女神転生 中島   作:ジャックオニール

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魅惑のマーメイド 後編

水族館に行ってから何日か後の夜、みんなが事務所でくつろいでいる時だった。

 

ユキムラ「ちょっと出掛けてくるよ。帰りは朝になるからみんなは寝ていてくれて構わないさ。」

ジャック「ヒーホー!ユキムラ、何処に行くんだ?」

ユキムラ「ジャック、野暮な事は聞かないでくれたまえ。それではみんな、行って来るよ。」

 

ユキムラは一人で外に出ていった。

 

タダカツ「今日もですか…。」

中島「気になるんだな…。」

弓子「どうせ懲りずにナンパでもしに行っているんだろ。アイツはバカだからな。」

タダカツ「そうでしょうか。ユキムラは武将隊のお仕事の時も心ここに有らずの状態でしたので気になりますね。」

パスカル「メスニミトレテルダケ!」

弓子「ああ、多分バカ犬の言う通りだと思うぜ。タダカツ、あまり考え込むと頭が禿げるぞ。それより兄貴、なんか依頼は来てないのかよ。」

大輔「有るには有るけど、たいした依頼じゃないよ。」

弓子「何だよ、有るなら有るってちゃんと言えよ。」

大輔「何を言ってるんだよ!中島君達が僕を一人で留守番させて水族館に行った日に弓子達が大怪我をして帰って来たから保留にしていたんじゃないか!」

ティンク「まだ言ってる…。」

 

まだ水族館に行けなかった事を根に持っているしょうもない男である。

 

弓子「なんだよ、あたし等が悪い言い方しているじゃねえよ。それにまだ水族館の事を言ってるのかよ。」

大輔「なんだよ!僕も行きたかったんだよ!」

弓子「行きたきゃ一人でも行ったら良いだろうが。過ぎた事をぐちぐち言ってるんじゃねえぞ!そんなだから友達が一人も居ねえんだよ。」

大輔「もういいよ!」

 

大輔は怒って一人事務所を出て自分の部屋に戻って行った。

 

弓子「なんなんだよ兄貴の奴、何を怒ってるんだよ。」

タダカツ「まあ、依頼があるのなら明日にでも話があると思いますよ。」

中島「そうなんだな。僕も夜の鍛練があるから少し失礼するんだな。」

ティンク「あたしも行くよ。」

 

中島とティンクも外に出て行った。

 

ティンク「中島、ユキムラを探しにやっぱり行くの?」

中島「う、うん。でも、僕は誰にも話していないのにどうして?」

ティンク「分かるよ。だって中島だったらそうするだろうなって思ったから。私も手伝うよ。」

中島「ティンク、ありがとうなんだな。」

 

中島は悪魔召喚プログラムのオートマッピンク機能を作動させた。

すると中島達に近づいて来ている仲魔の反応が2つある。

 

ジャック「ヒーホー!中島!オイラを置いてきぼりにするなんて酷いぞ!」

パスカル「ナカジマ イクゾ!」

中島「ジャックにパスカル?」

ジャック「弓子達にはパスカルの散歩に行くって言ってきたから大丈夫だぞ。」

パスカル「ナカジマ ノレ!」

 

パスカルは巨大化して魔獣の姿に変わっている。

 

中島「パスカル、ユキムラは名古屋港水族館なんだな。」

パスカル「ワカッタ!イクゾ!」

 

パスカルは中島達を背中に乗せて猛スピードで駆け抜けて行く。

 

名古屋港水族館にたどり着いたが夜なので水族館は閉館していて中には入れない。

 

パスカル「ナカジマ ノリコエルゾ シッカリツカマレ!」

 

パスカルは高くジャンプして、壁をかけ上がる。かけ上がった先からイルカショーの水槽が見える。水槽の前にユキムラがマーメイドの前で何かしている。

 

ジャック「ヒホ?ユキムラは何をしているんだぞ?」

ティンク「しっ!ユキムラに気付かれちゃうよ。」

中島「もう少し近づいてみるんだな。」

 

中島達は気付かれ無いように近づいていく。

 

ユキムラ「HEY!君に会いにまた来たよ。」

「あの…。」

ユキムラ「今日は君に少しでも元気になってもらう為にこのイケメンである僕の歌謡ショーをご披露させてもらうよ。」

「もう帰って…。」

ユキムラ「それでは、まずはこのイケメンソングからいってみようか!」

 

ユキムラがあらかじめ用意していたラジカセを大音量で曲を流す。

 

ユキムラ「欲望も~♪レベル上げれば~♪」

「…。」

 

中島達はユキムラの様子を見ている。

 

ジャック「なんか歌を歌いだしたぞ。」

ティンク「あのマーメイドを励ますつもりなのかな?」

中島「みんな…。今日はもう引き返すんだな…。」

ティンク「中島?なんで?」

中島「明日、また来るんだな…。パスカル、お願いなんだな。」

パスカル「?ワカッタ」

 

中島達は水族館を後にした。そのすぐ後に大音量を聞き付けた警備員が駆けつけてきた。

 

ユキムラ「おおっと邪魔が入ったからまた明日来るよ。」

「もう来ないで…。」

 

ユキムラは風のように去っていった。

 

 

 

次の日、ユキムラはまた夜に出掛けて行った。それを追うように中島達も外に出ていった。

 

ティンク「ねえ中島?昨日はどうしてすぐに帰っちゃったの?」

中島「うん。ユキムラは、本当のエンターテイメントが分かっていないんだな。あの子を元気づけようとするのは分かるけど。」

ティンク「どういうこと?」

中島「うん、昨日のユキムラじゃ、楽しいのはユキムラだけであの子は楽しくはなれないんだな。」

ティンク「ユキムラの悪い所だよね…。」

ジャック「ユキムラは楽しい奴だぞ?」

中島「うん、でも初対面の人には分からない事なんだな。」

ティンク「多分、ユキムラは今日も同じ事をすると思うよ。」

中島「それは大丈夫なんだな。今日は僕もユキムラに協力するから。」

ティンク「協力?」

ジャック「何をするんだ?」

中島「それは行ってからのお楽しみなんだな。パスカル、今日もお願いするんだな。」

パスカル「ナカジマ ノレ」

 

中島達は今日も魔獣化したパスカルの背中に乗り名古屋港水族館に向かう。

昨日と同じ様に水族館に潜入するとユキムラはすでにマーメイドの元に着いていた。中島達はユキムラに気付かれないように近づいていく。

 

ユキムラ「昨日はとんだ邪魔が入ってしまったからね。今日こそはこのイケメンである僕の歌謡ショーを楽しんでもらうよ。」

「なんでまた来たの…。」

ユキムラ「ハハハ、なんでとはいきなりだね。君に楽しんでもらう為さ。ここから逃げ出す前にまずは君に笑顔になってもらいたいのさ。」

「…。」

ユキムラ「君はこんな所に居たくないのだろ?大丈夫、このイケメンである僕に任せたまえ。」

「そんな…。迷惑じゃ…。」

ユキムラ「ハハハ、ここから逃げ出す前にこのイケメンである僕の歌謡ショーを始めようか。君だけの為にスペシャルライヴステージを開催するよ。それでは、少し音量を下げて…。ミュージックスタートさ!」

 

ユキムラはラジカセの電源を入れて音楽と共にリズムを取り出す。

 

ユキムラ「Yo Say 夏が~♪胸を刺激する~♪生足魅惑のマーメイド~♪フフフフフーフフ♪フフフフフーフフ♪君と僕とはイッツオーライ!」

 

せめて歌謡ぐらい覚えて来てからやれ。グダグダの歌謡ショーに見かねて中島が動き出す。

 

中島「少し行ってくるからみんなはここで待っていて欲しいんだな。」

ティンク「え?中島?」

 

中島はユキムラの横に立ちリズムに合わせて華麗なタンバリン芸を披露する。

 

ユキムラ「えっ?マスター?どうしてここに?」

中島「…。」シャンシャンシャンシャン

 

中島はイントロに合わせて無言でタンバリン芸を続けている。

 

ユキムラ「ごまかしき~かない♪フフフフフーフフ~♪フフフフフーフフ~♪確信犯の♪しなや~かな style!」

中島「…。」シャン

「…。フフ…。」

 

中島は体全体を使ってタンバリン芸を繰り広げている。中島の動きを見てマーメイドは少しだけ笑った。

 

ジャック「パスカル、オイラをあのマーメイドの所に連れて行って欲しいぞ。」

ティンク「ジャック?何をするの?」

ジャック「あの姉ちゃんとお話してくるぞ。」

パスカル「マカセロ」

 

ジャックは魔獣化したパスカルの背中に乗り大きくジャンプしてマーメイドの横に着地する。

 

「えっ?何?」

ジャック「ヒーホー!」

「君は?」

ジャック「オイラは偉大なる悪魔、ジャックフロスト様だぞ!さあみんな、オイラ達と一緒に音楽を楽しむぞ。」

「みんな?君、一人だよね…。」

ジャック「違うぞ。水槽の中にいイルカ達がいるぞ。ヒーホー!みんな中島と一緒に踊るぞ。」

「中島?」

ジャック「あのユキムラの隣でタンバリンで踊ってる奴だぞ。」

「あの人?フフフ、動きが凄いね。面白い。」

ジャック「さあ、オイラと一緒に音楽に合わせて体を動かすぞ。」

 

ジャックの声を聞いて水槽の底からイルカ達が顔を出してリズムに合わせて動き出す。

 

ジャック「みんな、その調子だぞ。姉ちゃんも一緒にオイラと踊るぞ。」

「えっ?」

ジャック「中島達が姉ちゃんを喜ばせる為に頑張っているから姉ちゃんもそれに答えてあげないとダメだぞ。」

「う、うん。」

 

マーメイドもジャックの呼びかけに答えて踊り始める。

 

 

 

その頃、弓子とタダカツも依頼で名古屋港水族館に来ていた。最近夜に不法侵入者が現れると言うことで警備の依頼である。水族館の館長さんに挨拶に中に入る。中に入ると直ぐに奥の客間に通され館長さんに依頼内容を確認する。

 

「探偵さん、わざわざ来ていただいてありがとうございます。」

弓子「警備の仕事だったら警備員を雇ったら良いじゃねえか。」

「ええ、それはそうなのですが…。」

タダカツ「我々に依頼される理由があるのですね?」

「ここからは他言無用でお願い出来ますか?」

弓子「…。悪魔がらみか。」

「マーメイド、をご存じでしょうか?」

弓子「ああ、話だけは聞いている。そいつを狙っている奴が悪魔かも知れないから退治してくれって事か?」

「大まかにはそう言うことです。」

タダカツ「大まかには?」

弓子「どういうことだ?」

「いや、それは…。」

弓子「そのマーメイド、何か訳ありのようだな。」

「ええっと…。」

弓子「悪いがちゃんと話せねえなら依頼は断るしかないな。帰るぞタダカツ。」

タダカツ「良いのですか?」

弓子「ああ、これじゃあ話にならねえからな。」

「わ、分かりました!ちゃんと話します!」

弓子「だったら洗いざらい話せよ。」

「実はそのマーメイドなのですがとある悪魔から水族館の目玉商品として買い取ったのですが、3ヶ月は水族館に置いておくという契約でして…。」

タダカツ「人身売買ですか…。それは表沙汰には出来ないですね。」

「しかし、そのマーメイドを3ヶ月置いて置かないと法外な違反金を払わせられるのです。本来ならあんな辛気くさいマーメイドはとっとと海にでも帰したいし別に拐って行くなら拐って行くで構わないのですが…。」

タダカツ「様はその法外な違約金の為にマーメイドを置いているのですか。」

弓子「因みに違約金っていくらだ?」

「1000万円です。」

弓子「それだったら少し高いがあたしらに警備の依頼をした方が安くつくって事だな。」

「はい。」

弓子「とりあえずマーメイドを見せてくれ。護衛対象を確認する。」

「分かりました、こちらです。」

 

館長さんに案内されてイルカショーのステージの水槽に向かう。

 

 

 

 

 

 

館長さんにマーメイドの居場所に案内され中の状況を見て弓子達は大きなため息を吐いた。

 

タダカツ「はぁ…。まさか犯人が我々の身内とは…。」

弓子「館長、ユキムラの馬鹿が迷惑をかけた。ちょっとアイツ等を蹴り倒して来る。」

「それは曲が終わってからにしてもらえますか?」

弓子「どういうことだよ。」

「まあまあ、それよりあそこの方達はみんな探偵の身内でしょうか?」

タダカツ「え、ええ、そうですが…。」

「そうですか、それはそれは。」

 

笑顔でそう答える館長さんに不思議に思いながら弓子はユキムラに気付かれない様に近づいて行く。

ユキムラの歌は終わりのサビにに近づいている。中島は衰える事なくタンバリン芸を披露している。水槽のイルカ達もジャックの掛け声と共に体を動かし踊っている。

 

ユキムラ「都会のビルの海じゃ~♪感じなくなってる君を~♪」

中島「…。」シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

ユキムラ「冷えたワインの口づけで~♪酔わせて~♪とろかして~♪差し上げましょう♪」

中島「…。」シャン

ユキムラ「妖精達が~♪夏を刺激する、ナマ足ヘソ出しマーメイド~♪」

中島「…。」シャンシャン

ユキムラ「貴女の為なら♪何をやっても~♪ユキムラ的にはオールオッケー♪」

 

オッケーなものか、立派な不法侵入で犯罪である。

 

中島「…。」シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

ユキムラ「Yo Say夏を~♪フフフフフーフフ♪一人寝の夜に♪You Can Say Good by♪」

中島「…。」シャン

ユキムラ「奥の方まで♪渇く間無いほど~♪宝物の恋をしませんか~♪」

中島「…。」シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

 

曲が終わると同時に弓子が走ってきて強烈な跳び蹴りをユキムラに喰らわせる。

 

弓子「人様に迷惑をかけるな!!この馬鹿が!!」

ユキムラ「ぶへ!」ボチャーン!

 

ユキムラは弓子の跳び蹴りで吹き飛ばされて水槽の中に豪快に落ちた。

 

「フフ、ハハハ!凄いね!豪快に落ちた!ハハハ!」

 

マーメイドはユキムラを見て大笑いしている。

 

ユキムラ「ちょ、ちょっと!笑ってないで助けて!僕はカナヅチで泳げないんだよ!」

弓子「うるせえ!迷惑かけた詫びとしてそのまま溺れて死ね!」

 

ユキムラが溺れて水槽に沈んでいく。

 

「ハハハ!沈んでる!ハハハハハハ!面白いねジャック君。」

ジャック「姉ちゃん、何はともあれ元気に笑ってくれて良かったぞ。オイラ達も嬉しいぞ。」

 

ジャックはマーメイドとすっかり仲良くなっている。

 

弓子「クソダルマ、テメエもこの後ユキムラの後を追って水槽に沈めてやるから覚悟しておけ。」

「何を怒っているんだろう、あの人恐いね…。」

ジャック「姉ちゃん、弓子はおっかないから気を付けた方がいいぞ。」

「悪魔みたいだね…。」

弓子「悪魔はテメエ等だろうが!あたしを舐めてるのかクソ人魚にクソダルマが!」

パスカル「ユミコ カルシウムタリナイ!サカナクエ!」

 

パスカルが水槽の中からイワシを大量に咥えて上がって来た。

 

弓子「バカ犬、テメエもこの白鷲 弓子様にケンカ売ってるのか!」

パスカル「オレサマ イッパイクッタ!ユミコ クエ」

 

パスカルが咥えているイワシを見て館長さんが慌てて近づいてくる。

 

「ちょっと!そのイワシ食べたら駄目だろ!イワシトルネードはうちの目玉の1つなんだよ!何をしてくれるんだ!」

弓子「バカ犬が!ふざけるんじゃねえぞ!オラ!」

 

弓子のアプチャギがパスカルの顔面を蹴り倒す。パスカルはそのまま気絶して水槽に沈んでいく。

 

弓子「後は、クソダルマの前に…。なーかーじーまー!」

 

弓子は中島のいる方向に向く。

 

弓子「なーかーじーまー!テメエまで何をやってるんだ!ええ!」

中島「…。」シャン

 

中島はタンバリンで返事をする。

 

弓子「あたしにケンカ売ってるのかテメエ!」

 

中島の態度にイラついた弓子は中島を徹底的に蹴り倒す。それを少し離れてティンクとタダカツが見ている。

 

ティンク「…。」

タダカツ「いつもの様に止めに入らないのですか?」

ティンク「今のは弓子にボコボコにされてもしょうがないよ。あれは私でもされたら腹立つもん。」

タダカツ「…。」

 

 

中島「い、痛い…。一生懸命頑張ったのに…。酷すぎるんだな…。」ポロポロ

 

弓子に蹴られ続けた中島は泣き出した。

 

ティンク「中島…。大丈夫?」

中島「うん…。弓子さんはいつもいきなりで酷いんだな…。」ポロポロ

弓子「うるせえ!お前等が不法侵入したからだろうが!あたしが悪いような言い方してるんじゃねえぞ!まだ蹴られ足りないのか!」

タダカツ「弓子、それよりそろそろ本題に入りませんと。」

 

タダカツが見かねて弓子を止めに入る。

 

弓子「ああ、そうだな。マーメイドを狙う不法侵入者がユキムラだったからもう依頼は無いようなものだがな。館長、すまなかったな。今日はコイツ等を連れて帰るよ。」

ユキムラ「ちょっとみんな!待ってくれたまえ!」

 

ユキムラが中のイルカに助けられて水槽から這い上がって来た。

 

ユキムラ「彼女はここに無理矢理連れて来られたんだ!だからここから逃がしてあげないと駄目だよ!」

「君、変な言いがかりは止めて貰おうか。私は君を不法侵入で警察につきだしても良いのだぞ。」

弓子「館長、ここは穏便に済ませたい。警察に観入されたらお互い困るんじゃないのか?」

「しかし、こちらは不法侵入された上にその犬にイワシを食べられて被害が出ている。」

中島「でも、嫌がっているマーメイドの子に無理矢理客寄せにここに閉じ込めるのは間違っているんだな。」

「そうだそうだー!間違ってるぞー!労働はんたーい!」

「お前がここに来てからいったいなんの労働をしたんだこの穀潰しが!お前の食費にも金がかかっているんだぞ!あのメルコムとか言う悪魔のせいでこんな奴を置いておくはめになるなんて…。」

「何さ!こっちだってフォルネウスから安全に隠れる事が出来る場所に連れて行ってくれるって言われたからメルコムにたくさんお金払ったのに何で客寄せなんかしないといけないのよ!私は自由にだらだらしたいんだよ!」

 

マーメイドと館長さんがお互い勝手な主張をしている。

 

弓子「ん?ちょっと待て。館長、今メルコムって言ったな?」

「えっ、はい。」

ティンク「えっ?ちょっと待って1度話を整理しようよ。」

 

中島達は館長とマーメイドの話を聞き整理した。

 

ジャック「姉ちゃんはそのフォルネウスって奴から逃げるためにメルコムにお金を払ったのか?」

「うん、海でのんびり暮らしていたのにいきなりフォルネウスが来て俺の妻になれって言ってきて嫌だから逃げている時にメルコムに話を持ちかけられたんだよ。」

弓子「要するに館長もそのクソ人魚もメルコムに良いように騙された訳だな。」

「ねえジャック君、何であたしあの凶暴な悪魔みたいな人にクソとか言われてるの?」

ジャック「ヒーホー!弓子に逆らって言い返したら悪魔の様に蹴られるから逆らわない方が良いぞ。」

「ふーん、怖い人だね。」

弓子「おい聞こえてるぞクソ人魚。あんまり舐めた事言ってると三枚下ろしにして焼き殺すぞ。」

ユキムラ「弓子、こんなキュートなマーメイドに対して何て事を言うんだい!」

タダカツ「弓子、とりあえず三枚下ろしは後にして落ち着いて下さい。今はメルコムの事が先です。」

弓子「そうだな。館長、メルコムの奴を呼び出せるか?」

「え、ええ。それは大丈夫ですが…。」

???「ホホホ、白鷲 弓子それにはおよびませんよ。」

 

空間に歪みが現れ中からメルコムが出てきた。

 

メルコム「ホホホ、これはこれは皆さんお揃いで。」

弓子「やいメルコム!テメエ、詐欺師みたいな事をしやがって!」

メルコム「ホホホ、この私を詐欺師扱いとは侵害ですね。館長さんは新しい目玉商品が欲しい、そちらのマーメイドさんは海の魔王フォルネウスさんから逃げ切り安全に暮らしたい、これはお互いの利害が一致した言わばウィンウィンの関係だと思われますが違いますか?」

「何がウィンウィンだ。こんな奴を3ヶ月面倒見ないと1000万円の違約金だなんて法外だ。」

メルコム「契約は契約です。館長さん、貴方がサインした契約ですよ?」

「こんな契約書の裏に小さい文字で書かれているのが分かる訳ないだろ!こんな契約無効だ!」

メルコム「おやおや?見ていなかったから契約は無効だなんてとんだ筋違いな事をおっしゃいますね?契約書はちゃんと確認してからサインをする、これは世界の常識ですよ?」

「くそ…なんて悪魔だ。」

弓子「筋が通っているだけに尚更腹立つよなアイツ。」

メルコム「それに館長さん、後2ヶ月そのマーメイドさんのお世話をするだけじゃないですか。邪魔なら2ヶ月経ったらそのマーメイドさんを放り出せば良いのです。」

「ちょ、ちょっと!何であたし放り出される事になっているのよ!あたしはあんたにいっぱいお金を払ったのに!」

メルコム「ホホホ、マーメイドさん?私は貴女をフォルネウスさんから匿う為のお金は3ヶ月分しか頂いていないですからね。そこから先は私の知ったことではありません。」

ジャック「メルコム、お前ちょっと酷いぞ。人魚の姉ちゃんが可哀想だぞ。」

「そうだそうだー!酷いぞー!」

メルコム「おやおや、この私が酷い?私は貴女の要望通りにちゃんと安全な場所を提供していますよ。」

「こんな意地悪な人間の為に客寄せをさせられるなんて聞いていないよ!毎日の食事もショボいしさ!食事は毎日鰻がいい!ひつまぶしの特上がいい!」

 

マーメイドはここぞとばかりに館長を指差して不平不満を言い出す。

 

「何がひつまぶしの特上だ!何もしない奴が要求だけを求めるな!メルコム、1000万円払うからもうこの穀潰しを放り出してくれ!」

メルコム「館長さん、よろしいのですか?」

中島「メルコム、ちょっとそれだと余りにもマーメイドと館長さんが可哀想なんだな。」

メルコム「おや?デビルサマナー、貴方も私の商売に意見するつもりですか?」

タダカツ「中島殿、この様な者とはもう話し合いなど不要です。」

ユキムラ「メルコム、悪いけど君を退治したらこの依頼は完了さ。館長さんの違約金も払わなくて良くなるしね。」

メルコム「ホホホ、貴方達がそういう行動に出る事ぐらい私が想定していないと思っていたのですか?」

弓子「タダカツ、ユキムラ、止めとけ。メルコム、クソ弱いテメエが丸腰で来るわけ無いよな。で?何をしに来た?」

メルコム「ホホホ、流石は探偵って所ですか。所でデビルサマナー、本気でマーメイドと館長さんを助けたいですか?」

中島「うん。メルコム、お願いなんだな。」

メルコム「そうですか、仕方ありませんね。館長さんの違約金をチャラにする代わりに私から皆さんがウィンウィンの関係になれる依頼を1つ受けて頂けますか?」

中島「依頼を?」

メルコム「嫌なら構いませんよ?私も契約を反故にするのは不本意ですから。」

弓子「何がウィンウィンだメルコム。どうせあたし等にその依頼を受けさせる為に館長やクソ人魚に不都合な契約をしたのだろうが。で?依頼内容は?」

メルコム「ホホホ。白鷲 弓子、話が早くてグッドですよ。」

弓子「何がグッドだ、舐めてるか。依頼内容を早く言え。」

メルコム「分かりました。私からの依頼は海の魔王フォルネウスの退治です。」

ユキムラ「ハハハ、麗しきマーメイドさんを苦しませる悪魔の退治か。なら、このイケメンである僕に任せてくれたまえ。僕一人で華麗に片付けてあげるよ。」

メルコム「ホホホ。貴方お一人で、ですか?皆さんで戦う方が効率的だとは思いますが。話は決まりですね。それでは外にフォルネウスさんをお呼びしますので20分程したら出てきて下さい。」

 

メルコムは空間に歪みを出してその中に消えていった。

 

「探偵さん、何かややこしい事になってしまって…。」

弓子「館長、乗り掛かった船だ。気にするな。」

タダカツ「しかし、まんまとメルコムにしてやられましたね。」

 

マーメイドが怯えながら呟く。

 

「フォルネウスがここに来るの?」

ユキムラ「マーメイドさん、このイケメンである僕がフォルネウスなんてバッチリ倒して見せるから大丈夫さ。」

「でも…。海の魔王フォルネウスだよ。」

ユキムラ「海の魔王かなんだか知らないけど女の子の笑顔を曇らせる奴は僕の敵さ。このイケメンである僕が華麗に片付けて見せるから心配しないで。」

 

そう言って外に出て行こうとするユキムラをタダカツが止める。

 

タダカツ「ユキムラ、お待ちなさい。」

ユキムラ「なんだい?」

タダカツ「えらいやる気ですね。ユキムラ。貴方、あのマーメイドに惚れたのですね?」

ユキムラ「いや、あの…。」

タダカツ「良いですか?1度しか言いませんからよくお聞きなさい。」

ユキムラ「なんだい…。」

タダカツ「どうせ惚れても振られるだけだって言うのがどうして分からないのですか貴方はー!」

ユキムラ「ちょ!ちょっと!」

タダカツ「それが現実です!」

ユキムラ「酷すぎる…。どうしてそんな事を言うんだよ…。」

弓子「ああそうだな、今のはタダカツが悪いな。」

タダカツ「弓子、私は事実を言ったまでです。」

弓子「いいか?よく聞けタダカツ。人間の世界ではな、心に思っていても口に出して言ってはいけない事だってあるんだよ。例えそれが事実で正しくてもな。」

ジャック「そうだぞ。」

中島「うん…。」

ティンク「そうだね…。タダカツ、あんたが悪いよ。」

タダカツ「何故だ、何故私が責められるんだ…。」

 

納得のいかないタダカツであった。

 

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