ネトゲをしていたはずの後輩が異世界召喚されて尊敬する先輩の元へ帰るために魔王として頑張る話 作:銅英雄
今現在ディアベルこと俺は2人についていっているのだが……。
「ときにガレウにグリーンウッドよ」
「……私のことはレムと呼んでください。ファミリーネームで呼ばれるのは余り好きではありませんので」
「あたしも~。グリーンウッドって呼ばれるのはなんか嫌だもん!」
年が近い女子を名前で呼ぶのはハードル高いんだが……。
でも確かグリーンウッドといえば『クロスレヴェリ』で登場するエルフの王族の家系だったな。これはよくある王族としてではなく、1人の人間(彼女の場合はエルフ)として見てほしいとかいう感じのやつなんだろう。
全く……。名前呼びなんぞ先輩以外にしたことないが、話が進まなそうだしとりあえず応じるか。
「わかった、レムにシェラ。それでこれは何処に向かってるんだ?」
「近場の町です。とにかく町に戻ってこの隷従の首輪の解除方法を探さなければなりませんから」
成程な……。町に戻れば何かしらの情報が入ると踏んだんだろう。
「もちろんディアベルにも来てもらいます」
(まぁ置いていかれると俺もどうしようもないし、一先ずは彼女達についていってここが本当に『クロスレヴェリ』の世界なのかを把握する必要がある)
「ディアベルがいれば百人力だよ!話せる召喚獣なんて聞いたことないもん!!」
「だから俺は召喚獣じゃない。……そういえばおまえらはなんのために俺を呼んだんだ?」
これから彼女達に力を貸すとしてもその目的がわからないとこっちとしても協力のしようがないからな。
「あたしは色々あって冒険者になったんだけど、まだ自分がどうしたいのかははっきりとわかってない感じだな~」
「……なんでシェラは召喚士になったんだよ」
「なんか召喚獣を召喚するってロマンを感じるんだよね!それに召喚獣がいるとあたしは1人じゃないって思うから……」
召喚獣と友達になれたらいいな的な理由か……。さっきのシェラの表情から察するに恐らくそれだけではないだろうが、その辺りは追々聞いていけばいいだろう。
「私は冒険者として強さを示す必要があるんです。そのために……貴方の力を貸してください」
レムはレムで何かを抱えているみたいだ。何故だか知らないが、こっちの事情は早めに聞いておいた方がいいような気がするな……。
「召喚獣じゃないって言ってたけど、それじゃあディアベルって何者なの?」
「……そういえば先程魔王と言っていたみたいですが」
「ああ、俺は魔王と恐れられている者だ!」
今一度自分が魔王であることを示す。これで俺の威厳的なものは保たれたと思いたい。
「本当に魔王だったんだ!すごい……!あたし初めての召喚で魔王呼んじゃった!!」
「私が呼んだんです」
「あたしが呼んだんだよ!」
「私です!」
「あたし!!」
また喧嘩してるし……。もうちょっとなんとかならんもんかね?
「おまえらは喧嘩ばっかりで……。町に行くんじゃないのか?」
「行く行く!ディアベルがいれば召喚術士として冒険者登録できるんだから~!」
鼻歌を歌いながらシェラは俺とレムの一歩前をはしゃぐように歩く。おいおい、ちゃんと前を見て歩かないと……。
ドンッ!!
「きゃっ!」
「おっと……」
言わんこっちゃない。前方の人にぶつかったじゃないか。それにしても尻餅をついたときにシェラの胸部がものすごく揺れていたな……いかんいかん!雑念は捨てろ八金当麻!!
「いった~い!!」
「何やってるんですか……」
「ちゃんと前を見て歩け」
「えへへ……ごめんごめん!」
「私達はともかくあの人に謝りなさい駄エルフ」
「もー!駄エルフって言わないでよ!……ごめんなさい。大丈夫ですか?」
シェラがぶつかった人に謝罪する。
「ん?私は問題ないよ。そっちこそ怪我はない?」
「は、はい!大丈夫です!」
「ふふっ、元気がいいね」
「それがあたしの取り柄ですから!!」
すごいなこの人……。あの一瞬でシェラと仲良くなってるぞ。まぁシェラのコミュ力が高いのもあるんだろうがそれでもすごい。
その人を見てみるとレムやシェラにも負けない美少女で何故か西部劇に出てきそうなガンマンのような格好をしていた。
「……っと、私はそろそろ行くよ。本来ならば自己紹介とかしなきゃいけないんだろうけど、それはまた次の機会ということで」
そう言って彼女は去っていった。なんだか独特の雰囲気があるというかすごい大物の予感がするな……。
「……私達も行きましょうか」
「そうだな」
早く町にいかないとな。
???side
町に向かう途中である3人組と遭遇した。1人は見るからにエルフという感じの少女。1人は猫耳と尻尾を生やした少女。そして最後の1人は如何にもRPGでいうところの魔王な少年だった。
(『この世界』ではあの3人が中心になりそうかな?次に会ったときには色々と聞きたいものだね)
そう思っていると2人の少女がこっちに来た。彼女達は私の仲間である。
「待ったかしら?」
「いや、大丈夫だよ。2人は何をしてたの?」
「花を見てたんです。この世界の花はとても綺麗だったので……」
「……ついつい時間を忘れてしまったわ」
「楽しそうで何よりだけど、早く町にいかないと。このままだと野宿することになるよ」
「そうですね。急ぎましょう!」
「ええ」
私や彼女達のことはまた何れ……。また彼らに会ったときということで。
???sideout
ここは『クロスレヴェリ』であったファルトラという辺境都市だ。町並みなんかもゲームと類似している。やはりここは『クロスレヴェリ』の世界なのか……?
「着きました。ここが宿屋です」
「とりあえず中に入ろ~!」
2人に促されて宿屋に入ると……。
「こんにちはっ☆宿屋『安心亭』の看板娘、メイちゃんだよっ☆」
(あざとっ。一気に不安になったわ)
何が『安心亭』かと思っているとシェラがとんでもないことを言い出した。
「……ねぇ、ディアベルをあたしの部屋に泊めたいんだけど」
(は?待て待て!ウェイトウェイト!!年頃の男女が1つ屋根の下は不味いだろうが!!)
「おい、それを本気で言ってるのか?なんで俺がおまえなんかと……」
「だって余分に借りるお金ないし……」
(なんでだよ!召喚するならそういう最低限の金銭は持っておけよ!!)
それくらいの準備くらいしておけよ全く……。
「その必要はありません」
おお、言ってやれレム!
「ディアベルは私の部屋に泊めます」
(レムータス!おまえもか!?)
「ええ~!なんで!?」
「ディアベルは私が召喚したのですから主として当然です」
「ディアベルを召喚したのはあたしだよ!」
また喧嘩……。こいつらどんだけ喧嘩するんだよ。
「も~、受付で揉められると迷惑だよ~?」
ほら見ろ、看板娘(笑)の受付嬢もそう言ってるだろうが。
「追い出すよ……?」ギロッ!
「「っ!!」」
(うおっ!今のはヤバイ。とんでもない威圧感だ……。あの人は怒らせると面倒だな)
こうして俺達は3人で1つの部屋に泊まることとなった。
これからどういう展開になってくるんだ?
今回はここまでです。
次回はディアベル達にある人物が訪ねてきて……?