屍人フレンズ   作:ドラ麦茶

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4・しょうがっこう

 きいきいと耳障りな金属音を立てるドアをゆっくりと開けると、中は真っ暗で何も見えなかった。しかし、それも少しの間だけだ。しばらくすると、幻視の能力のおかげで、ぼんやりと見えてくる。中をぐるりと見回すと、バスケットのゴールに跳び箱、バレーボールのネット、名前は知らないが複数の木の梯子を横に並べた器具、などが見えた。小学校の体育館である。あたしは、ゆっくりと中に入った。すると、バタン、と、勝手にドアが閉まる。開けようとしても、ビクともしない。

 

「一方通行のドアです」あたしと一緒に中に入った安野さんが言う。「このドアは、内側からは絶対に開きません。なので、前に進むしかないです」

 

「外からは簡単に開くのに中からは開けられないって、ずいぶん謎仕様なドアですね。どういう仕組みになってるんでしょう?」

 

「外側から屍人さんが押さえているって説が濃厚です」

 

「……なんで屍人はそんなことをするんです?」

 

「さあ? しょせんは屍人さんのすることなんで、気にしても仕方ないです。それより、先に進みましょう。暗いので、ライトを点けますか」

 

 外は月夜なのでライトが無くても行動に不自由は無かったが、体育館内は月明りが入らないのか真っ暗だ。それでも幻視能力のおかげで見えないことも無いのだが、さすがに全く明かりが無い場所ではかなり視界が悪い。あたしはライトを点け、周囲を照らした。

 

「……何でしょう、これは?」

 

 体育館内をぐるりと照らして驚くあたし。さっきは暗くてよく見えなかったが、体育館の窓という窓には、すべて内側から木の板が打ち付けられてある。どおりで暗いはずだ。さらに奇妙なのは、壁や天井、バスケットのゴールや木の梯子のかたまりなど、いたるところにワイヤーロープのようなものが巻きつけられていることだ。

 

「屍人さんが封鎖したんですね」安野さんが言った。「この村の神様は、太陽の光を極端に嫌うんです。なので、屍人さんには、建物内に陽の光が入らないようあらゆる窓を塞ぐ風習があるんですよ。言わば、神様を迎える準備ですね」

 

「変な風習ですが、まあ、宗教の風習というのは、えてしてそんなものかもしれませんね」

 

「そうですね。日本人が年末に家を大掃除し、しめ縄や門松を飾って鏡餅を置くようなものですから」

 

「それで、ドアは開かない、窓も封鎖されている状態で、あたしたちはどこから出ればいいんでしょうか?」

 

「この体育館の隣に校舎があり、渡り廊下を通って行くことができます。残念ながらその校舎の玄関も封鎖されていますが、一階の奥に小倉庫があり、その中に通用口があります。そこが唯一の脱出口ですね」

 

「じゃあ、そこに行きましょう」

 

「ただ、その通用口のある倉庫は、鍵がかかっていて入れません。この学校内のどこかに落ちていますので、それを探してください」

 

「またそんなことをやらせるんですか。安野さん。いい加減にしてください。あたしは、一刻も早く現世に戻りたいんです。安野さんの遊びに付き合っているヒマは無いんですよ」

 

 あたしがそう言うと、急に安野さんの表情が変わった。

 

「……今、遊びと言いましたか? あたしが、遊びでこんなことをやっていると思ってるんですか?」

 

「え……えっと、どうしたんですか、安野さん。急に、怖い顔して」

 

「宮崎さん。あたしは、生きている人間にはどうあがいても絶望だったこの異界を、何年もかけて安全な場所にしたんです。屍人さんの言葉をマスターし、屍人さんたちを一人一人説得して人間を襲わないようにさせ、時には煉獄の炎で燃やすぞと脅迫まがいのこともしました。同時に、天界で修業をして現世と異界を自由に行き来する能力も身に付けたんです。全ては、まれに迷い込んでくる人間を無事に帰すため。もしあたしがいなかったら、宮崎さんはとっくに屍人さんの仲間入りをしていたかもしれないんですよ?」

 

「それを言われると弱い。その点は、安野さんに感謝しています」

 

「だったら、少しくらいあたしの遊びに付き合っても、バチは当たらないと思いますが?」

 

「遊びなのは認めるんですね」

 

「そうですね。遊びであることは認めざるを得ないです」

 

「判りました。確かに安野さんの言う通り、あなたがいなかったらあたしはどうなっていたか判りません。仕方ないので、あたしも心のスイッチを切り替え、この異界を楽しんでみることにします」

 

「ありがとうございます。では、鍵を探しましょう」

 

 と、いうことで、あたしは体育館内を探索する。この羽生蛇村小学校折部分校は、村にある唯一の小学校だそうだ。児童数はかなり少なく、二学年を一クラスとしているらしい。体育館も非常に狭い。あたしが通っていた小学校も結構な田舎にあるが、その体育館の半分くらいの広さだろう。正面に校長先生が月曜の朝に挨拶をする舞台がある以外、探索するような場所は無いように見えた。とりあえず舞台の方へ行ってみる。舞台の上には演台と垂れ幕くらいしかなかったが、舞台そでに地下へ下りる階段があった。下りてみると、小さな倉庫になっていた。中は、毛糸を丸めたようななんだかよくわからないものと、バールのようなものが置いてあった。

 

「バールのようなものではなく、正真正銘のバールです」安野さんが言う。

 

「このバールを使って、窓に張り付けてある板をはがすことはできないんでしょうか?」あたしは訊いてみた。

 

「屍人さんの窓封鎖が甘い段階なら可能でしたが、今は完全封鎖してますので、ムリでしょう」

 

 確かに、板が張り付けられてるだけならともかく、鋼鉄製らしきワイヤーが張り巡らされている状態では、バールでの脱出は難しいだろう。

 

「武器として使うことも可能ですが、持っていきますか? 重いので正直使いにくいですけど、なにがなんでも娘を護りたいと思う愛があれば、最強の武器と化します」

 

「と、いうことは、かつてこのバールを武器に戦った人がいたということですね?」

 

「その通りです。高遠(たかとお)玲子(れいこ)さんと言って、この小学校で教師をしていました。高遠先生は教え子の四方田(よもだ)春海(はるみ)ちゃんと一緒に異界に巻き込まれたんですが、先生には、事故で娘を亡くした過去があり、春海ちゃんに娘の姿を投影していたようです。そのため、今度こそ娘を死なせないと、張り切ってました。普段は優しい先生なんですが、屍人と戦う姿は鬼神そのもの。容赦なくバールのとがっている方で殴っていたそうです」

 

「それはまたパワフルですね」

 

「はい。それだけ、春海ちゃんを護りたいという思いが強かったんでしょう。それで、このバール、どうしますか?」

 

「そうですね。確かに武器にはなりそうですが、持って行くのはやめておきます。なんと言うか、そのバール、高遠先生という人の怨念みたいなものを感じるんですよ」

 

「そうですか。さすがは霊感体質。正直、あたしも持って行かないのが正解だと思います。バールは、ゾンビと戦う武器としては定番ですが、実際は、さほど有効な武器ではないと言われています。まず、重い割にリーチが短いのが欠点ですね。ゾンビの弱点である頭を狙うのには、かなり近づかないといけません。また、その構造上、殴ると相手に刺さりやすいのが最大の欠点です。ゾンビは痛みを感じませんから、刺すという行為は避けた方がいいんです。抜けなくなったら、武器を失うことになりますからね。これらの欠点は、屍人さん相手にもほぼ同じことが言えます。屍人さんはゾンビと違って痛みを感じますが、自分の不死性を理解していますので、痛みを恐れず襲って来るんです。なので、やはり身体に刺さってしまうのが致命的になります」

 

「……と言うか、屍人さんはもう人間を襲わないんじゃないんですか?」

 

「その通りです。だから、そもそも武器は必要ありません」

 

 つまり持って行くかどうかを訊いたのはミスリードということか。引っかかって持って行ったら無駄に体力を消耗するところだった。バールはその場に置いておく。他にめぼしい物も無かったので、あたしは校舎へ向かうことにした。校舎は体育館の隣にあるらしい。さっきあたしたちが入って来た裏口のちょうど反対側にそれらしき出入口があるので、そこから渡り廊下に出る。渡り廊下とは言っても、屋根も壁もある屋内型なので外に出ることはできない。校舎まで続く廊下の途中に、もうひとつ倉庫があった。中には跳び箱や体育マットなどの用具が収められている。こちらがメインの倉庫のようだ。確実に何かゲットできそうな雰囲気を醸し出しているので、調べてみることにした。ぎしり、と、床が軋む。ライトで足元を照らすと、木の板を組んでできた床だった。どうやら校舎は木造のようである。最近ではおしゃれ感を出すために新校舎をノスタルジック漂う木造にする学校もあるらしいが、この校舎はただ古いだけだろう。ところどころ床が抜けている場所もあった。

 

 倉庫内を調べてみたが、用具の中に使えそうなものは無かった。しかし、すぐ立ち去ることはしなかった。先ほど心のスイッチを早く帰りたいモードから探索モードへ切り替えたあたしの頭脳がピンときた。床下が怪しい。さっき、床が抜けている所があった。ライトで中を照らすと、キラリと反射する光。あった。鍵だ。さっそく取ろうとしたが、穴が狭くて手が入らなかった。

 

「取るには、なにか道具が必要ですね」なんだかうれしそうな口調の安野さん。

 

「まさか、また火掻き棒とか言うんじゃないでしょうね?」

 

「残念。不正解です。この鍵は、火掻き棒で取ることはできません。引っ掛ける所がありませんから」

 

 安野さんのいう通り、鍵にはキーホルダーも何もついておらず、本体だけの状態だ。何かで引っ掛けて取るのは無理だろう。

 

「あ。じゃあ、さっきのバールを使うんですね」

 

「バールでもムリですよ。引っ掛けられませんから」

 

「いえ、そうじゃなくて、バールで床板を外せば、簡単に取れませんか?」

 

「…………」

 

「…………」

 

「バールをそんな風に使うなんて、反則です」

 

「え? むしろ、バールはそういう風に使うものではないでしょうか?」

 

「現世ではそうかもしれませんが、異界では違います。バールの用途は、屍人を殴るか、窓の板を外して学校から脱出するか。そのふたつ以外、使ってはいけません」

 

「変な縛りがありますね。じゃあ、どうするんですか?」

 

「それを考えるのは宮崎さんの役です」

 

「だから、あたしの考えは『バールを使って床板を外す』です」

 

「ダメです。バールは使えません。仕方ないですね。ヒントを教えます。校舎の二階の一番奥に教材用の倉庫があります。そこに、使える物があるかもしれません」

 

「二階の奥まで行ってまたここに戻って来るんですか。随分と手間のかかるイベントですね」

 

「この異界パークのイベントは、大体そんなもんです」

 

「やっぱり、バールを使って取りましょう」

 

「やめてください。判りましたよ。裏技を使って、少しイベントを短縮しましょう」

 

 そう言うと、安野さんは倉庫の外に出て、廊下の先にある校舎へ入るドアを開けた。そして、手のひらをメガホンのようにして口に添えると、「おーい!」と、大きな声で叫んだ。すると、びくん、と、身体が震え、目の前が一瞬赤くなる。屍人に見つかった合図だ。だが、屍人の視点は見えなかった。大きな音でこちらの存在に気付いたが、姿はまだ見つけていない、という状態だ。しばらく待つと、きぃきぃと耳障りな金きり音が聞こえて来た。屍人が近づいてきている。現れた屍人は、なんと、クモのように天井に張り付いていた。手足の先が鍵爪のようになっているので、あれで引っ掛けて移動しているようだ。その顔は短い毛に覆われ、大小さまざまな大きさの黒い眼球があり、口からは牙のようなものも生えている。クモのように、と言うよりは、その姿はクモそのものだ。

 

 安野さんはクモ型の屍人とあうあうきぃきぃとやり取りする。そして、クモ型屍人は天井を這って校舎へ戻って行った。

 

「今のは、蜘蛛屍人さんです」安野さんは、見たまんまの名前を言った。「犬屍人さん同様、半屍人さんから一段階進化した姿です。生前男性だった人があの姿になります。その名の通りクモのように壁や天井を移動するのが最大の特徴です。さっき体育館内で見た鋼鉄のワイヤーロープのようなものも、蜘蛛屍人が吐き出したモノです。感覚器官が発達しているので音に非常に敏感ですが、意外と目が悪いので、静かに移動していると近距離でも気付かれなかったりします。犬屍人同様知能が著しく低下しているので、ドアの開け閉めはできません」

 

「それで、彼に何をお願いしたんですか?」

 

「二階倉庫まで行って、鍵を取るためのアイテムを持ってくるように言いました。少し待っててください」

 

 しばらく待っていると、蜘蛛屍人は二本の棒のようなものを咥えて戻ってきた。目の前にボトリと落とす。それは、教材用の巨大コンパスだった。

 

 あたしはコンパスを拾った。「まさか、これを使って取るんですか?」

 

「そうです。それ以外の道具の使用は、認められていません」

 

「判りました。まあ、やってみましょう」

 

 あたしは床板の隙間からコンパスを差し込んだ。先を動かし、鍵を挟み込もうとする。だが、うまく行かない。何度やっても、鍵はコンパスの先から滑り落ちてしまう。それも当然だろう。コンパスの先には、一方にチョーク、もう一方に滑り止めのゴムボールみたいなのが付いているだけだ。こんな丸っこい先っぽで、地面に落ちた平たい鍵を挟めるはずもない。

 

「これ、ちょっと難易度高すぎじゃないですか?」文句を言うあたし。

 

「そうですね。イベント主催者のあたしが言うのもなんですが、相当高いと思います。実はあたし自身、成功したことないです。そもそもこんな教材用コンパスで取れるわけがないんですよ。ソード・オブ・ソダン並の操作性の悪さと激ムズ難度です」

 

「だったらやらさないでください。どうするんですか。鍵がないと外に出られないじゃないですか」

 

 さらに文句を言おうとして、あたしは息を飲んだ。いつの間にか、背後に屍人がいたからだ。まったく気配を感じなかった。まるで、暗殺者のようである。

 

 屍人は床に四つん這いになっている。胸元と二の腕を強調するような花柄のキャミソールに、身体のラインが強調されるジーンズ姿。どうやら女性のようである。ということは、蜘蛛屍人ではなく犬屍人だ。これまで見てきた屍人は農作業着を着た人がほとんどで、いかにも田舎の人という感じだったけど、この犬屍人は、村にはちょっと不釣り合いなほど派手な格好をしている。

 

 犬屍人は何も言わずあたしの手からコンパスを取り、前に出た。その背中が「あたしに任せて」と言っているように見えた。床板の隙間にコンパスを差し込む犬屍人。息を飲み、見守るあたしたち。それは、ほんの数秒の出来事だった。犬屍人がコンパスを持ち上げると、先には、見事に鍵がはさまれていた。

 

「すごい!! こんなにあっさり成功させるなんて!!」感心して思わず拍手をしてしまう。

 

 犬屍人は照れたような顔になり、鍵を差し出した。あたしが受け取ると、そのまま黙って倉庫を出て、体育館の方へ姿を消した。突然現れてあたしたちを助け、名も言わず去って行く……なんてカッコいい人なんだ。

 

「……で、誰なんですか? あれは」あたし安野さんに訊いた。「なんか、他の犬屍人と違う感じでしたが」

 

「あれは、美浜奈保子さん。通称なぽりん屍人さんです」

 

「少し前に聞いた名前ですね。たしか、安野さんの大学の講師が大ファンだというアイドルの方」

 

「そうです。東京で芸能人をしていましたが、テレビの撮影でたまたま羽生蛇村を訪れていたところを、異界に巻き込まれてしまったんです」

 

「それは、運が悪かったですね」

 

「ホントにそうです。なぽりんさんは、かつては某国民的アイドルグループに所属し、CM契約は二十社以上、視聴率30%を超える月九ドラマで主演を務めたりと、昔は超売れっ娘アイドルでしたが、グループ卒業後はすっかり落ちぶれ、二〇〇三年当時はCSの深夜にやっていた『ダークネスJAPAN』という超マイナー番組が唯一のレギュラーというありさまでした。普通なら合コンに参加しまくって世間知らずのIT会社社長を色仕掛けてたぶらかして結婚し子供を生んで育児日記をブログにアップしあわよくばママタレとして再ブレイクを狙うなどというシナリオを思い描く頃ですが、なぽりんさんはそんなことはせず、女優になるというアイドル時代からずっと公言している夢を諦めずに追いかけていたそうです。特に、一九九九年に出演したVシネマ『ヒットマン女豹』をきっかけに、アクション女優を目指すようになりました。そのため、アクションを猛勉強し、格闘技を習い、海外で射撃の訓練も行ったそうです。異界に巻き込まれた後も、持ち前のガッツと卓越した身体能力で東京への帰還を目指していました。複数の蜘蛛屍人や犬屍人相手にも引けを取らず、空飛ぶ羽根屍人相手にも素手で戦ったそうですから、ひょっとしたら戦闘力は宮田先生以上だったのかもしれません」

 

「そんな人が犬屍人になったら、ヤバいんじゃないでしょうか」

 

「そうなんです。元々格闘技の達人だった人が、犬屍人さんの身体能力を手に入れちゃったものですから、ヤバイなんてものじゃありません。うちの大学講師が戦ったんですが、廃ビルの悪魔ロデムみたいな動きをしていたそうです。間違いなく最強の屍人さんで、あたしはもちろん、宮田先生や異界ジェノサイダーと化した恭也君ですら、倒せるかは怪しいです。でも、安心してください。なぽりんさんは元々は温厚な性格で、アイドル時代は後輩思いの優しいお姉さんキャラで通ってました。なので、現在戦闘になることはまず無いです」

 

「そうですか。それなら安心です」

 

「……ただし、ひとつだけ気を付けてください」急に声を潜める安野さん。

 

「……何でしょう」あたしも声を潜める。

 

「アイドル時代からそうなんですが、『BBA』とか『貧乳』とか言うと、ブチ切れて暴れ出しますから注意してください」

 

 と、安野さんが言ったとたん。

 

 体育館の方から、バタン! ゴトン! と、何かが暴れ回るような大きな音がした。

 

「しまった。あの人、地獄耳なんでした。聞こえてしまったようです。ここは危険です。イベントをすべて消化していませんが、致し方ありません。早く行きましょう」

 

 脱兎のごとく駆け出す安野さん。あたしもすぐに後を追う。倉庫を出て校舎へ入った。校舎内の廊下は机や椅子を積み上げワイヤーロープでぐるぐる巻きにしたバリケードによって阻まれ、教室の黒板には謎のマークが書かれていたりもするが、いちいち描写していられない。あたしたちはとにかく走りまくってなんとか一階の奥にある倉庫にたどり着き、拾った鍵で扉を開け中に入った。扉を閉めれば安心……と思ったら、安野さんいわく、「怒り狂ったなぽりん屍人さんはタンクと同等なのでセーフルームに入っても安心はできない。扉ごと吹っ飛ばす可能性がある」とのこと。何を言ってるのか判らないがとにかくまだ危険らしいので、あたしたちは立ち止まることなく通用口から外に出て、一目散に走った。

 

 

 

 

 

 

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