ネトゲをしていたはずの後輩が異世界召喚されて尊敬する先輩の元へ帰るために魔王として頑張る話 作:銅英雄
「サラマンダーに対してのオーバーキルな魔術……。中々愉快だったよ」
クスクスと笑う女性を見る。黒のボブカットに黄色い瞳、細い身体ながらもシェラと同じくらいの胸の大きさを持っていた。
「そんなに見ても私は何もしないよ。ちょっと君と話をしたいと思ってね」
「おまえは誰だ?」
「おや?昼にも会ったはずなんだけどね」
「なんだと……?」
(こんな綺麗な女性と会ったら忘れることなんかないはずなんだが……)
「……ああ成程ね。そういうことか」
女性は何かを察すると懐からテンガロンハットと呼ばれる薄茶色の帽子を取り出してそれをかぶった。
「これならわかるかな?」
「おまえは昼間の……」
確かシェラがぶつかった薄茶色のコートにそれと同じ色のテンガロンハットを身に付けた女性だった。
「その通り、また会った……とは言ってもまだ名乗ってなかったね。私はアンズっていうんだ。よろしく」
「……ディアベルだ。アンズは俺に何の用なんだ?」
「さっきも言ったけど、君と話がしたくてね」
「話……?」
何の話するつもりなんだ?
「そう、君の世界についてね。……単刀直入に聞くよ。君がいた世界は魔法や剣などは全てゲームになっている……所謂現実世界から来た人間だね?」
(なっ!この人……俺が現実世界から来たことを見破っている!?)
「驚いているみたいだね。なんでわかったのかって顔をしてる。簡単だよ。私も君と同じで現実世界から来た人間だから」
この人も俺と同じで異世界転生されてここに来たというわけか……。
「いや、少し違うかな……。私は今までに様々な世界を旅してきたんだよ」
「様々な世界だと……?」
「うん、私が元々いた世界は麻雀が有名なところで麻雀で競い合う世界だった……。そこから不思議な力を使って優劣を決めるための戦いする世界、さっきの人みたいにここでいうところの召喚獣を出して戦う世界、船に乗って海賊と戦う世界、あとはゲームの勝敗によって全てが決まる世界なんてのもあったね。まぁ他にも幾つか行っているけど、とりあえずはこんなところかな」
彼女は俺とは違って様々な世界を冒険してきたみたいだ。にわかには信じられない話だが、かなりの信憑性があった。もしも立場が違えば自分がそうなる可能性を感じたからだ。
「それで私は今宿にいる連れが2人いて3人で行動してるんだけど、まだこの世界のことはよくわからなくてね。そこでディアベルにお願いなんだけど……」
「お願いだと……?」
「私にこの世界のことを教えてくれないかな?最低限のことでいいんだ。お金の稼ぎ方とか……。私達はこの世界に来たばかりで右も左もわからない状況なんだよ。それでも行き当たりばったりでなんとかこの町には辿り着けたけど、それにも限界があるしね」
「……それを教えて俺に何か得があるのか?」
「……そう言われると弱いね。困ったときは君達の助けになるってことでどうかな?」
(う~ん、確かに彼女からものすごく強者の雰囲気がするし、レムの問題にももしかしたら妙案があるかもしれないな……)
「いいだろう。まずは何が知りたい?」
「教えてくれるの!?ありがとう!まずはね……」
それからも俺はこの世界についてアンズに教えた。
~そして~
「ありがとうディアベル!じゃあ明日早速冒険者ギルドの方に行ってくるね!」
そう言ってアンズは去っていった。
(それにしてもあの人はもしかしたら俺よりも強いかもしれないな。彼女から感じられるオーラというかなんというか……。シェラのように無邪気な所もあればレムのように冷静な一面もある。彼女は様々な世界に行ったと言っていたが、そこから得た物なんだろうか……?)
そう考えながら俺は宿屋に戻った。
今回はここまでです。
次回、ディアベルの初クエスト!ディアベル達は冒険者ギルドに向かう。そこで起こる騒動とは……?
設定
ディアベル
スペックは原作のディアヴロと殆ど同じ。
違いはある程度コミュ力があること、魔王の口調で話さないこと、やれやれと溜め息を吐くタイプの性格といった感じですね。また随時設定を追加するかもです。
アンズの設定に関してはまた何れ……。
とりあえず言えることはアンズは私が書いている小説からの友情出演ということです。
では次回でお会いしましょう。