とある飛空士への哀唄   作:メザシ

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第九話

先ほどの一騒動あったホームルームの後、なんというか織斑一夏と比べたら対したことないかもしれないが、女性の視線が多数感じられた。なんというか辛い。織斑一夏に視線の数に負けて辛いのではなく視線自体が辛い。ーー資料を読んでごまかしたいが集中できない。ーーはぁ......なんとかならないものだろうか。

 

そうこう悩んでいるとどうやら交流のためか、織斑一夏がこちらに近づいて来た。ここでコンタクトを取るのもいいだろう。はやめに織斑一夏がどんな人物かということが織斑先生からの情報からしか知らないため詳しくは知らないのだ。知っているとすれば見た目は二枚目でかなり女性にモテてーーなおかつ鈍感ということくらいしかわかっていないのだから。

 

「......俺の名前は織斑一夏っていいます。ーー二人しかいない男同士なので仲良くしてもらえると嬉しいです」

 

「別に敬語じゃなくてもいいよ? まぁ君がそれでいいならいいんだけど......または海猫さんと呼んでもいいんだけどね」

 

僕は最後にボソっと織斑一夏に聞こえるかわからない程度で呟いた。海猫さんと呼んでくれたあの大掛かりな作戦を行なったかの王子が僕をそうしたってくれたように。なんというか織斑一夏か彼と違った意味で危ないのだ。この編入のことをそこまで深く危険とは判断していないし、なんというか彼と同じ危険性でいえば、危なっかしいところだ。彼は段々とそういった危なっかしさが無くなり、随分と腕のいい飛空士になったが......そういうわけで織斑一夏が遠回りにも心配なのだ。

 

「どうやら千冬姉よりも歳が上みたいなのでこのまま敬語を使わせて貰いますねーーシャルルさん」

 

どうやらあの呟やきは聞こえなかったようだ。残念、残念。あの元王子みたいに「海猫さん」って親しみを込めて呼んで欲しかったのに聞こえなかったかーーまぁそれはモチベーションの話で特に重要でもなんでも無い話なんだけどね。

 

「あぁわかったよ一夏君ーーところで後ろで彼女が呼んでるみたいだけど? 知り合いか何かじゃないかな? 」

 

そういい織斑一夏が振り返るとあの時ずっこけなかったポニーテールのほうの少女がこちらにきていた。顔は少し強張っており、表情は険しいーーどうやら織斑一夏を誘うのに相当な精神的な苦労をしているようだーーまぁたった二人しかいない男子に話しかけるのは相当な勇気なものだと自分はこの少女を褒めたくなった。

 

「少し......一夏を借りていってもいいですか? 」

 

「あぁ全然構わないよ。お二人さんどうやら知り合いみたいだし、久しぶりの再開といったところかな? まぁ楽しんでおいでよ短い間だけどさ」

 

そういい僕は資料を再び読み始めた。ーーそう狙いはこのポニーテールの少女と織斑一夏の関係性を周囲の女子にきょうみを持たせ視線というより女子そのものを他の場所に移動させるという荒技だ。

まぁその荒技に成功したのはいいことだ。おかげで資料を読むのに集中できる。そうして時は過ぎ再び授業が始まった。次は国語で自分の片方の母国である「天ツ上」の言葉に近いのでなんとかついていけている教科だ。英語ももう片方の母国である「神聖レヴァーム皇国」の言葉に近いからこそ出来ているのだ。あの時、もし英語か国語が「神聖レヴァーム皇国」や「天ツ上」の言葉ではなかったら織斑先生らとのコンタクトが大変困難なものになっていたであろう。そういったことでは言葉が近かったことにそれはもうとても感謝しているーーなぜなら自分はまた空を自由に飛べるようになったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてまた休み時間、どうやらこのポニーテールの少女の名前は「篠ノ之箒」というらしく、織斑一夏の幼馴染のようだ。凛とした人物で、天ツ上のサムライを思わせる感じだ。そしてどこをどうみてもこの篠ノ之箒は織斑一夏を好いているということが遠目からみてもわかることだろう。ーーやはりというべきか織斑一夏はモテる。それもそんなに色恋沙汰に関わりが無い自分でも羨ましいと思うくらいだ。彼を見てこの学園で何人もの女性が惚れたのであろうか。ーー全く、色恋沙汰には特に縁がないが興味がないといえば嘘になるーーだが自分の恋はすでに終わってしまっているのだーーそうファナとのあの美しい日々の間だけの恋こそが自分の恋の記憶なのだから。もう自分は彼女以外に恋をするとは思えないーーいや自分は勝手にファナ以外に恋をしてはいけないと無意識に思っているのかもしれない。

 

そうしていまは僕と織斑一夏と篠ノ之箒との三人でたわいの無いことを話していると、もう片方のずっこけなかった金髪ロールの少女が近づいてきた。なんというか印象は高飛車でファナとは違ったお嬢様らしさが出ていた。気丈に振舞っているというか傲慢というかそういった上から自分たちを見るといった感じだ。確か自己紹介ではご丁寧な「お国自慢」していたことに若干自分は笑いそうになったがそれが争いの火種になるのは困るのでなんとか笑うのは堪えた。

 

「ちょっとよろしいかしら? 」

 

そうして自分の「セシリア・オルコット」との初めての会合だった。この後の会合は今までで、それこそ一番とは言わないもののトップクラスの酷い言い合いになったことは仕方なかったとしかいいようがないのは悲しいことなのだろう。

 

 

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