8月、9月と忙しかったので遅れてしまいました。
受験、体育祭、愛犬の危篤……。
本当にすいません……。
もうすぐ筋力全開も一年だというのに……。
……お姉ちゃん、ノエル、ファリン、ごめんなさい。
私は、今日、本物の化け物になっちゃいました。
「貴様………その仮面がなんなのかも知らぬ癖に……」
なのはちゃん、アリサちゃん、紫煙ちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん、アリシアさん、アリサさん……ごめんね?私、人間を、本格的にやめちゃった。
「その価値も知らない癖に……」
そして…………もう顔も覚えてないけど、天国のお父さん、お母さん。
私は、悪い子になっちゃったのかな……。
「この……糞みたいなガキがぁ……」
……でも、私は守りたかった。
皆を守れる力が欲しかった。
例えそれで皆から拒絶されても別に良かった。
もう拳を握りしめて悔しいと思うだけの存在にはなりたくなかった。
だから私は、こんな決断を簡単にしちゃったんだ。
「このッ!ガキがぁぁぁぁ!」
カーズが、私目掛けて右腕から生えている刃みたいなモノを叩き付けようとしてきた。
遅い。
恐ろしく遅く見える。
私は返す刀で先程拾っていた折れた刀でカーズの右腕を切断する。
「な!?」
そして、そのままの流れでカーズの顎に拳を叩き込む。
……鈍い感触と鈍い音が響く。
でも、
「ぐっ……」
カーズが後ろに数歩後ずさる。
距離が空いたならちょうどいい。
ちょうど試したかった事があったし。
私は右拳を力を溜めるかのように強く握る。
私が近付く為に……皆を守れるような、そんな絶対的という言葉が似合う、そんな紫煙ちゃんの力に近付く為に。
「く、くそ……何故だ……」
確か……こうだった筈だ。
紫煙ちゃんの、あの拳の軌道、腕の動かし方。
……あのクリスマスの日に、いつの間にか気付いた時にいた、よく分からない空間で見たあの光景を思い出しながら……。
銀髪の女性が放ったビームのようなものを拳の拳圧で消し飛ばした紫煙ちゃん。
あの姿を思いつつ、構えを取る。
未だにあの筋力の正体はお姉ちゃんがこっそり解析してたみたいだけどよく分かってない。
しかも最近(ただし2年前)だと紫煙ちゃんがいきなり何も無い所から現れたって話をお姉ちゃんが話していたし………。
それに運動会の時も紫煙ちゃんはHGS相手にまさに一騎当千みたく大暴れしてたし……。
でも、あれくらいの力があれば本当に、なんだって……誰だって守る事が出来る。
…………私にはそれを真似る事しか出来ないけど、いつかの紫煙ちゃんの言葉の『偽者が本物に勝てないなんて誰が決めた?それどころか偽者なら、偽者だからこそ本物を超えられる』……その言葉に従って………支えられて、今、私は動いている。
…………そう考えてみれば、私は色んな人に支えられているんだなぁって思う。
「……筋力……全開……」
あの言葉が本当なら、私は紫煙ちゃんを越える事が出来るかも知れない……。
でも、それをすると私はなにか失ってしまう気がしてくる。
だけど……
「スター……ダスト……」
もう、止まらないし、止まる気なんてない。
力を、込める。
右手に、集める。
「……お前なんぞに……お前なんぞにこのカーズが負けてなるものかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「──ブレイク」
力をありったけ込めた拳を、前に突き出した瞬間、カーズの姿が消えた。
……いや、姿が消えたんじゃない。
現に、地面にはカーズの肘から先だけになった両腕と、脛から下の両足だけが残っている。
………つまり、これは身体だけが消えたって事だ。
後には、私の右腕から少しだけ痛みが残っているだけだった。
…………これで終わった……のかな?
カーズを、倒すことが出来たのかな……。
「すずかちゃん!」
後ろからアリサさんの声が聞こえた。
そのアリサさんの声には、一切の恐怖も込められていない、そう思えた。
「終わった……の?」
不安げに、アリサさんはそう聞いてきた。
……確かにカーズとの戦いは終わった。
でも、まだだ。
まだ本当に、終わった訳じゃない。
「まだ、だと思います。……まだ、おじ様を倒してません」
そうだ。
本当に終わった訳じゃない。
「──やれやれ……月村 すずか。君って案外しぶといんだね。まだ死なないんだ」
後ろからの
「氷村の……おじ様……いつからそこに」
「いやぁ、なかなかに気付かれないもんなんだね。……爆発音が聞こえたから近付いてみたら、君達がどこぞから現れた筋骨粒々マッチョマンの変態チックな格好をしてる奴と戦っている時から、かな?」
やっぱり、氷村のおじ様は
おじ様は、あんなに殺気に満ちた雰囲気を発していたか?
おじ様は、あんなに目が赤かったか?
何が起きたのか、全然分からない。
「とりあえず、君は僕がこんな事になっていることがそんなに興味深いようだねぇ。まぁ、こんな事になった原因は君の友達の……紫煙とかいったか?そのガキに、とっても癪な事だが、病院送りにされた時に、そこにいた波奥ってガキの所為で僕は『夜の一族』じゃなくなってしまった。だが、その後の波奥ってガキの説明だと僕はどうやら『ガストレア』ってモノになったらしい」
ガストレア、がなんなのかは分からない。
でも、その所為で、主に転校してきた波奥君が原因で氷村のおじ様が強くなったっていうのは分かった。
……この状態の氷村のおじ様にあった時は、足どころか心もすくんで動けなかった。
でも、今は身体は動く。
これなら、戦える!
だけど、"負ける気がしない"なんて考えちゃいけない。
これも紫煙ちゃんから聞いたんだけど、『慢心すればするほど負けやすいし、小物臭がすごいからね。慢心、ダメ、絶対』って言っていた。
………なんか、私紫煙ちゃんから教わってばかりの気がする。
「今度は、引きません」
「ふーん………。ま、さっきよりはいい目付きになったんじゃないかな?………だけど、少し待ってくれないか?」
「……なにを、ですか?」
「1つ、君は勘違いをしているようだけどもう僕は君を殺そう、なんて事は考えてはいない」
「………は?」
私は、唖然とした。
隣にいるアリサさんも同じように唖然としていた。
だって、氷村のおじ様は今まで私を殺そうと………………………あれ?
……そういえば、
「なら……ならなんでそんなに、何て言うか、威圧が出ているんですか?」
「すまない………。まだこの体質に慣れていなくてね。つい殺気が出てしまうんだ」
……私達の、今までの苦労って一体。
「まぁ、実際に紫煙って奴を殺したいとは思っているが、僕があのガキに抱いているのは恐怖と憧れ、つまりあのガキを殺して僕の方が上だと言うことを示したいっていうほうの殺意、かな?」
……もう、ついていけない。
そんな考えすら浮かんでくる。
「……それに今さっきまで、僕は本当に、何故かは知らないが、君達を殺そうと考えていたんだが、
…………彼?
「……彼って?」
やっぱり、さっきまでは私達を殺すつもりだったんだ。
……でも、それがいきなり路線変更なんて、一体その"彼"って何者なんだろう。
「確か、名前はなんて言ったかな……そうだ。天道、天道 総求君だよ。……君達を追っていたら彼に出会ってね。殴り合いが終わった時に、諭されたんだよ」
……天道君が?
なんで………。
~時間は少し前まで遡る~
それは、アリサ・ローウェルの投げたスタングレネードによる閃光が晴れた時の事。
「くっくそ……。見失った、か……」
氷村は強烈な光によってしばらく見えなくなった目の変わりに嗅覚を使って月村 すずかを探すというとても変態チックな探しかたをしていたが、まだガストレアウィルスによる強化が届いていなかった為、見失っていた。
その所為で、多少なりとも焦っていた。
実は、彼は重度のストーk……もといそのレベルで月村家と自分の妹の事が大好きで、誰にも手を出されないように影から…………存在すら影になりそうな勢いで月村家と妹を護衛して来ていた。
その筈なのだが、紫煙により強制入院させられた後、龍斗こと、アデライト・ストラトス・イングヴァルト(以後アデライト)によりガストレア化させられると、その『月村家を守る』という気持ちが無くなってしまい、何故か殺す、という気持ちに上書きされたのである。
アデライトが何をしたのか、は氷村自身にも分かっていない。
ただ、殺す。
月村 すずかと、自分を入院させた刻 紫煙を殺す、との気持ちにさせられていた。
それで、月村 すずかがアリサ姉妹と共に逃げ、それを追おうとしていた氷村はその途中、天道 総求とばったり遭遇してしまった。
「お前は………氷村 遊!」
「君、誰だ?僕を知っているようだが………まぁいい。そこを退いてくれないか?月村 すずかが殺せない」
「なんでお前があのヤンデレ台詞を言うんだよ」
S県の事件はなんにも関係ないとの事だけを記しておく。
「ヤンデレェ?……僕はそんな下らない気持ちで月村家を狙ってた訳じゃあない」
「じゃあ、なんだってんだ?」
「僕はねぇ………彼女たちが、大好きなんだ。あぁ
勿論結婚とかそういった事ではなく、愛でたい、側にいて常に守っていきたい……ただ、それだけなんだが…………」
なんだまたヤンデレかとかいう言葉が聞こえて来そうだが、スルーしてください。
「……なんだがって、どうしたんだ?」
「何故か、ね………。何故か僕は彼女を殺したくて殺したくて仕方がないんだ」
そう言った氷村の目は、赤く染まっていた。
「……お前に一体何があったかは聞かねぇよ」
それと同時に総求もファイティングポーズを構えた。
それは、左拳を前に軽く突きだし、右拳を腰の方へ寄せ、左足を少し前に出し、右足を半歩だけ後ろに下げる構えを取る。
実際どうかは知らないが、総求としてはカウンタータイプの構えである。
「だからここで正気に戻してやる」
総求のその言葉には、かつての聖祥大付属小学校に転校してきたばかりのなよなよっとした軽い雰囲気はなく、その変わりとして、覚悟が目に宿っていた。
「ふん。君なんかに構ってる暇は無いんだ。僕は急いでいるんでね」
氷村はそんな総求の構えを見た後、興味なさげに後ろを見、その場を去ろうとした。
「逃がすと思ったか?」
だが、氷村 は 回り込まれてしまった!
「そうか………そうか……ぶち殺して欲しいんだな!」
一瞬だけ驚きの表情を作り、これまた一瞬で冷静さを取り戻したかのように見えたが、そんな事はなかった氷村が殺意剥き出しで総求に右拳を突き出す。
「そんな事は無いさ」
その拳を首を右に動かしただけで避け、左拳でカウンターを決める。
勿論魔力で強化していたので、氷村の端正な顔立ちがまるでにらめっこをしているかのように歪んだ。
その時地味に首の折れる音がしたが、草加さんはなんにも関係ない。
「ふむ……。やっぱり君は男の子だねぇ。女の子よりは力があるんじゃないか?」
しかし氷村は首が折れたまま総求の方へ顔を無理矢理に向けた。
その時、首の皮の一部が裂け、血液が多少というほどでは済まない程出ているが、氷村には気にしている様子は無かった。
「んな!」
「じゃあ、次は僕の番だ」
氷村の拳が風を裂きながら総求の顔面へと迫る。
「ッ!」
だが流石の総求もこれに当たるのは駄目だと察したのか、右腕で防御する。
しかし、いくら魔力で強化していたとしても本体は人間の身体である。
その結果、総求の右腕は無惨にも肘と手首の間で折れてしまう。
しかも、折れた骨の先が皮膚を突き破り、白い骨に赤黒い液体が付いているのがよくわかる状態になってしまった。
総求は『これはヤバイ』と考えたのか、氷村の鳩尾付近に蹴りを叩き込み(蹴り込み?)後ろへ下がる。
「いっつつ……」
正直それだけじゃ済まない気がする。
「やりやがったな……」
そう言うと、総求は右腕を無理矢理伸ばし、骨の折れている場所をくっつける。
そこからの能力を発動し、強制的に腕を治す。
「ふぅ……」
その行動に氷村は今度こそ驚きの顔を見せた。
「………君はまさかHGS保持者か吸血鬼かい?」
「違う。俺はただの魔法使いだ」
これだけを見ると完全に魔法は関係ないように見える。
「さってと……。こんだけ強いって事は、本格的に人間やめたって事、だよなぁ……。……じゃ、俺も天道さんを見習って作り出したこれを使わせてもらう」
そう言うと、総求の身体が光始める。
「これやると、身体がぶっ壊れそうになるんだよなぁ……。まぁ、いいか。クロックアップ!」
その一言で、総求の姿が消える。
「む?逃げた、のか?……大口叩いた癖にはこの様か」
氷村が周りを見、総求の姿が見当たらない事を再確認した後、跳躍しようと屈んだ瞬間の事だ。
「俺は逃げねぇって」
その一言と共に氷村の右脇腹に鋭い拳がめり込んだ。
「くぅ……っ!」
流石に右脇腹は痛かったのか、その場で苦悶の表情を顕にする。
よくよくその右脇腹を見てみれば、じんわりと血が滲んでいた。
「お前………何をしたんだ?」
「俺はただ、移動しただけだが?」
ここで、総求が何をしたのかを説明さして下さい。
……総求が行ったのは、魔力でタキオン粒子を作り出し、それを身体の中で循環させただけである。
タキオン粒子とは、光速以上のスピードで動く時間の流れに関係があるとされる粒子なのだが、実際にはまだその存在は確認出来ていないと言われている。
では何故、総求がタキオン粒子を作り出す事に成功したのか、と問われれば魔力で何でも創造する事が出来る能力を使い、更に天道 総司の持っていた(何故かあった)カブトゼクターを参考にタキオン粒子を作り出した、とのこと。
「ま、こんな事をすりゃあ身体がボロボロになっちまうからあんまりやらないんだけどな」
そういう総求の左肩や右脚の太ももからは、まるで肉
が溶けたかの匂いがする。
その所為か、その部分からは白いモノが覗いていた。
「ゲート・オブ・バビロンじゃあ、例えお前に勝ったとしても、自分に負けちまうんでな」
「だがその身体では、もう何も出来ないのでは?」
その言葉を聞くと、総求はニヒルな笑みを浮かべ、
「だから、こっから先は短時間で決めてやらぁ」
そこから、拳と拳の応酬が始まった。
~そして今に至る~
「……………その時に彼が教えてくれた言葉、『守りたいなら……本当に好きで、守りたいんなら覚悟を込めて守れ!』という言葉に感銘を受けてね。僕の中にあった君を殺したいという気持ちが霧散したんだ」
天道君……。
本当に、変われたんだね。
「さて、とりあえず僕は、僕をこんなバケモノにした上に、世界をこんなにし、すずかをこんな目に合わせた原因を叩いてこようと思うんだが………すずかはどうする?」
私には、その言葉を、誘いを拒否する理由が無い。
「私も、行きます」
「……そうか」
その言葉に、満足したのかどうかは知らないけど、少しだけ、暖かい微笑みを浮かべ、おじ様は歩き出した。
でも、少し行った所で立ち止まる。
………待っていてくれるみたい。
この事の意味は、
「………アリサさんは、どうします?」
「勿論、着いていくに決まってるじゃない」
……アリサさんには、説明する必要がないや。
「もうここまで関わっちゃったんだし、ここで着いてくるなって方が可笑しいわよ」
アリサさんって、本当にいい人なんだろうなぁ……。
「準備、できたかい?とりあえずそこに寝てる子は僕がおぶって行くから心配しなくていい。……まぁ、すずかか、そこの子が行かないって言った時点で置いていくつもりだったんだけどね」
そう言うと、おじ様はアリサちゃんをおぶってくれた。
どうやら、おじ様の気持ちは本物のようだ。
そして、私達は歩き出す。
自分達から望んで……。
遅くなってしまった上にこの駄文っぷり。
本当に申し訳なく思います……。
感想、質問、批評、誤字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。
空白期が……無印、A's、G.O.Dより長い不思議