式神使いの劣等生   作:史思明

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冬夜くんって、性格悪いて言われたことある?

「婚約者…?」

 

「そうだよ。あ、安心して?ちゃんとお付き合いしてからの婚約だから!」

 

そういう問題じゃない、と達也は思った。

 

「…深雪は知ってるのか?」

 

「まだだよ?」

 

何故かきょとんとした弟を見て、達也は後が大変だなと内心溜息をついた。

 

「そういえばまゆちゃん。そろそろ時間じゃないのかな?」

 

「あ、そうね。じゃあふゆちゃん、達也くんまた後でね!」

 

ばいばーいと真由美が遠ざかっていくのを見て、

 

「深雪の対処はお前がしろ」

 

「えぇ!?」

 

 

 

 

 

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「わぁ、もうたくさん人がいるねぇ」

 

「そうだな。しかし、ここまで差別が酷いとはな」

 

達也はざっと座席に目を通して、この学校の状況を改めて感じた。座席には指定がないので自由なのだが、そのせいで綺麗に一科生と二科生に分かれていた。前席が一科生、後席が二科生だ。

 

「もっとも差別意識が強いのは、差別を受けている者であるっていうのはあながち間違ってないかもしれないね。」

 

「あぁ」

 

「とりあえずテキトーに座ろうよ!ほらあそこ!空いてるよ!」

 

冬夜は空いている二席を指差し、達也と一緒に座った。

 

「時間までどうする?僕はまたさっきの続きをするけど」

 

「お前は本当にそれが好きだな…そうだな、俺は睡魔に身を委ねるとするよ」

 

達也はそう言って目を閉じた。

 

「あの…お隣は空いてますか?」

 

その直後、声が掛かった。達也は目を開けて確認すると、女子生徒が達也に声をかけていたようだ。

 

「どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

「あれ?お兄ちゃん、その人は?」

 

気になった冬夜が覗き込んできた。

 

「あ、すいません。わたし、柴田美月と言います。よろしくお願いします」

 

「司波達也です」

 

「司波冬夜だよ!お兄ちゃんとややこしくなると思うから冬夜でいいよ!よろしくね、柴田さん!」

 

達也は軽く会釈、冬夜は人懐こい笑顔を見せた。彼女は今の時代、かなり珍しいメガネをかけていた。それを見た達也は、

 

(霊子放射光過敏症か…?)

 

と考えていた。少し意識を向けただけでレンズには度が入っていないことがわかる。ふと、美月の後ろを見ると次々と女子生徒が座っていた。どうやら複数人で席を探していたようだ。

 

「あたしは千葉エリカ。よろしくね、司波くん、冬夜くん」

 

「あぁ、よろしく」

 

「よろしくね!」

 

「…でも面白い偶然、といってもいいのかな?」

 

「「何が?」」

 

今日初めて達也と冬夜がハモった瞬間だった。

 

「シバにシバタにチバでしょ?何だか語呂合わせみたいじゃない。チョッと違うけど」

 

「「…成る程」」

 

なんとなく言いたいことは二人とも分かった。しかし、流石女子というべきか、男子とは考えることが違う。

 

「そういえば冬夜くん。君さっきパソコン使っていたけど何してたの?」

 

エリカが冬夜にさっきまでの作業について聞いてきた。

 

「あー、僕は魔法式を作るのが好きなんだ。だからこれを使って魔法式を組み立ててたんだ」

 

「え、それ凄いことじゃない?」

 

「そうかな?僕は趣味程度で作ってるに過ぎないからね」

 

「…インデックスに乗っている魔法の四割を作っているお前が何をいう。」

 

「「「「!?!?」」」」

 

「ちょ、お兄ちゃん!?それ言わない約束でしょ!?」

 

もー!と怒っている冬夜を無視し、エリカ達に目を向けると、驚き過ぎたのか二人とも固まっていた。

 

「え…インデックスの魔法の四割を…」

 

「冬夜くんが…作ってる…?」

 

「あ、あはは…オフレコでお願いしていい?」

 

達也が重大なことをカミングアウトしたせいで周りの空気が変になってしまった。しかしそれはすぐに終わる

 

「これから、国立魔法大学付属第一高校、入学式を始めます」

 

 

 

 

 

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流石お姉ちゃん!予想したとおりの凄い答辞だったよ!まぁ、お姉ちゃんがこの程度のことで躓くとは微塵も思ってなかったけどー。けど、「みんな等しく」とか「一丸となって」とか「魔法以外にも」とか「総合的に」とか、結構際どいフレーズが盛り盛りだったからびっくりしちゃった…それでも棘を一切感じさせなかったのは本当に凄かったな。流石僕のお姉ちゃん!きっとお兄ちゃんも僕と同じことを考えてると思うなぁ…

 

そんなこんなで入学式が無事終わって、今僕達は受付でIDカードを受け取って、クラスを確認している。

 

「お兄ちゃんは何組だった?」

 

「E組だ」

 

「やった!一緒だねお兄ちゃん!」

 

「そうだな」

 

にこりと笑顔を向けてくるお兄ちゃん。うん、お姉ちゃんにその笑顔を向けたら確実にお姉ちゃん、赤面するよ?

 

「あたしもE組だよ!」

 

「わ、私もです…」

 

美月ちゃんとエリカちゃんもE組みたいだね。

 

「うん、賑やかになりそうだね」

 

「ちょっと?なんであたしを見ていうのよ?」

 

「だってエリカちゃん、わんぱくっていう言葉が似合いそうじゃない?」

 

「「…確かに」」

 

「ちょっと!?」

 

「ふふふ、冗談だよエリカちゃん」

 

「…性格悪いとか言われたことない?」

 

「心外だよ。性格に関しては何も言われたことはないけど、人が悪いとかは言われたことあるよ?」

 

「同じじゃん!てか、そっちの方が酷いよ!」

 

「あ、間違えた。人が悪いじゃなくて悪い人だった」

 

「もっと酷いよ!?」

 

「人でなしとも言われたこともあったなぁ…」

 

「もういいよ!?」

 

はぁ…はぁ…と荒い息をつくエリカちゃん。もうちょっと意地悪してみようかな?

 

「随分疲れてるみたいだけど、大丈夫?」

 

「…冬夜くん、絶対、性格悪いって言われたことあるでしょう?」

 

「うん」

 

「今までの流れ全否定!?」

 

がっくりの項垂れたエリカちゃん。その様子を見ていたお兄ちゃんと美月ちゃんは苦笑いしていた。僕は満足だよ、エリカちゃん!

 

 

 

 

 

 

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