学園黙示録〜暁の芸術家になった転生者〜   作:☆桜椛★

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第5話だ…うん!

デイダラside…

 

 

「あ!これから暑くなるし、肉が腐って骨だけになれば動けなくなるかも」

 

 

静香がそう言うが、オイラはそうは思えねぇ。確かに暑くなれば死体の肉なら夏なら20日程度で1部は白骨化するだろう。

だが……。

 

 

「それは普通(・・)の死体ならの話だ…うん。しかし〈奴ら〉はどうだ?死んでいるが活動を続けている。この時点でもう医学じゃ説明がつかねぇ。もし腐りもせず動き続けたら?腐るとしても、それまでの間に感染者が増えない訳でもないんだぜ?…うん」

 

「そっかぁ…確かにデイちゃんの言う通りね」

 

 

だからデイちゃんは止めろっつってんだろうが!!

オイラは無言のまま静香の両頬を引っ張ってやった。静香は「いふぁい!いふぁい!」とか言ってオイラの手を外そうとする。

こいつは本当に懲りないな。

 

 

「次デイちゃんって言ってみろ?その色々抜けてる頭をオイラの作品で爆破するぞ…うん」

 

「ご、ごふぇんなひゃい……あうっ!」

 

 

反省した様なので手を離してやる。解放された静香は赤くなった頰をさすっていた。これに懲りてデイちゃん呼びは止める…訳ねーよなぁ?静香だし…。

オイラが小さく溜め息を吐いていると、冴子が話し出した。

 

 

「家族の無事を確認した後、どこに逃げ込むかが重要だな。…兎も角、好き勝手に動いていては生き残れまい…チームだ。チームを組むのだ」

 

「成る程な…確かにその方が互いにカバーし合えるしな…うん。…あ、そうだ。おい静香」

 

(酷いよデイちゃん)…あ、何?」

 

 

こいつ今またオイラの事デイちゃんって言わなかったか?

まぁそれよりも…

 

 

「これからは思いっきり()使え」

 

「え?いいの?今まで人前で使っちゃダメって言ってたじゃない」

 

「こんな状況だからな…。他人の目を気にして使わずに死にましたってなったら洒落にならねーだろ…うん」

 

 

さて、ここまでの会話で気付いただろうが、実は静香と、この場には居ないがリカは忍術を使える。

オイラがまだ小学生の頃に隠れて忍術を使って居たらリカに見つかっちまって、「私もやりたい!」ってずっと言って来たから試しにやり方とかを教えたんだ。デイダラの知識の中にチャクラの練り方とかあったからな。

そしたら4ヶ月程経過した頃、リカがチャクラを練れるようになっちまったんだ。最初はオイラだって出来る訳ないと思ってたんだが、実際に手を使わない木登りや、水上歩行も出来たからかなり驚いたぜ。

で、オイラも面白半分でリカに忍術を教えてたら、ある日リカが「私の友達にも教えてあげてほしい」って頼んで来たんだ。その時オイラもリカ以外の奴にもチャクラは練れるのか気になっていたからそれを許可し、リカが連れて来たのが静香だった。

結果を言うとリカより時間はかなり掛かったが、リカ以外にもチャクラは練れる事が分かった。

流石に忍術を使える事がバレたら面倒なので、2人には緊急時以外の使用と忍術を他言する事を禁止しているが、その頃には静香は“水遁”と“医療忍術”、リカに至っては“風遁”と“雷遁”の血継限界の“磁遁”が使えるようになっていた。

まぁどちらもあまり厳しい修行はしていないが、それでも原作の下忍の中でも上位辺りの強さだ。

 

 

「あの…さっきからなんの話をしているんですか?術ってのは?」

 

 

オイラと静香が話しをしていると、孝が小さく手を挙げながら質問してきた。オイラ達が孝の方を向くと、他にも冴子や麗達も気になるのかオイラ達に注目している。

 

 

「あぁ、オイラと静香は所謂忍術を使えるんだよ」

 

「「「「「はぁ?」」」」」

 

 

オイラが素直に答えたら「何言ってるのこの人」と言いたげな顔をされた。

……まぁ、そうなるわな。

 

 

「じゃあ何?貴方と静香先生は忍者だとでも言うの?」

 

「いや、オイラは忍の家系だが静香はオイラが術を教えた一般人だな…うん」

 

「そんな話信じられる訳ないでしょう?本当なら分身の術なり変化の術なりやって見せなさいよ」

 

 

沙耶はオイラと静香に忍術を見せろと言ってきた。一応どちらも出来るのだが、今はあまりチャクラを消費したくない。かと言って見せなかったら頭のおかしい人扱いされるだろうしな……仕方ない。

オイラは素早く印を結んでチャクラの消費が少なくて済む【変化の術】を発動させた。

するとオイラを包み込むように白い煙がボフン!と現れ、オイラは高城 沙耶の姿になった。オイラの姿が沙耶になったのを見て静香以外のみんなは顔を驚愕に染めた。

 

 

 

 

 

 

毒島 冴子side…

 

 

私は今自分の目を疑っている。何故なら私の目の前には2人の高城君が向かい合っているからだ。いや、違うな。正確には高城君の姿になった暁月さんだ。

彼が鞠川校医と話をしている時、彼等の会話が気になって小室君が質問したのだが、返ってきた答えは自分と鞠川校医が忍術を使えると言うもの。

当然私は単なる冗談か何かだと思っていた。しかし高城君が術を見せろと言われた後少し考える素振りを見せ、手を素早く動かして何かを形作ると突然彼が煙に包まれ、晴れる頃には体格や服装、動く死体の返り血の場所などが全く同じのもう1人(・・・・)の高城君がそこにいた。

 

 

「これでいいかしら?」

 

「え……うそ。…私?」

 

 

更に声まで一緒とはな…それに煙が上がって晴れるまで数秒だけ。そんな短時間で同じ髪の色のカツラや服などに着替えるなど前以て準備していても出来ないだろう。

 

 

「……どうやら忍術というのは本当のようだな。となると、貴方が言っていたあの爆発する作品も忍術なのか?」

 

「えぇ…《ボフンッ!》その通りだぜ…うん。と、言っても。オイラのは少し違うがな」

 

 

彼がまた煙に包まれ、元の姿になると、右手を前に出した。何をするのだろうとその手を見ていると、手の中心辺りが裂け始めたかと思うと、そこに『口』が現れた。

 

 

「ヒッ!!?」

 

「な、なんだよそれ!?」

 

 

高城君が小さく悲鳴をあげ、小室君が反射的に金属バットを構えた。私も木刀の柄に手を添えていたが、暁月さんが私達を見て面白そうに笑い始めたので手を離した。

 

 

「ハハハハッ♪やっぱコレ見たらビビるか!初めてリカと静香に見せた時もそんな反応だったぜ…うん」

 

「やっぱり見間違えじゃなかったんだ…」

 

「うん?なんだ、宮本は気付いてたのか?オイラは忍術の中でも使っちゃいけねぇ禁術を使っちまってな。起爆粘土を作れるようになった代わりに両手にこの『口』が現れたんだ…うん」

 

 

宮本君は既に気付いていたようだな。それにしても忍か…本当に実在していたとは驚きだ。

 

 

「それより早くバスに向かおうぜ?グズグズしてたら日が暮れちまうぞ…うん」

 

「…そうだな。出来る限り、生き残りは拾って行こう」

 

「ッ!はい」

 

 

私が木刀を手にしながら立ち上がると、他の皆も自分の得物を手にしながら立ち上がった。暁月さんも机から飛び降り、鞠川校医は治療に必要な道具や薬品の入った鞄を肩に掛けて両手を自由にしている。

 

 

「どこから外へ?」

 

「駐車場は、正面玄関からが1番近いわ」

 

「よし、じゃあ扉を開けたら出来る限り戦闘は避けて正面玄関に向かおう。平野、デイダラさん、バリケードを退かすのを手伝ってください」

 

「うん、了解」

 

「はいよ」

 

 

小室君達が扉の前に設けたバリケードを退かし、小室君が金属バットを片手に扉に手を掛けた。私達もいつでも動ける様にする。

 

 

「よし……行くぞ!」

ガラガラガラッ!

 

 

小室君が扉を開けると、そこには3体の血塗れの生徒達…〈奴ら〉がいた。それを視認した瞬間、素早く平野君が釘打ち機を構えて手前の2体の額に釘を撃ち込み、最後の1体は先頭にいた小室君が金属バットで撃退した。

それを合図に私達は正面玄関に向けて走り出した。

 

 

 

 

 

 

デイダラside…

 

 

職員室を出たオイラ達は、正面玄関に向かう途中にある連絡通路から下にいる〈奴ら〉を見ながら再確認を行なっていた。

 

 

「確認しておくぞ。無理に戦う必要は無い。避けられる時は、絶対に避けよう」

 

「連中、音にだけは敏感よ。それから、普通のドアなら破る位の腕力があるから、掴まれたら喰われるわ。気を付けて」

 

 

冴子と沙耶の注意事項を聞きながら連絡通路の下を覗く。オイラ達が今いるのは3階の連絡通路。下にもう1本連絡通路が2つの校舎を繋いでおり、下の通路へはこの連絡通路から階段で降りれる。

思ったよりいやがるな。起爆粘土が足りるかちょいと心配になってきたぜ。それにしてもこの校舎、無駄に入り組んでやがるな。迷路かよ。

 

 

「きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ッ!あそこ!生存者です!」

 

 

突然女性の悲鳴が響き渡り、下を見ていたコータが生存者を見つけた。首にタオルを掛けてバットを持った少年、その後ろに茶髪と青っぽい色の髪をした2人の少女と1人の少年。そしてバットを持った少年の隣に刺又を持った少年の計5人が6体の〈奴ら〉に下の連絡通路に降りる階段の踊り場で囲まれていた。

いきなり5人か。尚更マイクロバスが必要だな。

オイラが起爆粘土を用意する為に両手をポーチに入れようとすると、それを見つけた冴子が待ったを掛けた。

 

 

「済まないが、暁月さんは今回戦闘には参加しないでもらいたい。貴方の作品は音が大き過ぎる」

 

「……そうか。それなら仕方ねーな…うん。ほら、早く行け。助けるんだろう?」

 

「はい。行くぞ、みんな」

 

 

最初はコータの釘打ち機による狙撃だった。今にもバットを持った少年に喰らい付こうとしている所を見事にヘッドショットを決める。そして冴子が木刀を振り上げながら飛び降りもう1体を撃破。更に階段から下に降りた孝と麗が2体撃破。そして最後の2体を素早く孝と冴子が撃破した。全部片付けたのを確認して上の通路にいたオイラ達も助けた少年達の所に向かった。

 

 

「あ、ありg「大きい声は出すな。噛まれた者は?…いるか?」い、いません、いません」

 

「……大丈夫みたい。本当に」

 

「ここから脱出する。…一緒に来るか?」

 

 

孝の誘いに少年達も乗り、正面玄関から入って直ぐの階段まで無事にやって来たんだが、正面玄関には既に複数の〈奴ら〉がうろついていた。今はもしも視覚も残っていた時のための保険で階段からこっそり覗いている。

 

 

「もう、〈奴ら〉は音に反応するのよ?隠れなくたっていいのに」

 

「じゃあ高城が行って証明してくれよ」

 

 

沙耶は今思いっきり隠れている。なんせ沙耶の『音に反応する』説が正しいかまだ不明なのだ。もしかしたら視覚があるかもしれない。だから今は隠れて様子を見ている。

 

 

「しかし、このまま校舎の中を進み続けても、襲われた時に身動き出来ない」

 

「正面突破しか無いってことね?」

 

「高城君の説を、誰かが証明するしかあるまいよ」

 

「「「「「………」」」」」

 

 

ま、こうなるわな。もし視覚があったら真っ先に喰われる可能性がある。態々危険を冒す事はしたくないだろう。

しかし、このままじゃ埒があかねぇ。

 

 

「オイラが行こう。お前等はここで見てろ…うん」

 

「え?でも…大丈夫なの?」

 

 

立ち上がったオイラに心配そうな視線を向ける麗にオイラは心配するなと麗の頭に手を乗せた。

 

 

「さっきは何も出来なかったんだ。この位やらせろ…うん」

 

「ッ!?わ、分かりました。でも気を付けて下さいね?」

 

 

オイラは黙って頷いてから足音を消して階段を降り始める。

なんか麗の顔が赤い様な気がしたが、アレだけ動いたから当然だろうな。

そんな下らない事を考えている内に階段を終え、〈奴ら〉の間を縫う様に歩く。

分かっちゃいたが間近で見るとおっかない顔してやがるな。

だが、見えてはいない様だ。オイラは足元に落ちていた誰かの上靴を拾い上げ、少し離れた所にあるロッカーに向けて投げつけた。するとロッカーに上靴が当たった音に反応して〈奴ら〉はそっちに歩いて行った。

 

 

(…よし、大丈夫みたいだな…うん)

 

 

オイラはみんなに合図を送り玄関を開けた。次々と足音を消して階段を降りて来る。そして最後に刺又を持った生徒が階段を降りている時、それは起こってしまった。

 

 

カァァ〜〜〜〜〜ンッ!……

 

 

その生徒の持つ刺又が階段の手すりに当たり、学校中に響く音を鳴らしやがった。

 

 

「全員!バスまで走れ!!」


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