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@you20190708
「お姉様怒ってたなぁ…」
ため息と共にボヤく、酒も入り少し調子に乗り過ぎた。スカーレット家の一員として少し品が欠けていたと反省する。
最近、アルクは自立出来るほどに回復した。しかし、それと同時に私がアルクを支える機会はどんどんと減っていく。率直に言うと焦っているのだ。
「もう少ししたら、私の存在意義が無くなるのかな」
嬉しくも寂しい、二つの相反する感情が私の胸を締め付けた。姉としての威厳などはとうの昔に投げ捨て、アルクにとって接しやすい姉である事に全力だった。
「私は破壊しか出来ない…しかもお姉様ほど頭も良くない」
ならばこれ以上私に出来ることはあるのだろうか?
ある種の諦めのような、そんな思いが重く胸にのしかかった。
「きゅっとしてドカーン…」
全てを破壊する能力、攻撃における汎用性はかなり高い。しかしこの能力でアルクの心を癒すことは出来ず、むしろ恐怖の対象にすらなり得た。
「ふぅ…」
こんな事を考え、柄にもなく落ち込んでしまったせいでせっかくの温泉旅行が台無しだ。とりあえずみんなの所に戻ってヘラヘラしておこう、そうしたらまた元通りだ。大丈夫。
「フラン姉様、こんなところで何してるの」
そう思い、戻ろうと振り向いた所に、一番大好きで一番会いたくない人物が居た。
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「フラン姉様、こんなところで何してるの」
追いかけて来たのはいいが、何を話したらいいかわからん。
いや、俺もなんでフラン姉様がこんな旅館の庭の隅の方で三角座りになりながら黄昏てるのか知りたいし、そのわけを聞きに来たんだけどね。
でも、辛気臭いオーラをめちゃくちゃ滲み出しているフラン姉様にヘラヘラしながら「どしたん?ww」とか聞いたらマジで殺されそうだし。どうすっかなぁ〜。
「アルクこそ、なんでここに来たの?」
言い方にちょっと棘がある気がする、俺だってなんでここに来たか知りたいわ。
「フラン姉様が、心配だったから」
くらえ!ちょっと怯えた感じの雰囲気!俺に対してそんな棘のある言い方した事を後悔しやがれ!!
「っ!私は…私はっ!!」
ひえっ…いきなり叫ぶな!(即落ち二コマ)
いや怖い怖い、敵意こそ無いものの凄い圧迫感。貴方、自分のフィジカルの強さ自覚してる?
「フラン姉様…何があったの…?」
「…アルク、私はちゃんとお姉ちゃんとしての仕事が出来てるかな」
ん?そんなの
「そんなの、出来てないに決まってるじゃん」
「えっ」
あっ、やべぇ素が出た
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…思わず素が出てしまったがこのまま押し通すしかねぇ!!ここでボロ出す訳にはいかないんだよ!!
「フラン姉様、よく聞いてね」
「うん…」
最もな事を言い続けろ!思考を止めるな俺!口だけは動かし続けろ!!
「まず、根底からフラン姉様は間違ってる」
「なんで?私はアルクの為に何も…」
「だって、
「───」
そうだ、姉弟に仕事だなんだとかいう概念は存在しない。ただ
「そもそも、そんな事言ったら俺は弟としての仕事を何も出来ていない事になっちゃうよ?」
「だって、アルクは弟だから…私が姉として守ってあげないと…」
「
「っ!!!!」
「俺は確かに貴方にとっては弱くて、惨めで、可哀想な存在に見えるかもしれない。だけど、それでも俺だってスカーレット家の一員だ。ずっと守ってもらう
「……」
「だから…その、ええと…俺はフラン姉様も守りたい、守れるようになりたい、貴方の後ろじゃなくて、横に立っていたい。だって、世界で一番大切な二人のうちの一人だから」
「………」
これでどうだ…?俯いて何も喋らないしここからだと顔見えねぇ!!
えっ、失敗した?BAD COMMUNICATION?(ネイティブ)
「ひっぐ、うっ、ぐすっ、ぁ」
泣いてるーーーー!!!
ごめんて、ちょっと強く言い過ぎたって、飴ちゃんあげるから許して…
「ふ、フラン姉様、泣かないで…強く言い過ぎた…?」
「ちがうの、嬉しくて、胸が痛いの」
ええ…嬉しくて胸が痛いってどういう感情?
「ぅぅう、うぇ、ぁ、ひっぐ、ぁ」
マジ泣きですやん、ワイには手に負えまへんわ。
「あっ、フラン。こんなところに…ってこれどういう状況?」
レミリア姉様降臨、これで勝つる!!
目をぱちくりさせて驚いていたレミリア姉様だったが少し思案顔になった後、納得したように顔を上げた。
「んー、あー、だいたい分かったわ。アルク、本当に申し訳ないんだけど先に戻っててくれる?」
「あっ、うん。ごめんね」
「アルクは謝らなくていいのよ。皆あっちで待ってるから、行ってらっしゃい」
今日は大人なレミリア姉様が良く見られる日だな。そう思いながら、お言葉に甘え俺はそそくさと旅館の中に戻った。
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「ふぅ…フラン、大丈夫?」
「大丈夫…ごめんお姉様」
我が妹ながら酷い顔だ、鼻水と涙でグシャグシャになってる。
物体創造でハンカチを作り出し、ゴシゴシと腫れない程度に目と鼻を拭く。
「ありがと…」
「いいのよ、別に」
何をアルクと話したのだろうか、そうフランに問う前にぽつりぽつりとフランは話し始めた。
姉弟には仕事という概念は存在しないこと、アルクが強くなろうとしていること。そして、アルクが世界で一番私達を大切と言ってくれたこと。
「そうか…」
「私、嬉しくて、ちょっと寂しくて泣いちゃった」
「後でアルクとまたお話しなさい、まだまだ私達も知らない一面を見せてくれる筈よ」
「うん…!」
私も不覚にも泣きそうだわ、あんなに怯えてたアルクが立派に成長していってるということだもの。
認めたくはないけど、それに八雲家も影響しているのだろう、認めたくはないが。
「あ、あとお姉様」
「ん?どうしたの」
「私も、お姉様のこと世界で一番大切だと思ってるから…アルクと同じように…」
「!!…ふふ、私もよ」
「うん!それだけ!!ありがと、お姉様!!」
そう言いながらフランは旅館に走って入っていく。
世界で一番可愛くて、大切で、守りたい弟と妹が居て私は幸せだ。改めてそう思えたこの温泉旅行も悪くなかった。
そんなことを考えながら、私は一番の笑顔で先に行った弟と妹の後をゆっくりとついて行く。
「ふふっ」
心地よい風と木々の揺らめきが私達を優しく見守っているようだった。