アタランテに憑依した愛を知らない男   作:海・海

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森での出来事
現状と転生特典


この体がアタランテのものだという衝撃の事実が判明したわけだが、だからといってやることは変わらない。

雌熊の母乳を吸って平和に生きるだけだ。

 

よく転生もののラノベで今世の母の母乳を吸って気まずくなるシーンがあるが、熊相手にそんな気まずくなったりしない。

 

あ、母乳の味は意外とおいしかった。聖獣だからだろうか?

 

 

 

 

 

 

さて、食事も終わったことだし、これからのことについて考えよう。

 

とりあえず今はこうして熊の母乳を吸ってるだけでいい。問題は狩人が俺を引き取ってからだ。

 

狩人達は徹底してこの体に狩りの技術を叩き込むだろう。その教育に現代っ子の俺がついてこられるか。

まあそれはこの体のスペックに期待するしかない。将来英霊の座に登録されるくらいの体なら大丈夫だとは思うが。

 

問題はアルゴー船に乗ってからだ。いくら名をはせる英雄が同乗するとしても、船長がイアソンなのは不安が残る。

イアソンはFGOでは才能も無くそのくせ自己顕示欲が強い。クソ最悪な性格。ワカメみたいなやつだ。

火事場の馬鹿力、とことんまで自分が追い詰められた時の形勢逆転能力が強いのは理解しているが、逆に言えばそこまで追い詰められないと何もできないということだ。

平常時は足を引っ張り、足を引っ張らせないためには緊急事態に追い込ませないといけない。

 

 

 

…………そんなリスキーな旅はごめんだ。

 

 

 

そんな旅を乗り越えたあとはカリュドーンの魔猪を討伐。

これを機に名をあげて求婚者が一気に押し寄せたが、徒競走で負けた求婚者を虐殺。

 

そのあと神様に黄金の林檎をもらったヒッポメネスがそれを使ってアタランテを出し抜いて徒競走に勝って結婚したり、ヒッポメネスと神殿で性行為におよんだ罰としてケモミミ尻尾付きにされたりといろいろあるわけだが…………

 

 

 

ダメだ。先のことではなく今のことを考えなければ。今は雌熊のおかげで特に危険はなく安全に過ごせている。

今のうちにできることはしておかないといけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから一週間が経過した。

 

といっても一週間でできることなんてたかが知れてる。せいぜい腕や足を必要以上に動かして鍛えるくらいだ。

それ以外には、転生特典と自分とアタランテの現状を調べるくらいだった。

 

 

 

そしてわかったことは、この体にはアタランテの自我が残っていることだ。

俺が朝寝ぼけていると、この体が何と勝手に泣き出し始めた。意識がはっきりしていくのと同時に、アタランテの体を動かす自分以外の意思を感じ取ったので、とっさに主導権を奪った。

おそらくこれはこの体の本来の持ち主…………つまりアタランテの意思だと思う。

 

正直ほっとした。アタランテの人格が自分が憑依することで生まれなくなってしまうのは惜しい。アタランテは人間として優れた精神の持ち主だ。決して俺のような人間が消していいような人じゃない。

それにもしアタランテの人格が残っていなかったら、俺はこれからアタランテとして振る舞わなければいけなくなる。

見ず知らずの子供のために戦う感情など理解できない俺には、アタランテに成り代わるなどとても無理だ。

 

 

 

次に、転生特典のことだ。今のところ二つだけ見つかっている。

 

先に言っておくが、これは能力としてはショボく、チートを期待してた人には申し訳ないが戦闘面では役に立ちそうもない。が、それ以外の場面では便利な能力だ。

 

一つ目の特典が幽体離脱。

文字通り、魂が肉体から離れて霊体として活動する能力だ。

霊体の姿は赤ん坊(アタランテ)の姿と前世の最後の姿、二種類を自由に切り替えられる。

前世の最後の姿がどんな姿かって?冴えない黒髪黒目の16歳だが。

霊体の時はなるべくアタランテの姿でいようと思う。冴えない男より美人の女の姿のほうがいい。皆もそう思うだろう?少なくとも俺はそう思う。

 

二つ目の特典は魂魄記録閲覧(こんぱくきろくえつらん)

 

魂に記録された情報を自由に見ることができる能力だ。

脳に記憶された情報は時がたてば忘れてしまう。だが、魂に記録として残された情報は劣化することなく保存される。

俺はなぜかその記録を自由に見ることができる。

分かりやすく言えば、前世の俺の脳が忘れてしまった知識や思い出すらも()()として見ることができるということだ。

 

他にも特典はあるかもしれないが、今のところ分かっているのはこれだけだ。

 

さて、現状の整理も終わったことだし、これからのことについて考えるとしよう。

 

 

 

 

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