星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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シリアスになると感想が減って、ギャグだと増える…これはどんな方程式なんでしょうか?
今回は迷宮探索です。
長くなったので分割しましたが、分割した分もすぐに出します。
楽しんでいただけると嬉しいです。


迷宮で楽しいピクニック(大嘘)

 雫に甘えたり、その後部屋に入ろうとしたらギシギシと音が聞こえてきたんで廊下でイクササイズを踊って夜を明かした次の日。

 

 俺たちが今いるのは、時代の先端だ(例のCMのクマ風)

 

「頭にイナズマついてんのか?」

「いや青い方」

 

 まあ東◯ガスは置いといて、今俺たちは【オルクス大迷宮】の正面入口の前にある、広場に集まっていた。

 

 そこではベンチにやけに男前で、胸板をシャツの裾からはだけさせている、ガタイのいい男が道ゆく男たちを熱い視線で見つめており……

 

「ヤラナイカ♂」

「アーッ♂」

 

 と言うのは嘘で、普通に露店とかがたくさん立っているだけだった。まあ七大迷宮の一つだ、絶好の稼ぎ場だろう。

 

 んで肝心の迷宮は、元の世界の博物館みたいな、整備された迷宮の入り口にいる。その横には受付さんまでいた。マジで公共施設みたい。

 

 事前に女神様から知識はもらってたので、知らないわけではなかったが、某国民的RPGみたいなただの穴の可能性も微レ存…?と思ってた。

 

 それはともかく、営業スマイルを浮かべた受付の姉ちゃんは、迷宮への出入りをチェックしていた。

 

 なんでも、ステータスプレートをチェックし出入りを記録することで、死亡者数を正確に把握しているらしい。戦争を控え、多大な死者を出さないための措置ってとこか。

 

 ちなみにこのシステムは、こんな戦争前の状況の中、馬鹿どものせいで国内に問題を抱えたくないと、冒険者ギルドと協力して王国が設立したらしい。596様です。

 

「タン塩カルビハラミ特上骨付きカルビレバ刺しセンマイ刺し!」

「特上ハツビビンバクッパワカメサラダ激辛キムチサンチュでサンキューや!」

 

 順番待ちをしてる間、俺はエボルトと早口対決をしてた。かれこれもう7538315回くらいはやった気がする(女神様の使い回し)

 

 

 フワ……。

 

 

「ん?」

 

 すると、不意に横を誰かが通った。その時漂ってきた、どこか覚えのある香りに、おもわず眉を顰めてそちらを見る。

 

 すると、ちょうど一人の女性が、横を通り過ぎていくところだった。血の滴るようなワインレッドの髪が特徴的で、雫と同じくらいの身長だ。

 

 タイミング的に横顔を見ることはできず、その後ろ姿を目線で追いかける。その女性はまるで俺以外に見えていないようで、誰も気に留めない。

 

 そのまま、ついぞ他の誰かに気づかれることもなく、女性の背中は迷宮の中へと消えていった。一体なんだったんだ?

 

  首を傾げながらも、不意にその後ろ姿が記憶の中の人物と重なった。昨日の夜も思い出した、弟子の一人だ。

 

「……まさかな」

「ほらシュウジ、次お前の番だぞ」

「ん、おー。それじゃあ……」

 

  心の中に湧き上がった一つの仮説を頭の隅に押し込み、俺はエボルトと早口対決を続行するのだった。

 

 

 ●◯●

 

 

  しばらくして順番が回ってきたので、俺たちはメルさんの後をついて迷宮に入る。お上りさん全開のその様は、まるで……

 

「見ろ、人がゴミのようだ!」

「バルス」

「目が、目がぁあああっ!」

 

  エボルトてめぇ破滅の呪文唱えやがったな!

 

「ザキ」

「がはっ!」

 

 今度はド◯クエの即死魔法だとぅ!?

 

「アバダ・ケダブラ」

「あふんっ!」

 

 そして最後にヴォルちゃんの魔法ぅううう!

 

「ぐふっ……」カンカンカーン

「ウィナー、エボルト!」

「え、腸詰め?」

「いやそれはウィンナー」

 

  迷宮に入ってなお、俺たちはふざける。それこそが俺たちのアイデンティティ、我が命のエッセンス!迷宮内に満ちる静謐さは台無しである。

 

  そんな迷宮の中は、緑光石という特殊な鉱物によって壁が光っており、明かりには困らない。【オルクス大迷宮】は、緑光石の鉱脈を掘って出来ているらしい。

 

  進む順番は、先頭としんがりを騎士団の皆さんが、その間をカス之河を筆頭にクラスメイトたちで、それとしんがりの間に、俺とハジメ、空っち+αって具合だ。

 

「俺おまけ扱いかよ」

「ペット枠だからな」

「ゆ" る" さ" ん" !」

「太陽の子ヤメロ」

 

  いつも通り二人でふざけて、ハジメたちに呆れたような笑いで、クラスメイトたちに白い目で見られながら進む。

 

「うむ、どんな時でもシュウジ殿とエボルト殿は自然体だな」

 

  しんがりの中にいた、鎧姿のセントレアさんが腕組みをしてそう言う。なんか一緒に飯食ったり愚痴聞いてるうちにかなり仲良くなった。

 

  そんなこんなで平常運転で進んでると、ドーム状の広場に出た。天上の高さは七、八メートルくらいか。

 

「原始人でも住んでそうだな」

「竪穴式住居じゃねえよ」

「いや、そもそも地球と人間の起源違うんじゃない?」

「こんなとこで何話してんの…」

 

  三人とワイワイ話してると、壁の隙間という隙間から灰色の毛玉が湧き出てきた。むっ、本当に原始人が!?

 

 

 キキィーー!

 

 

  かと思ったら、二足歩行で上半身がムキムキのネズミ人間だった。八つに割れた腹筋と、膨れあがった胸筋の部分だけ毛がない。後ろを見ると、空っちが顔を引きつらせてた。

 

「なにこのキモい生き物。黄色い布被せてやろうか」

「それは妖怪ネ◯ミ小◯!」

「空飛ぶ下駄あったっけ?」

「シュウジはいつから鬼◯郎になったの?」

「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ!交代で前に出てもらうからな、準備しておけ!あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、たいした敵じゃない。冷静に行け!」

 

 その言葉通り、ラットマンと呼ばれた魔物が結構な速度で飛びかかってきた。さてさて、それじゃあ俺たちは適当に傍観してますかね。

 

「それとシュー、もしもの時に備えてサポートができるようにしておいてくれ!」

「お仕事きたぞ」

「働きたくないでござる、絶対に働きたくないでござる!」

「お前はどこの十字侍だ」

「はあ、まあいいや。んじゃエボルトよろ〜」

 

  瞬間移動で先頭に移動すると、キモい見た目に気圧されてんのか、アホ之河は案の定、坂みんや雫も引きつった顔をして立ち止まってた。

 

  ちなみに坂みんってのは坂上のあだ名な。今までは、自分の基準で人の熱意があるないを判断してハジメのことも見下してたから無視してた。

 

  が、話してみたら案外悪いやつじゃなかったんで仲良くなった。んで、空っちのファンなことからグリスこと猿渡一海をリスペクトして、坂みんというあだ名をつけた。

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

  やれやれ、と溜息を吐きながら、異空間から紫と金、緑で塗装されたトランスチームガンに酷似した大型銃……ネビュラスチームガンを取り出す。

 

 

 ガンッ!

 

 

  そして、それを天井に向けて引き金を引いた。その音にすぐさま訓練を受けてる雫と坂みんが反応し、刀と拳を構えて走り出す。

 

  遅れて、ペド之河も慌てて抜剣してラットマンに向かってった。仕事は終わったので、メルさんにサムズアップしてハジメたちのとこに戻る。

 

「おかえりシュウジ。実験水槽にする?ネビュラガスにする?それともオ・レ・か?」

「史上これほどに恐ろしいテンプレパロがあっただろうか」

「冗談だ。それより、いい感じの性能だな」

「まあな」

 

  エボルトの言葉に、俺はネビュラスチームガンの表面をコツンと叩く。

 

  説明しよう!これはトランスチームガンを解析して入手したデータをもとに、俺の知識と、エボルトからの情報により作った、本物のネビュラスチームガンである。

 

  自慢になるが、俺はかなり頭がいい。自慢になるが(大事なことだから二回言った)。ぶっちゃけ言ってマスターした知識の分野の総量は自分でもわからん。

 

  物理学や化学においてもそれは例外ではなく、その気になればビルドドライバーも作ることができる。さすがにエボルドライバーはオリジナルがなきゃ無理だけど。

 

  つーわけで、我が頭脳を駆使して生み出したこのネビュラスチームガンだが、予想通り上々の出来である。

 

「今後は俺はこれ、お前はトランスチームガンって使い分けるか」

「蒸血するときは合体すればいいしな」

「そういうこと」

 

  イェーイとハイタッチする俺たち。苦笑するハジメと空っち。ちなみにハジメにはもちろんのことラビットエボルボトルを、空っちにはトランスチームガンの複製品を渡してある。

 

「さてさてさーて、前の方はどうなってるかな?」

 

  前方から聞こえてくる打撃音に、俺はもう一度瞬間移動して前に行く。するとそこでは、まあそれなりの戦いが繰り広げられていた。

 

  ホモ之河と雫、坂みんが間合いに入ってきたラットマンを迎撃し、その隙にメガネっ娘の中村ちゃんとロリッ娘の谷口ちゃんが詠唱し魔法を準備。

 

「シィッ!」

 

  そんな中、雫が振るうのは機械的な見た目の刀。刀身の根元にはメーターが付いており、常に点滅している。

 

  あれはルインエボルバー(女神様に貰ったあの剣)をもとに作成したもので、ぶっちゃけ言うと刀型のビートクローザーだ。もちヒッパーレ!機能もついてる。

 

  雫専用に調整しており、俺が伝授した斬撃波に伴って自動的に破壊エネルギーを付与する優れものだ。

 

「オルァアッ !」

 

  一方、坂みんが使ってんのは、肘まで覆う手甲型にした、ブリザードナックルみたいな見た目の武器と、龍を模した脚甲。

 

  坂みんの天職は空手部らしく〝拳士〟であり、それに合わせた武器を作った。攻撃すると相手は凍りつき、次に振動で粉砕する。ある意味二重の極みである。

 

  フルボトル装填機能はオミットした。代わりに、打撃面のスイッチを押すと魔力をエネルギーに必殺技を使えるようにした。

 

「ハッ……!」

《ニエンテスラッシュ!》

「砕けろコラァッ!」

《インクブスアタック!オラオラオラオラドラァーッ!》

 

  噂をすれば、二人が必殺技を使った。ちなみにボイスはエボルトで、単語のチョイスは俺である。うん、いいかんじだ。

 

  え、勇者(笑)?なんか〝聖剣〟とかいうアーティファクト使ってるよ。なんかいやらしい効果付与されてるからねちっこい正義(笑)くんにはぴったりだね。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ、〝螺炎〟」」」

 

 あの剣の名前〝天之河光輝〟に改名したらどうかなぁなんて考えてると、詠唱の声が聞こえる。そっちを向くと、魔法が飛ばされるところだった。

 

 螺旋状に渦巻く炎が、ラットマン達を吸い上げるように巻き込み燃やし尽くしていく。「キッーーー」という断末魔の悲鳴を上げながら、パラパラと降り注ぐ灰へと変わり果て絶命した。

 

「うわー、えっぐ」

 

 あんなものの中で笑ってた志ヶ雄さんマジヤバス。つーか、広間のラットマン全滅してんな。さすがは雫と坂みんだ。え、勇者(笑)?知らない知らない。

 

「ブラボー、二人とも。ナイスファイトだぜ」

 

 パチパチと手を叩きながら、天之河を視界から除去して二人に近づく。すると二人は当然と言わんばかりの顔をした。

 

「しっかし、この階層の魔物じゃあ敵にもなってないな。ねえ、メルさん?」

「ああ、その通りだ。お前たちよくやったぞ!次はお前等にもやってもらうからな、気を緩めるなよ!」

 

 俺の言葉に頷きながら、しかし気を抜かないよう注意するメルさん。だが初めての迷宮の魔物討伐にテンションが上がるのは止められない。故に、頬が緩む生徒達に「しょうがねぇな」とメルさんは肩を竦めてた。

 

「それとな……今回は訓練だからいいが、魔石の回収も念頭に置いておけよ。明らかにオーバーキルだからな?」

「そうだぞ二人ともー。しっかり慎重にな?」

「すまねえ、ついこの武器がすごくて調子に乗っちまった」

「…私もよ。剣士として不甲斐ないわ」

「おっ、うれしいこと言ってくれるねえ」

 

 それぞれの武器を見て恥ずかしそうに言う二人に、俺はケラケラと笑った。すると、視界の外に外していた勇者(嘲笑)くんが割り込んでくる。

 

「そろそろ後ろに戻ったらどうだ、北野。それに、その格好はなんだ。本当に訓練する気があるのか?」

 

 ちなみに俺の格好は茶色いジャケットにネタTシャツ、ジーンズに革靴って感じだ。イメージはもちろん、石動惣一である。ヒゲ要素も入ってる。

 

「うっせえな〜。別に俺がどんな格好しててもいいだろ?つーか二度と俺に声聞かせるなって言わなかったっけ?」

「いやでも……」

「あーはいはい。それじゃあプロに聞いてみましょっと。メルさん、俺の格好ダメ?」

「……別にお前が平気ならそれでいいが、大丈夫なのか?」

「無問題だぜ」

 

 ジャケットの前を開いて、「モーマンタイ」と書かれたシャツを見せる。ちなみにこっちの世界の言語を小さく横に書いてるのでメルさんでも読める。

 

「つーわけで、メルさんの許しが出たが……何か言うことはあるかい、勇者くん?」

「くっ……」

 

 勇者(失笑)の悔しそうん顔を見て愉悦した俺は、ハジメたちのところへと戻っていった。見たいものは見れたしね。

 

「つーわけでただいまさん」

「おかえり。実験水槽にする?ネビュラガスに」

「それはもういいから」

 

  帰還早々にネタをかましてくるエボルトにそうツッコミながら、俺は耳に入ってきたメルさんの号令にハジメたちを促すのだった。

 

 

 ●◯●

 

 

 そこからは特に問題もなく交代しながら戦闘を繰り返し、順調よく階層を下げていった。もちろん俺も戦ったよん。

 

「ネビュラスチームガン撃ってるだけで終わったけどな」

「それな」

 

 やがて、一流の冒険者か否かを分けると言われているらしい二十階層にたどり着く。ここで調子に乗って次の階層に行くのはバカってことだ。

 

 現在の迷宮最高到達階層は六十五階層らしいのだが、それは百年以上前の冒険者がなした偉業であり、現在では超一流で四十階層越え、二十階層を越えれば十分に一流扱いだと言う。

 

「ま、全員普通に考えれば十分チートだしな。力任せができたからここまでこれたんだろ」

「あながち間違っちゃいないな。つーかそれなにお手玉してんの?」

「入る前に買ったターミネートボール」

「アイルビーバックしそうな名前だな」

 

 これ中の肉が結構いいもの使ってるみたいで、わりかしうまい。迷宮自体にそこまで用はないが、今後定期的に買ってこよう。

 

 あと何回お手玉したら食べよっかなーなんて考えてると、メルさんが何やら注意勧告してた。なんでもこっからはトラップと魔物の数が増えるらしい。

 

 ここまでこれたのはゴリ押しの他に、専用の魔道具を使って、騎士団員達がトラップを回避して誘導をしてたのもある。

 

 ちなみになぜか、セントレアさんは魔道具を持ってるのにトラップに引っかかりまくってた。右手にイマジンブレイカーでも持ってんのかなと思った。

 

 しかもひっかるのエロ系のやつばっか。ハジメが凝視して空っちにビンタされてた。え?俺?HAHA、ちょっと何いってるのかわかりませんね。

 

「お前達、今までが楽勝だったからと言って、くれぐれも油断はするなよ!今日の訓練はこの二十階層で終了だ!気合入れろ!」

 

 メルド団長の掛け声がよく響く。それにはーいと元気よく答えながら、俺たちは引き続き戦闘訓練をした。

 

 相変わらず雫たちが無双してるのを眺めてると、一匹ケルベロスみたいな凶悪な顔したイヌ型の魔物が抜けてきた。

 

「お、抜けちまったか。まあ、実践慣れしてないしこう言うこともあるか。ほれハジメ、いってこい」

「う、うん」

 

 俺がポンと背中を押すと、ハジメは頷いてホルダーからスチームブレードに似た短剣を抜いた。バルブとか装飾を外して、代わりにフルボトルスロットをつけたものだ。

 

「な、なあシュウジ殿。彼は大丈夫なのか?聞いたところ、非戦闘職なようだが……」

「気にしなくていいぜセントレアさん。あいつの実力は俺が一番よく知ってる。あと今立ってるところトラップあるからね」

「えっ、ひゃっ!」

 

 なんか宙づりにされてスカート型の鎧がめくれてるセントレアさんを放置して、ハジメの方をみる。するとすでに戦闘態勢に入ってた。

 

「グォォォオオオオオっ!」

 

 魔物が、威嚇するように咆哮する。対するハジメの背中に、怯えは感じられない。スイッチが切り替わったか。

 

「グ、グアァァアアアア!」

 

 そんなハジメに恐れをなしたかのように、魔物が大きく口を開けて飛びかかった。さてさて、どう対応する?

 

「ふぅ……さあ、実験を始めようか」

「ぬっ」

 

 深く息を吐いてこぼれたつぶやきに、思わず声を漏らす。なぜハジメがそのセリフを。俺は教えた覚えないから、偶然か?

 

 エボルト、お前教えた?

 

『いいや?』

 

 あっそう。

 

 エボルトに確認を取っている間に、魔物とハジメの戦闘は始まっていた。といってもあれだけ鍛えたハジメが魔物一匹に苦戦することもない。

 

 爪や牙を使って攻撃を仕掛ける魔物に、ハジメは危なげなくそれを回避していた。そして何かの隙を伺っている。

 

 何度も躱されることに魔物が苛立って、動きが早く、しかし大雑把になる。そして魔物の突進を避け、背中を見せたその瞬間。

 

「今っ、〝錬成〟!」

 

 一瞬でしゃがみこむと、地面に手を押し付けたハジメはそう詠唱をする。すると恐るべきスピードで地面が変形し、魔物を飲み込んだ。

 

「ほお」

 

 以前見た時より、練成の速度が格段に早い。自分で訓練してるのは知ってたが、まさかこんなに早くなってるとは。

 

「ギャォォオオオッ!?」

「ふっ!」

 

 困惑する魔物の首に手を回し、ハジメは短剣を首に深く突き刺す。「ギッ!?」と声を上げて体を震わせたあと、魔物は動かなくなった。

 

「ハァッ、ハァッ、うまくいった……」

 

 短剣を引き抜いたハジメは地面に座り込み、安堵したようにそういった。そんな彼に、俺は拍手しながら近づく。

 

「お見事!自分の技能と技術を組み合わせた、見事な立ち回りだった。さすがは俺の親友だな」

「うん、ありがとシュウジ」

 

 ほれ、と手を差し出して、ハジメを立たせる。すると、自分の手の中にあるハジメの手が震えてるのがわかった。

 

「やっぱ怖かったか?」

「…あはは、ちょっと。初めて、生き物を殺したから」

「まあ、そこまで深く悩みなさんな。命を奪うのを忌避することは立派だが、それでもお前はやり遂げた。これからもその気持ちは忘れるんじゃないぞ?」

 

  じゃなけりゃ、俺みたいに壊れちまうからな。

 

「わかった、忘れない。それに、僕が戦うのは美空を守る時だけだしね」

「おーおー、言うねえ色男。ま、がんばんな」

 

 軽く肩を叩いてそう言う。そのあとはハジメの手の震えが収まるのを待って、魔石を回収すると引き続き訓練を再開した。

 




次回はいよいよあれが登場します。
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