ネトゲをしていたはずの後輩が異世界召喚されて尊敬する先輩の元へ帰るために魔王として頑張る話 作:銅英雄
前の依頼から数日が経った。俺達6人はシルヴィに呼び出されている。
「態々来てもらってごめんね。この前やってもらったばかり悪いんだけど、ディアベルさん達をご指名の依頼だよ」
「ピンポイントで私達を指名ということはもしかしてまた魔術師協会からの依頼かな?」
「えぇ~また罠なんじゃないの?」
シルヴィが俺達を指名する依頼を伝えるとアンズが魔術師協会からの依頼だと推察し、シェラがまた罠なんじゃないのかと勘繰る。
しかしその心配はないようで……。
「あはは、今度のは大丈夫だよ。なんせ魔術師協会の長であるセレスティーヌ・ボードレールから直接ボクが受けたんだからね♪」
「セレスからですか?」
「しかも簡単な割に高報酬だよ!」
「小物の件の慰謝料か……?」
(どうもそれだけじゃないような気がするけど……)
「まぁそういうことだろうね」
「ふぅん……?」
「アンズ……?どうかしたんですか?」
「……いや、なんでもないよ」
アンズは何か裏があるんじゃないかと考えているみたいだ。確かにこの前ボードレールから直接謝罪を受けて尚且つレムがボードレールに追加報告に行ったみたいだからこの依頼は何処か妙だと思ってるんだろう。俺もそう思う。
「……私は行きません」
「えっ?」
「セレスには借りを作りたくありません。普通の依頼なら構いませんが、不要に報酬の高いクエストはお断りです」
(レムは真面目だな……)
「でも正直助かるよね!あたし達あんまりお金ないし……」
『ゔっ……!』
「あはは……」
シェラの金欠発言に俺達は苦虫を噛み締め、ツボミは苦笑いしていた。だからこそアンズの提案を呑んだようなもんだしな……。
「簡単な依頼だし全員揃ってなくても大丈夫だと思うよ」
「どうするのディアベル?」
「ふむ……」
シルヴィが態々6人で行く必要はないと言い、シェラはどうするのかと俺に委ねる。
「ねぇシルヴィ、ちょっと他の依頼を見ても言いかな?」
「うん?いいよ」
「ありがとう」
アンズが他の依頼書を見ている間に俺は1つ考えていた。
(この依頼の報酬を宿代に当てて少しでもレムを楽にさせたいな。それに……)
「…………」
(レムの表情を見ると余程ボードレールに借りを作りたくないのかがわかるしな)
「なあレム、来たくないなら無理して来なくてもいいぞ」
「……そうします」
「レムちゃんは不参加……っと。他の5人はどうするの?」
シルヴィがレムの不参加を確認して俺達にボードレールからの依頼を参加するかを訪ねた。するとアンズがレムに質問をする。
「……私達は6人いる。だから2つ以上の依頼を分担して受けるつもりだよ。レムはこれとは別の依頼を受けるつもりはない?」
「……すみません。私は今日は宿に残ることにします」
「そ、わかった。……シルヴィ、私はこの依頼を受けようと思うんだけど」
「あれ?ディアベルさん達とアンズさん達は同じチームじゃないの?」
「依頼を分担するだけだよ。それで報酬を山分けして金欠から脱しようとね」
「ふーん……成程ね。わかったよ」
こうして俺達は依頼を分担して受けることになった。
「じゃあまずはディアベル達が受ける依頼はどんな感じなの?」
「えーっと、ウルグ橋砦へ差し入れの配達……って書いてるよ」
まずは俺達の依頼をシェラが読み上げる。
「……それだけだとしたら随分楽な依頼だね?」
「ボードレールは本当に慰謝料代わりの依頼のつもりなんだろうな」
「……ウルグ橋砦はここから歩いて1時間もかからない所にあるわね」
オーフェリアが地図を見ながらここからウルグ橋砦の距離を説明してくれた。
それにその間の距離では大した敵はいなかった記憶がある。況してやゲームよりもレベルが低いこの世界では尚更なのだ。
「じゃあ今回レムはお休みってことでそっちの依頼はディアベルとシェラの2人で……っ!?」ピクッ!
「アンズ……?どうかしたのか?」
「……いや、ちょっとね」
(ウルグ橋砦へと向かっている気配がある……。しかもかなりの数だ。100を越えている。ディアベルがいれば然程問題はないだろうけど、数が数だ。ならここは……!)
「やっぱりその依頼はディアベルとシェラ、それとオーフェリアとツボミにも行ってもらおうかな」
「……どういうことだ?それだともう片方の依頼はアンズ1人で行くことになるぞ」
「それはその内わかるよ。オーフェリア、ツボミ、ちょっと耳を貸して」
アンズはオーフェリアとツボミに何やら耳打ちをした。何があるというのだろうか……?
(……それは本当なの?)
(間違いないよ。さっき数が100を越える大きい気配とそれより更に大きい気配が1つあった。それがウルグ橋砦へと向かっている)
(ひゃ、100ですか!?)
(ディアベルがいればなんとかなるかもだけど、流石に数が数だから2人にはディアベルのサポートをしてもらいたい。頼めるかな?)
(そういうことならわかりました。任せてください!)
(私も協力するわ。これから冒険を共にする仲間だもの。助け合うのは当然だわ)
(ありがとう2人共。2人に出会えてよかったよ)
話が終わったアンズが依頼の答えを出す。
「というわけでそっちの依頼にオーフェリアとツボミが参加することになったよ」
「よろしくお願いします」
「……よろしくね」
「あ、あぁ。それはいいんだが、アンズは1人で大丈夫なのか?」
「心配ないよ。私の依頼は報酬こそは少ないけど、ここからは近いし、難易度も高くないから私だけでぱっぱと終わらせるよ」
なんか他にも理由があるっぽいが、詮索してもしょうがないか。
「じゃあシルヴィ、そういう手筈でよろしくね」
「う、うん……わかったよ」
依頼の方は俺達の方に俺、シェラ、オーフェリア、アンズの4人で行くことになり、もう1つの依頼はアンズが行くことになって、レムは宿屋にて待機することとなった。
~そして~
俺達は早速依頼を遂行しようとするのだが……。
「待て、そこの混魔族!」
なんか絡まれた。
今回はここまでです。
次回、ディアベルに絡んだのは……?