そうして放課後だ。自分はISの調整のためにアリーナに来ている。アリーナの予約には少し手こずったがこうして調整することが出来ている。ISは飛行機と違い自分で軽めの修理や調整がしにくい。ーーそこが自分にとっての大きな違いだと考える。出てくるターゲットを瞬時に判断しーー撃つ。それを様々な武器というよりは数種類か、それで行っている。楔はこれから慣らさないとろくに使えない。ターゲットには当たるものの有効的な使い方が分からない。その調整を織斑一夏と篠ノ之箒は見ていた。何というか情報がばれて辛いがまだあの能力は使ってないから本来の力は出していない。ーーだからまぁ見られてもいいだろう。織斑一夏自身もまだ使うものがわかっていないのだから。
「にしても凄いなシャルルさん。あんなに上手く飛ぶなんて...まだISに乗ってから一ヶ月と経ってないって聞いてたけど...」
「流石は代表候補に対してあそこまで強気に行けた人だな。なんというか動きに無駄がない」
そう箒のいうとおりシャルルには全く持って無駄な動きが存在しないのだ。より効率的に敵を狩るための動きをし、ターゲットを撃ち抜き、切り裂く。可変することのできる「鷲」は変幻自在に変形しターゲットとの距離に応じてより時間のかからない大きさに変化させる。色は青白く光っており、とても美しい。その青は機体についているラインよりも濃い青で剣はその濃さによって印象を強めていた。
「元は軍人って言ってたけどやっぱりISを憎んでいるのだろうか」
織斑一夏の意見は世論を代表する言い方だ。軍人ーー軍人といっても男性に限定してだがISの登場により存在意義が消失し、多くの男性軍人が職を失った。生きがいであったであろう闘争も奪われ、政治的にも男性が生きずらい世の中になっている。そんな歪んだ社会で多くの男性はISに憧れを持つと同時に憎んでいる。特に軍人は憎しみが強い。
「俺が思うにはシャルルさんは空が好きなんだーー何よりも。その感情がISに対しての憎しみを打ち消してるんだと思う」
そうシャルルはファナを除いた全てよりも空が好きだ。空は本来全ての人、生物、非生物が平等で美しい空間。そんな平和だった世界を破壊してしまったものこそがISだ。今やISによって空は女性の所有物に成り下がっている。それをただ許せないだけなのだ。ISによがって生きる女性達はシャルルの目にはまるで一つの光にすがった虫にも見えた。ーーそうある有名な小説家の内容のように。
通常ではあり得ない平面のスラスターだが、機体に垂直になっており、ブースターとしての機能を保ちつつ、シャルルに最適な速度を出す。速度はほかのISよりも平均が遥か上で、その圧倒的なスピードこそがIS「海猫」の特徴の一つなのだ。
そうしてターゲットを撃ち切り、時間が過ぎてゆく。日は沈みかけており、夕焼けが海猫を照らす。機体の白銀を照らし輝き、ラインの青が神々しく輝いておりマッチしている。ーーまるで夕日に照らされた海の中を猛スピードで泳ぐ海豚のようだ。そうして日が落ちる寸前というところで海猫とシャルルとの訓練を終えた。
訓練を終え現在は自室で軽い夕食を取りながら相手のISの情報を探している。インターネットは確かに便利だが、流石に国家機密ともなるとなかなか情報が見つからない。わかったことといったら相手のISの名前が蒼い雫ーー「ブルー・ティアーズ」ということとそのISが遠距離型であることくらいだ。ーーくそ...やはり国家機密は見つからないか...対策を建てるとするなら遠距離ーーつまりはスナイパーライフル辺りに気をつけることぐらいしか出来なそうだなーーまぁいい、これくらいの情報しか無くても自分は勝つ。ーーそれこそが自分がーー僕が海猫として生存出来る唯一の方法なのだから。ーーなってやるこの世界でも「空の覇者」に。
そうして僕は軽い夕食ーーまぁサンドイッチとコーヒーを取りつつも「ブルー・ティアーズ」に対策を建てる算段を建てていた。ひとまずは遠距離はいつも通りの変形してから対応すれば何とかなる。
ISーー特に専用機には僕の『サンタクルス』のような単一能力というものが備わっている。つまりは相手のISは蓋をとるまで中身が分からない料理と同じだ。蓋をとるまでのわくわく感は変えがたいものだ。そんなわくわく感を抱えながら頭で作戦を練り倒すという意気込みをシャルルは込めた