ネトゲをしていたはずの後輩が異世界召喚されて尊敬する先輩の元へ帰るために魔王として頑張る話 作:銅英雄
ウルグ橋砦へと到着。したはいいんだが……。
「あの男、魔族か!?」
(なんかデジャブ……)
「……なんだおまえらは?俺は別に魔族ではないんだが?」
(正確に言えば魔王なんだが……)
「黙れ!怪しい奴め!!」
「魔族でないならその角はなんだ!?」
(またこれかよ。いい加減取り外してやろうか……)
そう思っていると1人の男が制止をかけた。
「待てみんな、この人は混魔族だ。魔族じゃない!」
「ボリス……」
「多分今町で噂になってる角の生えた混魔族だ。女の子に首輪を着けてるっていう……」
(その噂を流したのは恐らくエミールだな……。良い噂とは言い難いが、助かったぜ)
「あの、私達はクエストで差し入れに来たのですが……」
「早めに終わらせたいから通してくれると助かるのだけれど」
「し、失礼しました。どうぞ」
俺達はウルグ橋砦へと入っていった。
~そして~
「ところでボリス、さっきは俺を魔族と間違えたみたいだがなにかあったのか?」
「はい、実は先程巡回から報告がありまして……。100体を越える魔族の大群がここに向かってきているらしいのです!」
「魔族が!?」
「100体!?」
「……どうやらもう情報がここまできているようね」
「そうですね。アンズの報告通りです」
信じられない報告に俺とシェラに対してオーフェリアとツボミはこんなことを言っている。
「2人共、この事をわかっていたのか?」
「私達もアンズから聞いたんです。100体を越える魔族がこのウルグ橋砦に押し寄せてくると……」
「だから私とツボミもこの依頼に参加したというわけよ」
アンズは100体以上の魔族がここに来ることを予測していたってことか……。マジで何者なんだよ!?
(そもそも魔族って『クロスレヴェリ』じゃどのシナリオでもボス級の扱いだぞ!?それが群れで攻めてくるイベントなんて聞いたことないぞ!つまりこれはゲームではありえない大規模な乱入というわけか……)
「どうなっちゃうんだろ……」
(どうなるって言われてもな……。ゲームよりもレベルが低いこの世界だと考えるまでもなく全滅だろう。抵抗するまでもなく虐殺だな。だが……)
「問題はそこじゃない」
「えっ?」
「そもそもファルトラはボードレールの結界で守られているから魔族は入ってこれない。だから本来はこの遠征自体が魔族には無意味のはずだが……」
「なら魔族の狙いは別にあるということですね……」
ツボミの言う通り何か他に狙いがあるはずなんだが。
するとシェラがその答えを出してくれた。
「今の魔族は魔王クレブスクルムを復活させるためにあれこれ動いてるっていうけど……」
(だとしたら狙いはレムか?レムの体内に宿っている魔王の存在に気付いたということか?)
町に戻るか?いくら俺でも100体の魔族を相手にするのはちょっと厳しいからな……。そう思っているとボリスが俺達に何かを渡してきた。
「あの、これを……」
「これは……?」
「感謝の返事です。葡萄酒の受け取りの証明になるかと……」
いやいや、そんなことしてる場合か!?同じことを思ったのかオーフェリアが俺の気持ちを代弁した。
「……そんなことをしている場合かしら?この非常事態に」
「緊張感がないって言われるかもしれませんが、もしも今日が最後の1日だとしたら……ちゃんと生きたいと思いまして……!」
「貴方達は撤退しないんですか……?」
「お、俺達が撤退したら畑仕事をしていた人達や、足の遅い旅人が困るでしょうから……。皆が町に逃げ込む時間を稼ぐのが俺達の仕事です……!」
(どうやらボリスの覚悟は本物みたいだな……。それに)
「ディアベル……」
(ここで全滅してしまってはこの世界は終わりだからな!)
「……ボリス、おまえの思いは受け取った。あとは俺の仕事だ」
「えっ……?」
「俺が今日を最後の1日にはしない。魔族なんぞ追っ払ってやる」
「そんな……。無茶です!」
「無茶じゃねぇよ。何故なら100体の魔族なんぞ朝飯前だからな」
(すいません、盛りました。結構キツいです)
内心震えているとオーフェリアとツボミが前に出た。
「私達も手伝います!」
「いいのか……?かなり危険だぞ?」
「問題ないわ。私達はそのためにこの依頼に参加したと言っても過言ではないもの」
(成程、アンズはこうなることが予測できていたということか。だとしたら……!)
とにかく今は100をも越える魔族と戦うことを第1にしなくては!
今回はここまでです。
次回、レムとセレスの会話にアンズが混ざり……。