今回は少し短いです。
あ、グロ注意です。
「空中打撃戦システムロード。出力上限、5%」
なんだ、なんだよ、なんですかァ?
その殺気は。
「な、なんやの?この重圧………。それに魔力値の桁が3つくらい違うッ!」
魔導士ってスカウターみたいな機能も付いていると初めて知った今日この頃。
「ま、まるっきり勝てる気がせぇへん………」
はやてちゃんがそんなどこぞの野菜王子みたいな事を言っている。
あのあどけないレイプ目に秘められた、密かでいて濃い殺意。
なんと言うか、いくつもの修羅場を巡った結果感情が死んじまったZE★的な。
私は殺意とかは慣れてるからそんなに身体が動かなくなるみたいな事はないけど、はやてちゃんはまだ9歳の少女なのだ。
殺意で身体が動かなくなるなんて仕方がない。
と、言うよりそれが普通の反応だろう。
「我が主、お逃げください!"それ"の相手は余りにも──」
アインスさんの声を聞き入れ、その場から離脱しようとするはやてちゃん。
でも足が貧乏揺すりのようにガックガク。
とりあえずはやてちゃんはアインスさんに任せるとして………。
私も離脱の準備を整える名付けて、『こんな所に入られるかッ!私は帰るッ!』作戦だ。
死亡フラグ臭がプンプン香ってくるが、それはご愛嬌。
むしろ立ててみる。
「墜滅、開始」
だけどそんな事は許さないと、ゴールデンちゃんの声が響く。
やっぱり立った。
こう言った死亡フラグって折れないから不思議だよね。
でもそんな死亡フラグを折っちゃうのが主人公な訳で。
………あれ?
私って主人公じゃないよね。
どちらかと言えばなのはちゃんの方が主人公だよね。
あ、そうだ。
そう言えば、ゴールデンちゃんはプログラムの所為でこんな事になっているとのことだ。
──そうだ。
そう言えば直すって約束をしていたんだった。
本気になればゴールデンちゃんを倒す事なんて雑作もない事だが、もしそれをしてしまうとゴールデンちゃんを空間ごと消し飛ばしてしまう事になる。
今回は倒す、ではなく直す、なのでどうしようか。
よし、その為にはまずゴールデンちゃんの攻撃を受け止めてそれを解析しなくてはならない。
その決意を固めて私はゴールデンちゃんの方を向くってウソやろー。
あの噴出しているようにしか見えない翼からゴールデンちゃんと同じくらいの大きさの3本指の爪が出てきたよ。
つか、あの角度ははやてちゃんが危ない。
とりあえず筋力はBランクのまま突っ込む。
それでもって爪を左手で掴む。
「紫煙ちゃん!?」
はやてちゃんの心配する声が聞こえる。
だけど気にしている暇はない。
何故かって?
この爪、どうやらかなり高威力らしい。
だから抑えるだけで精一杯だ
私の掌から血が滲み出てきている。
例えるなら水を浸したスポンジに指を押し付けるような、そんな感じ。
まぁ霊力で強化してるから腕が裂けるチーズみたいにはなってないけど。
って、もう片方からも出てきおった。
私はそれを空いている右手で掴む。
これで私は『両腕』を失ったッ!
いや違う。
これで私は両腕を使う事が出来なくなった。
手を離せばはやてちゃんごとミンチになってハンバーグにされる。
違う意味では一つになりたいけど肉塊としての一つになるのはご遠慮願いたい。
貴女と、合体したい。
いやいや、そんな事よりこの状況だよ。
これはヤバイよ。
そして掌が地味に痛いれす。
だが、この状況。
逆にチャンスでもある。
私にはまだ足を使う事が出き
ヌプ
は?
何、これ?
ゴールデンちゃんの手が私の身体の中に?
いつぞやのシャマルさんと変態紳士(猫娘達)が使ってた技に似ている。
けど、シャマルさんの黄緑色(猫娘達は水色)とは違い、禍々しく紅い、ゴールデンちゃんの翼と同じ色だ。
あ、そうだよね。
ゴールデンちゃんの出した爪は翼が変わったモノだから両手、使えるよね。
「──エンシェント・マトリクス」
「く、う」
私の身体の中からズルゥゥッとでっかいこれまた禍々しいゴールデンちゃん約3人分の大きさの槍のようなモノが引き出される。
ねぇ、そんなでっかい槍が私の身体の中にあったなんて初耳だよ。
ところでこの槍、どう思う?
すごく………大きいです……。
「あ、あぁ……」
逃げなくちゃならない。
だけど身体に力が入らない。
まるで風船に穴が空いたかのように。
はやてちゃんもどうやら動けないらしい。
だからあの気の抜けたとも取れる『もうだめだぁ。おしまいだぁ……』っ顔をしてるんだろう。
私の場合はリンカーコアを触られたかどうかして力が出ない。
はやてちゃんの場合は恐怖で動けないのだろう。
っておいおい。
あのすごく大きい槍をゴールデンちゃんが掴んだよ。
ちょっと待ってまさかそのすごく……大きい槍、投げる気?
このままじゃ私もだけどはやてちゃんが危ない。
私は残る力を振り絞ってはやてちゃんをアインスさんの方に向かって蹴る。
出来るだけ手加減したつもりだが、はやてちゃんがどうなってしまったかはここでは確認出来ない。
ちなみに、その時ゴールデンちゃんの爪の一部を握り潰していたのは私の最後の抵抗だ。
その時に私の掌も一部抉れたのはただの余談。
「ぐぅ……紫、煙ちゃ、ん」
罪悪感で精神面がヒデブっているが、そんな事に思考を裂いている暇なんてこれっぽっちも無い。
ゴールデンちゃんが槍を私に向かってシュゥゥーッ。
ゴールデンちゃんは超エキサイティングをしているかも知れないが私はそんな時じゃない。
私はそれを身体を右方向に海老反りする事で回避しようと試みる。
ゲッダン回避の応用だ。
この場合は身体に力が入らなかったから右方向に海老反りが限界だ。
それでまぁ、何とか避けることが出来た。
ゴールデンちゃんの槍は私を通り過ぎた後爆発していた。
危なかった。
あれがもし刺さっていたら『仗助ェェェーーッ!』って言いながら死ななくちゃならなくなってしまう。
どこのキラークイーンの第一の爆弾だよ。
話は元に戻る。
大変な事が分かった。
実は槍は私の左の脇腹をかすっていたのでした。
まぁ、かすっただけならいいや。
これならまだギリギリいける気がする。
と、思っていたけど、ズキィッと抉られたような痛みが脇腹から身体中を駆け巡っちゃってね。
何事かと脇腹を見てみると、どうやら本当に抉っていたらしい。
私の白い肋骨が見える。
おぉ、エグいエグい。
言ってる場合か。
とりあえずどうなっているかを見てみる事にした。
なんと言うか、裂けてるね。
横っ腹が。
赤くてドロッとした液体がドゥルドゥル出てる。
もしかして、これは……小腸を少し傷付けた、か、な?
内、臓が出て、ないだけま、し?
ん?
あ、れ?
意、識、が。
わた、しの意、識はそこd………。
紫煙 side out.
side はやて
「動作正常…………システム負荷許容範囲………」
紫煙ちゃんが私を庇ってあのシステム「U-D」の攻撃を受けた。
その結果、どうなったかと言うと紫煙ちゃんは気を失い、海に向かって頭から降下中だ。
私が行こうとしたが、身体がすくんで動けなかった。
そのまま紫煙ちゃんが落ちて行ってしまうのを見届けるだけかと思われたが、アインスが紫煙ちゃんを助けてくれた。
アインスは紫煙ちゃんから出ている出血でいたる所を赤く染めていた。
「主、呆けていては駄目です。今すぐ離脱をッ!」
頭では分かっている。
紫煙ちゃんが手も足も出なかった相手だ。
しかも彼女が言うにはまだ5%の出力だと言う。
と、言うことは更に上があると言うことだ。
だが、恐怖で身体が動かない。
初めての体験だ。
「ふふふ、はははははッ!よくぞやってくれたッ!U-D。今回の一番の邪魔者であろう小娘の始末。まことに大義であった」
王様は笑っている。
それに憤りさえ覚えたが、今は紫煙ちゃんの手当ての方が先決だ。
私はようやく動くようになった身体で治癒魔法を使おうとするが、そこで気付く。
確か紫煙ちゃんには普通の治癒魔法は効かなかった。
だからファクトさんに治して貰うしか方法は無かったんだ。
だったら、今の私に出来る事と言ったら魔力による膜を作り、それで出血を抑えるしかない。
それしか出来ない自分が悔しい。
「闇の書の構築体、ユニットD──駆体起動を認証…」
「うむうむ。貴様も含めて闇の書が闇の書たる森羅万象のその全てを統べる王。それが我だ」
「──ディアーチェ………ディアーチェ、ですか?」
システム「U-D」の瞳に灯りが灯される。
虚ろな目に光が宿った瞬間、彼女に人格が現れた。
「そうともよ。我がディアーチェだ。やっと巡り会う事が出来たなぁ……。我等三基はずっとうぬを探しておったのだ」
「シュテルと、レヴィも?」
「はい」
「ボクもいるからねー!」
いつの間にかシュテルやレヴィもここにいた。
いや、そもそも彼女達は魔力で構成されているから何処にでも出現可能なのかもしれない。
「会えて嬉しい………。本当に、心からそう言いたい…………」
「…………なら、言えば良いのではないのか?」
「だけど、駄目なんです。私を起動させてしまったら………」
「えっと………一体どうして………」
今まで会話に入って来なかった…確かキリエさん…が彼女に質問をする。
「皆、私を制御しようとしたんです。だけど、出来なかったんです。誰一人として。だから必死で沈めたんです。私に繋がるプログラムを破断し、どれだけ検索しようとも見つからないように何重にもブロック、更に別のシステムで上書きし、闇の書に関係する全ての情報からの私のデータの抹消をして、夜天の主も管制融合騎も知り得ない筈の、そこまでしなければならなかった闇の書が抱えてしまった本当の闇。それが──」
彼女がそう言葉を切った時、人に刃物が刺さった音がした。
それは──
「ぐぶぅ!」
「あああ!」
「うあぁぁぁッ!」
「私、なんです──」
システム「U-D」の翼が変化し、死神の鎌のようになった爪のようなモノがマテリアルズに刺さった音だった。
「沈む事なき太陽──影落とす月──ゆえに、決して砕かれぬ闇。………私が目覚めたら破壊と殺戮の爪痕しか残らない──」
駄目だ。
行ってしまう。
ここで止めなければいけない。
「ゴールデンちゃんッ!あかん、待ってッ!」
「その、呼び方、もしかして………」
システム「U-D」ことゴールデンちゃんがこっちを向いてくれた。
だけどゴールデンちゃんは悲しそうな顔をした。
「やっぱり、私はまたやってしまったんですね……。私を助けてくれようとした人を。また、殺めてしまったんですね……」
駄目だ。
紫煙ちゃんが完全に死んだと思っている。
「何も変わらない。あの戦乱の時代と………私は「勝、手に殺、すな……!」………え?」
どうやら紫煙ちゃんが目を覚ましたらしい。
だが、目は虚ろだ。
「ゴールデン、ちゃん。今の、うちに………ゴホッ。悲劇、のヒロ、インを、やっていたまえ。すぐに助け出す、か、ら………フフフ…………う」
紫煙ちゃんが最後にニヒルな笑みを浮かべ、喋らなくなった。
呼吸はしっかりしている事から、まだ生きていてくれているようだ。
私はほっと一息付く。
どうやらまた気を失ってしまっただけらしい。
「駄目、です。私に、近付かないで下さい。私はもう誰も、殺したくないんです」
ほっと一息している間なんてなかった。
ゴールデンちゃんが空中で後退りする。
「ごめんなさい──。夜天の主、管制人格、そしていつぞやの淑女さん。さよなら、皆」
その一言を最後に、ゴールデンちゃんはその場で転移した。
最後の紫煙ちゃんに対する一言がとても気になったが、ここでは気にかける暇なんてない。
「待ちなさいッ!私は貴女に用があるんだからッ!全力追跡ッ!アクセラレイターッ!」
それと同時にキリエさんも姿を消した。
「………ん?ッ!我が主、マテリアル達がッ!」
アインスが何かを焦っている様子だったので、指を指している方を向くと。
「消、えた?………そんな、まさか、消滅したんとちゃうか!?」
そんな……ゴールデンちゃんに唯一対抗出来るであろう手段を持っている筈の
「いえ、おそらく1度駆体維持を放棄して何処かで再構築をしているのかと」
「無事、なんかな?」
心配だ。
あれだけざっくりと貫通するくらい土手っ腹に刺さっていたから。
「力を取り戻すまでは時間が掛かるでしょうが……」
その時、シャマルから通信が入ってくる。
『はやてちゃん!まずい状況になってきちゃいました!!各地で思念体反応が多数出現!物凄い数ですッ!今、シグナム達が迎撃に出てくれてますが……』
「こっちもまずい事が起きたでッ!紫煙ちゃんが死にかけてるッ!」
『えぇッ!?』
はやて side out.
side とある騎士達
「闇の欠片がまた現れたそうだ」
烈火の将がそう呟いた。
「それから、闇の書の闇の書たる根源もね」
湖の騎士も呟いた。
「異世界からの来訪者もいるらしい」
盾の守護獣も続くように呟いた。
「まぁ、そんなもんあたしらにとっちゃあ関係ねぇ。あたし達は紫煙を殺しかけた奴見つけて、ついでに闇の欠片を残らずぶっ叩くだけだ」
鉄槌の騎士はその瞳に怒りを滲ませながら呟いた。
「欠片は散開しているが、残らず消滅させる」
盾の守護獣が付け加えるように喋り
「手配の掛かっている異世界渡航者達はなるべく傷付けず、かつ無力化し捕獲する」
烈火の将が続ける。
「行きましょう。夜天の守護騎士の名にかけて!」
湖の騎士が纏めるように発破をかけた。
夜天の守護騎士達が動き始めた。
主人公の強化フラグ?
凶とか狂とか驚とかの間違いじゃないですか?
さてさて、感想、質問、批評、誤字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。
明日から学校だー。