両腕千切れて腸出てきてもニタニタと口が裂けそうなほど笑ってるような女の子が好きです(特殊性癖)
「ツーペアです」
「私はワンペアだ、お前の勝ちだな」
妹紅さんの部屋に入ってからは今までの喧騒が嘘だったかのように静かな時間を過ごすことが出来ている。ひとえにこれは妹紅さんのまともさの表れによる平穏だろう。そんな当たり前の平穏を甘受しつつポーカーに勤しむ。妹紅さんも薄く微笑んでいるのでつまらないわけではないみたいだ。良かった良かった。
「いや、まだだよ。私のバトルフェイズはまだ終了していない」
「ロイヤルストレートフラッーシュ!私の勝ちです!残念無念再来年!」
ただし今すぐお前ら二人は自分の部屋に帰れ。ぶっ飛ばすぞ。
「二人は何しに来たの」
「い、いや私達もアルクと遊びたくて」
「友達ですから…」
正座して口笛を吹きながら誤魔化しているがそんなことをしても俺が益々イラつくだけだ。なんださとりコラお前その顔、馬鹿にしてんのか。
「何ですかその顔」
「これは反省してる顔です、けして『アルクさんとポーカーするなんて羨ましい。そうだ、このもんぺ女を後で温泉に沈めてやろう』なんて考えてません」
語るに落ちたなこの野郎、常識人枠である妹紅さんに被害がかかるなら俺も手段は選ばんぞ。
「そんなことしたらこいしさんに言いつけますよ」
「べ、別に怖かないですよそんなの、そもそも妹が姉に勝てるわけ」
「そうだねぇ、お姉ちゃん。ちょっとこっち来ようか」
目を泳がせながらなにか喋るさとりさんの隣にヌルッと影から這いずるかの如く現れるこいしさん。言いつけるまでもなくこちらに既に来ていたようだ。
あ、さとりさんが白目剥いてガクガク震えだした。こいしさんが怒ったらどんだけ怖いんだよ。そしてそんなこいしさんはフラン姉様の方にも振り返って少し咎めるような顔をする。
「あとフランも帰るよ。アルク君に嫌われたくないでしょ?」
「ぐっ、うぅぅ…」
凄い不満そうだが友達の珍しく怒ってる姿に恐怖している。そんな二律背反な気持ちが顔から見て取れるが最終的には渋々連れて行かれた。これからあの二人がなにかしたらこいしさんを呼ぼう。
「あの、ありがとうございます。こいしさん」
「まあ、あの二人が居たらゆっくり休めなさそうだしね。アルク君はこのメンバーの中で一番身体が弱いだろうし」
「本当にありがとうございます…」
俺は確かにクソ雑魚体力なので正直結構疲れてる。それをきちんと見てくれていたのだろう。イケメンだな、惚れる。
そんなふうに俺の中の乙女心を気持ち悪い感じにキュンキュンとさせながら二人を引きづっていくこいしさんを見送った。
「あっという間だったな…」
「ですね…」
その後は至って平和に二人でババ抜きや七並べなどをして遊んでいた。あと妹紅さんが能力を使って火で作った鳥やら兎やらを見せてくれた。前から思ってたけどほんとこの人多芸だな。
「うぅぅ、私も一緒にアルクと遊びたかったよぉー!」
「いや流石に疲れてるだろうしダメだよ」
こいしに引きずられ部屋に連れ戻された私はゴロゴロと畳の上を転がり続けていた。確かに私がアルクを疲れさせているのはわかるが我慢出来ないのだから仕方ない。アルクは麻薬と同じなのだ、禁断症状が出ると自分でも制御出来なくなる。
叶うならばアルクのうなじをベロンベロンになるまで舐めたい。いろんな意味でベロンベロンになるまで。そんなことを宿の天井を死んだ魚の目で見ながら思う。
「サードアイが使えなくてもフランの考えてることが何となくわかるよ」
「凄いね、私達通じ合ってる。流石親友だね」
「フラン、だからやめておけって言ったのに」
「お姉様も、行こっかな…って言ってたじゃん!その言い方は立派な裏切りだよ!」
ビシッと指をお姉様に向けながら糾弾するように言うと少しバツの悪くなったような顔で口笛を吹き出した。昔から自分の分が悪くなるとすぐこれだよ。
「私はちゃんとゲームに参加して盛り上げようとしてましたよ」
「あれでなんで盛り上げれてたとか自信満々に言えるかはわかんないけど、なんでお姉ちゃんに友達が居ないかはわかったよ」
おお、こいし辛辣ぅ!私は普通の人には言い難いことをズバッと言えるこいしのことが好きだよ。ただし私にその矛先が向いてない時以外の場合だけどね。あっ、さとりが真っ白に燃え尽きた。流石に同情するね。
「まあまあ、いいじゃないの。あの妹紅とか言うもんぺ女はアルクに特別な想いを抱いてる訳でも無さそうだし」
「どっちかと言うと従姉妹みたいな距離感だったね」
こいしが冷静に分析するが、私はそんなことを気にすることもなく呑気なお姉様を軽くビンタした。凄い驚いたような顔で頬を押さえてこっちを見てくるお姉様。しかしこれだけは言っておかないといけない。
「甘いよお姉様!」
「ちょっ、何がよ!地味に痛いし!」
「あの女はアルクと一緒のベッドで寝たんだよ!?それはもう実質◯◯じゃん!ギルティだよ!」
「何言ってんのアンタ!?」
これは由々しき事態なのだ、あんな可愛くて可愛いアルクと一緒に寝てどうにかならないはずない。私ならば0.1秒の隙があれば襲ってる。アルクのリボルケインとドックインだ。我ながら最低だと思う。
「あのもんぺ女、次会ったらゆ゛る゛さ゛ん゛っ゛っ゛っ゛!」
「あーあ、フランに変なスイッチ入っちゃった」
「こいし、フランの友達なんだからなんとかして…」
「レミリアの方こそお姉ちゃんでしょ」
どちらも触らぬ神に祟りなしといった様子で他人任せにしようとするのであった。
そんなレミリア達が居る部屋の隣で八雲家がお茶を飲みながらゆったりと休みを満喫していた。
「なんか隣の部屋が騒がしいわねー」
「注意してまいりましょうか?」
パリパリと煎餅を食べながら紫はうーん、と悩む素振りを見せる。しかしすぐに首を横に振り別に良いわ、と藍に言った。
「藍様!アルクのところに行ってきても良いでしょうか!」
「うーん、やめておいた方が良いと思うぞ。疲れていたようだしな」
そう言われるとしゅん、と落ち込む橙。八雲の式の式といってもまだまだ子供。寂しいのだろうなと藍は微笑ましくなる。
実際のところはいろいろ橙がアルクに仕込もうと計画立てていただけなのだが、知らぬが仏だろう。
「じゃあ紫様、藍様!UNOしましょ!」
「良いわよ!私めちゃくちゃ強いんだから!」
紫が幼い子供のように食いつく姿を見て苦笑を浮かべる藍。この主はどこまでが本気なのだろうかとたまに疑問に思ったりもする。
その後紫は他二人にズタボロに負けて半泣きになるのは言うまでもないことだろう。
各自が自室で各々時間を過ごしそろそろお昼ご飯の時間になろうかという時。半泣きでUNOをしていた紫が、全員を食事をする為の広間に呼ぶ。
アルクのパンツの色について語っていたフランも、真っ白に燃え尽きていたさとりも、トランプをしていた妹紅とアルクも、それを聞き意気揚々と広間に向かった。
「お昼ご飯食べたら遊技場があるみたいだから行ってみようか」
「はい!妹紅さん!」
しかし、すっかり妹紅を信頼した様子でいるそんなアルクを行きがけに後ろから見てフランは嫉妬の炎を燃やしていた。
必ずこの邪智暴虐の妹紅を倒さねばならないと。そして、そう思った時にはフランは行動していた、すかさず後ろからアルクに近づいていき妹紅に見せつけるように抱きついた。
「私もそれに誘って欲しいなぁ」
「ふ、フラン姉様!?」
どうだ羨ましいだろう。そう思い妹紅の方を見る。しかし
「相変わらず姉弟で仲が良いんだな」
「嫉妬すらない…だと…」
フランはそんな妹紅の態度に恋愛強者の余裕を見た。アルクが絡むとただのバカなフランだった。そんなフランの様子を見て寂しいから抱きついてきたのかと勘違いするアルク。
「さっきはごめんね姉様、俺疲れてたから」
「あっ、うん。良いんだよ、私も無理やり部屋に入っちゃったし」
弟を謝らせることは本意ではないので快く許す。そして抱きついた姿勢のまま広間に向かう。もう突っ込む気も起きないのかレミリアは真顔でそれを見たあとにスタスタと歩いていった。凄い羨ましいな、と思いながら。
そして、広間に全員が集まりお昼の用意もされている。それを確認した紫は全員に聞こえるように音頭をとった。
「いやー、ここまでお疲れ様!今日は好きなだけ飲んで食べて満喫してね!」
紫がそう言うとみんながみんな目の前のご馳走を取っていく。大きなテーブルに凄まじい数の料理が鎮座しているので、それを各自で取るバイキング形式だ。
「お肉、お肉、お肉」
「あっ、お姉ちゃん。お肉ばっかりじゃダメだよ?」
うわ言のようにお肉、と呟きながら肉料理を自分の皿に入れていくさとり。その皿に野菜を横から入れるこいし。これではどちらが姉かわからない。
「高貴な私達にはこの雰囲気は少し違和感があるわねぇ…ね?フラン?」
「はぐっ、ふぐっ、むぐっ、おいしっ、ん?なんか言った?お姉様」
「…できれば落ち着いて食べなさい」
「わかった!」
ハムスターのように両頬が膨れ上がった妹を見て少しは家柄を気にして欲しいとも思ったが幸せそうなので何も言えなかった。
そんな妹の影響かレミリアもまた料理を頬張るのであった。
「みんな美味しそうに食べるわねー。藍、どれが美味しかった?」
「私はこの手羽元の煮付けかと」
「じゃあそれ食べよっと」
子供のような笑顔を見せながら料理を取る紫、普段あんなに子供っぽいのに料理の取り方や所作などは大人っぽい。そんなチグハグなところが紫様らしいな、と藍は微笑み、主の代わりに他の料理を取り分けるのであった。
「この湯豆腐美味いぞ、アルク」
「あ、ありがとうございます」
わりと食の趣味がおっさんっぽいよな、と妹紅に対して思うアルク。しかしこのおせっかいな感じはおかんって感じがする。もしくは孫に料理をすすめるおばあちゃんだな、と失礼なことを同時に考えながら差し出された湯豆腐を食べる。
「あっ、美味しい」
「だろ?」
シンプルだが豆腐に雑味が無く口当たりもいい。恐らく自家製の豆腐だ。このポン酢との相性とも抜群だった。
「しかしアルクは相変わらず美味そうに食うよな」
「そ、そうですかね」
「ああ、食った瞬間に後ろに花が咲いたかと勘違いする程の笑顔を浮かべるからこっちもどんどん食わせたくなる」
なんか恥ずかしいなとアルクは思う。他にも男として恥ずかしいことをしている筈なのに変な奴である。
「…もし私が普通に結婚して、普通に息子が居たならこんな感じなのかねぇ」
「え?」
「なんも無いよ」
あまりに小さな声の為、アルクはおろかこの会場に居る耳の良い藍や橙でさえもその声を聞き取れなかった。
「こっちの唐揚げも美味いから食えよ。ほっといたらあのさとり妖怪が全部食っちまいそうだ」
「あっ、はい!貰います」
妹紅はそんな少し食いしん坊で優しさを持った吸血鬼の可愛い友人を愛おしく思うようになっていたのだった。
「お料理いかがでしたでしょうか?」
「美味しかったわよー、お腹も夜までもちそうね」
「それはこちらも嬉しい限りでございます。あ、あと、お手数ですがお客様にお聞きしたいことがございまして…」
「ん?どうしたの?」
そして。少し一息おいてから女将は話を切り出す。
「温泉を混浴、それとも男女別。どちらにいたしましょうか?」
「もちろん混浴よ」
「男女別にしないと藍さんにお仕置きしてもらいますよ」
紫は目線を鋭くさせ答えたが、アルクが絶対零度の視線を紫に向けて却下したため泣きながら男女別にした。その様はまるでおもちゃを取り上げられた子供のようだったという。
妹紅は精神的にかなり老成してるイメージ。何起こっても動じなさそう。