女神転生 中島   作:ジャックオニール

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潜入!劉玄丸 後編

一方その頃…

 

弓子達は劉玄丸に潜入する為に前回の依頼で知り合った作業員の親方達と打ち合わせに名古屋港近くの喫茶店に来ていた。

 

「わざわざ来てくれてすみません探偵さん。実は、例のアスラ組からのコンテナの積み込み作業の依頼なのですが急遽今日してくれと言われまして…。」

弓子「急遽今日だと?」

タダカツ「また急ですね…。」

「もちろんヤクザの手助けなんてまっぴらなのですが…。」

弓子「あたし等の為に親方の信念を曲げる事になってしまってすまないな。」

「うちの従業員に探偵さんがアスラ組との事を言ってくれていたから作業依頼を保留にしていたのですよ。」

弓子「ああ、悪いな。でもあのアスラ組の奴等の事だ。作業の代金なんて払わないと思うけど良いのか?」

???「ホホホ。その辺はご安心をしてください。私がキッチリお金を回収致しますので。」

 

突如、空間に歪みが現れメルコムが出てきた。

 

「いきなり何だ!何処から出てきたんだ!?」

弓子「やいメルコム!毎度毎度いきなり現れるな!蹴り殺すぞ!」

メルコム「ホホホ。新たな情報が手に入ったので報告に来たのですよ。相変わらず血の気盛んな方ですね。」

「探偵さん、何者なのですか?」

メルコム「ホホホ。貴方は初めてお会いしますね。私は堕天使メルコムと申します。以後お見知りを。」

 

メルコムは作業員の親方に軽く会釈をした。

 

弓子「毎回腹立つよなコイツ。デスメル、拳銃で撃ち殺せ。」

デスメル「白鷲さん、気持ちは分かるけど落ち着いて。」

メルコム「ホホホホホ。」

タダカツ「所で、新たな情報と言うのは何でしょうか?」

メルコム「ええ、実はアスラ組の幹部、警察を操っていた魔眼のバロールさんが死にました。」

弓子「何?いったい誰が?」

タダカツ「まさか?」

メルコム「デビルサマナー、中島 朱美です。止めはクーフーリンが刺したのですが。」

デスメル「え?彼が?まさか?」

弓子「中島が?」

タダカツ「フフッ。そうですか。」

メルコム「そのバロールさんが倒された事により警察への洗脳が解かれました。その事により…。」

 

pipipipipi携帯電話の音が鳴り響く。

 

デスメル「すみません。」ピッ

 

デスメル刑事が電話に出る。

 

デスメル「もしもし?」

佐野警部『おう、デスメルか?』

デスメル「佐野警部?どうしました?」

佐野警部『どうしましたか?やあらへん。捜査4課が動き出した、アスラ組のしたっぱが次々としょっぴかれとる。急いでお前等も劉玄丸に潜入せい!ええな?』ピッ

 

デスメルが返事をする前に電話は切れた。

 

弓子「どうした、何があった!」

デスメル「警察がアスラ組の逮捕に踏み出しました。」

タダカツ「洗脳が解かれたのですね。って事は我々も警察から逃げ隠れしなくてもいいのですね。」

メルコム「そう言うことです。ですのでアスラ組も急いで撤退する気です。」

弓子「急がないと不味いな。逃げられてしまう。」

「直ぐに現場に居る職人に作業をさせましょう。探偵さん達は怪しまれない様にこれを着てくれ。」

 

作業員の親方は弓子達に人数分の上の作業着とヘルメットを渡した。

 

弓子「このくそ暑いのに長袖かよ…。」

「作業現場では長袖の決まりなので我慢してください。」

タダカツ「小さいですね…。」

「ではこっちの3Lを着てください。」

タダカツ「これでも、少し小さいですね…。」

デスメル「作業着を着るのはアルバイトしていた時以来だな…。」

弓子「なんだ?デスメル、お前バイトなんてしていたのか?」

デスメル「うん、警察学校に通っていた時にナイショでね。セメントを運んだり引っ越しのお手伝いとか、力仕事が多かったな。」

弓子「へぇ、あんなにヒョロかったお前がねぇ。」

デスメル「強くなりかったから進んで力仕事のアルバイトをしていたよ。」

弓子「わざわざ警官なんかになるためにご立派な事だな。」

デスメル「警察官になるって事もあったけど…。」

 

デスメルはチラリとタダカツと弓子を見た。

 

タダカツ「何か?」

デスメル「いや、何でもない…。ぼ、僕の事は良いじゃないか!それより早く現場に行かないと!」

弓子「ああ、そうだな。デスメル、しっかり頼むぜ!」

デスメル「う、うん。」

タダカツ「…。」

「外に車を待たせてあります。行きましょう。」

 

弓子達は作業着を着て喫茶店に停めてあるハイエースに乗り込んだ。

 

「ヒャッハー!女探偵!久し振りだぜー!」

弓子「はぁ?何でテメエが車なんか運転しているんだよ!」

「免許だって持っているぜー!」

弓子「どういう事だよ!」

「ああ、探偵さん。会社で取りに行かせたんだよ。」

弓子「はぁ?コイツ悪魔じゃねえか!免許なんて取れる訳ねえだろ!」

「市長さんの計らいも有ってうまく取れたんだ。コボル。出してくれ。」

弓子「コボル?」

「俺の名前だぜー!コボル トウドウだぜー!ヒャッハー!マッハで行くぜー!」

 

そう言うと制限速度ギリギリで車を運転しだした。

 

弓子「…。」

タダカツ「弓子?どうしました?」

弓子「な、何でもねえ…。」

 

飛島埠頭に到着して皆、車から降りた。

 

「到着したぜー!」

弓子「…。」

タダカツ「弓子?」

弓子「は、はなし…かけ…。オエー!オエー!」ビチャビチャビチャビチャ

 

たったあれだけの距離で車酔いをしたらしい…。

 

メルコム「ホホホ。白鷲 弓子にこんな弱点があったとは驚きですね。」

弓子「う、うるせぇ…」

メルコム「この酔い止め薬をお飲みください。」

弓子「先に渡せよ…。オエッ!」

メルコム「ホホホ。この薬は後からでも効き目はありますのでご安心を。水なしでも飲めますよ。ラムネの感覚で大丈夫です。」

 

メルコムは酔い止め薬を弓子の口の中に放り込んだ。

 

弓子「ああ…。気分が良くなってきた。大分楽になったぜ。」

デスメル「えっ?そんなに直ぐに効くなんて…。まさか怪しい薬なのでは?」

メルコム「ホホホ。市販の酔い止めですよ。子供でも直ぐに飲める様に開発されたすばらしい物です。人間の技術は日々進化しているのですよ。」

タダカツ「弓子、大丈夫ですか?」

弓子「ああ、もう大丈夫だ。親方、早速案内してくれ。」

「こっちです。」

 

親方に案内されて劉玄丸の近くまでやって来た。様々な盗品が積まれたコンテナが大型クレーン車が次々と劉玄丸に運ばれていく。

 

「テメエら!ちんたらするな!さっさとコンテナを乗せていけ!」

 

アスラ組の組員が偉そうにしている。

 

「順番にやってるッス!」

「テメエ!アスラ組を舐めているのか!」

 

アスラ組の組員が突っかかって来た。

 

「お前こそ舐めた口を…。」

「ゴブリ、止めるッス!申し訳ないッス。後少しで積み終わるからもう少し待って欲しいッス。」

「だったらさっさとしろ!」

「分かったからあっちで待ってて欲しいッス。あんたがここに居たら早く終わるものも終わらないッス。」

「フン。」

 

作業員に突っかかって来たアスラ組の組員はその場を離れていった。

 

「あの野郎…。」

「ゴブリ!ダメッス!作業を続けるッス!」

「は、はい。」

「おう。どうだ?」

 

親方が作業員達に近づき声をかける。

 

「あっ、親方!もう少しで終わるッス!」

「そうか。例のコンテナは?」

「この次積む予定ッス!」

「探偵さん達、このコンテナの中に入ってくれ。横をスライド式にして開けれる様になっている。」

弓子「ああ、分かった。無理を言ってすまねえな親方。」

「良いって事よ。」

「探偵さん、気を付けて欲しいッス!」

弓子「ああ、したっぱ。お前が先に連絡をくれていたお陰だ。ありがとよ。」

 

弓子達はコンテナの中に入っていった。

 

メルコム「白鷲 弓子、これをお持ちください。」

タダカツ「なんですか?」

メルコム「ホホホ。簡単な差し入れですよ。お昼から何も口にしていないでしょう?」

デスメル「怪しい…。もしかして毒でも…。」

弓子「いや、それはねえなデスメル。メルコム、ありがたくいただくぜ!」

デスメル「白鷲さん!」

弓子「いいかデスメル、まずメルコムの目的はアスラ組から金を徴収する事だ。その目的の為にあたし等と組んだ。それにビジネスマンは約束事を反古にはしない。そうだろ?」

メルコム「ホホホホホホ。白鷲 弓子、面白い方だ。グッドですよ。」

弓子「何がグッドだ。」

メルコム「ホホホ。私は1度デビルサマナー中島 朱美の元に向かいます。差し入れの中に酔い止めがありますので船が動き出したら必ずしも飲むことをお薦めします。それでは白鷲 弓子、勝利の栄光を貴女に。」

 

そう言うとメルコムは弓子達に軽く会釈をして自らが出した空間の歪みの中に消えていった。

 

「なんだったんだアイツは。探偵さん、扉を閉めてくれ。内側から鍵がかけれるから。」

弓子「ああ、分かった。」

 

弓子が改造したコンテナの扉を閉めるとクレーン車で劉玄丸に積み込まれた。

 

弓子「どうやら無事に潜入出来たみたいだな。タダカツ、取りあえず腹ごしらえでメルコムからの差し入れでも食おうぜ。」

タダカツ「わ、分かりました。」

 

タダカツはメルコムから貰ったビニール袋からおにぎりを配った。

 

弓子「悪魔のおにぎり…。だじゃれのつもりか?」

デスメル「確かに人気商品だけど、よくこれを選んだよなぁ。なんか悪魔だのに拍子抜けだよね。」

弓子「まあ、悪魔だって色んな奴が居るって事だ。人間と一緒でな。」

タダカツ「メルコムが特殊なだけの気はしますが…。」

弓子「ああ、アイツと話していると兄貴を相手しているみたいで腹立つんだよな。金の事しか頭にないもんな。」

タダカツ「弓子、前から気になっていましたが最近お兄さんと何かありましたか?貴女方の両親を殺害した私が言うのもなんですけど…。」

弓子「あ、ああ。兄貴か。そうだな。ただ心の底から生きる価値のない糞野郎だって事を思い知らされただけだ。タダカツ。あたしの親の事は気にするな。お前は中島の仲魔になり、あたしもお前を気に入っている。」

タダカツ「御意。」

弓子「それにあたしのテコンドーの特訓相手を出来る奴なんてお前ぐらいしか居ないしな!」

タダカツ「…。そうですね。」

デスメル「…。」

 

船が動き出した。

 

デスメル「動きましたね…。」

タダカツ「ええ…。」

弓子「…。」

デスメル「白鷲さん?」

弓子「…。酔い止めをくれ…。」

 

また弓子は乗り物酔いをしたようだ。船が動き出してから小一時間がたった。

 

弓子「それにしてもこれ効き目がいいよな!」

タダカツ「私もいただきます。」

デスメル「船は揺れるから僕も飲んでおくよ。」

タダカツ「!!弓子!デスメルさん!伏せてください!」

 

タダカツに言われて咄嗟に地面に伏せた。

 

『メギドラオン!』

 

微かに聞こえた声と共にコンテナが吹き飛ぶ位の大きな衝撃が弓子達を襲った!

 

弓子「なんだ!」

タダカツ「この力は!弓子、デスメルさん、急いで出ましょう!」

デスメル「いったい何が?」

タダカツ「中島殿の魔法です。敵と戦い出したようです。」

弓子「中島が?何をした!」

タダカツ「メギドの力です。行きましょう!」

弓子「ああ。」

 

弓子達はコンテナの鍵を開けて船上に出てきた。すると、中島が放った魔法でアスラ組の悪魔達が無惨な姿で倒されていた。

中島が一人船上に立っている。

 

弓子「これを中島一人で…。」

 

中島の後ろに牛の頭の獣人ミノタウロスがボロボロの状態で立ち上がり中島を大きな斧で攻撃しようとしている!

 

弓子「中島!」

タダカツ「不味い…。」

 

弓子達の後ろから銃声がなり銃弾がミノタウロスの眉間を貫いた!

 

「く、くそ…。」

 

ミノタウロスは頭をさらに数発撃たれて力尽き倒れた。

 

デスメル「危なかった…。」

弓子「デスメル、やるならやるって言えよ!銃弾の音がデケエから耳が痛いじゃねえか!」

デスメル「ご、ごめん。」

タダカツ「よくこの距離で銃弾を全て命中させる事が出来ましたね…。」

デスメル「相手が固そうだったから5発とも眉間の同じ所を狙ったけど1発だけ2センチほどそれた所に当たってしまったよ。」

弓子「全て同じ所を狙っただと?」

タダカツ「恐ろしい程の腕前ですね…。」

デスメル「中島君は無事みたいだね。行こう。」

弓子「ああ。」

 

弓子達は中島と合流した。騒ぎを聞き付けたアスラ組の悪魔達が船内から次々と出てくる!

戦いの幕は開けられた!

 

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