現実ではドキドキを   作:akatsuki4612

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さて、どう説明しよう

「すいません、カフェラテ1つ」

 

俺は空いている席に座った後、注文を取りにきた店員にカフェラテを注文した後、店員がカウンターの方に行くのを確認してから俺は携帯を見る。

 

今日は休日であり家に居たところ、数少ない友人の佐藤から連絡が来てDDLCの感想を聞きたいというものであったがとりあえず近くの喫茶店で待ち合わせをする事にしたのだ。

 

少しして、店員が頼んだカフェラテを持ってきてテーブルに置いた後、ごゆっくりどうぞと言って下がっていった。

 

俺はカフェラテをストローで少し混ぜた後、ゆっくりと飲んでいたらお店の扉が開けられたのでそっちの方を見ると佐藤が入ってきていた。

 

佐藤は俺の方に気付くと、歩いて俺の向かいのある椅子に座る。

 

「遅かったじゃないか」

 

「おいおいこれでもまだ5分前だぞ、お前がいつも早すぎるんだよ」

 

俺がそう言うと、佐藤は呆れたように俺に言う。待ち合わせの20分前ぐらいが丁度いいんだ。俺はそう思ってる。

 

店員が佐藤に注文を取りにきたので、あいつはカフェモカを頼んでいた。

 

店員が下がっていったのを見て俺に話しかけてきた

 

「それで、DDLCはどうだった?」

 

「どうも何もお前に騙されたよ」

 

俺がそう言うと、佐藤は少し笑いながら俺も友達に騙されたんだよねと言ってくる。

 

「それで、今何処まで行ってるんだ?」

 

「文芸部でモニカと二人きりのところかな」

 

店員がカフェモカ持ってきて佐藤の所に置いたあと、店員はごゆっくりどうぞと言って下がっていく。

 

「そこだったらもうすぐ終わるじゃないか、話は全部聞いたのか?」

 

「ああ、一応な」

 

「だったらモニカのデータ消せば先に進めるぞ」

 

「いやまぁ……そうなんだけどさ」

 

「もしかしてお前、データ消すの渋ってるのか?」

 

「まぁ……な」

 

言えない、モニカが俺のパソコンか飛び出してデータ消すどころの話じゃないなんて。そして今家に居るだなんて。……言えないよなぁ。

 

「確かにモニカはお前が前に言ってた事に全て当てはまってるけどなぁ……エンディングが見れないぞ?」

 

「まぁそこは動画で見るから……」

 

俺はそう言ってカフェラテを飲み干す。佐藤もカフェモカを飲み始める。

 

「前のお前なら、動画で見るのは嫌だと言って自分でやってた癖に……何があったんだよ?」

 

いやいや、モニカが画面の外に出ただけだよ〜、ただそれだけなんだ。うん。

 

そんな事を考えている間に佐藤はカフェモカを飲み干した後、

 

「久しぶりにお前の家に寄ってもいいか?」

 

「うぇ!? 俺の家はちょっと……」

 

「なんだよ、なにかやましい事でもあるのか?」

 

「そんなんじゃないけど……」

 

俺が言い渋っているとなら決まりだなと言われ決定してしまう。

 

……どうしようかなぁ。隠れてもらっとくか? そうしてもらうしかないかな。

 

とりあえず、携帯でモニカにそう連絡しておく。まあこれでいっか……

 

俺はお持ち帰りでカフェラテを頼み、それを紙袋に入れてもらった後、自分の支払いをまとめて行ってから外に出る。佐藤も支払いを終わらせた後、外に出てきて俺に追いついてくる。

 

「それにそてもなんで俺の家に行くんだ?」

 

「まあ久しぶりにお前と遊ぼうかなとか思ってたし、一緒にfpsでもしようかと思ってな」

 

なんか持ってきてんなと思ったらノートパソコンを持ってきてたのか。

 

「生憎だが俺のパソコンは壊れてるけどな」

 

「は? この前買い換えたばっかだろ?」

 

「いや、なんか爆発した」

 

「爆発って……」

 

佐藤は呆れた顔をしながら頭を悩ませていた。

 

「そういや何故お持ち帰り用を頼んだんだ?」

 

そして佐藤は俺の持ってる紙袋を指摘する。

 

「それは……なんとなくもう一杯飲みたいし?」

 

苦し紛れにそう言い訳すると、あまり興味が無かったのかすぐに他の話になった。

 

そうして話している内に住んでいるマンションに到着する。

 

鍵を開けて入っていった後、エレベーターを使って3階まで行き歩いて自分が住んでいる305号室に到着する。

 

それにしてもモニカは上手く隠れることができたのだろうか。……一応既読になってるから問題はないはず。

 

鍵を使ってロックを解除してから扉をゆっくりと開ける。……ふぅ、今の所は大丈夫か「おかえりなさい、狩谷君」……前言撤回、もう駄目だった。

 

玄関の扉を開けた先にはモニカが立っていた。隠れる気ゼロじゃねえか!

 

「なんで隠れてないんだよ……!」

 

「なんで隠れる必要があるの?」

 

俺が小声でそう言うとモニカはいかにも疑問を抱きながら言ってくる。

 

少なくともあなたはゲームのキャラクターなんです! それが現実にいるなんておかしいの!

 

「おい、何かあったのか?」

 

佐藤があまりに入らないので俺に何があったかを聞いてくる。

 

「あ……」

 

「誰なんだ、その人は?」

 

佐藤にモニカがいること見られてしまう。さて……なんて説明しよ。

 

「あの子は親戚の桃加で、コスプレ好きの人なんだよ」

 

「ほう……」

 

俺がそう言うと、佐藤は納得している

 

「もしかして、モニカのコスプレか?」

 

俺はモニカにそう質問した。よし、このままモニカ頷いてくれれば騙せるぞ。

 

「コスプレじゃないわ、私はモニカよ? 」

 

モニカは何言ってるの?と言いたそうな目で此方を見ている。……あちゃー、誤魔化す気はないのか? 佐藤の方を見ると苦笑いをしている。よかった、信じてないみたいだ。

 

「あの子はなりきりをしているのか?」

 

佐藤が聞いてきたのでまあそんな所かなと答えておいた。

 

俺はモニカにカフェラテを渡してから自分の部屋へ入る。

 

「うわぁ……見事に爆発してんなぁ」

 

佐藤はどうしたらこうなるんだと呟いていた。

 

「メーカーに言ったら交換してくれるかな……?」

 

「流石にこれはキツいような……」

 

「だよなぁ……」

 

仕方ない犠牲だと思っておくか……このパソコン自体、かなり安く売ってあってそれを買ったからなぁ……それに謎の機能が付いてたし……

 

「じゃあ暫くはPCゲームできないのか……」

 

「そうだなぁ……」

 

動画とかも携帯で見ることになるかなぁ……はぁ……俺のパソコン……

 

あっどうせだからDDLCの動画でも見るか、丁度気になってたし。

 

「DDLCの動画見るからパソコン貸してくれ」

 

「ああ、ほらよ」

 

佐藤からパソコンを貸してもらい電源を入れてからパスワードを打ってもらった後、動画サイトに行ってからDDLCの動画を見始める。

 

もちろんシーンはモニカと二人きりのところである。話では聞いたが、やはり見てみたいものである。

 

俺は動画を再生してじっくり見る。モニカとの会話は結構種類ありその内容もタメになるのもある。

 

そしてモニカとの会話に種類が無くなり、動画ではモニカのキャラクターファイルを削除する。

 

モニカはプレイヤーに嫌いになった等、罵倒雑言を浴びせ

しかし、モニカはプレイヤーを結局は嫌いになれず、それでも愛していると伝えてくる。

 

そしてモニカは他の3人のデータを実は消してないことを告白し、正常に出来るように自分がいない状態でこのゲームを再開させる。

 

しかし、モニカはいなくなっても今度はサヨリがモニカと同じ様にしてくるがそれをモニカが阻止して、このゲームに幸せはないと悟り、このゲームを削除すると言い、エンディングに入る。

 

エンディングでは、彼女が練習していたというピアノを弾きながら歌う。曲名は『Your Reality(君のいる世界)

 

そうして、エンディングが終わった後に1つの手紙が渡される。

 

それはモニカからの感謝の手紙であった。夢を叶えてくれてありがとう、部のみんなと友達になってくれてありがとう、文芸部の一員になってくれてありがとう。そう書かれていた。最後に永遠の愛をこめて、モニカと書かれていた。

 

「おう、どうだった?」

 

佐藤が見終わった俺に感想を聞いてくる。俺は俯きながら答える

 

「なんだかモニカはとても可哀想だよな……プレイヤーの事が好きなのにそれを邪魔され、やっと二人きりになれたと思ったら愛した人自身に削除される、俺だったらそいつの事は嫌いになるよ……」

 

「でもモニカは嫌いになれなかった、それが自分自身の意思なのかプログラムによって言わされたのかわからないけど俺はそんなモニカの事を凄いと思ってる。」

 

「じゃあモニカのことは好きなの?」

 

「さあな、そこは時間を掛けないとわかんないけど少なくとも嫌いではないし好感はもてる……そんな所かな?」

 

「ふふっありがとう」

 

……ん?、なんだかおかしくないか? なんであいつがお礼を言うんだ? というか、さっきの質問といいあいつの声じゃなかったような……

 

そう思いつつ顔をゆっくりと上げると、モニカが俺を覗き込むように見ていた。

 

「うわああああああ!! 」

 

思わず後ろに下がりながら悲鳴を上げてしまう。

 

「……いつからいた?」

 

「動画を見始めたところからよ」

 

まじかよ……ほぼ最初からじゃねえか、どうしてくれんだ。

 

「まあいいじゃない、減るものではないんでしょう?」

 

減るとか減らないとかの問題じゃなくてな……

 

「あの〜桃加さんって何者ですか? さっきまで居なかったのに急にこの部屋にいるし……」

 

そんな事を思っていると、佐藤は困惑しながら質問してくる。

 

「さっきも言ったけどモニカよ、このDoki Doki Literature Club!のゲームキャラクターのね」

 

「でもモニカはゲームキャラですよ? 存在する訳が……」

 

「じゃあ貴方の名前を当ててみましょうか?」

 

そう言ってモニカはパソコンに手をかざして何かを探る様に目を瞑って集中している。

 

「貴方の名前は佐藤君ね、どう合ってる?」

 

「……合ってます」

 

佐藤は驚いた顔をしながらそう答える。

 

「ちなみに検索履歴や保存してあるゲームとか言えるけど、言った方が信じてもらえるかな?」

 

「いえ、信じます……」

 

というか信じざるを得ないよな、これ

 

「なんでモニカが現実にいるんだよ!!」

 

「いや、なんかやってたら出てきちゃった」

 

佐藤が質問してきたのでそう答える。間違ってはないよな。

 

「というかデータ消せねえよ!! この状態じゃ無理だろ!! 消すのが辛いわ!!」

 

うわあ、佐藤がキレッキレのツッコミをしている。こんなあいつを見るのは初めてかもしれん。

 

「それで……二人はどんな関係なの!?」

 

そうして佐藤はツッコミやめて心を落ち着かせながら質問してくる。

 

「ただの同居に「結婚を前提に付き合ってるわ」……こいつ!?」

 

「そうか……あっもうこんな時間か! 俺はそろそろ帰るわ!!」

 

佐藤はノートパソコンを片付けてから鞄に入れて立ち上がる。

 

あっおい待て何帰ろうとしてんだ。おい待てよ!!

 

「それじゃあごゆっくり〜」

 

そう言って佐藤は駆け足で部屋から出ていき玄関の扉が開く音がした。

 

……まじで帰りやがったあの野郎。

 

「そういえばなんであのシーンを見てたの?」

 

すると思い出したかのようにモニカが質問してくる。……見た理由ねぇ……? それはやっぱり

 

「気になったから……かな?」

 

ただその理由しかない。モニカは此処に居るがもし居なかったらどうなるか、それが気になった。

 

「私もそうなる運命だったんだろうけど……あなたに助けて貰って今ここにいる。とても感謝しているわ」

 

モニカは微笑みながら俺に感謝の言葉を告げる。

 

「ちなみにデータを削除しても嫌いになれなかったのはね」

 

そう言いながらモニカは俺に近づき、俺の耳元でひっそりと言う

 

「……なるほどな、それなら仕方の無いことなのかもな」

 

「でしょ?」

 

俺がそう言うとモニカはにっこりと笑う。

 

「そういや今度モニカのピアノを聴かせてくれないか? どうにも気に入ってしまったんだ」

 

「あら、それは嬉しいわ!」

 

期待して待っててね、とモニカは言った。

 

……といっても家にはピアノが無いしなあ。そこはどうにかするしかないか。

 

「ところでいつになったらご両親に挨拶しに行くのかしら?」

 

「それはもう少し時間を!!」

 

なんやかんやでモニカと一緒に過ごすのも悪くない、俺はそう考えた。

 

 


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