無表情のこころさんがつきまとって来るんだが!? 作:白亜霧雨
申し訳ありません。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎてしまって、ついには夕方になってしまった。
「なんかあっという間に時間が過ぎたな」
「そうですね。では帰る準備をしましょうか」
そうして俺たちは準備を始めた。
パラソルを片付け、使ったゴミを片付け、そして。
「来る前より綺麗になったんじゃないか?」
「海に来る人全員がこうだったら海のゴミが減らせるのにね」
と、小傘が言った。
「確かにな」
「あ、小谷くん。お腹空いてきたから一緒に焼きそば買いに行こう!」
「はあ? 焼きそばって、今夕方だからやってるところ少ないぞ? ていうか、今女子の間で焼きそばでも流行ってんの? こころも食べてたぞ?」
「そうなの? でも今は私が食べたいの! お〜い、鳥羽く〜ん! こっころ〜ん! 焼きそば買ってくるね〜!」
それに対しての答えはOKだった。
夕陽によってキラキラと光る海を横に、俺と小傘は歩いていた。
ギリギリ焼きそばを買うことができ、だらだらと道を引き返しているところである。
そんなとき、小傘が1つ質問をしてきた。
「小谷くんは今、付き合っている人とかはいるんですかー?」
「えらく唐突だな。残念ながら答えはノーだよ。そもそも好きな人すらいない。お前は?」
「私も付き合ってはいないです。でも、好きな人はいます」
「へぇー、どんな奴だよ」
「その人は他人の変化によく気づいて、優しく接してくれる人ですよ。見ず知らずの私に対しても助けてくれましたし」
「すごい好きなんだな。小傘にそこまで好かれているとは、相手もさぞかし幸せだろうな」
小傘は困ったような笑みを見せて、
「どうでしょうね」
と、答えた。
「少なくとも私の好意には気づいていないようですし、私も自分の気持ちを隠すのは上手い方だと自負しているのでなんとも……」
「ふーん。大変なんだな。でも、その恋が実ることを祈ってるぜ。頼りないかもしれないけど相談にも乗るしな!」
「…ありがとう。小谷くん」
本当に、ありがとう。
私が小谷くんを好きなのは、そういうところなんだよ。
私は小谷くんの前に立ち進路を塞いだ。
潮風に揺れる髪を手で整えてから私は、想いを告げる。
ふられたらどうしよう、とか。
嫌われたらどうしよう、とか。
そんなことは考えなかった。
考えたら、告白なんてできないと思ったから。
考えたら、今も昔も変わらない惨めな自分のままだと思ったからだ。
緊張から足が動かなくなる。
呼吸もしづらい。
動悸も速くなる。
私は目を閉じ、1つ深呼吸をしてから。
想いを告げる。
「小谷くん。中学生の時に初めて会った時から好きでした。今小谷くんに好きな人がいないんだったら、私と付き合ってください」
小谷くんからの返事があるまで、私は頭を上げられないでいた。