そしてあれから二週間後、クラス代表決定戦だ。観客席を見ているとどうやら満席の様で自分と織斑一夏の異例の男子がいるからなのか奇怪な眼で見られる。片方は物珍しさでもう片方は自分ら男子二人を貶しているように。ーーつまりは自分ら二人が気に食わない連中だ。そしてそのほとんどがセシリア・オルコットが勝つと思っているのだろう。ーー馬鹿なことを考えてるんじゃない。年はもいかぬセシリア・オルコットに長年空で戦ってきた自分が負けるとでも。ーーいや慢心は辞めておこう。自分に自信を付けるのはいいが慢心してしまっては意味がない。どんな戦いも全力で挑まなくてはついうっかりで負けてしまうかもしれない。
「全く......過小評価にも困ったものだな」
自分はそういい溜息をつく。この世界にきてからというもの幾度か外出する機会があったがああいった女性が多いのは少々頭を抱えた。周りを見れば男性を顎でこき使っている女性が見え、何というかこの世の終わりのようにも見えた。もうファナのような女性は存在しないのかとさえ思ってしまった。ーーもしファナのような女性がいたとしても自分はーー僕はファナ一筋だが。くそ......ファナの写真が一枚でもあれば御守りにでもするのに無いなんてーーとんだ失態だ。
ふと織斑一夏のほうを見ると篠ノ之箒と口論しているのが見える。話に耳を傾けるとどうやらISの練習ではなくここ二週間の間ずっと剣道をやっていたようだ。確か剣道は「天ツ神」の剣術だったな...やはりここ日本は「天ツ神」に近いのだろうか。自分は剣道ではなく軍隊の剣術なのだからあの親友の母国である「天ツ神」の剣術を知りたいと自分は思った。
「きっ...来ました‼ 織斑君の専用機ーー「白式」です‼ 」
山田先生がそういうと空から倉庫のような物が降り、扉が開くとそこにはーー白があった。病的までの白。まさに純潔を象徴するかのような白だ。自分のISーー「海猫」のカラーリングと違って白一色だ。
「じゃあ自分は作業場にでもいって待ってますね。自分だけ他のISの性能を知ったら公平じゃないですし」
前日にセシリア・オルコットの「ブルー・ティアーズ」の情報を漁っていた自分が言うのもなんだが実際に見るのは不公平だと自分は思う。ーーまるでハンデだ。自分にハンデなどいらない。ーー否
、あってはならない。そう思ったから自分は作業場に向かうのだ。
「わかりました...では終了後に迎えに行きますね」
そう山田先生が言った後、自分は作業場へ向かった。
*
自分がISーー「海猫」の調整をしていると作業場の扉が開く。どうやら山田先生のようで試合は終わったようだ。結果は織斑一夏の武器の能力を把握するのを忘れたのが原因で負けたらしい。なんというか突然渡された機体の能力を完全に把握しろとは言わないが少しくらいは確認してからするべきだと自分は思った。
「ではいってきますね。ーーさぁ開戦だ‼ 」
自分はそう言い、自分の顔を数回軽く叩き、自分の脳を完全に覚醒させてアリーナへと向かった。
「かっ...開戦⁈ 幾ら相手が気に食わなくてもやり過ぎるのは辞めてくださいね⁈ 」
そう後ろから山田先生が半涙目でこちらを見るがそれは知ったことではない。全力で戦うことには変わりはないのだから。
現時刻11時前ーー自分がアリーナへと入ると歓声と同時にブーイングが入る。それもそのはずだ。この「女尊男卑」の世の中に切れ目を入れる人物が入ってきたのだ。女性がそんな危険人物を完全に喜ぶとは思えない。目の前にはISーー「ブルー・ティアーズ」を纏ったセシリア・オルコットが悠々とただずんでいた。
「逃げずに来ましたわね」
「当たり前だ...自分がーー僕が空戦で負けるなんてあり得るはずがない。ーーこれは慢心ではなくて自信と受け取って欲しい」
「なっ...それでは私が慢心しているとでも言いたいのですか」
「そうだね...僕はフェア精神があるから君と織斑君の試合は見なかったけど、代表候補の君が初心者の織斑君に負けそうになったというのはやっぱり織斑君を侮ってたってことでしょ」
「くっ...さっきから言いたい放題ですわね...なおさら負ける気が失せましたわ」
そういいセシリア・オルコットは空を飛ぶ準備をする。
「全力でかかってきてくれるんだね。ーーなら僕も、来い「海猫」 ‼」
そう自分の称号を勲したISの名前を呼び、自分の身に纏わせる。
「なっ...ぜっ...全身装甲⁉ 」
どうやらセシリア・オルコットは全身装甲を見たことがないのか酷く驚く。
「じゃあ始めようかーーセシリア・オルコット‼ 空戦の交響曲を」
そういい僕とセシリア・オルコットはスラスターを起動し、空を飛んだ。