ネトゲをしていたはずの後輩が異世界召喚されて尊敬する先輩の元へ帰るために魔王として頑張る話 作:銅英雄
レムが泣き疲れて寝てしまったので俺は外の空気を吸いに行くために宿屋を出た。
(とりあえずレムの信頼はある程度勝ち取ったと思っていいかな……)
ふと夜空を見上げる。今頃先輩は何をしているんだろうか。俺がいなくなって心配してくれているのだろうか?
「おい、そこの混魔族!」
「あん……?」
声をかけられたのでその方向を見ると昼間の小物を筆頭に魔術師協会の連中がいた。
「やっぱり昼間の奴だな。こんな時間にふらつくのは見過ごせんぞ。亜人は野蛮だからなぁ!」
俺を馬鹿にしたように嘲笑う連中。いやいや、酒飲んでふらついている奴等に言われたくないんだけど……。
(くだらんな……)スッ
「なんだ?逃げるのか?」
「気安く話しかけるなと言ったはずだ。それに俺は小物に構うほど暇ではないのでな」
そう言って立ち去ろうとすると小物は酒瓶を投げつけた。おいおい、こんな奴が魔術師協会なのか?ボードレールも大変だな……。
「小物じゃない、ガラクだ。無礼な態度は許さんぞ!」
「人に酒瓶を投げつける奴が礼儀がどうと言うつもりか?滑稽だな」
「僕は魔術師協会の長に近い地位にいるんだぞ!」
(それおまえがそう思い込んでいるだけなんじゃね?)
「おまえのような誰の役にも立たない塵とは違うんだよ!」
確かに俺はこの世界に来たばかりわからないことが多いし役に立つことも少ないだろう。
だがそこまで言われるようなことではないはずだ。しかも小物に言われたことで苛立ちが膨れ上がる一方だ。
そう思い俺は小物を睨み付けた。
「」ギロッ!
「っ!……貴様は一目見た時から気に入らなかったのだ。はぁっ!」
小物は俺のことを気に入らないようでどうやら召喚獣を使って攻撃するようだ。
(この世界に来て初めて召喚獣を見るな……。さて、どんなものかね?)
「ふはははは!無礼な態度もここまでだ!この後貴様は命乞いをすることになるぞ!全てを焼き殺す最強の召喚獣だわからないことが。いでよ、サラマンダー!!」
「グォォォォッ!!」
小物はサラマンダーを召喚した。実物はでかいな……。
「が、ガラク!町中で召喚獣は……!」
「煩い!……レベル30のサラマンダーだ……!」
(レベル30って弱くないか?『クロスレヴェリ』の世界のこの町だと平均レベル60前後のはずなんだが。所詮は小物というわけか……)
「謝ればちょっと火傷するくらいで許してやるよ。尤も強力過ぎて死んでしまうかもしれんがな……!」
(ウワー、ソレハコワイナー)
「いけ、サラマンダー!あの混魔族を焼き殺せ!!」
「グォォォォッ!!」
(結局殺すのかよ!!)
内心で突っ込みながら俺はサラマンダーの炎を受けた。
「ははははは!!」
「や、やっちまった……」
「煩い!これは制裁だ!!」
(まぁ効かないんですけどね)
「こんなものか……」
「なっ……!」
「レベル30ならこの程度か」
「こ、殺せ!サラマンダー!!」
サラマンダーはもう1度炎を吐く。
「やれ……!やれやれ!無礼な役立たずは殺してしまえ!!」
「1つ教えてやろう……。俺のレベルは150だ」
「ひゃ、150!?馬鹿な……。そんな奴が……そんな奴が存在するはずがない!殺せ!サラマンダー!!」
「エクスプロージョン!!」カッ!
サラマンダーよりも速く俺は魔術を使った。消し飛んでいくサラマンダーを見ながら俺は呟いた。
「俺に慈悲を期待するなよ……!」
そしてサラマンダーは消えてしまった。
「な、何故だ……。こんなことはありえない……!」
(結構力を抑えたつもりなんだが、強さまでゲームで俺達が鍛え上げた魔王そのままなのか……)
先輩と一緒にやり込んだゲームの力が俺のこの世界でのディアベルの力になっているというわけだな……。
「只の亜人だろ……?役立たずの塵がなんでこんな……」
なんかブツブツと言っている小物に近付くと小物は訴えるように発言した。
「おまえは一体何者なんだ!?」
「我が名はディアベル……。異世界から来た魔王だ!」
(うん、もうディアベルでいいや。この世界ではディアベルとして過ごそう)
「お、覚えてろ!」
小物達は逃げるように去っていった。
(小物は逃げる時も小物なんだな……)
そう思っていると……。
パチパチパチパチ。
後方から拍手の音が聞こえたので振り返る。
「良いものを見せてもらったよ」
拍手の持ち主である1人の女性が佇んでいた。
今回はここまでです。
突如現れた女性は何者なのか……?次回、ディアベルは女性とある会話をする……。