豪傑か、あたしの獲物だな。」

メルコム「はい?貴女一人でかなう相手ではありません!そこの鬼神スサノオでもかなう相手ではありません!」

タダカツ「聞き捨てなりませんね。私がヤクザごときに遅れをとるとでも?」

弓子「タダカツ、あたしの獲物だ。横取りしようとするな。」

タダカツ「弓子、早い者勝ちですよ。」

佐野警部「白鷲 弓子、お前ら進入ルートはどうするねん?」

弓子「ああ、あたしもあてがある。」

メルコム「おやおや?進入でしたら私の力で…。」

弓子「お前は信用出来ねえ。」

メルコム「ホホホ。」

三蔵「だからお前は何笑とんねん。」

メルコム「せっかく私の空間移動の力でアスラ組の所に案内して差し上げようと思っていたのに貴女達は…。」

中島「だったら僕が君にお願いするんだな。」

三蔵「何やねん、中島 朱美。お前も行くんか?」

中島「うん…。僕に何が出来るか分からないけど…。」

弓子「…。良いだろう。ジャック、ティンク、お前等はここに居ないパスカルとユキムラを連れて中島と行動しろ。」

中島「弓子さんはどうするんだな?」

弓子「あたしとタダカツは別ルートだ。デスメル、お前も一緒だ。あたしを立場上逮捕するためにマークするって設定だろ?」

デスメル「白鷲さん、別ルートってのは?」

弓子「それは当日のお楽しみだ。」

佐野警部「所で、さっきから気になってたけどそのデスメルって何やねん?」

弓子「ああ、それはだな…。」

 

弓子はアダ名の経緯を説明した。

 

三蔵「白鷲 弓子!お前!アダ名と悪口は全然ちゃうねんぞ!」

佐野警部「お前!侮辱罪でしょっぴいたろか!何やねんそれ!」

八戒「兄ちゃん、今からでも遅ない。裁判で白鷲 弓子を訴えよう。」

悟空「もう死刑でええやんけ!佐野のおっさん、拳銃で白鷲 弓子の心臓を撃ちぬいてやれ!」

メルコム「撃つのは裁判で有罪判決にしてお金を全てむしり取ってからにしましょう。」

弓子「何なんだよ…。お前等は…。」

デスメル「皆さん、落ち着いて!佐野警部も拳銃を仕舞って下さい。」

佐野警部「何でやねん!お前はそれでええんか!」

デスメル「僕はこのアダ名を気に入っているんで良いです!皆さんもデスメルって呼んでもらって構いませんから!」

佐野警部「お前がええって言うんやったら…。でも、アダ名の由来が分からんかったらそのデスメルってのなんかカッコええな。ワシもお前の事をそう呼ばせて貰うわ。」

弓子「何なんだよ…面倒くせえ奴等だな…。」

三蔵「面倒くさいって何やねん!お前のせいやんけ!」

弓子「ああ、分かった分かった。話を戻すぞ。」

メルコム「そうですね。今の流れですと、武井 千枝子さん達と白鷲 弓子、そして私達と3つに別れる事になります。それぞれの役割を決めておきましょう。」

弓子「ああ、船が動き出したらあたしらはアスラ組のカンセイテイクン、1番強い奴を倒しに行く。」

三蔵「ウチはわざと捕まってから船が動き出したら中からアスラ組の幹部を叩く。メルコムが言ってた女の幹部って奴は多分ウチが知ってる相手や。ソイツを倒したら白鷲 弓子、お前等に合流する。」

弓子「中島、お前等は捕まっている奴等を助け出せ。」

中島「わ、分かったんだな。」

メルコム「では、こうしましょう。武井さん達が敵と戦い出した隙を見て我々は空間移動の力で船に進入します。我々が進入した後で白鷲 弓子、貴女達は出てきて下さい。」

弓子「何お前が仕切っているんだよ。」

メルコム「ホホホ。」

三蔵「だから何を笑っとんねん。腹立つわぁ。」

メルコム「ですが白鷲 弓子、貴女はカンセイテイクンと戦うおつもりでしょう?でしたら、貴女はしんがりを努めて極力万全の状態で戦いに挑むべきですが…。それに私も見たこともないボスもいます。」

弓子「分かったよ。お前のような糞野郎に従うみたいで癪に触るがそれが1番良い手だしな。」

メルコム「所で、武井 千枝子さん?この作戦は貴女にかかっています。大丈夫ですか?」

三蔵「お前、誰に物言うとんねん。まあ、さんふらわに乗った気でおってくれたらええ。ウチに任せとき。」

弓子「決まりだな。あたし等は準備があるからそろそろ行くよ。中島、行くぞ。」

中島「あっ!弓子さん、待って欲しいんだな!」

 

弓子達は先に店を出ていった。

 

佐野警部「デスメル、お前も行かんかい。作戦はもう始まってるんや。お前が側に居らんかったら白鷲 弓子が警察にパクられるやろ。」

デスメル「は、はい。」

 

デスメルは先に会計を済ませて店を出た。

 

佐野警部「武井。お前、アスラ組の幹部に一人心当たりがあるって言ってたよな?ホンマか?」

三蔵「ウチのクラスの担任の小原や。ウチ等が警察にパクられたのと同時に誘拐するなんて話が出来すぎとる。それに前々からウチを目の敵にしとったからなぁ。」

佐野警部「お前の素行の悪さで目の敵にされとっただけちゃうんか?」

三蔵「何でやねん!アイツが人間に化けてるんは最初から分かってたんや。害が無いから相手にしてなかったけどな。」

佐野警部「そうか、そろそろワシ等も行くぞ。」

三蔵「まだや、デザートがまだ来てへん。」

 

 

 

 

 

弓子「…。」

 

弓子は喫茶店を出てから黙々と歩いている。

 

中島「弓子さん?」

弓子「…。」

ティンク「弓子?どうしたの?」

弓子「中島。」

中島「弓子さん?」

弓子「中島、分かっているのか。」

中島「何がなんだな?」

弓子「今までとは違う。敵は必ず倒さないといけない。相手はお前を殺すつもりで襲ってくる。お前に敵を倒す覚悟があるのか?って聞いているんだ。」

中島「…。」

弓子「無いなら今回はついて来るな。」

中島「それは…。嫌なんだな…。アスラ組の人達は放っておいては駄目んだな。僕にはこれがあるんだな。」

 

中島が悪魔召喚プログラムから錬気の剣を召喚した。

 

弓子「その糞重たい剣か。マトモに振れなかったら意味がないだろ。」

中島「それが、今日素振りをしていたら何でか分からないけど急に重たく無くなったんだな。」

弓子「はぁ?」

タダカツ「重たく無くなった?本当ですか中島殿?」

中島「うん。片手で簡単に持ち上がるんだな。」

タダカツ「それはそれは、では事務所に着いたらこの剣の本当の使い方をお教えしましょう。」

ジャック「ただの剣じゃないのか?」

タダカツ「ええ。この剣の本当の力、それは皆さんの協力が必要です。」

ジャック「どういう事だ?オイラ分からないぞ?」

タダカツ「それは事務所に戻ってからです。」

ティンク「何さ、勿体ぶっちゃって。」

弓子「まあいい。それなりに覚悟があるって事にしといてやる。中島、気合い入れろよ!」

中島「わ、分かったんだな。」

 

アスラ組の壊滅、錬気の剣の使い方、拐われた人々の救出、それぞれに思いを寄せながら事務所に帰る一行であった。

 

 


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