ネトゲをしていたはずの後輩が異世界召喚されて尊敬する先輩の元へ帰るために魔王として頑張る話 作:銅英雄
では今回もよろしくです。
俺達が次の依頼をどうするか6人で話し合っているとシルヴィが宿に尋ねて来た。ちなみに今いるのは俺とレムとシェラが泊まっている部屋な。
「やあ、みんな。元気でやってるかな?」
「まぁそこそこな。……ところでなんの用だシルヴィ?」
「ディアベルさん達が興味ありそうな話を持ってきたんだよ」
俺達が興味ありそうな話?どんな話だろうか……。皆そう思っているとオーフェリアが代表してシルヴィに質問する。
「それってどんな話かしら?」
「エルフの王国からファルトラ市の領主にシェラ・L・グリーンウッドの引き渡し要求が届いたよ」
「えっ……?」
なんだと?……事の真相はわからんが、詳しく聞く必要があるな。
「期日は10日後で、実行しなければ開戦も辞さずってね」
「開戦!?」
「正気ですか!?人族同士で争うなどと……!」
「……穏やかじゃないね」
「なんとか穏便に解決できないかってさっき領主に依頼されてね」
おいおい、まさかとは思うが……。
「おまえはシェラを引き渡すことをクエストとして受けたっていうのか!?」
「落ち着きなよディアベル。流石にシルヴィもそんなことはしないと思うよ。……まぁもしもしてたらこの場に1つ新しい死体が転がってるかもだけどね」
「待った待った!ボクがそんなことするわけないでしょ。魔族の軍勢を撃退しちゃうような人達からボクがシェラちゃんを奪えると思うかい?っていうかアンズちゃんもさらっと怖いこと言わないでよ!」
「……馬鹿ではないみたいだな」
「冗談だよ。……多分」
「今多分って言わなかったアンズちゃん!?」
「気のせい気のせい。とりあえず話を戻したら?」
っていうかもしもシルヴィがシェラを引き渡すような真似をしてたら間違いなくアンズはシルヴィを殺していただろうな。その時のアンズから僅かに殺気が漏れていたし。
まぁアンズがやらなかったら俺がやっていただろうし。
「……ンンッ!それじゃあ困っているボクと領主からのクエストだよ。エルフの王国との戦争を防いでほしい。頼めるかな?」
「戦争を……防ぐ?」
「シェラちゃんを手放したくなかったらってことだよ。まぁどうするかは皆に任せるよ」
「嘘でしょ……?あたしのせいで戦争になっちゃうの?」
シェラが動揺するのも無理はない。自身の身柄1つで母国が戦争をしなければいけないということだからな。
「このままだとね……。だからボクも領主も困ってるんだよ」
(あの時にシェラは家に帰るつもりはないと言っていたはずだが、まだ諦めてないのか?やれやれ……)
「だから私達に上手く戦争を防いでほしい……ということですか?」
「ツボミちゃんの言う通りだね。どうかな?」
ふっ、戦争を防いでほしい?全力で断る!!
(戦争を防ぐってどうやってやるんだよ?交渉?それができるコミュ力があったら今頃俺はリア充人生を謳歌してるっつーの!!そういうのは偉い人達でなんとかしてくれよ!)
……でもまぁ現実はそうはいかないんだろうなぁ。
「ちなみにグリーンウッド王国のキイラ王子がシェラちゃんに対して多額の懸賞金を賭けたらしいよ」
「……なんだと?」
実の妹に懸賞金賭けるってどんな神経してんだよ!?
「兄さんが……?」
「非常識な……!」
シェラは信じられないといった感じでレムは唇を噛み締める。するとアンズがシルヴィに尋ねた。
「それってどれくらいの額なの?」
「平民なら一生遊んで暮らせる額だ……。今後不心得者の冒険者がいつシェラちゃんを狙ってくるかもわからない」
「つまり外を出歩くのは危険……ということか」
「そんな……。そんなのって……」
「シェラ……」
キイラ・L・グリーンウッド……。アイツはやっちゃあいけねぇことを仕出かしたな。
「ディアベル……?」
「シェラ、他の誰がおまえを狙ってきたとしても俺が指一本触れさせはしない」
「ディアベル。そこは俺達はって言ってくれないと駄目だよ」
「そうね。シェラは私達の仲間だもの」
「シェラさんを捕まえようとする不届き者は成敗します!」
「皆……」
「決まりだね」
「ああ、シェラをグリーンウッド王国には渡さん!」
俺達が絶対にシェラを守ってみせる!!
今回はここまでです。
次回、依頼を受けたディアベル達は領主に会いに行き……?