ウルトラマンブレイブ ~ 憧れから本物へ ~ 作:星川いさり
今回はウルトラマンとスマホゲーム「スクールガールストライカーズ」のコラボ小説になります。正直初の試みなのでこの先どうなるのかが私にも予測ができません(笑)
また、当作品はオリジナルウルトラマンが出てきますが、当作品のみに登場するウルトラマンになります。
最後に感想やコメントもお待ちしています!
平日の朝。時刻は7時半、俺しかいない部屋に一つの着信音が鳴り響く。
「 誰だよ…こんな朝から… ]
まだ寝起きで意識が朦朧としていたの体をベッドから起こし、枕元に置いたスマートフォンを手に取る。
「 はい、もしもし 」
こんな朝に電話かけてくるのは悠水ぐらいしかいないだろう。いつも起きる時間よりも早く起こされたせいで半ば苛立ちを募らせつつ荒っぽい口調で言う。しかしその相手は意外な人物だった。
「 おはよ。ごめん、まだ寝てた? 」
「 伊緒? 大丈夫だけど、どうかしたのか? 」
今まで電話してきたこともない相手に驚く。電話越しから聞こえる相手の声はどこか緊張しているように聞いてとれた。
「 いや…そのね// 良かったらでいいんだけどさ、一緒に登校しない? 」
「 いいよ。何時集まる? 」
「 その…実は… 」
「 ? 」
「 もうヒメヤの家まで来ちゃててさ..../// あはは.. 」
「 あぁそう、家にね...はぁ!? まさか俺ん家に!? 」
「 うん/// 」
俺ははそのままスマホを耳に当てたまま、急いで玄関のドアまで向かうと扉を開けた。外にはすでに学生服姿に着替えていた女の子が顔を染めて立っていた。
「 やあ、おはよ// 」
まじか...
「 いやーごめん// あたしこういうのには慣れてなくてさ// 」
部屋の中でくつろいだように足を伸ばしながらそう言ってくるのは”夜木沼 伊緒”。編入した五稜館学園のクラスメイトだ。
「 だったら昨日にでもメールくれりゃ良かったのに。というかお前大丈夫なのか?もし他の生徒に一緒に登校するのを見られたらいろいろまずいだろうし。 」
洗面台で身だしなみを整えながら彼女にそう話しかける。実のところをいうと伊緒は学校ではかなりの有名人だった。スポーツ万能で成績も優秀だし人当たりもよく、人は彼女を”完璧女子”と呼んでいた。俺はちらっと横目で彼女に視線を向ける。
( やっぱ美人だよな... )
特徴的な金色に伸びた髪を腰のところで結んでいた彼女の容姿はから見ても美人、身長も俺と同じくらいに高い。おまけに制服越しでも分かるがスタイルも良いので女性ファンが多いのが事実でもあった。おまけに彼女の所属するバレーボール部ではその実績が認められ、国内の強化選手に選ばれていたのだ( 完璧通り越して最強だわ.. )。そして彼女の人気度は学校からマスコミや世間にまで及んでいた。いわば大スター的存在、それが夜木沼 伊緒という少女なのだ。いったいなんでそんなやつが俺みたいな普通の人間といるのかと思ってしまう。けれど編入してきて向こうから声をかけてきたこともあって今ではそんなことも気にしておらず、普通にお互い隔たりなく話せる仲になっている。
「 ヒメヤは、あたしといるのはひょっとして嫌? 」
こっちの態度を伺うような口調で伊緒はそう問いかけてくる。
「 違うって、ただ単純にお前が他の奴らに言われないか心配でさ。いつも女子に囲まれて登下校してる伊緒だし、変な話スキャンダルみたいになって大騒ぎにならないかって思っただけだよ。 」
すると伊緒は安心したように胸をなで下ろした。
「 ありがとう。 やっぱりヒメヤは優しいんだね// 」
「 いいえ、わざわざ有名人にここまで足を運んでもらって俺も光栄だってw 」
「 んもう!からかわないでよ// 」
「 はは! ごめんって 」
身だしなみを整え終えると洗面台から離れる。部屋着から着替えたグレーのチェック柄のズボンに無知のシャツ。編入してまだ3カ月しか経っていないので俺の制服はまだ新品でぴかぴかだ。その上に赤いパーカーと学校指定の黒のブレザーを着るのがおれのいつもの制服姿である。俺は椅子に座っていた伊緒に声をかけようとする直前、彼女は指を伸ばしてある壁際に貼られた一枚のポスターを指した。
「 ヒメヤ、本当にウルトラマン好きなんだね。 」
「 あぁこれね/// 」
「 別に恥ずかしがることないよ。悠水からもよく聞くけどあたしは好きだよ? 」
伊緒はそう言って笑顔で話す。こうやって人を否定するようなことをしないのが彼女の人気の理由かもしれないな。ポスターには赤と銀色のヒーロー”ウルトラマン”が十字に腕を組んでいる。俺はポスターの前に立つと両手を合わせる。
「 行ってきます 」
「 何でポスターに手を合わせてるの? 」
不思議そうに首をかしげる伊緒にいつものことだと伝えると、彼女は椅子から立ち上がって、俺の横に立った。
「 じゃあ、あたしも! 行ってきます! 」
「 おい、なんでお前も同じことしてんだ 」
「 いいじゃん! ほら行こ! 裏道からなら大丈夫だと思うんだ! 」
「 ちょっと待てって!/// 」
伊緒に手を引かれたまま俺は学生寮を出た。俺は”姫野 大輝”、今から2カ月前に五稜館学園に編入してきたテストで高校2年だ。
~~~~~~~
「 おっはよー! 」
「 悠水、おはよ 」
「 ”まっほー”! 」
「 おはよっ、ってこらまな!/// いきなり抱き着かないでよ//// 」
学校の教室へ着くと俺たちを迎えるように2人のクラスメイトがやってきた。
「 ヒメッち昨日のウルトラマン特集見た!? 」
「 あぁ見た見た! やっぱリアルタイムで見るのに限るよなぁ! 」
茶色な髪をショートにした彼女は”沙島 悠水”。同じヒーローをこよなく愛する者同士、ヒーローについて日々語り合う仲である。基本いつもテンションが高く、いつも面白いことに常に情熱を燃やす一見変わり者の悠水だが人一倍に正義漢が強く、いつか自分の体からビームが出せることが夢だそうらしい。
「 悠水ちんとさっきからその話で話題になってたんだよ 」
甘々な声で話すもう一人の方は”菜森 まな”。伊緒とは幼なじみらしく、同時に彼女の大ファンでもある。”まっほー”というのはまなが挨拶の時によく使う言葉だ。
「 そういや、二人とも早いな。なんかあったのか? 」
するとツインテールにした黒髪をぴょんぴょんとさせながらまながこっちに詰め寄ってきた。
「 そうそう!ねえヒメちん、今日の数学の課題やってきた!? 」
「 やべっ!今日だっけか!?すっかり忘れてた,,,,, 」
「 大変!急いでやらなきゃ! 」
「 昨日の特集見ててすっかり... 」
「 私は、特集の後に自分のヒーローとは何かを考えてたら朝を迎えておりました(ドヤッ)! 」
「 んもう、二人とも... 」
俺と悠水の話に伊緒は頬を膨らませながら呆れ口調でそう言った。
「 ふえ~ん!伊緒ちん助けてなんだよ~! 」
「 しょうがないなぁ、ほらあたしも手伝うから早く終わらせちゃお!もう忘れちゃダメだよ? 」
「「「 はぁーい! 」」」
「 おや、どうやら私、用なしだそうなので少し眠るですよ 」
「 うわぁ!?サトカいつからいたの!? 」
「 今さっきお手洗いから戻ってきまして 」
のほほんとした口調でそう言ってくる青髪の少女は”澄原 サトカ”。もう一人の俺のクラスメイトだ。
「 私、そこのお二人に宿題見てくれって頼まれて来たんですが伊緒さんがいるのならあとはまかせるです 」
「 ごめんサトカちゃんまだ寝ないで~! 」
悠水は泣きじゃくって自分の机で寝ようとしていたサトカの両肩を思いっきり揺さぶった。
「 うぁ〜悠水さん..そんなに揺らさないでくださいよ 」
こりゃ、ダメだな。やむを得ん。
「 悪い、俺からも頼むよ。....あとでカレーパンおごるからさ 」
「 ....!? 」
するとサトカはピクリと眉を動かしてものすごい勢いでこっちに詰め寄る。
「 ヒメヤさん、その言葉に嘘偽りはないですね!? 」
「 あ,,あぁ、ありません.... 」
勢いに押されなぜか敬語で返事をしてしまった。サトカはカレーパンが大好物で、かなりのグルメで大食いなのだ。その小柄な体では考えもしない量の食べ物を口に常に運ぶ、ゆえに彼女に渡すカレーパンは一個どころでは済まされない。さすがにATMなんて学校には設置されてるわけないか...
「 じゃあサトカ、2人で分担して教えよっか 」
「 了解したです 」
その後、伊緒とサトカの協力のおかげで課題を忘れたという危機を回避することができた。
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「 うわ~,,, 」
「 どうかしたの? 」
休み時間、教室にいた俺は近くの席にいた二人の女子生徒の話を耳にする。
「 これ見てよ、また原因不明の交通事故だって。 」
「 最近多いよね~。”あの事件”もそうだけど、ほんと最近怖いよ 」
「 ”メイプルスター失踪事件”でしょ?あれいまだに見つかってないらしいよ 」
「 失踪したうちの生徒だよね。なんだか物騒な世の中になったね 」
俺は二人の会話に出ていたある言葉をスマホで検索すると、現れた項目から当時の記事を画面に映す。
「 これか... 」
”メイプルスター失踪事件”
それは俺がこの学校に編入してくる前に起きた謎の失踪事件。うちの学校の近くには「メイプルスター」という女子生徒からも人気が高いファミレスがある。一般的には客といいそこで働くスタッフもうちの生徒のためまさに五稜館学園に通う女子生徒たちのための場でもあるが、そんな店にとある事件が起きた。とても妙な内容だが、事件当時店内にいた多くの女子生徒が突然姿を消してしまうというものだった。警察側も手掛かりもつかめず事件は未だに謎のままだ。原因不明の失踪事件、マスコミはそう括った。
この事件に関しては俺もテレビで知ってはいたが、最近これとは別に原因不明の事故や火災が多発していた。突然トラックが衝突したりだの建物が燃え出すといった不気味なものである。
( 何だろ、すっげー胸騒ぎがする )
どうも最近の事故や火災は例の失踪事件と何かつながりがあるように思うんだよなぁ。ひょっとしてまさか異世界人の襲撃とかだったりして...。なわけないか。
仮にそうだとしても、ウルトラマンがすぐにやって来て異星人を倒してくれるわけじゃない。そもそもウルトラマンはテレビの中にしかいない架空の存在だ。無論俺はウルトラマンみたいなヒーローでも何でもないただの人間。巨人になった空を飛んだり当然腕から光線を出すことなんてなく、いわゆる「ヒーローに憧れてる」だけの存在に過ぎないのだ。いくら世界が危機に陥っていようとも自分にはどうすることもできるわけじゃない。
( 俺がウルトラマンだったらなあ... )
そう考えていると眠気とともにふと目の前の視界が暗くなった。
ウルトラマンになる。
いつかウルトラマンのように強いヒーローになって誰かを守れるようになりたい。
子供のころ、そう夢に抱いてた。今でもその夢は健在だけど、今と昔では少し変わってしまったかな。俺は自分の本当の親の顔を知らない。町の路地裏に捨てられていた当時まだ赤ちゃんだった俺を今の親が拾ってくれたのだ。両親は自分の子をこんな風に扱うのは許さんと、俺の身元を手当たり次第に調べてくれたそうだが手掛かりは何一つ得られない結果となってしまった。小学校に進学すると噂は広がるもので、俺はどこの誰の子なのかもわからないということから他人の親から忌み嫌われていた。当然その子供も親からそう躾けられているのでクラスの誰もが俺と距離を置いていた。身元が分からないだけでこんな目に遭うのかと子供ながらに当時は思ったし、ショックだった。以来こうしたことがきっかけで自分自身に対してコンプレックスを持つようになった。けれどそんな時にある出会いをした。
それは両親が連れて行ってくれたヒーローショーだった。突然舞台に現れた怪獣にヒーローが駆けつけ倒すといった勧善懲悪な内容だったが、当時は衝撃的だった。赤と銀色の体をしたヒーロー、その戦う姿を観客席にいた当時自分と年も変わらない子供たちは目を輝かせながら観ていたのをよく覚えている。どうなにいためつけられようとも立ち上がり、果敢に立ち向かう彼の姿は勇敢で誰もがヒーローと思った。強さ、勇ましさ。自分にはないものを彼は持っていたのだ。最後はおなじみのウルトラマン必殺技であるスぺシウム光線が決まりウルトラマンが勝利する。一見ただのヒーローショーに過ぎなく思えるが、この日自分のなかに何かが芽生えた。やがてこれが憧れという気持ちだと気付いたのである。これが俺とウルトラマンの最初の出会いだ。
「 ......ZZZZ... 」
「 ....ッ!...くん! 」
「 マジカル・アローッ! 」
一瞬、自分の肩にピリッと痛みが走った。
「 ......!誰だよ輪ゴム飛ばしたの.. 」
目の前に立っていた担任の先生が真っ先に見えた途端口が回らなくなる。大人びていてもどこか幼い雰囲気の先生は笑顔でこっちにの顔に詰め寄っていたが、眼鏡越しから見える彼女の目は笑っていない。
「 夢の内容がどうかしましたか~? 」
「 いや、その・・・忘れちゃいまして・・あはは 」
「 あら、さっきまでスぺシウムがどうこうといってましたから代わりに私がお見舞いしてあげましょうか~ 」
「 すいませんでした...! 」
教室には、授業を受けていた他の女子生徒の笑い声が響き渡った。その後俺は放課後まで女子たちにウルトラマンと呼ばれる羽目になった。
「 え、用事? 」
「 うん、ちょっとあたしたちこれから小田切先生のところに行かないといけなくて... 」
その日の放課後、帰りがてら伊緒と悠水、まな、サトカの4人で遊びに行かないか誘っていたが、それはあっさりと断られた。
「 うん、ごめんねヒメちん。また今度なんだよ 」
「 別にいいよ。というか悠水、お前今日の輪ゴムマジで痛かったぞ 」
「 あはは、ごめんごめん 」
「 それじゃあ、失礼するです。あ、そうでした。カレーパンおいしかったのです。お礼に私、おいしいカレーパン屋の屋台知ってますので今度ごちそうしますね。 」
「 あぁ、楽しみにしてるぜ 」
「 じゃあまた明日! 」
「 おう、また明日! 」
そう言って俺は一人学校を出た。
「 この学校に来てもう2カ月か。早いもんだな 」
その後、俺は学校付近の市街地「月宿町」に来ていた。この町もメイプルスターと同じく五稜館学園の生徒がよく放課後に来ている。豊富な雑貨店にゲームセンター、及びカラオケ。学生の遊び場としては十分な町だ。俺もよく買い物とかで来ることが多いが元々は小さい頃から住み慣れていたのもあり、俺にとってはこの町は地元だ。
「 さて、来たのはいいけど 」
特にすることはない。食材もすでに昨日に必要な分は買ってあるし今日はバイトもない。完全にオフだ。
俺の横をうちの生徒と思われる3人の女子高生たちが通り過ぎる。おそらくこれからカラオケにでもいくのだろう。俺もカラオケは好きだが今日はその気分じゃない。よし、今日はゲーセンに行くか。うん、決まりだな。
「 おぉ、姫野じゃねえか!一人でなに突っ立ってんだよ? 」
「 おやっさん、いや~今日久しぶりのオフなんでどうしようかって悩んでたんですよ 」
この町で八百屋を営んでいるおやっさんに俺はそう答えた。よく見たらいつもくせで八百屋に来てしまっていた。ここの野菜は新鮮なものを常に仕入れており俺も買い物がてらでよく来ていた。そうした経緯があっておやっさんには世話になっており俺はある意味ではお得意先になっているのだ。ちなみにここが俺のバイト先でもある。
「 なんだ!?お前まだ彼女できてねえのか!?だって女子校なんだろ?んなら一人はできたっていいんじゃねえか? 」
豪快に笑いながらそうおやっさんは話す。
「 はは、そっすよね~・・・ 」
「 俺はお前と違って男子校だったからなあ..女なんていなかったし羨ましいぜ全く! 」
そう言っておっさんは俺の肩を笑いながらたたく。
「 結構きついっすよ、男子なんて俺しかいないんすからね 」
「 ははっ!違いねえ、けど見た感じその割には楽しそうじゃねーか 」
おやっさんは見透かしたようにそう言ってくると売り物の野菜からキャベツを取り出して俺に渡す。
「 これは・・ 」
「 なーに、いつものお礼だ。、おめえは若いんだしもっと野菜を食わねーと!がはは! 」
「 すいません、ありがたくもらいます 」
「 おう!早めに帰れよ 」
「 了解ですw 」
そう言って俺は八百屋を離れた。
「 楽しそうか 」
そうだな、この学校にきてそう思えるよ。俺は今まで学校というのはある意味敵みたいなものだと思っていた。いじめやらスクールカーストといったグループのしがらみにうんざりしていたこともあってこの学校に編入してきたのだがここの生徒たちにはそんな光景がない。うちのクラスに限ってかもしれないが、普通に声も掛けてきてくれるし今までと比べて学校に馴染めている。その証拠に伊緒や悠水、まな、サトカという4人の友達もできたしな。
「 そろそろ帰るか 」
日が暮れてあたりが暗くなりかける。ゲーセンに行こうと思ったがここはおやっさんの言うことを素直に聞くか。
その時だった、
「 何だ・・・・これ 」
それは信じれれない光景だった。俺は来た道を戻ろうとぐるりと後ろを向いた時にそれは起きた。振り返った先には雑貨店やコンビニ、見慣れた建物がこれまで通りにならんでいる。一見普通の光景に思えるかもしれない。しかし問題はそこではなく別にあった。
「 何で静まり返ってんだ・・・まだ夕方なのに・・ 」
振り返った先には、先ほどまでいたはずの人々の姿はなかった。先ほどまで聞こえていた騒音も、車の音も、全て聞こえなくなっていたのだ。あるのは沈黙だけ。静寂で静まり返った町があるだけだった。
俺は周囲を見渡すもそれでも人の気配は感じない。いつもこの時間なら仕事帰りのサラリーマンやらで居酒屋の店主が宣伝にまわるのだが.....。夢でも見ているのか...?
「 いったい何が・・・ 」
おかしい、こんなのありえない。だってさっきまで人だかりでいっぱいだったんんだぞ・・・。それがこんな一瞬に突然いなくなるだなんてそんなことあるもんか。しかもそれだけじゃない。暗くなりかけていた空が明るくなっていて、空は真っ白な雲に覆われていた。
「 なんでこんなことが・・・。人が・・消える・・ 」
この時偶然だが、ある事件を思い出す。メイプルスター失踪事件だ。今ならこの事件で起きた出来事を信じることができそうだ。ひょっとして当時消えた女子生徒もこのように一瞬で消えてしまったのだろうか...。
この非現実な光景、まるで異世界にでも来てしまったとでもいうのだろうか。
すると後ろから誰かの足音が聞こえる。良かった!誰かいるみたいだ
「 良かった!なんか人がいなくなっちゃてて・・・え・・・ 」
振り返った俺は凍り付いたように固まった。その先にいたのはとても人といえない異形な生き物だったからだ。女性と思われる顔つきと体系だが衣類は身につけてはおらず、全身がグレーに覆われている。しかもその顔は無表情でこっちをじっと見つめていた。
するとそいつは足を前に出すと、ゆっくりとこちらに近づいてくる。俺は慌てて逃げ出した。それは自分の意思じゃない。反射的に危険を察知したがゆえ、自分の心がこの化け物を直感的に危険と判断した上での行動だった。あいつはやばい!捕まったらマジで殺される!そんな危険な雰囲気があの化け物にはあった。
が、不運なことに足を挫いてしまいそのままうつ伏せに倒れ落ちてしまう。
「 おいおい・・!!うそだろ!? 」
なんて日なんだよ!その間にも化け物はこっちに向かってくる。俺は倒れたまま背負っていたリュックを片手で振り回して後ろに下がる。けれど近くの建物の壁に背中をくっつけてしまった。完全に逃げ場を失った。
そしてついに化け物は俺のすぐ近くまで来てしまった。その距離、手を伸ばせば十分触れられる距離。ほんの数センチにも満たない距離だ。
死ぬのか...俺..
化け物はゆっくりとその手をこっちに伸ばしだす。得体の知れなさからくる恐怖に心臓の鼓動が早くなっていく。けれどそれはやがて恐怖から後悔へと変わった。
あぁ死ぬ前にもっとラーメン食べておけばよかった。まなから借りたゲームだってまだクリアしてないのに..
それはほんの些細な日常における後悔、今身近に思ったことだった。すで恐怖心は麻痺しており、どういうわけか死を受け入れていた。
悠水、まな、サトカ、それに伊緒。短い間だったけど楽しかったぜ。
化け物の手が頬に触れかかる。
「 じゃあな 」
俺は瞼を閉じた。
「 あれ、なんで襲ってこないの... 」
目を閉じてから数秒も何も起きることがないので、再び瞼を開いてみた。するとなぜか化け物の体は真っ二つになっているじゃないか。縦に切り後があることからまるで誰かに切られたように...。
すると化け物は消滅したかと思えば、今度は別の手がこっち伸びてきた。化け物のような黒いものではなく今度こそ正真正銘の人間の手だ。
「 あなた!大丈夫!?怪我はありませんか! 」
「 はい・・・大丈夫です・・ 」
その正体は俺と同い年ぐらいの女の子だった。片手には太刀のようなものが握りしめられていることからようやく状況が分かってきた。あの化け物を切ったのはおそらくこの人だ。
女の子は俺の安否を確認するように顔をこっちに近づけてくると、ピクりと止まって俺の顔を凝視する。その表情はどこか神妙で何かに気付いたようでもあった。すると女の子はゆっくりと口を開いた。
「 隊長・・さん? 」
姫野大輝(ヒメヤ)
学年 高等部2年 誕生日 2/28
星座 うお座 血液型 A
身長 170.4cm
勉学 苦手--★ーー得意 ● 首の付け根まで伸びた茶髪に瞳は赤
運動 苦手ーーーー★得意 ● ヒメヤの由来は、よく名字をそう呼ばれるから
感性 論理ー★ーーー直感 ● やや口が悪い時もあるが表情は比較的やわらかい
生活ルーズー★ーーーマメ
性格 内向ーー★ーー社交
五稜館学園へ編入してきた唯一の男子生徒。元々当校が企画していた男女共学化によるためのテスト生としてやってきた。幼い頃からウルトラマンに憧れていたことがきっかけで正義感が人一番強い。また、思ったらすぐに行動に移す性格で時に一人で突っ走ってしまうこともある。(サトカ曰く、少年漫画にいそうな主人公)親が義理であるため、本当の両親がどのような人物なのかをよく考えている。