スマホ、復活しました。
それで、復活しておいてなんですが、今回、かなり話が重くなってしまいました。
更に、読者の皆様を置き去りにする可能性があるので、もし気分を害された場合、そっと戻るのボタンを押すか、『関係ない。行け』とスルーしてください。
紫煙が………紫煙がぁ……。
目の前で、微かにしか呼吸をしていない紫煙を見た私は、膝から崩れ落ちていた。
間に合わなかった。
その言葉が、精神面に深く深く頑固な油汚れみたいにこびりつく。
「紫煙!紫煙!目を……目を開けてよぅ……」
涙で目の前の紫煙が……赤く染まった紫煙が歪む。
そんな紫煙に私はすがり付いている。
身体が紫煙の血液で汚れるが構うもんか。
頬を涙が伝い、地面に……詳しく言うなら紫煙の血液で出来た血溜まりに落ちる。
「アリシア、まだ大丈夫だッ!紫煙はまだ生きている」
「それは分かってるよッ!でも………でも血がいっぱい出てるんだよ?例えクロノやユーノ、それに私が治癒術式を使っても紫煙には効かないから治らないんだよ!?何がまだ大丈夫だって言うの!!」
分かってる。
クロノとユーノに八つ当たりをしている暇じゃ無いし、こんなことになんの意味もないって分かっている。
でも、この…………この抑えきる事が出来ない気持ちをどこにぶつければいいのか、分からなかった。
私は、地面に両拳をぶつけた。
鈍い痛みと同時に、赤い液体も滲んできていた。
守りたい?
助けたい?
役に立ちたい?
そんな事を言ってたのに、こんな様だ。
本当に、何が『皆のお姉ちゃん』だよ。
紫煙一人も守れず、助けれない私を、誰がお姉ちゃんだなんて………。
「アリシア。一応気休めレベルだが、紫煙の傷は魔力で覆って置いた。でも、本当に気休めレベルだから速くファクトの所に連れて行かないといつ紫煙が死んでもおかしくない。だから急ごうよ、アリシア」
ユーノのそんな声が聞こえる。
速くする?
その間にあの黒髪の奴に襲われたらどうなるの?
最初は不意を衝いたから上手くいったかも知れないけど、次も上手く行くって言う確証はない。
色んな考えばかりが私の頭をぐるぐる廻る。
……………そう言えば、紫煙には魔力と霊力の二つがあって、それの所為で治療する為の魔術とかが反発するって紫煙自身が言っていた事を、ふと思い出す。
でも、これも紫煙が言っていた事だけど、確か魔力と霊力を融合させたモノを紫煙は使っている。
なら、なら私も紫煙と同じモノを使えば、紫煙は助かる……かもしれない。
だけど、魔力と霊力には確か時空管理局が調べた事で分かっている事が4つあった。
・魔力があったら基本霊力はない
・魔力と霊力は反発する
・ただし、魔力と霊力の位が同じ場合のみしか反発はしない
・例えるなら、魔力Bで霊力Cの場合、魔力が勝つ
………でも、やるしか無い。
先ずは魔力だ。
これは楽に手に入れる事が出来る。
「………クロノ、ユーノ、お願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「あ、あぁ、別に構わないが、いきなりどうしたんだ?」
クロノはどうやら私がいきなり黙った事に驚いているみたい。
でも、今はそんな事どうだっていい。
「魔力を溜めたカートリッジ、何個ある?」
「まぁ、緊急時だから、だいたい10個はある………って、まさかアリシア、君はッ!」
「いいから。あるだけ全部、私に頂戴」
その時の私は、きっと紫煙やフェイト達には見せられない程の形相をしているんだろう。
クロノとユーノの強張った顔を見るだけでそう理解できた。
クロノは、渋々と言った感じでカートリッジを10個全て私の差し出した両手の
これでいい。
私はまず、カートリッジに溜まってあるだろう魔力を一つのカートリッジに纏める。
そして、私の霊力とこのカートリッジの魔力の二つを、同調させる。
その際、魔力を取り込みながらだ。
同調を始めると、私の身体の中で色んなモノが切れていくような音が聞こえる。
顎にも力が入らず、まるで何かに恐怖したかのように歯がガチガチとなる。
私の中で魔力と霊力が喧嘩をしているみたいに感じれる。
だけど、ここまでは予想通り。
私は霊力を使って、身体の中に入ってきた魔力を強引に掴み、
私はかつて一度、ママが開発を担当していた次元エネルギー駆動装置『ヒュードラ』の実験により、仮死状態にまで陥った。
その結果、リンカーコアは空っぽになった。
なんでも、身体にリンカーコアのある人物は仮死状態に陥ると魔力が無くなるらしい。
どういった理屈かは知らないけどね。
まぁ、元々少なかったし、別に良かったって言えば、良いのかな?
ちなみに、私を仮死状態にし、母さんを完全に悪者にした当時の局員達は、ちゃんと紫煙と一緒に復讐したのだけれど、このお話はまた今度と言うことで。
さて、話は元に戻るけど、私には魔力はもう無くなっている。
でもリンカーコアはある。
それで、今は魔力を補給している最中だ。
確か、紫煙は自分の霊力と魔力を融合していた筈だ。
なら………確証は無いけど、私にも出来る筈だ。
その為の魔力補給。
私の身体には悪いけれど、もう少し頑張って貰おう。
カートリッジの魔力が全て私のリンカーコアに収納され、ここで一段落ついた。
感覚としては、なんか違和感があるくらい。
さて、次でようやく魔力と霊力の融合だ。
その頃の私は既に汗びっしょりだった。
でもまぁ、かきたての汗は匂いが無いって言うし、大丈夫だよね。
さて、私は右手に約Cランク相当の魔力を出し、左手からはこれまた約Cランク相当の霊力を出す。
そして、その二つを私は合掌するかのように合わせた。
………全く。
紫煙がいとも容易くやっているから簡単なのかと思っていたけど、それは大違いだ。
今この瞬間も、両腕が吹き飛びそうになっている。
でもそれを思い切り力で押さえてるモノだから更に酷い。
更にそれに付き添うように運悪く、いくらありったけの力で押さえてるとしても私には筋力が足りないみたく、いつ腕が吹き飛んでもおかしくない。
だからそうならないうちに治癒術式を組み立てる。
いや、この場合は再構築の方がいいかも。
まぁ、なんで術式を再構築しているのかって聞かれれば、もともとあったミッド式の術式だとこの融合した霊力と魔力の融合物に適応しないから、だとしか答えられない。
………と、言うより紫煙が魔力と霊力の融合物を使う時って大概そのまま使うんだよね。
何て言うか、作り出したモノを加工せずに使うって感じだ。
さてさて、そうこうしている間に術式が完成した。
この術式はミッド式の補助魔法フィジカルヒールを改造した術式だ。
これで紫煙が治らなかったらもう全部の霊力を使って『夢符「夢想亜空穴」』を使ってファクトの所に行くしかないよ…………。
この『夢符「夢想亜空穴」』は私が使うと燃費が悪いけれど、その使う霊力の量によってどこにでも瞬間移動出来るって言う優れもの。
ちなみに、この『夢符「夢想亜空穴」』も前回使った『二重結界』みたく、『博麗の歴史』に載っていた。
………博麗って、本当に凄いなぁ……。
私が術式を使用してだいたい20秒たったくらいだろう。
紫煙の傷は既に塞がっていた。
霊力でソナーみたく紫煙の身体を調べたけれど、骨折も治っていた。
私の身体がとっても痛いけど、これくらいなら耐えれるレベル。
あ、紫煙が目を覚ました。
でも、身体を起こすと同時に
「紫煙?どうしたの?もしかして、まだどこか痛いの?」
紫煙は踞ったまま首を横に振る。
その時の紫煙は、まるで普通の女の子が悩んでいるようにしか見えない。
紫煙が口を開く。
それはいつものように口角を上げたり、呆けたり、栗みたいな口じゃなく、唇を震わしながらだった。
「もう………やだよぅ………」
紫煙のその一言は私の身体の痛みを吹き飛ばすのに、充分だった。
アリシア side out.
side 紫煙
私の身体が切り刻まれる。
いや、これは破裂しながら切れるって言った方がいいのかな?
そんなレベルでヤバス。
そして、私は気を失ったのか、意識がどんどん沈む。
それはそれはとても深く。
例えるなら底無し沼にずぶずぶ行く感じ。
なってみるとあれだね、かなり気持ちいいって感覚があるね。
多分雪山で眠るって感覚と同じだろうね。
でも、そんな事は今はどうでもいい。
それほど重要じゃない。
私は縁が言ったあの一言が分からなかった。
『私と、貴女の両親を殺したのは、紫煙自身だよ?』
あの一言で、私の理解とか思惑とか妄想とかが真っ白になって更に更にィッ!迷子になった。
あの言葉の意味が、私には分からない。
私は確かに目の前で3人が殺された姿を見た。
何て言うか、刃物で殺したって感じじゃなくゴリラとかそんな怪力な化け物が引き千切ったって感じだった。
そうそう例えるなら焦げ茶色の髪色をした少女に………………って、ん?
………………あ………れ?
だれに、殺されたって?
後、なんで怪力で引き千切る?
いやいや、よく思い出せよ私。
記憶の奥深くのそのまた深くを探り出すんだ、私。
ジャブからの深くアッパーを抉るみたく繰り出すかのように思い出せ私。
あの時は縁と私の両親はナイフに刺されて殺されたんじゃなかったっけ?
あれ?
………………………やだ、私の記憶、改竄されてる可能性が微粒子レベルで存在…?
あの時をよく思い出してみよう。
私の心が、崩壊した時の事を。
確か、あの日は私が縁と会うために両親に車で送って貰って………。
まるでうさぎ山商店街の入り口付近だけどたまこまーけっととは何も関係ないからそこら辺はあしからず。
それで、縁を見て手を振った。
さて、そこからだ。
そこから先はノイズが走っている。
どういうことなの………?
先っちょだけ、先っちょだけでいいから。
その後チュミミミーンして広げるのは秘密。
ノイズの壁を最後のガラスをぶち破る感じで振り払ってみた。
そしたらかなり見えてきた。
後はうっすら残ってるっぽいノイズを全て壊すんだッ!
お、ノイズが晴れてきた。
これで見えるッ!
ノイズが晴れたその先には
血塗れの、私がいた。
右手に、縁の頭を持ち、その周りには両親の──
…………………………は?
えっ、ちょっと待って。
私の頭がオーバーヒート。
目の前で何が起こっているのかがさっぱり理解出来ない。
あれ?
もしかして本当に?
そんな馬鹿な。
なら、何で私は今まで通り魔が殺したって思ってたの?
でも、私の記憶はそう言っている。
だけど、こちらの方が改竄されたかもしれない記憶なのかも………。
駄目だ。
幾ら考えても、駄目だ。
私の頭には疑問と親友と両親の最後の場面がループしている。
そんな時だ。
私の意識は浮上した。
目を開けると、アリシアちゃんがいた。
私の目が覚めた事が嬉しいらしく、その顔をまるで向日葵が咲いたみたいにいい笑顔だった。
普通なら、いつもの私なら……安心する筈だ。
でも、そんな私には安心感なんて無かった。
「もう………やだよぅ………」
アリシアちゃんが私を治してくれたって事のお礼をしようとしたら、私の口は勝手にこんな言葉を呟いていた。
やだな………。
こんな事、言うつもりは無かったんだけどね………。
起き上がろうとしても、全然力が入らないし、気分も悪い。
「本当に、どうしたの?紫煙………」
「アリシアちゃん。転生って、信じる?」
「え?」
今の私は弱い。
だから、黒野原やエルニーn………ユーノがいても、こんな風になってるんだと思う。
今の私は脆い。
恐らく、風が吹けば崩れてしまうかも知れないほどに。
「…………転生、かぁ………。まぁ、紫煙が言うんだから、本当だって事だよね。もちろん信じるよ」
やだ……涙が出そう。
とりあえず、滝のように出そうな涙をひっこめる。
「ありがとう………アリシアちゃん。じゃあ、話を始めるね。私………実は
「うん」
「私………親友と両親、殺しちゃったのかもって、ね」
「………え?」
アリシアちゃんと黒野原、ユーノ君の顔が驚きに歪む。
そりゃそうだ。
いきなりこんな話を切り出されたら誰だってそうなる。
「まぁ、まだ確証は無いんだけどね………。でも」
私の手に、不快感が溢れる。
やっぱり私が殺ったんだ。
首だけの縁と、信じられないって目をした両親の顔が…………ッ!
「でもッ!縁に殺られかけて、私が気を失った時に、見たんだよ………わ、私が……うう……縁と、両親を……」
駄目だ。
喋れない。
地面にも血が広がっている。
それは私の血液の血溜まりだって事は頭では理解できている。
でも私の角膜と、精神の深い所で、リンクする。
「…………私は……今まで、本当になんでこの事を忘れてたんだろうね」
ふと顔をあげると、アリシアちゃんと黒野原、ユーノ君の顔が見えた。
でも、一瞬。
ほんの一瞬だけど、アリシアちゃん達が血溜まりに倒れている光景が見えた。
「は、はははは…………駄目だ。本当に、駄目だ。私、ほ、ほんとに………」
本当に、なんであんな事をしちゃったんだろう。
覚えてないや………。
しかも、口の呂律が回らない。
いつぞやの猫耳姉妹に言った受け入れたって言った。
でも、あれは、通り魔に殺されたって勝手に解釈した結果だった。
私も受け入れるまでは本当に……。
そしてまた、目の前に突き出された真実に身体が震える。
こんな事なら………。
もう、心がもたない。
目の前の視界がどんどんぼやけてくる。
身体から力が抜けていく。
「は、ははははは………」
にんげんって、ほんとうにどうしようもないときって、わらっちゃうんだね。
私が仰向けに倒れそうになる。
その瞬間だ。
「紫煙ってさぁ……」
アリシアちゃんのその一言が、声が聞こえた。
その一言で、私の折れていた心は少し踏みとどまった。
「何でも出来るのに、不器用だよね」
「………………え?」
「いやね?紫煙は、余り嘘はつかないし素直だけどさ、やること為すこと全てに全力で、手を抜かない」
………………………………。
「私みたいなのって、やり過ぎちゃったらどうしよう、とか失敗したくないって考えるからさ………何て言うか、紫煙みたいには出来ないんだ……」
アリシアちゃんの一言一言は、まるで自分を自虐しているかのように聞こえる。
「私なんて……いっつも紫煙の背中を追ってたんだよ?いつか、いつかでいいから、紫煙の役に立ちたいって思いながら。………でも、私は、今まで何も出来なかった。ただ見てるだけ。本当に、無力だった。あの時だって………フェイトが、ママに虐待を受けている時だって、見守る事しか出来なかった。だから、紫煙が来た時には私には、本物のヒーローが来たんだって思ったんだよ」
「アリシア、ちゃん………」
「………紫煙はさ、はやてに言ったんだよね?受け止めて、乗り越えるって。だからさ?きちんと、その悲しみを、受け止めてよ……乗り越えてよ……」
いつの間にか、アリシアちゃんの瞳から、大粒の涙が落ちた。
それはボロボロとボロボロと、途切れる事なく溢れる。
「なんで紫煙がそんな事をしたのかは、知らない。でも………引き摺っていたら、前には進めない。紫煙は今、生きてるッ!………紫煙がするべき事は、前世の罪の償いかも知れない、だけど、この世界じゃあ………今世じゃ、誰もそれを知らないから誰も紫煙を責めることはしないッ!だから、だからこそ、紫煙はそれを、受け入れないといけない!」
受け止めて、乗り越える。
私には、重すぎる罪。
だけど、だからこそ、私が背負っていかなくちゃならない罪。
「………アリシアちゃん。ありがとう……」
「…………し、えん?」
「アリシアちゃんのお陰で、私がやるべき事が、分かったよ」
私は、立ち上がる。
今度は、大丈夫だ。
ちゃんと、力は入る。
ちゃんと、口も動く。
そんな私のやることは一つ。
「縁に、大切な事を思い出させてくれたお礼として、全力でもって、叩き潰すッ!!」
紫煙ちゃんも、人間なのでこうなったりします。
話が重くなってしまい、申し訳ございません。
久々の投稿なのにこれって…………(自虐)
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プロットの時点でのタイトルは強者の弱音