ネトゲをしていたはずの後輩が異世界召喚されて尊敬する先輩の元へ帰るために魔王として頑張る話 作:銅英雄
俺達は依頼のために外へ出ようとするんだけど……。
「待て、そこの混魔族!」
「あん……?」
「おまえだな?最近町で噂になっている混魔族とは?噂通りの悪そうな面をしているな」
な、なんだコイツは?なんか矢鱈爽やかな雰囲気を纏っているが……。
「げげっ……!」
「え、エミール……!」
「知り合いかしら……?」
「い、一応……」
「見た目はとてもいい人そうですけど……」
「う、うん……い、いい人だよ……」
硬直してしまったシェラとレムはひとまず置いておこう。
「……噂とは一体なんだ?」
(なんか碌でもない噂のような気がするけど……)
「角の生えた見慣れぬ混魔族が女性に首輪をつけて連れ回していると……。おまえのことだな?混魔族!」
(思った以上に碌でもない噂だった……)
(ドンマイ……)
(ぶふっ……!)
(そ、その内きっと良いことがありますよ……!)
俺が項垂れているなか上からアンズ、オーフェリア、ツボミだった。
おい、オーフェリアはなんで笑ってんだよ?
(というかこれは歪んだ王冠というアイテムで本物の角じゃないんだよなぁ……。外して見せてやろうか?)
「……それでなんだコイツは?」
「冒険者ギルドで1番強いと言われている戦士です」
「その通り!」
コイツがこの辺りで1番強い戦士か……。
「俺様の名はエミール・ビュシェルベルジェール!レベル50を誇るギルド一の怪力戦士であーる!!」ドンッ!
(ギルド一の怪力戦士……?この人はどのような力を持っているのでしょうか?)
エミール・ビュシェルベルジ……長いからもうエミールでいいや。エミールの名乗りを聞いた途端ツボミが興味深そうにエミールを見た。
そういえばツボミも戦士なんだったな。剣をぶら下げてるし。
「角の生えた混魔族め、覚悟しろ!」
(とはいえこの挑戦者が挑戦してくるこの構図こそが魔王プレイの真髄なんだよな。この世界に来てから初めてこんな感じに挑まれるからちょっとワクワクしてきたな。ならそれに応えるのが魔王の務めというものだ)
「……誰の許しを得て名乗ったか小僧よ?」
(ディアベル!?)
(急にどうしちゃったの!?)
(なんかディアベルは楽しそうだね)
(そうですね)
(魔王になりきってるわね……)
「そっちこそ誰の許しを得て2人を引き回している?それにそちらの3人の女性も!」
(……なんだか巻き込まれたのだけれど)
(まぁまぁ、面白そうだから黙って見てよう)
(あはは……)
「女性のことが大好きなのだ!!」ドンッ!
「はっ……?」
(……何処の世界でもいるのよね。こういった女好きが)
(別の世界に行く度に彼のような人間を必ず1人は見るよね)
いきなり何を言ってるんだコイツは?
「レムちゃんとシェラちゃんを奴隷にするだけに飽き足らず、そちらの3人もたぶらかすとは……女性の守護者である俺が許しはしない!!」
「エミール、あのね!」
「この首輪はそういうのではなく……!」
「安心して2人共、今俺が助ける!」
シェラとレムが誤解を解こうとするがエミールは聞く耳を持たなかった。
(……可笑しな奴ではあるが、初めての挑戦者との戦闘だ。ゲームと同じ戦い方をするのか?レベル50ならそれなりの特殊技が使えるはず……)
「行くぞ、混魔族!2人を解放してもらう!!」ガバッ!
(あの構えはソードスマイトか……。一瞬で敵に突進して横薙ぎを繰り出す武技だな。慣れたプレイヤーなら突進部分のみを使って横薙ぎをキャンセルして次の攻撃に繋げるんだよな)
「来い……!」
「はぁっ!」ダッ!
(さて、どう攻撃してくる?)
「はっ!」
(なっ!横薙ぎをキャンセルしないだと!?意表を突いてきたのか?)
「ふん……」ガキィンッ!
「くっ……!驚いたな。これを受け止めるとは!」
「ありえなさすぎて逆に驚いたぞ……」
(今のエミールさんが使った技は様々な攻撃に繋げるための応用に使えそうですね。参考にしておきましょう)メモメモ
俺とエミールは鍔迫り合いの状態になり、ツボミは何処から取り出したのかわからないがメモ帳を取り出してメモを取っている。
「これならどうかな?アルプスフォール!」
(アルプスフォールだと!?あれは威力の高さと引き換えに技の発動までにかなり時間がかかる技だぞ?こんな至近距離でか?)
「……力が高まってくる。この技を繰り出す時が俺様の勝利の時……」
「隙だらけだな」ガンッ!
「ギャフッ!」
技の発動まで待ってやる義理はないので俺はエミールを杖で殴り飛ばした。
「あの技がどんなものか見てみたかったです……」ションボリ
何故かツボミが落ち込んでいるが、触れると面倒なのでスルーしておこう。
今回はここまでです。
次回、エミールの誤解を解いていざ依頼へと出発……?