Fate/Grand Order 略してFGO。
俺はこのゲームの一プレイヤーで、アタランテ推しである。
ちなみに今は深夜二時。ゲームをやり終えたところだ。
アタランテ
親に愛されず生まれてすぐに捨てられ、その後月の女神アルテミスの聖獣である雌熊に育てられ、狩人の集団に引き取られた親の愛を知らない女。
それ故に子供好きで、聖杯に託す願いはこの世すべての子供たちが愛される世界。
「親の愛…………か」
俺も親の愛は知らない。何故なら、もともと体の弱い母は俺を生んですぐに死んだからだ。
俺のせいで母は死んだ。そのことを父は恨んでいる。それこそ、親戚の家に預けるくらいには。
たまに会うことはあるが、会話はしない。
育ての親も自分たちの子供でないからか、俺に対する態度はどこかよそよそしい。
そんな家庭環境で親の愛を知れるはずがない。
母は俺のことをおそらく愛していたのだろう。
そうでもなければ死の危険を覚悟で俺を生んでくれるはずがない。
…………理解できない。
会話すらしたことのない子供のために命を捨てるその精神が。
もちろん母親には感謝しているが、それと理解できるかは別だ。
よく周りの人間に「お前自己中だな」といわれるので、俺は相当利己的な人間なのだろう。
この自己中心的な性格がなおるまで理解することはない。
育ての親も、愛というよりは利益を優先して俺を引き取ったのだろうと思う。
一般家庭のうちとちがって、実の父は大企業の社長を務めていて、その収入は高額だ。
俺を育てるための支援金も多い。おかげで、俺は趣味に金をかけられるし、育ての親の生活も安定している。
育ての親は、金に釣られて俺を引き取ったのだ。俺の育ての親もなかなか利己的だ。
自分も周りも利己的だから、他者への愛がわからない。
…………だから理解できないんだ。愛という感情が。その感情を抱いた人間がなぜ命を捨てるような行動をするのか。なぜ母は俺のために死んだのか。
毎日それを考える。答えが出ないと分かっていても、考えずにはいられない。そして、答えは出ないまま寝てしまって。またいつもどうりの朝を迎える…………
……………………はずだった。
気づけば森の中にいた。
◆
おい何処だここは!?なぜ寝て覚めたら森の中なんだ!?
そんなことを思いつつ、俺は起き上がろうとするが…………
動けない…………だと…………!!
手足は少し動かせるが、起き上がれる程ではない。つまり…………
大ピンチ
無人の森、動けない体、サバイバルなど無経験。仮に経験していたとしても、動けない体では意味がないと思うが。
不安で少し泣きそうだ。誰か何とかしてくれ。
自分で何とかしろ?動けない体でどうしろと。
そんな不毛な自問自答を続けていると、本当にその誰かが現れた。
しかもかなり美人の女だった。女神と見まがうほどに。
何!こんなご都合展開が本当に!?俺はいつ主人公になったんだ!?
まあいい。都合が良ければそれに越したことはない。うん。とりあえず声をかけよう。
「おぎゃぁ~~(助けてくださ~~い)」
ん?なんかおかしかったぞ?うん。…………ではもう一度
「おぎゃぁ~~(助けてくださ~~い)」
うん絶対おかしい。なぜ俺が話した言葉は全て赤ん坊の泣き声に変換されるのか。
思考すること十秒。
結論。俺が赤ん坊だから。
…………ハッハッハ、冗談はよし子さん。
…………フィン・マック―ルのネタを出しても、この結論が現実であることは揺るがなかった。あと超恥ずかしかった。ダジャレなんて言うもんじゃない。
俺が内心羞恥に悶えている間に助けに来た美人は俺を抱き上げた。そして微笑んだ。
その微笑みは天上の神のごとく美しいもので、つい見惚れていた。
「ヤッダ~この子すっごい将来性ある~。よ~し、聖獣と近くに住んでる狩人に育てさせて信者にして、英雄になってもらおっと」
けど一瞬だった。
なんだこのテンション。さっきまでの俺の感動を返してほしい。正直幻滅もいいところだ。
そんなことを思っているとも知らず、助けてくれた美人はいつの間にか現れた雌熊に指示を出している。
「この子が狩人に引き取られるまで、あなたがこの子を育てるのよ。いい?」
「ガウッ」
…………俺はこれから熊に育てられるのか。……………………ん?
森、赤ん坊、女神のような美人、それに従う雌熊、近くに住んでいるらしい狩人、それに引き取られる赤ん坊。
まさか…………この体の持ち主は…………
アタランテ…………………………………………なのか?
アポクリファでは過去編?にアルテミスらしき神が出てきたのでちょっと登場させました。
この神に信仰をささげるアタランテさん。不憫。