ものすごく遅くなってしまいました!
申し分ありません‼
少佐が「たっち・みー」という名の純白の聖騎士に助けられ、肩に掴まれと言われ、言うとおりにすると、少佐の視界がグルリと回り景色が溶ける様な感覚に襲われたが瞬きをするほどの間でその感覚から解放される。
だが、少佐は余りの景色の変わり様に驚愕する。
恐らくは沼地、しかし、ただの沼地ではない。
その水はまるで、ウミウシやアメフラシが威嚇の際に分泌する紫色の体液を数倍濃縮しぶちこんだかの様な、これでもかとばかりに明らかな有害色の液体がゴボリと、
音をたてて湧いている。少佐の知るどんな汚水よりも有害であろう沼地を、たっち・みーは平然と歩いていく。
バシャバシャと音をたてて歩くが、たっち・みーの鎧は理屈は分からないが汚泥や汚水で汚れている様子は全くない。
少佐が毒の沼地を見て立ち止まっているのに気づいたたっち・みーは
「どうした?毒耐性はあるだろ?こっちだ。」
「(毒耐性?)まぁ何事も経験か……」
たっち・みーに急かされて、少佐は渋々沼地に足を踏み入れる。
不思議な事に沼地である筈のそこは、バシャバシャと音はなるものの普通の地面を歩いている感覚と大した差はなかった。
「ここだ。さぁ入ろう。」
「?……ほぅ。」
少佐は沼地に気を取られ、岸から50メートル程の場所にある
墓地と思われる建造物に気が付かなかった。
まさに墓地。THE墓地という程に墓地墓地しい外観とは異なりどこか統一性を感じさせるそこは何者かが頻繁に出入りし、手入れを行っているのだろうと推測する。
「ここが君たちの拠点という訳かな?たっち・みー君」
「ハハッ、呼び捨てで構わないよ。
そうだ、ここには私の仲間達もいる。是非君を紹介したい。そういえば君の名前は……」
「少佐、と呼んでくれ。」
「そうか、では案内しよう少佐殿」
たっち・みーはそう言うと恐らく霊廟と思われる場所の前に立ち止まり、こめかみに指を当てて何やら話出す。
「あー、モモンガさん?お久しぶりです。今ナザリックの地表部にいるんですけど、ちょっとここにくる途中で異形種狩りを目撃しまして、その被害者の人を連れて来てるんですよ。だから敵じゃないんで……
はい。えぇ、まぁ、はい、すみません、よろしくお願いします。第六階層ですね。分かりました。
……よし、じゃあ行こうか少佐!また私の肩に捕まって貰えるかな」
さすがに二回目ともなると、また何処かにテレポートするのだろう。恐らくこの墓地の地下6階に当たる場所にテレポートするんだろうと予想した少佐の考えは正解であり、不正解でもあった。
少佐は地下6階、つまり地下室の様な物を想像したが、そこはどう見ても外、燦然と輝く夜空が見事に映える美しい場所。
とても地下とは思えない。
古代ローマのコロッセオを彷彿とさせる闘技場に少佐は呆気にとられる。
少佐があまりにも想像とかけはなれた景色に圧倒されたのも束の間、視界の端に見えた四人の人外の存在が一気に少佐を現実へと引き戻す。
「あれがたっちさんが助けた人か、凄まじい位エロスを感じねぇ。」
「黙れ愚弟。」
「やれやれ、たっちさん?ギルド長に断りもなく部外者をナザリックに連れてくるなんて、軽率じゃないですか?」
「まぁまぁウルベルトさん。直前ではありますけど事前に連絡があったから良いじゃないですか」
人と鳥が混じった様な生物に、その鳥人間を愚弟と呼んでいる事から恐らく姉であろうピンクのスライムらしき怪物。
黒い羊を無理矢理、人の形に変えたようないびつな化け物、悪魔の手本のような悪魔。
その悪魔をなだめる死の体現者、死神と言って差し支えない骸骨。
人外は正直見慣れていると思ったが、思った以上の人外感に驚きはするものの、不思議と恐怖は感じない。見た目はあの彼以上に人間離れしているというのに。
「ふむ、たっち・みー君、あれが君のお仲間かな?ずいぶんバラエティーに富んだお仲間の様だな。」
「あぁそうだ。本当はもっと多いんだけどな。今日は来てないみたいだ。
いやー、モモンガさんお久しぶりです。ペロロンチーノもぶくぶく茶釜さんもウルベルトさんもお元気そうで
紹介しておきますね。さっき異形種狩りにあっていた少佐さんです。種族は見ての通り吸血鬼、レベルは5。初心者みたいで多分あんまりユグドラシルの事も分からないみたいなんですよ。」
「で?たっち・みーさん、そんな初心者プレイヤーを助けただけでなくわざわざ此処まで連れて来た理由は?」
ウルベルトと呼ばれていた羊頭の悪魔がたっち・みーに疑問を投げ掛ける
「どうかなと思って、新しいメンバーに。」
「「「「……」」」」
四人とも黙ってしまうが、数秒程で骸骨が口を開く。
「まぁ私は別に構いませんが」
「モモンガさんが良いなら、あたしも良いよ‼」
モモンガと呼ばれていた骸骨に続き、ぶくぶく茶釜なるスライムも同意する。
「ありがとうございます、モモンガさん、ぶくぶく茶釜さん。」
「俺は認めねーぞっ!」
ペロロンチーノと呼ばれていた鳥人間が急に叫び出し、
「おや、珍しくペロロンチーノと意見があったな。」
ウルベルトがそれに続く。
「……まぁ理由を聞こうか、まずはペロロンチーノから」
「メンバーにするのは別にいいけどさ、今日いきなり来た新参者を仲間と呼べるか?ってことだよ!信用できねーよ!」
「全くだな。まぁ私の場合はメンバーにするのもいかがな物かと思うがね」
「じゃあどうすればいいんだ?」
「たっちさん、俺に面接させてくれ。」
「その次は私だ。」
唐突に面接官ペロロンチーノの面接が始まった。
何処からともなく丸机と2つのパイプ椅子とスタンドライトが出現し、面接というよりは取り調べが始まった。
「じゃあこれから面接を始める!俺は厳しいからなっ!覚悟しておくように‼」
「ふむ、了解した。」
泰然自若と言う他ないほどの少佐の余裕の態度にムムムと唸るペロロンチーノ。
「聞きたい事が一つだけある」
「ほぅ、何かね?」
「あんたに取っての……エロス……とは?」
「はい、茶番劇はそこまでだペロロンチーノ。お前の反対は却下された。って言うかお前、暇潰しの為に反対しただろ!まったく!」
たっち・みーが後ろからペロロンチーノの首根っこを掴みズルズルと引きずって行く。
「待ってくれ!たっちさん!否っ、様ぁ!少佐さんの答えを聞くまで待ってくれよぉ!」
「その通りだ待ちたまえ、私への面接は終わっていない。たっち・みー君、その面接官君を離してはもらえないかね?私はまだ答えてはいないのだよ?」
「ほらなっ!なっ!離せぇぇぇっ!!」
ジッタンバッタン暴れるペロロンチーノをフル無視しつつ、たっち・みーは少佐への疑問を口にする。
「いいんですか、少佐さん?不快じゃないんですか?」
「ふむ、確かに驚きはしたが不快とは違うな。
至極シンプルに私の予想が外れて驚いたというだけの話だ。」
「……まぁ、少佐さんが嫌ではないなら。」
たっち・みーは掴んでいたペロロンチーノの首根っこを離し、元の位置に戻る。
ペロロンチーノは少佐の元までとぼとぼと歩いていく。
少佐が飛ばないのか……と思っていると、椅子に座り直したペロロンチーノから
「ありがとう、んじゃ答えを聞かせてくれ‼
あんたに取ってエロスとは?エロとは?」
と切り出される。
「まぁ、私に取ってエロスとは、追い求めるもの、アテの無い旅、または道と言っても良いだろう。その道中で人は様々な好みに出会い自己を形成していく。それは趣味趣向、好き嫌いにも言える事だ。そして死ぬ時までエロスの道は止まらない。私に取ってエロスとはそう言うものだ。」
ガタッ‼とペロロンチーノが勢い良く立ち上がり、右手を差し出す。
「合格だっ!ようこそアインズ・ウール・ゴウンへ!
今日からあんたは仲間、いやっ!同士だ!よろしくなっ!!」
「フッ、こちらこそよろしく頼むよ我が友よ。」
少佐はゆっくりと立ち上がり、ペロロンチーノと熱い握手をかわす。
「うーん、モモンガさん。どう思いますか?」
「まぁ二人が良いなら良いんじゃないですか?」
「さて、では次は私の番だ。」
面接官がペロロンチーノから、ウルベルトへと変わる
「まぁなんだ、楽にしてくれていい。
俺も聞きたい事は一つだけだ。
……君にとっての【悪】とは?」
「……フフッ」
「ん?何がおかしいのかな?」
「いや、失礼。下らないことを聞くなと、思ってね。」
「下らない?」
自分の質問に対するまさかの反応に少し不快感をにじませるウルベルトを尻目に少佐は飄々と語りだす。
「人はすぐに正義か悪かで物事を判別したがる。
正義を正気、悪を狂気と。
時代と共に移ろいでしまう、そんなあやふやな物を正義だ悪だのと議論する。全くもって度しがたい。
では逆に聞こうか。そんなあやふやな正義の正気を。そんなあやふやな悪の狂気を、一体どこの誰が保証してくれるのかな?」
「……合格だ。あんたなら間違いない。」
「フフ、そうかね?お眼鏡にかなって何よりだ。」
かくして少佐はギルドアインズ・ウール・ゴウンの新メンバーとして迎えられたのであった。
何かアレですね、少佐の狂いっプリが半分も出せてない気がしてしまいますね。
また、次の話を投稿するまでかなり月日が空くと思いますのでご容赦ください。