Dry heart   作:草賀魔裟斗

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しばらく音沙汰なくてすみません(´・ω・`)
DishonoredとPSO2とブイチューバーにどハマりしてました
ピノ様が偉大過ぎました…


花びらの思い

幻想郷から離れて次に姉妹が転生したのは花が咲き乱れる森林だった

「綺麗な場所に来たもんだねぇ…」

「うん…人里とは大違いだね…今度は本当に特異点?って感じだ…」

「何度か特異点じゃない世界に飛ばされたこともあるしな…抑止力も宛にならないしね…とりあえず、人を探そうか」

雨兎が何かに気付いたらように振り向いた

「なんだろ…」

雨兎の視線の先には黒い人影があった

「人はいたようだね…でも」

「貴方たちは抑止力…だよね…ごめんね…でもここで…死んで」

人に唐突に身の丈ほどの大剣が現れ

瞬時に雨兎達の目の前に近づいた

「!」

大剣が振り上げられる刹那、雨兎は軽くバク転するように回避行動に移った

そのためか大剣は雨兎のセーラー服の袖をすっただけに収まった

「危ないなー…止めてよ一張羅なんだから」

「姉さん!あの人は…多分」

「あぁ、脅しとかじゃないよね…本気で殺しに来てるよ」

「…じゃこの人が…」

「恐らくそう…探す手間が省けたよ…変身」

「変身!」

[紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!ヤベェーイハエーイ!]

[鋼鉄のブルーウォーリアー!タンクタンク!ヤベェーイツエーイ!]

二人の変身が完了して人影の方を向く

人影はかなり丸みを帯びているため女性と解る

手には先程の紫の大剣、そしてよく見ると白い杖を背負っている

顔は不思議な仮面で隠れている

「名を聞きましょうか?」

「ダークファルス[仮面]…あの人の苦しみを具現する存在…!」

「ペルソナ…仮面か…確かに面白い仮面付けてるね」

「貴方達には言われたくない」

雨兎は肩を竦めて苦笑を浮かべた

「確かに…とりあえず」

フルボトルバスター(霊夢を倒した大剣)を取り出し構えた

すると周囲をメカのような姿をした人間に取り囲まれる

人数は四、五人

「何…」

「アークス…ルーサーの人たちだね」

仮面はそれだけいうと身構えた

「しつこいんだけどなぁ…」

「我々は貴方を滷獲するために結成された機関です」

「はいはい…」

仮面は呆れたようにそう言い直ぐ様、メカに斬りかかる

メカ達も臨戦態勢に入った

「姉さん、これどうする?」

「うにゅ~…逃げようにも退路は防がれてるし…」

メカの一人が雨兎に斬りかかってきた

雨兎はそれを危なげなくフルボトルバスターで防ぐ

「何?あいつを滷獲すんのが目的なんでしょ?なら放っといてくれる?」

「残念ながら、目撃者は消すように言われてるので」

「仕事熱心でご苦労なこった…」

雨兎もメカを攻撃し1vs2vs5の乱闘に発展

雨兎と戦夏はメカを数台斬り倒す

「退路は開けたよ…ここは逃げるが勝ちではないかな」

「だね、よし!逃げること脱兎のごとく!」

雨兎と戦夏が背を向けた瞬間

メカ側に青白くひかる矢が次々と刺さり

メカも沈黙していく

例外的に雨兎と戦夏は矢をかわし沈黙せずにいた

「な…」

「特異点を…世界の癌を守った…」

通常、特異点は観測されることはない

が大体の特異点は自分の特異さから周囲から距離を置き、自らが特異点たる理由を探るものだ

「恋人かい?」

「…そんな大層な物でもないさ」

叢の奥で片目が黄色く鈍く輝いた

「オレはイオ…急拵えの主人公さ」

イオと名乗った彼女は青い髪に二本の小さな角を生やせ、蝋人形にも似た白い肌でオッドアイの少女だった

片手にはその小柄な身丈に似つかわしくない巨大な弓を携えている

「イオちゃん…」

「角にオッドアイ…人間じゃない?」

「はは…抑止力って聞いたからもうちょい、情報を持ってるかと思ったらそうでもないんだな、オレはデューマンって種族さ…後で詳しく教えてやるよ」

イオは仮面に近づいた

「マトイさん…いつまで、センパイの物真似してる気だよ」

「うるさいッ!私はマトイじゃない!仮面だよ!ダークファルスだもん!」

「いや、マトイさん、貴方は…センパイにはなれないし、ペルソナにもなれない」

仮面は動揺したように数歩下がると次は怒りに身を震わせた

「…イオちゃんに何が解るの…?」

「オレは近くで貴方達を見てた人間の一人だ、解るよ、何でも」

「分からないよ!何も誰にも…私と”君”以外!誰にも分かるはずない!」

仮面は黒い穴を空間にあけ、そのなかに駆けていった

「はぁ…よっ、お二人さん、悪かったね、置いてけぼりでさ…改めてイオだ、アークスの二派に所属してる、よろしくな」

「イオちゃん…色々聞きたいことがあるんだけどね…まずは…私の事を抑止力って呼んだよね?…誰から聞いた…?」

戦夏は変身を解いたが雨兎はどこか警戒したようすで変身したままイオを見詰めた

「あ、彼から…」

[ウェイクアップ!バーニング!ゲットクローズドラゴーン!イェイ!]

青いライダーが変わった剣で雨兎に切りかかった

「雨兎ぉぉぉぉぉぉ!!」

雨兎はその剣を身をずらして回避する

その剣は地面に食い込み大地の破片を撒き散らした

戦夏の顔には驚きの色が滲むが雨兎の顔には別の色が滲む

「…」

「久々じゃねぇか!久々すぎて彼氏の顔忘れたかぁ!?それとも、嬉しすぎて声も出ねぇか!?おい!」

「…」

[フルフルマッチブレイク!]

雨兎は無言でフルボトルバスターにフルボトルを挿入した

「死ね…(低音)」

聞いた事もないような低音の声と共に

雨兎の渾身の一撃はライダーの腹部に炸裂し白い煙を上げながらライダーを吹っ飛ばす

「うおわ!?」

そのまま、近くの巨木にぶつかりナベリウスの木が一本少なくなった

「立て、この程度でくたばるようなたまじゃねぇだろ(低音)」

「姉さんが激おこモードに!?10年そこそこ一緒に居ましたが始めてです」

「つーか、オレら置いてけぼりで話すすんでね?誰なのさあんたら」

ライダーは変身が解除されることもなく痛がりながら立ち上がった

「ってぇ…おい!頭割れたらどうするんだよ!?」

「そいつはいい…そしたらさすがに死ぬだろうしな(低音)」

「…まだ怒ってる…?」

「ったりめぇぇだ!わいがあげん事せんば、こん旅に妹ば巻き込まんでん良かったじょん!いたらん事しやがって!」

「やけん!あれは謝ってんやろ?結構前から!いつまでも過去ん事引っ張る女はモテんぞ!」

「はぁ?わいにモテんとか言われとねえし!バーカ!」

「バカって言う方がバカなんやぞ!バーカ」

「何ば子供んごたー事ば!」

「あーははは…方言でまくり…と言うことは龍斗さんですか…」

龍斗は戦夏に近づいて肩をバンバン叩いた

「おー、戦夏かぁー大きゅうなったなー、なぁあん分からず屋ん姉なんとかしてくれんか?あん可愛かげんなか性格は治っとらんのごたーし、手に負えん」

「は?可愛かげあるし、超あるし、溢れ出とーし」

戦夏が深いため息をついて二人に冷たい目線を向けた

「とりあえず、お二人共、落ち着いてくれん、話が進まんし、長崎弁が通じると、うちらだけやけんイオさんが置いてけぼりばい」

「え、あ、はい…すみませんでした」

「す、すま…すみませんでした」

3人が一気にイオの方を見る

イオはふぅと息を出し

「良かった…忘れられたのかと思ったぞ…」

と安堵を込めて呟いた

 

「イオさん、改めまして…私は平世戦夏、髪の赤い女の人の方が私の姉、平世雨兎、で、貴方に私たちの事を説明したのが」

「並界(ならびかい)龍斗(りゅうと)だ、あ、説明はあんましてないから一からよろ」

「何がよろだ、殺すぞ(低音)」

戦夏が深いため息をついた

「姉と二人でも旅芸人とか言われた事あるのに…これじゃサーカスですよ…あー、イオさん、貴方は急拵えの主人公と聞きましたがどこまで解りますか?」

「…基本的な事しか解んないな…ただこの世界は特異点で…マトイさんを倒さなきゃいけないのはわかる」

創作世界には必ず、観測者と主人公がいる

観測者は世界を体験する物、主人公はその世界の核、居なければ世界が回らない人物の事を指す

観測者はその性質上、主人公と併用している世界も多い

「だったら話は早いな」

「あんたぁだーっとれい!」

雨兎が龍斗をどつく

「それが出来てたらこの世界は特異点になんてなっていないよ…イオ、話してくれないかな?マトイとやらがペルソナになった顛末を」

イオは少しうつむき気味に頷いた

「この世界には…×××っていう主人公が居たんだ…オレのセンパイだ…センパイはアークスっていう組織を変える力を持っていた…けど甘すぎた…ルーサーというアークスに殺された…」

「主人公が…殺された…!?」

「なっ…ありうるのか?そんなこと」

「…悲劇の結末(badend)…か…いや、ならエンディングを迎えてる筈…」

先程、述べたように主人公は世界の核たる人物であり

主人公の喪失は世界にエンディングを生み出す、それが所謂、悲劇の結末、bad endルートだ

それは特異点化を防ぐ安全装置の1つでもある

「悲劇の喪失の渇望…そう呼んでるんだろ?…マトイさんは×××の事が好きだったんだ…」

「それでエンディングの喪失を渇望した…幻想郷は事故が元の特異点だったけど…ここはまるで人為的に仕込まれた特異点みたいだ…」

「おい、エンディングの喪失なんて可能なのかよ…いくら主人公でも」

「…いや、恐らくだけど…もう一人主人公が居たね?…」

イオがギクリと顔を上げて苦笑いを浮かべた

「隠しきれないなぁ…未来からきた×××が居たんだ…名はダークファルス[仮面]…×××が消えたから本来のペルソナも消える筈だったけど、ペルソナは消えなかった…思えば、彼処からおかしかったのかもしれない…マトイさんはペルソナを吸収して自らをペルソナにしたんだ…時間遡行の能力で過去に行って×××を助けようとしたけど…」

「発現しなかったんだね…」

「そうだ、雨兎と話してると心読まれるみたいだ」

「よくあることさ…役割の決められた世界なら能力に適正が付く」

イオは空を見上げた

「それ以降、ルーサーは自分の驚異になりかねないマトイさんを捕獲するために総力を集中…でもアークスは本来、ダーカーと戦う組織だ、反乱が起こり、組織は空中分解、ルーサーが率いるマトイさん捕獲キャスト部隊を中心としたアークス一派、六芒均衡を中心としたアークス二派、そしてマトイさんの三つ巴になった…そして今に至るかな…あぁそして主人公の居なくなった世界は無理やり、オレを主人公にした」

イオは肩をすくめた

「今のマトイさんはただの駄々こねてる子供だよ…それでもセンパイが居なくなった時はオレも酷く荒れた…けど…今ならセンパイの声が聞こえる気がする…オレはマトイさんを止めないといけない…義務がある…でもオレには…どうしてもそれは出来ない…手が止まるんだ…」

「…イオさ…」

「イオ!」

叢を掻き分ける音と共に男の声が響いた

「ヒューイさん…どうしたんですか?」

「ルーサーの本拠船がウォパルに墜落した」

「!?」

全員に戦慄が走った

「ルーサーたちが…!?」

「あぁ…俺たちもいまから向かう」

「オレも同行する、皆はどうする?」

「行く、問答無用だよ」

イオはふっと笑った

「わかった、すぐに向かおう」

 

惑星ウォパル

ウォパルは火の海になっていた

足の踏み場のないほど、動かなくなったキャストで溢れかえっていた

「ひでぇ…」

「一般論だね…でもライダーとしては及第点だよ…」

イオは歯を噛み締めて火の海に走り出した

「イオさん!」

「戦夏!」

戦夏がイオを追いかけて炎の中に消えていった

龍斗が追いかけようとした

「龍斗まて!」

「あぁ?」

キャストの死体がカタカタと音を出しながら動き出した

「言うたろ?ライダーとしては及第点だって、特異点じゃ死ん概念があやふやになる…周りゾンビだらけばい」

「はぁ…まじやわ…イオは戦夏に任せるか…リアルバイオハザードじゃん、超楽しそう」

「しょうもなか、冗談いっとー暇あると?」

「無かね…さぁてと…団体様、ご案内ばい」

 

戦夏は灼熱の炎の中にいた

イオを見失い真っ直ぐ歩くしかなく

孤独と戦いながら歩を進めていた

「イオさん…くっ…見失った…」

「…」

炎の奥に人影が見えた

「イオさん…?違う…まさか」

「…貴方は…抑止力」

マトイがそこにたっていた

男の物とおぼしき死体を引きずっている

「あはは…私ってやっぱり抜けてるな…まずは敵討ちしないとなのにさ…まずはルーサー殺さないと…どうせ、時間遡行できないもんね…本当は時間遡行の後、殺そうとしてたんだけどね…」

ルーサーの死体は目玉をくり貫かれており、更に全身に切り傷があり目も当てられない状態だった

「ルーサーさん…貴方がなんで×××さんを殺したのか…分からない以上、同情はできません…ですが…仇だけは撃ってあげます」

変身してマトイの前に立ちふさがる

[鋼鉄のブルーウォーリアータンクタンク!ヤベーイ!ツエーイ!]

「…こいつがなんで君を殺したのか知りたいの?」

「過去のことは興味ありません…”君”…もしかしてマトイさんは×××さんの事を君と呼んでいるんですか…」

「そうだよ…変だよね…でもこの呼び方が一番、しっくりくるんだ、×××は私の中ではいつでも"君"なんだよ…意味分からなくてもいい、理解したふりは嫌いだからね」

マトイはコートエッジDを構えた

「そうですか…なら都合が良いですね…私、嘘はつかないんですよ」

「…それは…上々だね 」

 

雨兎と龍斗は変身せずにゾンビキャストと戦闘していた

生身の状態でフルボトルバスターを振るい、キャストの破片と死体で溢れる地面を踏みしめる

「キリがない…」

「…あー、まどろっこしい!」

陽気な音楽が聞こえた

その音楽に龍斗は頬を緩める

「その気分屋さえ治ればなぁ…」

「道具に弄ばれてちゃ、世話ないな」

「うっせ…取りあえず、突破するぞ!変身!」

「はーいよ、変身」

[ウェイクアップ!バーニング!ゲットクローズドラゴーン!イェイ!]

[紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!ヤベーイ!ハエーイ!]

「今のオレは負ける気しねぇわ!」

「さぁてと実験を始めましょう?」

 

フルボトルバスターとコートエッジDが火花を散らす

周りは火の海、まるで本能寺のようだ

ならさしずめ、戦夏は世界の核を倒さんとする明智光秀だろうか

「…どうして×××さんを君と呼ぶのか教えてくれませんか?」

「…なんで?」

「…そうですね、土産話にでもします」

マトイは少し距離を取って構えを解いた

「あの人は私が君と呼ぶと少し嬉しそうに微笑んでくれたの」

「だから君…一途ですね…そうでもなければ世界をこんなにはしませんけど」

「まぁね」

もう一度、つばぜり合いが始まり火花が咲き散る

 

ルーサー側のシップ残骸

「…こいつは…」

イオは燃え盛るシップ内に立ちすくんでいた

「…マズイ…」

「ドーモイオ=サン」

燃え盛るシップの天井に誰かぶら下がっていた

「誰だ!?、なんでオレの名前を」

「はぁ…解ってないな、イオさんは…挨拶はニンジャにとっては神聖不可侵の行為だよ?古事記にも書いてる」

「は、はぁ…」

「そして、挨拶をされたものは挨拶を返さなきゃいけないの」

「っていったって、オレ、あんたの名前知らないし」

天井にぶら下がっていた人物は降りてきて頭を抱えた

「な…名乗るのを忘れるとは…私もまだまだね…じゃ、仕切り直して…ドーモ、イオ=サン…川内デス」

川内はそういうとウィンクして微笑んだ

 

「…あ、戦夏!」

キャストを倒しきりさ迷うように火の海を遊泳していた龍斗と雨兎はついに戦夏を見つけた

「…まて!、特異点だ…」

龍斗は戦夏の少し先にいるマトイにも気付いた

「…あの子は…」

呆れたように雨兎が頭を抱える

「優勢は?」

「五分五分だ…今、加勢したら終わるぞ、どうする?」

「今は時じゃない…戦夏とイオさんを回収して帰るよ」

「がってん」

その時、オレンジの風が吹いた

それは周りの炎に照らされた物ではなく

オレンジの何かが素早く動いたため吹いた風だった

目に入ったのは忍者のような服装の少女だった

片腕にはイオを抱えていた

「アイエエエエエエ!?ニンジャ、ニンジャナンデ!?」

雨兎が謎に過剰反応しているのを横目に忍者は抱えていたイオを下ろしお辞儀した

「ドーモ、ヨクシリョク=サン、川内デス」

「…っ!川内!」

「ドーモ、センダイ=サン、雨兎デス」

龍斗が川内に近づいた

「龍斗の旦那、久方ぶりじゃないか」

「久方ぶりじゃないかじゃねぇよ!どうやってここに…住んでる世界違うだろ!?」

イオが雨兎に近づいた

「なぁ…雨兎、さっきの挨拶はいるのか?」

「当たり前だよ、挨拶は神聖不可侵の行為だ。古事記にも書いてる」

「あ…はぁ…そうですか」

イオは少し呆れたように呟いた

「この世界は割りとゆるゆるだから簡単に侵入<クロスオーバー>できたよ」

「クロスオーバーって…肩書きを勝手に変えるなよ…でも都合がいい、俺たちは今からこの煉獄から離脱する…彼処の青い髪の子を連れてきてくれるか?」

「おちゃのこさいさいさ…ヤァァァァァ!!」

川内が目にも止まらぬ早さで戦夏に近づいた

 

「…じゃ決着をつけるとしましょうよ」

[フルフルマッチでーす!]

フルボトルバスターにフルフルラビタンボトルを挿入する

「そうだね…いい加減暑くなってきた」

マトイの周りを紫黒いオーラが包む

「チャージペルソナ」

「フルフルマッチブレイク!」

互いの必殺技がぶつかろうとした時、また、オレンジの風が吹いた

両者の間に川内の姿が現れる

「!?」

「だ…!?」

戦夏は最後まで言葉を紡げずイオと同じように川内に担がれる

「…貴女…誰?」

「しがない忍者ですよ…マトイ=サンでしたっけ?…特異点になってまで敵討ちなんて…そんなこと、あなたの愛する人は望んでいるんですか?」

マトイが変わらず戦夏を睨み付けているのを背に川内が踵を返す

「警告はしました…ではこれで…サヨナラッ!」

川内は戦夏を担いだまま、風のように去っていった

 

「旦那、女の子撤収完了だよ」

「おー。ありがと…って死にかけじゃないか?どうしたんだ?」

戦夏は自毛に負けない程。顔を真っ青にして倒れている

「この子、乗り物だめなの」

「え?ライダーなのに?」

「バイクでも酔うのよ?」

「アイエエ…」

川内が呟いた

「なら船酔いも頷けるね」

「船酔い?」

「あー、まぁ、いつか解るよ」

川内が雨兎に戦夏を預けた

「取り敢えず、ナベリウスに戻ろう…マトイさんが移動するかも」

「そうだな…その前に川内と話をさせてくれないか?」

「わー、旦那ったら大胆ー」

川内がニヤニヤと笑うが龍斗はいたって真面目だ

「…解ったよ、旦那」

 

「白兎はどうなった?」

雨兎と戦夏から離れ直ぐ様、龍斗が切りだした

「提督は…まだ、帰らないね…」

「旅に出たのか?」

「そう聞いたよ、なんでもまた、あいつが動き出したって」

「あいつ…」

龍斗がしばらく考えたのちにたちつくした

「旦那…?」

「マズイ事になった…グリスの奴はどうしてる?」

「響を連れ出して何処かへ行ったよ、多分、提督を追いかけたんだと思う」

「あのバカ…ともかく一刻も早くお前の世界に行かなきゃならん…手伝ってくれるか?川内」

「手伝うのは勿論さ…だけど今の私には兵装はない…一般人と変わらない戦闘力だよ?役に立てるとは思えないね」

「いや…お前にしか出来ないことを頼みたい…この世界ではなく、あっちの世界で」

「…あの子…だね?」

「嗚呼…頼む」

「提督とよし、旦那とよし、旅人組合の人達は人使いが荒いねぇ…わかったよ、艦娘の問題だ、艦娘が解決するよう努力する」

「すまない…俺も同行する」

「移動は抑止力の気まぐれなのに?」

「…お前について行けば問題ないだろ?」

川内が行きすがらに静かな声で龍斗に告げた

「旦那…気を付けなよ、このまま事が進むと2人の救世主は…存在の癌になってしまう」

「…分かってる…そうさせないためにわさびこんな変境地まで来たんだ…あいつにも面倒をかけたしな」

 

「龍斗さん…遅いですね…」

「…どっかいったっぽいわよ…あいつ…」

雨兎はそう告げてそっぽ向いた

「川内さんにヤキモチ?」

「まさか…あんなの好きになる奴居ないわよ…さてと、あいつのせいで調子は狂ったけど…」

雨兎が空を見上げる

「…決まったのね…行くよ、戦夏」

「どこに?…あれ…イオさん…」

イオが2人に近づいた

「龍斗は?」

「野暮用で帰ったよ…そんなことより覚悟決まったのね」

「…あぁ…オレは2人と離れてから神を認識してさ…ずっと憎んでた…×××先輩が死んだのもマトイさんが狂ったのも…全部、神のせいにした…だってそうでもしなきゃ…オレ自身崩れてしまいそうだったんだ…」

イオの言葉は1件、関係なさそうに見える言葉だが

雨兎も戦夏も黙って耳を傾ける

「だけどさ…神なんて結局いなかった…環境が先輩を殺し人の心がマトイさんを狂わせた…オレの比じゃない苦しさをマトイさんは抱えている…」

イオがポケットから花を1本取り出した

「…」

「先輩が初めてマトイさんに送った花だ…フォトンでコーティングされてるから枯れることは無いし傷つくことも無い…マトイさんにこれを渡して欲しい…」

「あんたが渡せばいい」

雨兎が間髪入れずに言った

「オレは…ここで死ぬ」

「はっ!?」

「特異点を解消するためには主人公が死にかける必要がある…そうだろ?雨兎」

雨兎は歯を食いしばり頷いた

「なっ!?…うそ…ねぇさん!!それは本当ですか!?」

「私たち、抑止力はこの世界からみたらよそ者…エクストラなのよ…そんな私たちが物語を変えるのは不可能…特異点を倒すには主人公の欠落が必要なの…」

「だ、だから!魔理沙さんの時も魔理沙さんが倒れるまで静視してたのですか!?」

雨兎が俯いた

「死ぬまでは行かなくてもいい…主人公が動けなくなると世界は最も特異点に近い存在を主人公にする…そうすれば、私達にも物語を変えられる力を得るの…」

ゆっくりと告げる

「…そんな…そんなことって…!」

「良いんだ、気にするな…戦夏…オレは幸せだよ…だってさ最期にこんな優しい奴に出会えた」

「…イオ、それ…誰から聞いた?」

「メガネをかけたヒョロい男だ、名前は知らない…さっき、瓦礫の中で出会った」

「…その人を恨むよ…主人公が自殺なんてさ…笑えない…」

イオは微笑むと焔の中に消えていった

戦夏は叫んで喉に血が滲むほどに叫んで静止したがイオの歩は止まらなかった

「戦夏…」

戦夏は崩れ落ちた

「私は…誰を憎めば良いんですか…」

「神様…なんかいないなら…全てを憎まなきゃいけない…それは疲れるよ…」

「……っ!」

戦夏は砂をガリガリ音を上げながら握りしめた

「…行こう、終わらせよう、全部…泣くのはそれからでも遅くないよ」

「…はい…と言ってもどこに行けば…」

「大体分かるよ…マトイと×××の思い出の場所…ナベリウスだ…」

 

@ナベリウス

マトイはそこで佇んでいた

その目にはイオの死を察知してか涙が浮かんでいた

「マトイ」

抑止力の2人がマトイの前に立つ

「イオからだ」

雨兎は花をマトイに手渡した

マトイはその花をみて頬に涙を伝わせ抑止力の2人を睨んだ

「目障りだよ…あなたの目…まるで君だ」

「そうかい?…お褒めに預かり光栄だね」

マトイはコートエッジDを構えた

「雨兎さん、悪いけど戦夏さんと一騎打ちさせてくれる?」

戦夏は顔を上げた

「あの時の続きしましょう」

「…分かりました…変身」

[鋼鉄のブルーウォーリアー!タンクタンク!ヤベーイ!ツエーイ!]

タンクタンクに変身後マトイを睨む

「続きと言ったよね?一撃で終わるよ…ペルソナチャージ」

「フルフルマッチブレイク…」

フルボトルバスターが輝く

それと相反しマトイの体は闇色に染まる

「君は…この結末を望んだのかな…?」

「違います…絶対に違います…!」

「他人の事なのに…やけに断言するね…そんな所も君そっくり…」

侍の決闘のように去り際に2人は互いを切り裂く

刹那、風がナベリウスの白い花びらを巻き上げる

戦夏のダメージは深く変身が解け体制が崩れ落ちる

「…戦夏さん…」

マトイは冷たい目で戦夏を見下ろす

「…お見事です…」

マトイの胴に斜めに大きく切り傷が入った

そこから噴水のように血が吹き出る

「手を抜きましたね…貴女はタンクタンクの硬さを分かった上で薄く切った」

「…バレたか…私が殺したかったのはルーサーだけだから…」

ひゅーひゅーと音を立てながらマトイは必死に言葉を紡ぐ

「マトイさん」

「次は…幸せに生まれたいな…」

[もう…マトイは贅沢だなぁ…これ以上の幸せを求めるわけ?]

マトイの耳に声が届く

「え…?」

[もう少しゆっくり来ても良かったのに…]

「あはは…まさか…イオちゃんに…君の横…取られる訳には行かないから…ね…」

[ったく、まだ、浮気とか疑ってるわけか?心外だなぁ…]

その中性的な声は心底楽しそうに笑う

「…これから…行くよ…」

[あぁ…おかえり、大切な人]

「ただいま…ロンド…」

マトイは空に手を伸ばし糸が切れるように事切れた

「…これでよかったんでしょうか…」

「良かったんじゃない?…だってマトイ切られて死んだとは思えない顔してるよ」

マトイは満面の笑みだった

「次は…幸せなんでしょうかね…」

戦夏と雨兎の体が光出した

「さぁね…環境次第だよ…そして彼女ら次第だ…でも…次は間違えないよ…きっとね」

マトイの手に握られた花を見詰めて2人は世界を旅だった




この話かなりごちゃごちゃしてるので何個か補足を…

この特異点のロンドはもしレギロンドではないです
厳密に言うともしレギのロンドなのですが…
簡潔に言うと有り得たかもしれない可能性を体現したロンドです…わかりやすく説明すると
「ルーサーに殺された安藤」がいた世界で「安藤を殺されて狂ったマトイ」がルーサーを殺す物語で生じた特異点(マトイがペルソナを取り込んだ)がこの世界です
※草賀世界ではロンド=安藤です

川内はクロスオーバーという手法を使い世界を渡ってきましたがこれは平世姉妹の使う、抑止力の移動とは別物で世界創造主の思考に相反する行動だったりします
よって川内は抑止力ではありません

龍斗と雨兎は元カップルです、急な長崎弁はそのうち分かる事なんで気にしないでくださいm(_ _)m

最後の方は勢いに任せて書いたので日本語が拙いですが…だが私は謝らn…(申し訳ありません)
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