スカーレット家長男の憂鬱   作:ユウキです

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個人的にさとりんはキレたらヤバいタイプだと思ってます


11話

どうも、古明地さとりです。今日はめんどくさいことに鬼達と宴をすることになりました。これも地霊殿の主としての仕事に含まれているらしいので行かなくてはいけません。正直行きたくなかったですし向こうにしても来て欲しくなかったでしょう。

 

まず会場に着いた時に酒の臭いで吐き気を催しました、それを堪えつつ自分の席に座ります。そこで苦しみながらも鬼達が何か変なことをしないか監視しておく事が私の仕事です。辛すぎて泣きそうになります、表情は全く変わりませんけど。

 

そうしていると勇儀さんが近づいて来ました、来なくていいと毎回言っているのに構ってくる私にとってめちゃくちゃ苦手な人です。何故こんなに私に近づいてくるのでしょうか、吐き気を堪えながら勇儀さんを恨みがましく見ます。

 

「そんな睨むなよ」と笑いながら言ってきます、いや睨んでいる訳では無いです、吐き気を堪えているんです。そう言いたいが口を開くとリバースしそうなので耐えに耐えます。ここで吐いたら旧地獄で笑いものにされるでしょう。

 

そうなればもう私は生きていけません。後のことはお燐に任し、私は灼熱地獄に飛び込んで死にます。ついでに勇儀さんを道連れにします。いややっぱり嫌です、一人で死にます。

 

「そういえばさとり、こんな話知ってるか?」

「…なんですか?」

 

多少は吐き気が楽になってきたので一応返事はする、しなきゃ殴られそうだし。だから鬼は嫌いなんだ。野蛮なところとか酒臭いところとかなんか臭いところとか。数えだしたらキリがないが、とにかく旧地獄の仕事を増やす鬼が私は嫌いだ。

 

ところで話とはなんだろうか、この人が持ってきた話だからろくなことじゃない気がする、伊達に付き合いが長い訳じゃないから直感でわかる。やっぱりこの宴参加しない方が良かったですかね。

 

「あの八雲紫にまた新たな式が出来たって話だよ」

「式…ですか?藍さん以外に?」

「おう、あの九尾の従者以外に作るとは驚きだろう?」

 

確かに意外だった、変な話かと思えばたまには興味をそそる話もするじゃないか。そう思い少しだけ見直したが0が1になったところで印象は変わらないので意味はなかった。

 

だが新たな式とはどんな人物だろうか、優しくて私よりも少しだけ劣っているような人なら今すぐ友達になりたい。え?最低だって?

いやよく考えてくださいよ、自分よりも優れた人間を友達にした時の苦痛を。なんでも比べられて不和の元になるだけです。それならば少しだけ劣っている人とお友達になる方がトラブルは少ないんですよ。

 

「いやどんな奴かは全然は知らないんだけどよ、気にならないかい?強いやつなら大歓迎だね」

「勇儀さんはその戦闘狂を少し直してみては?」

「無理だね!あっはっはっは!!」

 

何笑ってんですか、こっちは全然面白くないぞこの野郎。まあ強いといっても勇儀さんのような強さならまだ許容範囲です、勝てますし。力が強いだけでは私には勝てません。逆に紫さんのような能力の人だったら絶対に嫌ですけどね。相性悪すぎて速攻で殺されます、私より強い人は友達になれませんからそれだけはやめて頂きたい。

 

「さとりが私と戦ってくれたらこの気持ちを発散できるかもだけどねぇ」

「嫌です」

「相変わらずケチだね」

 

当たり前だ、何故やりたくもない戦いを自らしなければいけないんだ。やれば十中八九私が勝つがこの人勝つまでやろうとするからもう戦わないと決めたんだ。しかも戦いの中で学んで修正していくからたまにヒヤッとする、心臓に悪い。

 

まあそんなこんなで私は絶対に戦わないという意思を視線に込めながら置いてあったスルメをガジガジ噛む。可も不可も無くな味、これならばまだ一人で宅飲みしてる方が何百倍もマシだ。お燐が作ってくれるよく分からない名前のツマミを食べながらビールを飲む。あまりの寂しさに目からビールが出てきます、永久機関の完成ですね。

 

「あら、楽しそうなことしてるわね」

 

胃がはじけ飛びました。まさか、噂をすればをリアルで体験するとは。紫のドレスに身を包み扇子で口元を隠したその姿は胡散臭いの言葉しか出てきません。しかも能力も厄介なので本気を出せばここに居る全員を血祭りに上げれるでしょう、まあ無抵抗でやられるつもりはありませんが。

 

勇儀さんはガハハと笑って紫さんに近づいていってますが、ホントこの人脳味噌まで酒に侵されてるんですかね。このタイミングでここに来た目的も分からないのにそんなことしたら相手の思うつぼでしょうに。いやでも本当に何しに来たんですかこの人、お呼びじゃないですよ。

 

「地霊殿の主さん、そんな睨まないで。勇儀に呼ばれたから来ただけよ」

「おう!よく来たな!」

 

は?聞いてないんですけど。そう思いながら勇儀さんを見る。すると少しバツが悪そうな顔をしてこう言った。

 

「今言おうとしてたんだ、すまないね」

 

深くため息を吐いたあとにチラッと紫さんの方を見るともう酒をついで飲んでいた。まあ何も言わなければ実害無さそうだしいいか…

私は諦めたように座り、またスルメをガジガジ噛んだ。

 

「そういえば紫はなんでまた参加しようと思ったんだ?いつも断るのに」

「いやちょっと自慢話をしようかなって」

「自慢話ぃ?」

「新たな式になる予定の子のことよ!」

 

私はガバッといつもの気だるさを感じさせない程のスピードで紫さんの肩を掴んだ。

 

「紫さん、詳しく」

「え、ええ。貴方そんな人だっけ?」

「いいから」

「じゃ、じゃあ説明するわね」

 

そこから始まったのは怒涛の親バカトークだった。やれ可愛いだ、やれ優しい子だと話が止まらない。でも聞く限りではそこまで特別な何かを持っているようには感じない、八雲という幻想郷を司る妖怪の系譜を末端とはいえ受け取るのだから何かあるのかとは思っていたが。

 

だがこれは好都合だ、容姿は可愛いらしいし性格も優しいとのこと、さらに八雲との繋がりを持てる。一石二鳥とはこのことだな、これはぜひともお友達にならなければ。そうと決まれば即行動だ。

 

「あの…紫さん」

「どうしたの?もっとアルクのこと聞く?」

「いえ、そのアルクさんの事なんですけど」

「ん?」

「私に紹介してもらえないかなぁ…とか」

「え」

「え」

 

なんで勇儀さんまで驚いているんですか、私そんなにおかしいこと言いましたか?ただ単に知り合いの子を紹介して欲しいってた言っただけでこの反応とは今まで私のことどんな奴だと思って接してたんですか。

私は心の中で憤慨しながら紫さんの反応を待つ。ここでNOと言われても諦めずにこれからも言ってみよう。私のボッチライフ卒業の為に。

 

「さとりが…男を紹介して欲しいって言うなんて…」

 

ん?勇儀さん、何か誤解を

 

「認めない…」

 

いや紫さんまで

 

「オラァ!お前ら酒もってこい!さとりに春が来たぞ!」

「そんなこと認めないからー!!あの子はずっと私の家に居るんですー!!」

 

紫さんは能力で空間を裂き、帰っていった。やばいことになってしまった気がする。しかも意図しないベクトルに話が行ってしまっている。考えても打開策は浮かばなかったので失意のままフラフラと家に帰るのであった。後ろで騒ぐ鬼の声がいつも以上に鬱陶しく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

「ハクシュッ」

「アルク、大丈夫?風邪引いた?」

「大丈夫だよ、フラン姉様」

「ならいいけど…」

 

今日は久しぶりに紅魔館の方に来ている、どうやらだいぶ狂気もマシになったらしく俺に会いたいと言ってきたのだ。俺としてはあの時意識が無かったので何が何やらといった感じだが、無視をする訳にもいかないのでこうして嫌々来ている。

 

そして、今はフラン姉様が友達を紹介したいと言ってきたので部屋に向かっている途中だ。この人の友達と言うからにはかなりやばい人であることは言うまでもないだろう。殺されないことを祈るばかりである。

 

「じゃあご対面だね!こいし!」

「はいはーい」

 

女の子の声がする、聞いた限りでは全然害のなさそうな感じだが姉様達という実例もあるので油断は出来ない。とりあえず自己防衛はしっかりしておかないと。

 

そして扉を開けたそこにいたのは、可憐な少女だった。中々派手な色のドレスを着て、何か瞼を閉じた馬鹿でかい眼のようなアクセサリーをつけている。あれはなんだ?流行りのファッションかなんかかな?

 

「君がフランの弟のアルク君だね!よろしく!」

「よ、よろしくお願いします…」

「私のことはこいしでいいよ!私はアルク君って呼ぶね!」

「は、はい」

 

距離感の詰め方雑ぅ!いきなりフレンドリー過ぎないかこの子!コミュ障の俺にとってはこの子のようなタイプは最も危険だ。どこでボロが出るか分からない。正直逃げたい帰りたい。

 

「可愛い顔してるねー」

「ありがとう、ございます。姉様達の方が綺麗な顔ですけど…」

 

無難な答えに無難な態度、こうしておけばすぐに興味を無くす。良くも悪くも楽しさを重視しているのだこういう子は。俺の前世での体験談だから間違いない、別に泣いてない。

 

「お姉ちゃんが喜びそうな子だなぁ…」

「お姉さん…ですか?」

「うん、あの人ややこしい人だけど多分アルク君のこと気に入ると思うよ。今度会う?」

「え、ええと…」

 

ほんとグイグイくるなこの子、いきなり自分のお姉さんに友達の弟を会わせようとするという暴挙を平気な顔で行うこの子を驚愕の目で見ながらどうしようかと考える。断ったら角が立ちそうだしなぁ。

 

「お姉さんって大丈夫な人?」

「人見知りだけど寂しがり屋っていうめんどくさい人だけど優しいよ」

「うーん…もし行くなら私もついて行くね」

「あ、あのその」

「じゃあもう今から行く?」

「私はそれでいいけど、アルクは?嫌だったら断っても大丈夫だよ」

「い、いえ嫌という訳では…」

「なら行こう!イェーイ!」

「イェーイ!」

「い、いえい…」

 

ふざけんな!俺は行かないからな!そう言いたかったが時すでに遅し。俺は全然面識も無い姉の友達の姉に会わされることになった。何故こうなったんだ…俺は自分のイエスマンな部分を呪いながら姉に手を引かれるのだった。

 

 




お燐はおつまみでチリコンカルネとか作りそう
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