ネトゲをしていたはずの後輩が異世界召喚されて尊敬する先輩の元へ帰るために魔王として頑張る話 作:銅英雄
「じゃあ私達は○○号室で寝泊まりしてるから」
「わかった。俺達は△△号室だ」
そう言ってアンズ達と別れた。オーフェリアとツボミが冷たい目で見ていたのは気のせいだと思いたいね。
部屋に戻るとシェラしかいなかった。レムはまだ戻ってないのか……。
~そして~
「レム、遅いね……」
「そうだな……」
(正直部屋に女子と2人っきりなのは気まずい。早く戻ってきてよレムえも~ん!)
「セレスさんにさっきのことを報告にって。そろそろ戻ってくるかな?」
「多分な……」
しょうがない。先にシェラにアンズ達のことを言っておくか……。
「シェラ、これからはアンズ達と6人でチームを組むことになった。まぁ1つの依頼に6人全員で行くと報酬が少なくなるから1つの依頼を3人で受けて、もう3人はまた別の依頼を受ける形になるだろう」
「そっか、アンズさん達が……。それにしてもアンズさんすごかったよね!見たこともない魔術でセルシオ達を木から落としたり、石を投げたらそれが突風の矢みたいにすごい風を纏わせたり……」
(それは俺も思った。今日見た技だけでもレベル100以上の実力はある。オーフェリアやツボミもそれに匹敵する強さを持っていると見てもいいだろう……。しかもアンズはまだまだ力を隠している感じだった。彼女が本気を出したら俺なんか足元にも及ばないんだろうな)
レベルで1つ思い出したことがあるので間を待たせるためにもそのことをシェラに話す。
「レベルについてわかったことがある」
「えっ……?」
「この世界の奴等は死なないように過ごしてるんだ。なるべく安全にな……」
「普通はそうじゃないの……?」
(ゲームのように救済措置やリセットがないからな。死んだらそこで終わり……。だから危険を犯してレベルアップを行うのは生身の人間にはリスクが大きすぎるんだよな……)
それでも……と口を開こうとしたときに……。
コンコン
(ノック……?誰だこんな時間に?)
「どうぞ」
「ディアベル、さっきのことで少し言い忘れたことがあるんだけど……取り込み中だったかな?出直そうか?」
俺が返答すると入ってきたのはアンズだった。
「いや、丁度いいかもしれん。アンズさえ良ければ俺の話を聞いてくれ」
「構わないよ。私の話は最悪明日でもいいしね」
アンズはそう言って話を聞く体勢に入った。
「……俺は死ぬことがあっても早くレベルアップが効率を最優先にしてきた。そういう世界にいたんだ。これに対してアンズはどう思う?」
「……私はその意見が必ずしも正しいとは思わない。けど私達は幾度も死線を潜り抜けて来たから今の私達がある……。だから1秒でも早く強くなるためならさっきディアベルが言っていたやり方が最善なのかもね」
(アンズ達は俺みたいにゲームではなく現実……というより異世界で命かけだったんだ。だからその重みがよく伝わってくる)
「ディアベルやアンズさん達は命が大切じゃないの?」
シェラの質問にアンズはこう答えた。
「もちろん大切だよ。でもそうも言ってられない時が何れ来るかもしれない。昼間に私達が旅してきた世界の話をした時も言ったけど、ここに類似している世界で旅する時は旅を始めたと同時にいつどんな危険があるかわからないんだ。だからそれに備えて可能な限り自分を高める。それはこの世界に来てもそれは変わらないよ」
「危険に備えて……自分を高める……」
「まぁどうするかはシェラ次第だと思うよ。じゃあ私はこれで失礼するよ。2人共また明日ね。レムにもよろしく」
「あぁ、また明日」
アンズは自分の部屋に戻った。それと同時にシェラは何かを決意したみたいである。
「ディアベル、あたしは強くなりたい……」
「そうか……」
「ねぇ、アンズさん達が何処に泊まってるかわかる?」
そんなことを聞いてどうするつもりだ……?
「……○○号室に泊まってるって言ってたぞ」
「わかった……。ありがとね!」ダッ!
「おい、シェラ!」
俺の制止を聞かずにシェラは部屋を飛び出した。それと同時にレムが帰ってきた。
「今シェラが部屋を出たみたいですが、何かあったのですか?」
「……さぁな」
アンズの部屋を聞いたということはシェラはアンズに……いや、これ以上考えるのはやめておこう。
そう思い俺はベッドに寝転んだ。
アンズside
オーフェリアとツボミが寝たので私は明日からのことについて考えていた。
(この世界はディアベルを中心に成り立っていると思っていたけど、どうにもそれだけじゃないみたいだ……。今日の依頼でわかったことはシェラが何かしらの問題を持っているということ。それに恐らくレムも何かを抱えていると思っていいね)
コンコン
(ノック……?こんな時間に?この気配は……)
「どうぞ」
「失礼します……」
入ってきたのはシェラだった。
「……アンズさん」
「どうしたの?」
「あたしを……あたしを強くしてください」
「要するに私がシェラを鍛えればいいんだよね?」
「はい……!」
「……それはいいけど、どうしてそう思ったの?」
「……あたしはこのままじゃ駄目なんです……。みんなの足を引っ張ってしまうから、そんなのは嫌です!もっと、もっと強くなりたいんです!」
(……良い目をしてる。ツボミもこんな感じで私に自分を鍛えてほしいって言ったっけ)
「シェラの決意はわかった。とりあえず明日から強くなるためのメニューを組むからそれに従って鍛練をすると基礎能力がかなり鍛えられると思うよ」
「ありがとうございます。失礼しました!」
そう言ってシェラは部屋に戻っていった。それと同時にツボミが目を覚ました。
「……誰か来てたんですか?」
「ツボミ、起こしちゃった?ごめんね」
「いえ、気にしないでください」
「ありがとう。さっきシェラが来てたよ。強くなりたいんだって」
「なんだか私の時を思い出しますね……」
「私も同じことを思ってたよ」
「私はあの鍛練メニューで強くなりましたが、同じメニューを組むんですか?」
「似たようなメニューにはするつもりだよ。シェラがどういう戦い方をするかにもよるんだけどね」
しかしディアベルに頼まなくても良かったのかな?見た感じだとディアベルもかなりの強さを持ってると思うんだけど……。
「その内シェラさんも私達の旅に同行するかもしれませんね」
「かもね。まぁそれは彼女次第だよ。じゃあ私はシェラの鍛練メニューを組んでおくからツボミは先に休んでて」
「……わかりました。アンズも頑張ってください!」
「うん」
さて、新しい仲間のためにも頑張りますかね……!
アンズsideout
今回はここまでです。
次回、6人になったディアベル達は早速依頼を分担することに……?