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「はぁ…」
この洞穴に来て、早くも一週間が経った。やる事といったら掃除、洗濯、料理というまぁ言ってしまえば家政婦のような事だ。洞穴と洞穴近くの水場は夜刀さんの能力で覆っているらしく、外からは認識出来ないらしい。
「帰りたいけど、なんか煙のせいで帰れないんだよな…」
この煙、認識阻害が内側からもかかってるらしく、夜刀さんしか正しい出口がわからないようになっているらしい。とんだチート能力だ。これやっぱり『煙を操る程度の能力』じゃねぇだろ!
「まぁ食材だとか、生活に必要なものはわりと確保してくれるし、別に悪い生活じゃないんだけどさ」
夜刀さんが美味い美味いと俺の料理を貪り食ってる姿を見るのも悪くないけど、このままでは保護者達に怒られるし、心配されて更に過保護になったら面倒だ。これ以上束縛されてたまるかっての。
そろそろ本気でここから脱出する手立てを考えるか…。周りを警戒しつつ音を消し歩く。
「そもそも起きたら洞穴だったから、出口とかわかんねぇよ…」
そう嘯きながらスタスタと洞穴の前の森を歩く、一定距離を歩くと煙が濃くなっており前が完全に見えなくなるという寸法だ。このせいで未だに帰られない。
「能力で隠してるなら何故紫様やレミリアお姉様が来てないんだ?あの二人なら能力的に見つけられんだろ、俺の事」
これがずっと不思議だった。何故だ?存在としての格という意味であればあの二人は何千倍も夜刀さんより上だ。
「何らかの制限…もしくは限定的な対象がある…?」
能力はその使用者の解釈によって如何様にでもその力を変えるという、ならば夜刀さんにとってもっとも効果を発動したい相手、それを考えると…
「
いや、なら俺に効いてるのもおかしい。その辺の弱小妖怪なら倒せるが流石に俺を強者と数えるには矮小すぎる。
「いや、違うな…俺個人というより、俺の家系…スカーレット家は別だ…あの家は、確実に存在の格が上だ。俺に流れているスカーレットの血に反応しているのか…?」
曲がりなりにもレミリアお姉様とフランお姉様を輩出した家系だ。その家に属する俺も存在としての格は上から数えた方が早い、実力はゴミだが。
「わからないけど、ここから出るには俺が夜刀さんをぶっ飛ばすか、向こうで夜刀さんがぶっ飛ばされるかしかなさそうだな…」
「何を、しているんだ?」
バッッ!っと反射的に顔を声のした方に向ける。
そこにはいつものように身体に傷をつけつつも綺麗な黒髪を引っさげて、こちらに赤い眼を向ける夜刀さんが居た。
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気まぐれのようなものだった、そいつはオドオドとしていて顔は綺麗過ぎるぐらい綺麗だが、何処か幸薄そうで何か過去に悲劇があったような、そんな雰囲気を漂わせていた。
あの、不死身クソ女に負けてフラフラとさまよった俺を見つけても、家の者に言い付けるでも無く、ただ俺の理想を聞いてくれた。
「初めてだったんだ、肯定された気がしたのは」
そこからは半ば強引に攫った、
久しぶりに感じた人の暖かさに俺は絆されてしまったんだ。あいつの為ならばこの腐った世の中を、歪んだ力関係をぶっ壊してやる。一層そう思うようになった。
「お前にも大切な人が居る、お前にも家族が居る。そんなこと知ってたんだよ
「夜刀、さん…」
気づいたらあいつの足の健を斬っていた、逃げようとしたところが見えてしまったから。だが、あいつは悲鳴一つあげなかった、やはり痛みに慣れているようだった。
「どれだけ恨んでもいい、どれだけ罵ったってその権利がお前にはある。」
「ぐっ…あっ…」
腕の健も斬り、いよいよ身体の自由を完全に奪う。これで逃げられない。これで、私のモノだ。
「やっぱり、子供だよてめぇは、このクソガキがぁ…」
「なんだって?」
小さい声でアルクは何かを呟いた。そして、手も足も動かないはずなのに、無理矢理立とうとしている。
「アルク、やめろ。お前が妖なのは知っているが、再生してもまた斬るだけだ、何もそこには生まれない」
「変に大人ぶって、諦めたふりをして…悟ったようなポーズ取ってんじゃねぇぞ、数十年そこらしか生きてないお前程度の奴がぁ…」
「何を…っ!?」
夜刀は誤解していた。いや、夜刀に限らず八雲家も、スカーレット家もさとりもこいしも、何一つとしてアルク・スカーレットという男の本質を理解していない。この男も、消滅したハズの
目の前のコイツが、反吐が出るほど嫌いだと!!!
「こちとら何百年も監禁されても平穏に生きるという夢を諦めなかったんだ!!何度罵られようと、何度殴られようと、絶対にだ!!そんな程度のことで悩んで、諦観してるお前に!
「立った、だと…」
再生はほとんどしていない。しかし、気力と根性でアルクは確かにその二本足で立っていた。そして無理矢理動かした手で構えをとる。
「俺達は、俺達のためにお前をぶっ飛ばす!!かかってきやがれ!!」
「意外だ、見落としていた、お前はそんな奴だったんだな」
二人は交差し、互いに譲れないもののために戦い始める。
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「アルク…アルク…どこに居るの…」
八雲紫は憔悴しきっていた、この一週間飲まず食わずのまま、アルクの捜索にあたっていた。何も見つからない、この家から忽然と姿を消したアルク。
藍は自死する勢いだった、自らが居たにも関わらず下手人を見逃しアルクを攫われてしまった。
私は藍に「自死するならアルクを見つけてからにしなさい」と言い、八雲家のコネも全て使い、アルクを捜させている。
「オイ、八雲紫、貴様がついていながらこの体たらくはなんだ!!」
「お姉様、こいつやっぱ殺そうよ」
スカーレット家の姉妹には完全に信用を失われ、彼女らは独自で動いてるようだ。そして、地底の主は
「アルクさんはこちらでも探してみます。そして見つかり次第、貴方達を半殺しにしますから」
という言葉をいただいてる。何もかもが上手くいっていない。だが私達がどうなろうと別に良い。アルクさえ無事ならば。だから、お願いだから早く帰ってきて欲しい。
「紫様…今日もダメでした…」
「相手は強大な組織の可能性もあります、また洗いざらい調べてみるというのは…」
「おうおう、どいつもこいつもシケたツラしてるな」
「「「!!」」」
少しハスキーな声が私達を再度覚醒させた。
そこには紅白柄の服を着た人里を守っている不死の女、藤原妹紅が居たからだ。
「確証は無いがアルクの居場所を見つけるアテがある、ついてこい」
その言葉は八雲家にとって、何よりも待ち望んだものであった。
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「何故…だ…」
夜刀はもうひとつ思い違いをしていた。この男は、この妖は力が弱いと、実際、大妖怪相手ならば秒読みで塵と化すだろう。その程度の肉体強度、妖としてのスペックは良くて中の下だ。
「はぁ…はぁ…」
「何故私が、打撃を受けて膝をついているんだ…」
アルクは不完全ながら、すでに手足の健を再生させていた。そして夜刀は顎を打ち抜かれ膝をついていた。客観的に見てもどちらが優位か、一目瞭然であった。
何百年という監禁の間、アルクは本に書いてあることで自分が出来そうなことは次々と実践していた。そこには剣術、拳術、武術、柔術、魔法、魔術、様々なものがあった。そして、アルクはその全てにおいて
それは、普通の人間からしてみてもお粗末でしかないものだった。
だが、どれだけ才能の無い者であっても、何十年、何百年という反復を繰り返し、少しずつ身につけることは出来る。
アルクは、人間というスケールで見ると、途方も無い程の達人の領域に達しているのだ。
「俺は…スピア・ザ・グングニルとか、ザ・ワールドとか、フォーオブアカインドとか使えないし、あんなの使われたら瞬殺だけど…」
「何を…」
「人間という規格で収まる程度のお前なら、容易くぶん殴れる」
そう言ってスタスタと夜刀に近づくアルク。この短時間で、ある程度回復したのか、再び斬り掛かる夜刀。
「見え見えだよ」
「ガっ…!!」
それを避け、後ろに周り、ゼロ距離からの『寸勁』。体格も力も無いアルクが使える切り札の一つである。
「そろそろ、降参してください…これ以上は…」
「なん、だと…」
ある程度落ち着いたのか、アルクは理性的に夜刀に問いかけた。しかし、夜刀は止まらない、止まれない。落とし所がわからないのだ、他人を愛した結果拒絶されてしまったという事実しか、今の夜刀の頭には無かった。
「こんなところで、諦められるかぁぁ!!!」
「っ!!?」
叫び出した夜刀の赤い眼が、さらに妖しい光を出し始めた。それに付随するかのように身体全体から煙が排出される。どう足掻いても相手に何かしらの異常が起きているのは明らかだ。
「逃がさない…絶対逃がさないからなァァァ!!」
「マジかよ…」
第2ラウンド、絶望の始まりである。
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「慧音が言ってたんだ、今日寺子屋の子供と森の散策をしていたときに
『あの洞穴みたいなところに行ってみたい!肝試し!』
って寺子屋の子供が言ってたって、でも慧音からはそんなところ何処にも見当たらなかった」
おかしいと思わないか?と妹紅は言う、それを聞いて紫は妹紅の胸ぐらを掴みかからんとする勢いで詰め寄った。
「早くその場所を教えなさい、今すぐ!!」
「そう急くなよ、今日私もそこに行ってみたんだ。でもありゃダメだな。完全に一定以上の力量を持つものを遮断してる、能力による干渉も無理だ。もう既にスカーレット家にも伝えてるが、フランでも破壊できなかった」
あの吸血鬼の妹の能力は反則級だ、全てのものを概念も含め尽く破壊する。それに例外などほとんどないはず…。相手は何者なんだ。
「なん、ですって…」
「ただ、その子供がずっと言ってるんだ『青と金の髪をした男の子がたたかってる』ってな」
アルクだ、間違いない。あの子は攫われたというのに、誰の助けも来ないのに、一人で戦っているというの?そもそもあの子の戦闘能力は、妖怪基準でいうとお世辞にも強いとは言えない。私達の能力の干渉を許さない程の相手になど、勝てるわけが無い。そんなアルクが戦ってるという事実に、私は打ちのめされるしか無かった。
「とりあえず…その場所に連れて行ってちょうだい…」
「わかった、ついてこい」
そうぶっきらぼうに答えると二人は目的地に向かうのだった。
しかし、二人はその後ありえないものを目の当たりにする、それは良くも悪くも今までの環境がガラッと変わる、そんなものであった。
今回はちょっと文字数多くしたので読むの面倒だったかも。