とある飛空士への哀唄   作:メザシ

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第十四話

シャルルとセシリアは空へと舞い上がる。美しき空に立つのはターコイズブルーを特徴とした「ブルー・ティアーズ」、白銀と青を特徴とした「全身装甲」の「海猫」である。

二つの機体が空に舞い上がるのを確認した監視塔から合図が下る。

「それでは、第二試合、セシリア・オルコット選手、「ブルー・ティアーズ」対、狩野シャルル選手、「海猫」による模擬戦を始ます」

それ同時に歓声が湧き上がり、応援の声が聞こえる。九割がたはセシリアを応援しており、残りの数少ない一割はシャルルを応援しているか、わけのわからない歓声を出している。

「先手を撃たせて貰いますわ‼ 」

その言葉を放つのと同時にライフルからエネルギーを発射する。

それをシャルルは見越していたかのように軽々と避ける。

その攻撃で出来た少しの隙を狙い高く上昇する。

上昇しつつもセシリアはライフルを撃つが全てシャルルによって華麗に避けられてしまう。

その高く登るのはもう既に先ほど「ブルー・ティアーズ」と「白式」が戦った場所の高度の遥か上をいっている。実況は余りの高さに驚き、固まり、しまいには呆れている。ーーなんて高い。と実況は思う。それほどの高さに登ろうとシャルルはしているのだ。

ひたすら長い距離を偵察機一機で駆け抜けたシャルルにはこのくらいの行動は造作も無いのだ。

シャルルは止まることを知らないのかさらにまた高く上がっていく。

高く、高く、もっと、もっと。雲を突き抜け周りには全く障害物のないサンサンと太陽が照りつける空での戦闘へと変わる。

そんな高い空こそがシャルルの技能が最高の状態で発揮できるメインフィールドだ。

「随分と高いところに来ましたわね? 」

「すまないね。僕はこのくらいの高さが好きなんだ」

一人称がいつもの「私」から「僕」にさりげなく変わっていることにセシリアは気づく。

その単語によって先ほど言ったことが心の底から言った真実だとセシリアはなんとなくだが感じ取ることが出来た。

「さてと、じゃあ僕も戦わせて貰うよーー単一能力使用」

その言葉と同時にシャルルが纏っていたISーー「海猫」が変形を始める。人型だったISはみるみるうちに戦闘機に似た形へと変貌する。背中には巨大な銃がついており、かなりの威圧感をセシリアに感じさせる。

変形するISなど見ることも無ければ聞いたこともない。ーー何故なら合理的で無いからだ。

せっかく人型のパワードスーツになっているのにもかかわらず、その人型という利点を捨て、ISに許された特徴の一つである「単一能力」を潰しているのだ。これほど無駄なことは無いだろうとセシリアは思った。

スピードを上げたいのならばそういった大型のスラスターなどを装着すればいい。

防御を上げたいのならばスピードを捨て完全に硬い装甲で覆えば落ちたスピードをカバーすることが出来、なおかつ防御をあげることが出来る。

攻撃を上げたいのならば先ほど戦った織斑一夏の乗った「白式」のように武器にそういった能力を内蔵すればいい。

こういった方法があるというのにシャルルのISである「海猫」は変形したのだ。ーーまるで人型という利点を捨ててまでも戦闘機型に変形する利点があるかのように。

高くまで上がると今度はシャルルがスラスターに装着した合型レーザー銃からレーザーが発射される。

「ブルー・ティアーズ‼ 」

するとセシリアは自分のISと同じ名を叫ぶ。すると小型の小さな浮遊ユニットが現れ、レーザーを的確に狙い撃つ。

ピッド兵器ーー搭乗者の脳波によって操られる特殊武装だ。

「驚いたな...まさかそんな遠隔武器が存在するなんて...」

「これが私のブルー・ティアーズの特徴でしてよ‼ 」

そしてセシリアはピッド兵器を使いシャルルを撃つ。

シャルルは最初は戸惑ったがすぐに冷静さを取り戻し、回避行動に移る。ーー伊達に前の世界で「空の王」に登りつめてはいない。ようは昔の偵察機で避けた銃弾に近いのだとシャルルは思う。ーーだがそれと同時に厄介だなとシャルルは思う。

そんな便利な兵器なら何か弱点はあるはずだとシャルルは考え探る。それこそがセシリアが搭乗する「ブルー・ティアーズ」に勝つ伏線であり鍵であると確信しているのだ。

こちらの装甲は全身装甲で有るにもかかわらず薄い。万が一当たるということも考えると早く対策を打たなくてはとシャルルは思う。

まだまだ戦いという名の交響曲は始まったばかりだ。フィナーレを飾るのは「ブルー・ティアーズ」が落ちるのか、「海猫」が落ちるのか。

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