無表情のこころさんがつきまとって来るんだが!? 作:白亜霧雨
学校が終わって下校中。
周りは車が通っていたり、公園で子供が遊んでいたり、すごくのどかで俺ものんびりしたいな。と思っていたがどうやらそんなわけにもいかなくなったらしい。
「小谷くん。公園で子供が遊んでいますよ」
こいつのせいで。
何? 何なの? どうしてこいつがいるんだ?
いや、普通なら嬉しいイベントだろう。
だって幼馴染と二人きりの帰り道で表情は無くとも紛いなりには美人のこころだ。たしかに嬉しいかもしれない。
でもこいつ俺がどんな時間に帰ってもいつのまにかそばにいるんだ。
早く帰っても遅く帰っても、時には家から反対方向のゲーセンで遊んでから帰ったりした。
なのにいつのまにか一緒に下校している。
単純に怖いよ! だれか助けてくれ!
「小谷くん。あそこのベンチで休憩しましょう」
「はあ? 休みたいんなら勝手に休めばいいだろ? 俺は先に帰らせてもらうぜ」
そう言って帰路についた俺の背後からこころが、
「一緒に休んでくれないんですか?」
と、言われた。
「ああ、休まないよ」
「このままだと話が終わってしまいますよ? 第二話終了です」
「………。」
「と、言うわけで、ベンチに座ったのはいいが何をするんだ?」
「いえ別に、私はただこうしていたかっただけです」
「そうか」
この公園。小学生なのだろうか? やけに小さい子が多い気がする。
そういえば、昔はここでこころと遊んでいた気がするな。
「そういえば、昔はここでよく遊んでいましたね」
「………。」
なーんで思っていること全部かぶってんのかなー?
心読めるの? こころだけに?
「わたしたちが初めて会った日のこと、覚えていますか?」
「初めて会った日? ………。そんな昔のこと忘れたよ。俺が思い出せるお前との昔の記憶なんてこころがお金持ちだったってことだけだよ」
「……そうですか。このままだと本当に休憩するだけなので」
「それ、逆に言えば休憩しなくてもよかったんじゃないか?」
そしてこころは話し始めた。
「一つ、昔話をさせていただきます。あるところに家が厳しい子供がいました。」
その子供は何をしても怒られ、家にいるのにうんざりしました。
そこで家出をすることにしたのです。
家に出るのは習い事や幼稚園に行く時しかなかったため、初めて自分で外に出たこの日は世界がすごく明るく見えました。
ですが、その子供は迷子になってしまいました。
右も左もわからない、そんな状態で、ついには泣いてしまいました。
そんな時。
「どうしたの? なんで泣いてるの?」
と、声がしました。
それは同年代の見ず知らずの男の子でした。
子供はその男の子のおかげで家に帰ることができました。
「今日はありがとう。家まで送ってくれて」
「へへッ、どういたしまして」
「……あの……その、また会えるでしょうか」
「はあ? 当たり前だろ? 俺らはもう友達なんだから」
この子供にとって、男の子は絵本の中の白馬の王子さまそのものでした。
それからというもの、家出したことにより多少は怒られたものの、厳しすぎるとよくないということで、外出が許されるようになって男の子と遊ぶようになりました。
「ふーん、それ実話?」
「ええ、そうよ。私のよく知る人の話」
「そんで? どうなったの?」
「?」
「いや、実話なら今現在も生きているんだろ? 今はどうしてるのかなって」
「………。今もその男の子と一緒の学校に行ったり一緒に帰ったり、とても充実した日々を送っているわ。……とても」
「ふーん。じゃあその男の子も充実してんだろうな」
「あー、いや、そんなことはないみたい」
「え?」
「ていうか、もう覚えていないみたい」
「そ、そうか」
「そろそろ帰りましょうか」
「お、そうだな。帰るか」
そしてわたしは家に帰るのだった。
白馬の王子さまと一緒に。