ネトゲをしていたはずの後輩が異世界召喚されて尊敬する先輩の元へ帰るために魔王として頑張る話 作:銅英雄
では今回はよろしくです。
(朝か……。昨日は色んなことがありすぎて眠れなかったな)
突然『クロスレヴェリ』の世界だと思われる異世界に召喚されたり、豹人族のレムとエルフのシェラに隷従させられるかと思いきや逆に俺が2人を隷従させてしまったり、魔術師協会に所属している小物に目をつけられたり、同じ境遇を持つ美少女アンズと出会ったり……。
これから俺はどうするべきなのか……。レムの問題解決しつつシェラの問題にも関わっていけたら……というかシェラにその問題を聞かなくてはいけないわけだが、その前にとりあえず……。
「ディア……ベル……」
「すぅ……すぅ……」
(この2人を起こさないとな。このままだと事後みたいになってしまう)
「おい、2人共さっさと起きろ。今日は冒険者ギルドの方に行くんだろ?」
「んぅ……そう…ですね。すぐに準備してきます……」
レムがまだ少し寝惚けた感じで洗面台へと向かった。レムは朝が苦手なのか?でもまぁ……。
「うぅん……。あと50年……」
(此方よりかは幾分かマシだがな。どんだけ寝る気なんだよ……)
呆れながらシェラを見つつ、さっさと起こした。
~そして~
俺達は冒険者ギルドへと向かっているのだが、あることが気になって俺は町の連中に目をやった。
(ドワーフにグラスウォーカー、豹人族にエルフ、そして混魔族。人間が見当たらないな……。見る限りだと一般の人間は1人もいない。ちょっと聞いてみるか)
「この町に人間がいないみたいだがなんでだ?」
「ここは亜人達が住む区画です」
「人間は殆ど来ないよ~」
(……となると昨日の小物やボードレールみたいに訪れるという形でしか人間はいないと見ていいな。アンズはこの光景を見てどう思ってるんだろうか)
どうやらこの世界は俺が知っている『クロスレヴェリ』よりも人間と亜人で溝があるらしいな……。益々アンズには住みにくいだろうに。同じ異世界出身としてだろうか応援というか同情したくなる。
(まぁだから昨日も小物があんなに突っ掛かって来たんだろう。人間は亜人に、亜人は人間に何かしらの悪感情を持っている奴が多いと判断しても良さそうだな。例外はあるだろうが……)
もう1つ気になることを思い出したので俺は再び2人に質問をする。
「ところでこの世界はレベルという概念で強さを計っているのか?」
「う、うん……。れ、レベル……。あたしはまだないかな……?」
なんでシェラはそんなにしどろもどろなんだ……?そう思い俺はレムの方を見た。
「私はレベル40の召喚術士です。今向かっている冒険者ギルドにはレベルを判定する方法があるのですよ」
俺が昨日アンズに勧めた冒険者ギルドも俺達が向かっている所である。アンズのレベルがどんなものか気になるというのもあるしな。今度会ったら聞いてみよう。
「そ、そうそう!あたしがレベルないのはまだ冒険者登録してないからで、もし計ったら40とか50だよ!」
「貴方のレベルは10とかでしょう。まぁ少なくとも平均より10は低いでしょうね」
「そんなことないもん!」
「あります」
(しかし妙だな……。ゲームでのこの町の平均レベルは60はあるはずだ。小物の時はたいして気にならなかったが、もしかしてこの世界は全体的にレベルが低いのか?)
「冒険者登録を済ませたらクエストを受けることが出来ますので、クエストを受けに行きましょう。2人にも宿泊費を稼いでもらいますからね」
うん、俺も年下に養われるのはちょっとな……。そのためにもどんどんクエストを受けたいもんだな。
~そして~
冒険者ギルドに着いたのはいいんだが……。
「舐めてんのか?おお!?」
「舐めるか!汚ぇだろうが!!」
(おいおい、えらく殺伐としてるじゃねぇか……)
「少々騒がしいですが、いつものことです。冒険者登録は2階でしますよ」スタスタ
レムはいつも通りだと言わんばかりに2階へと上がった。適応力高ぇな。その内に俺も慣れていくんだろうか?
「あ、あぁ……」スタスタ
「う、うん……」スタスタ
2階に上がる途中で見覚えのある小物がいたのは気のせいであってほしい。
~そして~
「シェラ・L・グリーンウッド。出身は……」
(文字が読めん。この世界の独自言語なんだろうが……)
「おいシェラ、俺の分も書いてくれ」
「いいの!?
「細かい作業は好かないからな」
「やった!なんかあたしが主っぽいよね!」
「むぅ……」
なにやらレムがむくれているが、なんかしたか……?そう思っていると受付嬢がとんでもないことを言い出した。
「で、では最後に此方に血判をお願いします……」
(け、血判だと!?まぁ命を賭ける冒険をこれからするわけだから当然なのか……?)
「少量で大丈夫ですよ」
「うぇぇ~、あたしやだな~」
その気持ちはわかるぞシェラ!俺もこういうのは得意じゃないからな!!
でもやらなきゃ先に進めないしやるしかないな……。
「こんなので躊躇してたら冒険者なんか務まらんだろ」
(注射と一緒って考えたら……いや、俺注射も苦手じゃん!こうなったらやけくそだ!)スパッ!
ブシャアッ!
(やべ、斬りすぎた……。ペットボトル1本分くらい血が出てる。後ろで2人が小さく悲鳴を出してるし、受付嬢も涙目で怯えてるし……)
「とにかく次だ」
「そ、そうだね!これは……?」
「魔力の強さを測定する鏡です」
「でも何も写ってないよ……?」
確かこれに魔力を込めると自分のレベルがどれくらいのものかわかるんだったよな。
「手で触れて魔力を込めてみてください」
「こ、こう?」スッ
シェラが鏡に魔力を込めるとシェラが鏡に写し出された。成程、実際はこうなってるのか。
「わぁ、すごいですね!えっと……睫毛が数えられるほど綺麗に写るのが胸元までだからレベルは……」
「いくつ!?」
「30ですね!」
「そんなぁ~!レムに負けた……」
「私を越えよう等と身の程知らずだったのです」
その割にはほっとした表情だったなレムよ……。
「……なんですか?」
「いや、なんでも」
(レベル30で受付嬢の反応を見る限りだと高評価っぽいけどな。レムのレベル40もひょっとしたらこの辺りではトップクラスなのかもしれん)
「つ、次の方どうぞ……」
「ああ」スタスタ
俺の番だな。というか受付嬢に怖がられてるんですけど。俺の見た目とさっきの出来事が重なって余計にそう見えるんだろうな……。
(魔力を込めるっつったってどうすればいいんだ?とりあえず鏡に触れてみるか……)スッ
その瞬間に鏡に稲妻が発生してそこからとてつもない波動が流れた。
「な、なんですか!?」
「なんか怖い!!」
「ぴゃあ~!!」
(こりゃヤバイな……。とにかく手を離さなきゃ!)バッ!
俺が鏡から手を離すと誰かが慌てて駆けてきた。
「今の波動はなに!?」
「ギ、ギルマス~!」
(こいつがギルマスか……。っていうかなんつー格好してるんだ!)
「ボクはファルトラ市の冒険者ギルドのギルドマスターをやっているシルヴィ。お兄さん達、ちょっといいかな?」
~そして~
所変わってシルヴィの書斎的な場所で俺達はシルヴィと対面する。
「鏡があんな風になったのは初めてでね。正直うちでは君を扱うことはできないんだ」
「えっ?」
「どういうことですか?」
「君が高レベルの冒険者なのは間違いないけど、どれ程高いのかわからないんだよ。はっきり言って人智を越えてる」
「だから俺を登録したところでどんな依頼を任せていいのか判断できないと言いたいわけか……」
「その通り!……強い人を登録できるのは有り難いけど、ボクは君より弱い。そんなボクに命令されて君は納得できる?」
シルヴィの懸念はそこにあるわけか……。
「正規の報酬さえ支払ってくれたら此方としてはなんの問題もない」
「……面白い人だね。わかった。これからよろしくねディアベルさん♪」
「ああ」
シルヴィと握手を交わしたと同時にまた波動が起きた。
『ええ、また!?』
3人が同じことを思ったのと別に俺はこの波動の正体を推察していた。
(この波動はまさか……!)
「君達はそこで待ってて!ボクは登録所を見てくるから!!」
「俺も行く。この波動の持ち主を見てみたい」
そう言って俺はシルヴィに着いていき登録所へ走る。そこには……。
「おや、ディアベル。昨日ぶりだね」
やはりというかそこには異世界の旅人であるアンズが2人の少女を連れてそこにいた。
アンズはこの光景に対して苦笑いだった。
今回はここまでです。
次回はディアベル達とアンズ達との自己紹介です。