女神転生 中島   作:ジャックオニール

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決戦前の出来事 前編

大輔とべスはトラポートの魔法で事務所の屋上に出てきた。

 

べス「こ、ここは…。」

大輔「僕の事務所の屋上だよ。」

べス「だから、どうしてこんな所に…。それに、何故中島 朱美とその仲魔達が現れるのですか!?」

大輔「やれやれ、質問は1つずつにしてほしいな。」

べス「それに貴方は私と契約書をかわしたはずです!それを!」

大輔「僕の言っている事が分かっていないのかい?質問は1つずつにしてくれと言っているじゃないか。」

べス「貴方は私達メシア教団と対立するつもりですか!?」

大輔「君には日本語が通用しないのかい?また違う質問を出してくる。人とのコミュニケーションの取り方が全くなっていないね。」

 

どんな人間でもケチでサイコパスのお前にだけは言われたくないセリフである。

 

大輔「まあいいさ、時間はいくらでもあるんだ。君が事務所を訪れた後の話からしていこうか。」

べス「何を悠長な事を…。」

大輔「別に良いじゃないか。仮にホークが中島君に倒されたとしてもだ。どうせ君は他の人間をメシアに仕立て上げるつもりだろ?」

べス「な、何を言って…。」

大輔「君がどんな手を使っていたのかは知らないけどあんなチンピラ風情がメシア候補に選ばれる事がそもそもあり得ないんだよ。」

べス「私が何をしたと、何か根拠があって言っているのですか!?」

大輔「別にそこはどうでもいいよ。で、次のメシア候補は中島君かい?」

べス「ど、どうして…。」

大輔「残念だけど中島君はメシア教団には入らないよ。昨日の連中が先に中島君に接触されたら不味かったけどね。」

べス「アレフとヒロコ…。」

大輔「そう言えばあのアレフって男、メシア教団に何かされているね。脳をいじくられた感じだったかな?」

べス「な、何故それを!?」

大輔「あんなのに接触されたら中島君は彼等に同情してメシア教団に協力するとか言いかねないから魔法で不意打ちしてしばらくリタイヤしてもらったんだ。」

べス「貴方は始めから私達と敵対するつもりで!?」

大輔「そもそも先に仕掛けて来たのは君達メシア教団だろ?僕達の両親を見殺しにして更には僕達の仕事が起動に乗りだしたらメシア教団に寄付をしろとか言ってきて。」

べス「世界の為です!メシア教団に従えば世界は全て平和の楽園になります!今からでも遅くはありません!貴方もメシア教団の素晴らしい教えに従うのです!」

大輔「そうやって僕達の両親もメシア教団に洗脳されたんだね。でも、生憎僕は平和なんてお金にならない事には興味ないんでね。争いの方がお金になる。」

べス「なんて男…。お金の事しか頭に無いなんて…。」

大輔「何を言っているんだい。君達メシア教団が僕達の両親を洗脳したお陰で僕達はひもじい思いをしてきたんだよ。良かった事は魔法を使えるようになった事ぐらいだな。この力のお陰で気に入らない人間を証拠を残さず消すことができるんだ。」

べス「こんな自分の事しか考えられない人間がこの世に居るなんて…。」

大輔「他人を自分の駒ぐらいにしか思っていない君に言われたくないけどね。盗聴器を仕掛けてちゃんと自分達に従うか伺っていた癖に。」

べス「くっ…。」

大輔「何で中島君達と仲間割れしていたのに…。って所だったよね。まず君が聞きたいのは。そこから今に至るまで話をしていくよ。」

 

話は5日前に遡る。

 

弓子「兄貴、何があったんだ?」

大輔「みんな、聞いて欲しい。メシア教団の幹部の女から僕達に依頼が来た。依頼内容は魔人アリスの討伐補助だ。」

タダカツ「討伐補助?ですか?」

大輔「そのアリスと言う悪魔は10年ほど昔にホークが六本木で取り逃がしたらしくてね。」

弓子「取り逃がした?それでなんで今更になって討伐するんだ?害が無ければ放って置いたら良いのによ。」

大輔「メシア候補の人間が悪魔を取り逃がしたって話になったら具合が悪いからじゃないかな?まあ、向かうの都合なんてどうでも良いよ。僕には関係無いからね。」

弓子「で?兄貴はその依頼を引き受けたのか?」

大輔「契約書にサインはさせたよ。」

弓子「契約書だぁ?」

中島「そんな…。僕達はさっきメルコムから彼女達をメシア教団から守る依頼を受けたのに…。」

大輔「ん?中島君?どう言うことだい?」

弓子「ああ、あたしから説明するよ。」

 

弓子は病院での経緯を大輔に説明した。

 

大輔「そうか。じゃあ、メシア教団からの依頼を細かく説明するよ。」

中島「えっ?僕達は…。」

弓子「中島、ちょっと黙って聞いていろ。」

 

弓子は大輔に意見を言おうとした中島を止める。

 

弓子「兄貴、話を続けてくれ。」

ユキムラ「ちょっと弓子、君は女の子達を倒すのかい?」

弓子「ユキムラ!黙って最後まで聞いてろ!」

大輔「弓子、ありがとう。君達の意見はちゃんと最後に聞くから話を続けさせてもらうよ。魔人アリスが現れるのは5日後、彼女達はテレビ塔で野外ライブをするらしい。そのライブにホークと共に進入する。これがそのチケット、ホークの分も合わせて5枚預かっている。」

弓子「ライブ会場で一般客も巻き込み殺るつもりか。」

大輔「アリスはホークが止めを刺すから他のメンバーを倒すのが主に僕達の仕事だ。」

中島「そんな事…。絶対に駄目なんだな。僕は…メルコムと約束したんだな。彼女達をメシア教団から守るって、約束したんだな。」

大輔「中島君、君はどうやってそのアリス達を守るつもりだい?」

中島「そ、それは…。」

弓子「ホークの野郎をぶっ飛ばす、そういう事だよな?中島。」

大輔「ふーん?所で中島君、ホークの顔や姿、格好は知っているのかい?」

中島「いや…。それは…。」

大輔「中島君、綺麗事だけなら誰にでも言える。何も出来もしないのなら最初から依頼は受けてはいけない。」

ティンク「ちょっと!そんな言い方…。」

弓子「チビ、兄貴の話はまだ終わっていない。最後まで聞いてろ。」

大輔「中島君、彼女達を守る策はあるのかい?敵はメシア教団、ホークだけじゃないんだよ?ホークが契約している悪魔達、ホークのパートナーの女幹部、それにそれに従う末端の信者もいる。それだけを全て1度に相手は出来ないだろ?」

ユキムラ「ハハハ!お兄さん、そんなのこのイケメンである僕がついているから大丈夫さ。」

中島「でも…。僕は…約束をしたんだな。」

大輔「これ以上は話をしても無駄みたいだね。アリス達は討伐する。」

中島「そんなの!絶対に駄目なんだな!僕は、彼女達を助けるんだな!」

 

大輔は何も言わずに紙を取り出して何かを書き始める。

 

『今日来たメシア教団の女がこの部屋に盗聴器を仕掛けている。そのまま、言い争ってくれ。』

 

皆が一斉に頷く。

 

弓子「中島!テメエ!兄貴の言うことが聞けねえのか!」

中島「ぼ、僕は間違った事には従えないんだな!」

弓子「中島!痛い目に遭いたいようだな!」

大輔「弓子!」

弓子「兄貴!止めるな!」

大輔「やるなら顔以外をやるんだ。」

ティンク「殺られるのはあんた達人間の方だよ!『マハジオ!』」

 

ティンクは外に向けてマハジオを唱えた!

 

弓子「テメエ…大人しくしていたら許してやろうと思っていたけど舐めた真似しやがって!」

中島「僕はあなた達とはもうやってはいけないんだな!」

タダカツ「このような連中と関わってしまってとんだ時間を無駄に過ごしたみたいですね。失礼します。今後貴方達とはお会いする事は無いでしょう。」

 

タダカツは紙に何か書き出す。

 

『話の続きは事務所の地下室でしましょう』

 

大輔「は?」

 

弓子が直ぐに大輔の口を塞ぐ。

 

大輔「他にいる悪魔連中も嫌なら出ていって構わないんだぞ?」

ジャック「オイラもイングランドに帰るぞ、腰抜けの中島の仲魔になったのが間違いだったぞ。(地下室なんてオイラ知らないぞ?)」

 

タダカツとジャックは事務所を出た。

 

大輔「中島君、事務所の移行に従えないなら出ていってくれ。(地下室ってなんだよ!)」

中島「…。(地下室?)」

 

大輔はまた紙に何か書き出す。

 

『中島君、地下室ってどういう事だい?』

 

中島も続けて紙に書き始める。

 

『僕も始めて聞いたんだな。とりあえず事務所を出てみるんだな。』

 

弓子「中島!テメエはクビだ!今すぐに出ていけ!」

大輔「聞こえなかったのかい?従わないなら出ていけって言ったんだ。」

ティンク「中島、もう行こう?こんな人達と無理して居ることないよ。(地下室なんて始めて聞いたよ。そんなの有ったかな?)」

中島「うん、そうさせてもらうんだな。またお仕事を探さないと…。」

ユキムラ「君達、世話になったね。もう会うこともないだろうね。それではアディオス!(地下室か。完成したんだ…。)」

 

中島達は事務所を出ていった。

 

大輔「みんな居なくなったね。」

弓子「ああ、この事務所で兄貴と二人っきりになるの久し振りだな。こんなに広かったんだな。」

大輔「久し振りに外食でも行かないかい?」

弓子「ああ…。」

 

大輔と弓子も事務所を出た。事務所の階段を降りて一階に着くとフロアの真ん中に穴が空いていて地下に降りるハシゴがある。

 

弓子「あれか。」

大輔「何だよあれ!」

弓子「兄貴、静かにしろ。声が盗聴器で聞き取られるぞ。」

大輔「いや弓子、よく冷静でいられるよな。」

弓子「あたしだって驚いてるよ。いつの間にこんなの作ったんだよ。とりあえず降りるぞ。」

 

大輔と弓子は驚きを隠せないままハシゴで下に降りる。

 

弓子「先に進む道があるぞ…。」

大輔「どういう事だよ!」

弓子「大声出すなよ!響くじゃねえか!静かにしろよ!」

 

二人は先に進むと灯りが見えその先に扉がある。

 

弓子「この部屋か。」

大輔「何で電気を通してあるんだよ!」

弓子「ああ、そう言えばタダカツの奴、電気の配線の勉強してたな。」

大輔「はぁ?アイツは何をしてるんだよ!」

弓子「アイツ、何にでも興味を持つからな。だから下らない事は絶対に教えるなよ。開けるぞ。」

 

弓子は喚く大輔を横目に扉を開ける。

 

タダカツ「これでみんな揃いましたね。私は地上に続く入口を閉めますので弓子達も少しくつろいで居てください。」

大輔「ちょっと待てよ!」

タダカツ「なにか?」

大輔「何かじゃないよ!何を勝手にビルの地下に作っているんだよ!」

タダカツ「いや、仮に核戦争が起こった時にシェルターと言うのがあれば助かると言うのをテレビで聞きまして…。」

大輔「勝手に作ったら駄目なんだよ!」

タダカツ「しかしお兄さん、地下室は色々と便利です。私が独自にブレンドした八丁味噌の保存にも最適ですし…。それに仮にお兄さんが誰かを過って殺してしまった場合、死体を隠すのには地下室と相場は決まっています。」

大輔「ああ、そうか。って言うと思っているのか!何僕が人を殺す事を前提で話をしているんだ!」

タダカツ「いえ、山川組の若頭からお兄さんは気に入らない事があれば平気で人を殺すキチガイだって聞きましたので…。」

大輔「本人を目の前にして言うなよ!」

弓子「兄貴、ごちゃごちゃうるせえぞ。話が進まないだろうが。」

大輔「僕が悪いのか!絶対に違うだろ!」

中島「お兄さん、落ち着いて欲しいんだな。」

ティンク「とりあえずお茶でも飲んで落ち着こうよ。ユキムラ、事務所からお茶っ葉とか取りに行くから手伝ってよ。」

ユキムラ「分かったよ。」

弓子「ユキムラ、あたし一人で行くよ。メシア教団にはお前らがもう出ていった事にしているからな。ついでにビルの入口はシャッターを閉めておく。」

 

弓子は一人で地下室を出ていった。

 

中島「それにしても凄いんだな…。」

ジャック「涼しくてちょうどいいぞ。」

ユキムラ「壁もコンクリートでちゃんと作ってあるね。僕が手伝った時は穴を掘っただけだったのに。」

大輔「ユキムラ君、君は知っていたのか?」

ユキムラ「提案したのはこのイケメンである僕だからね。最初僕達は部屋をシェアしていたんだけどタダカツが作る八丁味噌が部屋を埋めつくしそうになってね。」

タダカツ「そうですね、ユキムラが私にクレームをつけてきたのでだったら新たに部屋を作ろうとなったのです。」

大輔「そんな事の為にビルを勝手に改装したのか!ふざけるんじゃないぞ!八丁味噌ぐらい事務所の冷蔵庫に入れとけばいいだろ!」

ティンク「いや、多分無理だよ…。」

大輔「調味料を入れるスペースぐらいはあるよ!それを、こんな大がかりな…。」

中島「うん、所でこの奥にある部屋って…。まさか…。」

タダカツ「ええ、その部屋に八丁味噌を保存しています。」

 

タダカツが奥の扉を開けると中には所狭しと八丁味噌の味噌ダルが並んでいた。

 

大輔「ちょ、この数!」

ティンク「うん…。やっぱり…。」

ユキムラ「味噌ダルの1つや2つで僕もクレームは言わないよ…。」

大輔「いやいやいやいや!こんな量を作ってどうする気だよ!」

タダカツ「この1つ1つにそれぞれの料理に合う八丁味噌なのです。」

大輔「どれも同じじゃないか!絶対に要らないだろこんなに!」

タダカツ「同じではありません。こちらは卵料理に合う八丁味噌、こちらはおでん用、って具合に全てにおいて用途は違うのです。」

ティンク「全部味噌味になるから一緒だよ。」

タダカツ「ああ、嘆かわしい…。この八丁味噌の素晴らしさがまだ貴女は理解できていないのですか。」

大輔「嘆かわしいのはこっちだよ!」

ティンク「そうだよ!毎回、味噌味になったら堪ったもんじゃないよ。」

 

弓子が戻ってきた。

 

弓子「うるせえぞ兄貴、外まで声が漏れてたじゃねえか。」

大輔「僕じゃなくてこいつに言えよ!」

ティンク「そうだよ!」

 

大輔はタダカツを指差して反論する。

 

弓子「なんだよ、過ぎた事をガタガタ言うなよ。それにこれ、なんか秘密基地見たいでカッコいいじゃねえか。ここなら盗聴もされないだろう。話を再開しようぜ。」

ティンク「とりあえずみんなのお茶を入れるよ。」

中島「僕も手伝うんだな。」

タダカツ「中島殿、コンセントはそこにあります。」

 

中島とティンクはみんなのお茶を用意する。

 

弓子「とりあえず本題に戻すぞ。」

大輔「…。」

弓子「兄貴!」

大輔「あ、ああ。メシア教団だったね。」

 

話は本題に戻る。

 

大輔「中島君、そのアリス達を守り抜く策はあるのかって話からだったね。」

中島「うん…。でも、僕は…。」

大輔「うん、策なんて無いんだよね。」

弓子「兄貴、勿体振らずに早く言えよ。」

大輔「分かったよ。弓子はいつもせっかちでいけない。中島君、これを先に渡しておく。」

 

大輔はライブのチケットを5枚全て渡す。

 

中島「このライブチケットは…。」

大輔「本来、ホークと一緒に入ってアリス達を倒す手配だったのだけどね。アリスを倒すにもメシア教団から守るにも中に入れないといけないだろ?どっちにするかその判断は中島君に任せる。」

中島「えっ、お兄さんは、アリスちゃん達と…。」

弓子「中島、兄貴はどっちにするかお前が決めろって言ってるんだよ。」

中島「ぼ、僕は…。メルコムをあんな目に合わせたメシア教団の人達に協力なんて出来ないんだな…。」

大輔「分かった。じゃあ、メシア教団と戦う作戦を言うよ。先ず、絶対に倒さないといけない相手、それはメシア教団の幹部の女のベスの方だ。」

弓子「はぁ?ホークの方だろ?」

大輔「それが違うんだよ、確かにホークはデビルサマナーだ。悪魔を召喚できるが彼の代わりはいくらでもいる。ホークという男も調べたけど、中身は大したことないチンピラだ。利用しやすい屑をベスがデビルサマナーまで仕立てあげたのだろう。」

弓子「確かメルコムの野郎もホークは大したことない奴って言ってたな。しかし、街中で戦いを仕掛けてくる奴だ。倒さないといけないだろ。」

大輔「ベスを倒さないとまた同じ様なデビルサマナーを仕立てあげてくる。今度は自分は表には出ずにね。そうなると僕達は永遠にメシア教団の相手をすることになる。警察にも手を回してある連中だ。それこそお手上げ状態になる。」

弓子「失敗は絶対に出来ない訳だな。」

大輔「ああ、そうだ。少し話が脱線してしまったけど作戦の続きを言うよ。」

中島「うん…。」

大輔「中島君、ホーク達とはお昼前の11時半にテレビ塔近くに待ち合わせしている。だから君は10時半までにそのチケットの人数だけ人を集めて中に入るんだ。」

中島「5人分の人を…。」

タダカツ「では、先ずは当日私が中島殿と共に行動します。」

ユキムラ「女の子達を守る依頼、このイケメンである僕にぴったりの依頼だね。OK!モチロン僕も同行させてもらうよ。」

ジャック「ヒーホー!オイラも中島と一緒に行くぞ!」

弓子「これで中島を入れて4人、後一人か。そうだな。うってつけの人物に話をしとくか。」

ユキムラ「うってつけ人物?誰だいそれは?」

弓子「まあ、今回お前達の寝床も世話してもらう手配しているからな。そいつだよ。」

ティンク「えっと…。誰だろう?」

弓子「新田だよ。もうじきこっちに着く頃だ。」

中島「えっ?新田君?そんな、彼を危険な目に合わせる訳には…。」

弓子「危険な目に合わせない為にもしっかりメシア教団を倒さないとな。」

大輔「そうだね。先に中島君達が会場に入っていたら時間通りに来たホーク達は中には入れない。野外ライブだから悪魔を召喚して空から襲ってくる。その悪魔達を君達が捕まえ合流してくれ。」

ユキムラ「OK!分かったよ。」

タダカツ「捕まえる?倒してしまえば良いのでは?」

大輔「倒せるなら倒しても構わないよ。あまり目立たない様にしてくれよ。」

タダカツ「分かりました。」

ジャック「まあ、オイラに任せておけば大丈夫だぞ。」

大輔「まあ、よろしく頼むよ。弓子はホークが悪魔を召喚した後、ホークの相手をしてくれ。ベスから引き離して欲しい。」

弓子「あたしにチンピラの相手をさせるのかよ。」

中島「あ、あの…。」

大輔「中島君?どうしたんだい?」

中島「そのホークって人は僕が…。」

大輔「中島君、君に人を倒す事が出きるのかい?」

弓子「いや兄貴、その方が良い。中島、ホークって糞野郎はお前が相手をしろ。あたしはホークが召喚する1番強い悪魔の相手をする。」

大輔「うん、切り札ぐらい持っているだろうからね。それでいこうか。みんな、ベスを一人にさせるために各自敵を分散させてくれ。くれぐれも無茶はしないでくれ。」

 

弓子「おっ?デスメルからメールが来ている、画像つきか。」

 

弓子は携帯を開いてメールをチェックする。

 

弓子「兄貴、デスメルからホークとベスの顔写真が来た。これだ。」

大輔「中島君、みんな、この顔写真を目に焼き付けておくんだ。」

中島「わ、分かったんだな。」

大輔「しかし、デスメル君も無茶をするね。上に知られたらただじゃすまないのに…。」

弓子「ああ、デスメルの上司のえっと、佐野とかいうおっさんが上の警視庁を無視して捜査しているんだよ。奴等の潜伏先も押さえてある。」

タダカツ「あの人、出頭書の漢字が読めないって言って上からの命令を完全に無視していましたしね。」

大輔「とんでもない人が上司になったんだねデスメル君…。」

弓子「ああ、兄貴もあのおっさんにマークされているから下らない事で人を殺したりするなよ。」

大輔「失礼だな。僕が人を殺す前提で話をしないでくれよ。」

弓子「何を言っているんだよ。そのベスも魔法で焼き殺すつもりだろうが。」

大輔「まさか。そうだ中島君、5日後にパスカルを召喚して貸して欲しいんだ。」

中島「えっ?パスカルを?」

 

パスカルは発情期で周りに迷惑がかかるので悪魔召喚プログラムのストックに入れている状態にしている。

 

大輔「ベスを倒す為の切り札になるからね。頼んだよ。」

中島「分かったんだな。」

弓子「中島、5日分の着替えを用意しておけ。新田が迎えに近くまで来ている。お前達は当日まで新田の家に泊めてもらえ。」

中島「えっ?そんな、迷惑じゃ…。」

弓子「話はもうついてるから心配するな。お前達もだ。」

タダカツ「我々もですか?」

弓子「ああ、あたしと兄貴以外は全員だ。」

ユキムラ「それより事務所に仕掛けられた盗聴器を外したら良いのではないのかい?」

大輔「あえて気付かないふりをして盗聴器はそのままにしておくんだよ。メシア教団のベスを欺く為にね。」

ティンク「ねえ、いつから盗聴器が仕掛けられてるって分かったの?」

大輔「強いていったら初めからだね。あの女、他人を信用していない目をしていたからね。」

弓子「まあ、屑同志考え方が手に取るように分かるんだよ。」

ティンク「そうなんだ。」

大輔「失礼だな…。それにしてもあの女、僕に対して色仕掛けで迫ってきてね。笑いを堪えて誘いに引っ掛かる振りをするのが大変だったよ。」

弓子「ハハハ、兄貴に対して色仕掛けとはな。バカな奴だぜ。」

大輔「まあそう言うなよ弓子、彼女もメシア教団でのしあがるために必死だったんじゃないかな。それも5日後には全て無駄になるんだけどね。」

弓子「小細工で兄貴に勝てるわけないのにな。作戦会議は以上だな。中島、着替えを用意しておけ。新田と合流する時間だ。」

中島「分かったんだな。」

大輔「中島君、最後に1つアドバイスさせてもらうよ。メシア教団のデビルサマナーは左腕にガントレット式の悪魔召喚プログラムをつけている。それを狙って破壊するんだ。そうすればホークが操る悪魔との契約は無くなる。」

中島「悪魔召喚プログラムを…。お兄さん、分かったんだな。」

 

中島達は各自の部屋で着替えを用意して事務所を出て行った。弓子は中島達を新田との待ち合わせ場所に案内する。

大輔は中島達の後ろ姿を見送る。

 

大輔「中島君か…。(やはり弓子の言う通り僕は中島君とその仲魔達に嫉妬をしている…。中島君のやり方を認めてしまうと僕の今までの生き方を全て否定する事になる…。僕はこれからどうしたら良い…。)」

 

 

 

 

 

大輔「って感じで君が仕掛けた盗聴器を逆手に取らせてもらった訳さ。」

ベス「…。」

 

大輔は耳に手をあてる。

 

大輔「どうやら中島君とホークが戦い出したみたいだね。」

ベス「私がこんな男に一杯食わされるなんて。」

大輔「まあ、時間はたっぷりあるからさっきの君の質問に答えてあげていくよ。」


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