楽しんでいただけると嬉しいです。
さて、皆さんは異世界で帝国と聞いたら何を思い浮かべるだろうか?
すぐに女の子に手を出そうとする粗野な男たち?
完全実力主義の厳しい国?
それとも奴隷制度とか普通にある、日本からは到底遠い倫理観?
全て正しい。
しかしてその答えは──
「おい、お前r「ほいハジメパス」タコスッ!」
「よしきた」
「あじゃぱっ!!」
モヒカンサッカーだ。
「うん、70点。ちょいとバランスが悪い」
「チッ、少し右にずれたのか」
今回は失敗だった。次はもう少し慎重に、そして正確にパスをしよう。
「……ねえシズシズ、あの二人は何をしてるのかな?」
「何でしょうね鈴、私もわからないわ……」
おっと、後ろから呆れ声が聞こえるぞう。だが私たちはやめない。
え、俺とハジメが何やってるのかって? やだなあ、ただ絡んできた奴をことごとくモヒカンにしてるだけだよ。
俺が絡んできた奴を蹴り飛ばし、ハジメが目の前を通過する一瞬で髪型をモヒカンに剃る。簡単なゲームだ。
知ってはいたが、帝国は実にテンプレなファンタジーの帝国だった。
チンピラみたいな国民に区画整理? ああ、あいつは死んだよ……雑多な街並み、各々自由に生きてるのが街並みから一目でわかる。
まあ元々がいつだかの戦争で活躍した傭兵団が立ち上げた国なので、らしいといえばらしい国だ。
ほら、みんな道端にモヒカンが倒れていても誰も気にしない。今のところ百点のモヒカンは三人である。
ちなみにさっきのやつは絡んでくると同時に雫に触れようとしたので、ついでに服を切り刻んでおいた。
『どこの1000%社長だ?』
パンツは普通だけどな。
「うぅ、話には聞いていましたが……帝国はやっぱり嫌なところですぅ」
「全体的に、粗野」
「うん、私もあんまり肌に合わないかな。……ある意味、召喚された場所が王都でよかったよ」
「同感だ。谷口、俺から離れるなよ」
「う、うん」
「まあ、お国柄というやつじゃろう。国民のほとんどでさえ戦闘者なんじゃ、仕方ないという他にないの」
女性陣もお気に召さないらしい。特に同族の奴隷を見ているシアさんの表情は芳しくない。
普通に値札付きの檻に入れられて子供がいるってんだから、この国の性質が知れるというものだ。
「……許せないな。同じ人なのに、奴隷なんて」
後ろでなんか元勇者が言ってるけど、突撃なんてしようものなら全力で他人のふりをしてやろう。
「ハジメさんや、ここは男を見せるところでは」
「言われなくてもわかってる……シア、見ても仕方がないだろう?」
「……はい、そうですね」
「なら、こうする」
「え、わわっ!」
ハジメがムニムニとほっぺを優しくつまんでいると、突然ニュッとウサギがシアさんの隣に現れた。
そうするとシアさんの腕に抱きつく。突然の密着にシアさんはアワアワとお可愛い反応をした。
「私を見てれば、見えないよ?」
「ウサギさん……えへヘぇ〜、ありがとうございますぅ〜」
「ん、それなら私も」
今度は反対の腕にユエが抱きつき、更に幸せそうな顔になるシアさん。両手に花っていうか三つとも花だなこれ。
「ハジメさ〜ん、ハジメさんは何かしてくれないんですかぁ?」
「アホ、もう両方埋まってるだろうが」
「えー」
ブーブー言いながらもシアさんの耳はパタパタ動いている。幸せ空間とはこのことか。
「おやおやハジメ?もう両方ってことは何かしてあげるつもりだったんですかねぇ?」
「ウザい、近い、はっ倒すぞ」
「そう照れなさんな。言葉にいつもの凄みがないぜ?」
「チッ……」
そっぽを向くハジメの頬はちょっと赤くなっていた。
フェアベルゲンでのことといい、これはもう秒読みだな。シアさんの努力が実る日は近い。
「それなら、ハジメの隣は私がもーらいっ」
「あ、ずるいよ美空!私だって!」
「おい、お前らな……」
「おっと」
両手に花再び。周囲の男連中から嫉妬と怒りの視線を頂戴した。お前らもモヒカンにしてやろうか。
美空に弾かれた俺は、おとなしく雫の隣に退散することにした。
「ふふ、みんな仲がいいのね」
「最近は修羅場ってないからなぁ。うまくいってるようで何よりだ」
少なくとも、事あるごとに、美空が「刻む……後で刻む……とかは言わなくなった(震え声)
ともあれ、ハジメの女性関係は順調にいっているようだ。あいつの器量ならシアさんも十分に受け止められるだろう。
とりあえずあの状態を邪魔させないよう、怪しい目線をよこしてくる奴には殺気を送っておこう。
「それで、私たちはさっきからどこにむかっているの?」
「冒険者ギルド。そこならカムさんたちの情報も集めやすいからな」
「……つまり、あなたたちは彼らの身柄が帝国側に押さえられていると思っているのね」
「その通りだ。ま、いくら何でも音信不通ってのはおかしいからな」
たとごく短期間であったとしても、ハウリア一族はカインの残留思念が鍛え上げた精鋭だ。
元からの気配操作と敵感知能力に加え、プレデター装備まで渡してある。
カムさんに至ってはもはや別種族だ。ケツからネビュラガス注入とかなにやってんのあの人?
だというのに、脱出はおろか連絡も取れていない。となると相当に身動きができない状況にあると考えるのが妥当。
「おまけに帝国は今だにこの厳戒態勢だ。ほら、入国の時もかなり厳しめの監視をしていたし、今もそこら中に兵士がいるだろ?」
無数に伸びる裏路地の一本も見逃さないと言わんばかりに、スリーマンセルの兵士たちがうようよしている。
周辺だけでなく、首都の内側までこの警戒っぷり。外からの魔人族の襲撃だけが原因とは少し考えずらい。
「なるほど、そういうこと。つまりこの状況の中に、彼らも一因として関わっている可能性もあると、そう考えてるのね」
「そゆこと。だから情報を手に入れるんだよ」
まあ、俺とエボルトは知ってるんだけどね。実力主義ってのもあってかなり掌握しやすかった。
だが、それを俺たちが知っているとバラすわけにはいかない。少なくとも神代魔法を全て手に入れるまでは。
「最悪、シアさんのためにハジメが帝国ごと滅ぼして救出するから問題ないさ」
「いや、それはダメでしょう……冗談よね?」
「ハハハハハ」
「ねえなんで笑ってるの?いつものジョークでしょ?そうなのよね?」
「ハハハハハハハハハ」
「シュー!? ちゃんと答えて!?」
ちょっと前に飯の席で聞いた話だが、なんでも俺の雫にちょっかいかけようとした野郎がいるらしい。
なんでもそれはヘルシャー帝国の皇帝陛下というではありませんか。いやはやまったく、とんだ偶然もあったもんだ。
「ハハハハハ……殺す」
「誰を!?」
「雫、帝国はもう……」
「残念だけど、ね……」
「なんで龍太郎も鈴も諦めてるんだ!?お、おい北野、いくらお前でもそこまではしないよな!?」
「うるせえ」
「がふっ!?」
突然肩を掴んできた勇者を反射的に一本背負いする。
いつ俺に近づいていいと言った、このたわけが。
●◯●
そんなこんなで進んでいるうちに、街並みが変わってきた。あちこちの建物が崩壊しているのだ。
見せ物用の魔物が突然変異したらしく、それでここら辺が蹂躙された所に魔人族が攻め込んできたらしい。
皇帝……殺す……と軍隊が出てことなきを得たらしいが、見ての通り被害は甚大のようだ。
当然のように亜人奴隷が労働させられている。小さな子供もおり、ガッチリ鎧を着た帝国兵が監督をしていた。
罵倒を飛ばされ、見るからに不調な顔で黙々と瓦礫や建材を運ぶ様子は悲惨の一言に尽きる。
「っ……!」
……後ろで勇者が動いた。ここまで見ればいくら考え方がマシになったとはいえ、また阿呆なことをしでかすか?
だが、そんな俺の予測と違い、奴は奥歯を噛みしめ、拳をどちらも握りしめるだけで耐え凌いだ。
「動かないのか?勇者君はあの非道を許せるんだな?」
あえて挑発するように、いつもは決して視界に入れないようにしている奴に振り返って言ってやる。
ここであそこにいる十数人を助けようが帝国の法が変わるわけでもなし、ただ憲兵さんがすっ飛んでくるだけだ。
さて、勇者君はどのように……
「……たとえ俺が、あそこで正論を振りかざしたところでどうにもならない。あの人たちに迷惑がかかるだけだ」
「……そうかい。負える責任の限界くらいはわかってて何よりだよ、正義の味方君」
どうやら本当に、衝動的な所は前より鳴りを潜めてるようだな。それがいつまで続くかは見ものだが。
だが、この場合における行動の結果まで正確に口にした時の、薄っぺらくない怒りと後悔だけは本物だと認めよう。
『で、お前はそれを面白くないと思ってるわけだ』
……俺はまだ、こいつが変われたなんて信じてないからな。
「あうっ!」
と、そんなことを考えていると復興作業中の亜人族の子供が転び、盛大に手押し車の中身をぶちまけた。
10歳に届いてるか届いてないかのその子は、転んだ拍子に怪我でもしたのか、その場に蹲って呻いている。
それを見た監視兵が、怒り浸透という顔で近づいて、なにやら罵声を浴びせながら手に持った鞭を振り上げた。
「っ、まず──っ!」
「バン、なんてな」
今度こそ一歩踏み出した勇者よりも早く、銃の形にした右手で軽く反動があったような仕草をする。
指先から極小の、しかし見た目の十倍は圧縮したカーネイジの破片が音速で飛び出し……帝国兵の後頭部に吸い込まれるように当たる。
思いっきり倒れ込み、瓦礫に顔面を激突させる帝国兵。そのまま動かなくなって、身を竦めていた子供はポカンとする。
「今、のは……」
「一度啖呵を切ったんなら、せめて最後まで貫けや」
我ながら実に嫌味ったらしく呟き、気絶した同僚を運んでいく帝国兵を一瞥して足を進める。
後ろから感じる奴の視線を振り払うように足早くなっていると、隣に並んだ雫がなにやら微笑んでいるのに気付いた。
「さっきの、まるで光輝の感情を認めてるみたいだったわね?」
「……あいにくと、俺もまだ子供を見捨てるまで悪党に堕ちちゃいないんだ」
そう、だからあいつの怒りに共感したとか、そんなことは全然ない。そんな感情知ったこっちゃない。
俺がやらなくても、どうせハジメがやってたし。それが1秒早くなったかどうかとかそれだけの話だし。
『まるでツンデレみたいだぞ』
お前一週間話すの禁止。
『ウソダドンドコドーン!』
「ふふ、順調そうで何よりだわ」
「雫さん?何か勘違いしてません?」
「わかってるわかってる、光輝のことが嫌いなんでしょう?知ってるわよ……ふふ」
ぐぬぅ、この手玉に取られてる感じ。いつもは可愛いのになんでか悔しい。
ニッコニコしてるだけで何言っても取り合ってくれない雫にやきもきしているうちに、冒険者ギルドに到着する。
そして中は……まあ、有り体に言ってザ・酒場だ。広いスペースにドンと机が置いてあるだけみたいな。
昼間から飲んだくれてる冒険者たちの向けてくる、もう定番化した目線をハジメがさくっと威圧して押さえながらカウンターに行く。
二つあるカウンターのうち、一つはダンディなおっさんのいるバーカウンター、もう一つはケバいねーちゃんのいる受付だった。
「情報をもらいたい。ここ最近、帝都内で騒動を起こした亜人がいたりしなかったか?」
「……」
わあお、なんて面倒くさそうな目。そんなこと聞いてどうすんの?みたいな顔だ。
奴隷はほとんどの反抗は首輪で制限されてるし、あっちからすれば意味のないことを聞いてるのと同意義だろう。
「……そういう情報はあっちで聞いて」
まさかの丸投げ。ハイリヒ王国の王都ギルドの対応がどれだけ教育されてるのかがわかるね。
それはともかく、ちらりとグラスを磨いてるロマンスグレーのマスターを見て、俺とハジメは目線を合わせる。
情報を聞くには酒場、そして偏屈そうなマスター……これはもしかしたらもしかするんではなかろうか。
「ヘイマスター、ちょいといいかい?ここ最近亜人関係で変わったことはなかったか?」
今度は俺が聞くも、マスターはガン無視。おまけに周りからジロジロと値踏みするような目線まで頂戴する。
「り、龍っち……」
「おうコラ、何こいつに向かってガンくれてんだ?」
「あん?なんか文句あるのかクソガキ?」
ハッ、後ろからラブコメと修羅場の波動を感じる……!(カオス)
「……ここはガキが遠足でくるような所じゃない。酒を飲まないのならさっさと帰ってミルクでも飲んでな」
「「……!」」
このセリフ……!
ハジメと再びアイコンタクトを交わし、互いに興奮しているのを目の中に揺らめく炎で確認し合う。
硬貨を一枚取り出し、マスターに向かって指で弾いた。マスターはグラスを磨いていたタオルを手放し、難なく受け取る。
「マスター、ここで一番キツくて質の悪い酒をありったけくれ。あと一息で飲めるグラスを二つ頼む」
「……ほう?」
●◯●
ピクリと眉を上げたマスターは、面白そうに声を漏らすと後ろの棚から一升瓶を取り出す。
カウンターに座っていた冒険者二人に金を払って席を譲ってもらうと、ハジメと並んでどっかりと座った。
そして、並々と酒の注がれたグラスと瓶が目の前に置かれる。少し離れていてもどぎついアルコール臭がした。
「シュー?そんなもの飲むの?」
「は、ハジメ君、やめた方がいいんじゃないかな?」
「あー、また始まったよ……」
「みーちゃん、始まったってなんのこと?」
「鈴、あの二人はね……」
知らないメンバーが止めてくる中、俺たちの顔を見て察したユエやシアさんたちは呆れたように笑う。
「ハジメ、分かってるな?」
「ああ、先に飲み干したほうが勝ちだ」
ニヤリと笑い、グラスを持つ。
そしてチン、と軽くぶつけ合った瞬間──俺たちの腕は一瞬で口元に移動してグラスの中を煽っていた。
「ああっ!」
「ほっときなシアさん。もう始まっちゃったから」
「んぐ……不味い!もう一杯!」
「ぷは、こりゃうまい酒を選ばすに正解だな。もう一杯だ」
ドン、とグラスを置くとマスターはニヤリと笑って中身を注ぎ直す。
そんでもう一回一気に喉に流し込んだ。またも同タイミング。三杯目まで僅か0.5秒だった。
「んっ!さあ次だ!」
「ぷはっ、もう一杯寄越せ!」
「んぐぐ、まだまだいけるぜ!」
「はっ、それはこっちのセリフだ!」
一杯飲むごとにどんどん俺たちはヒートアップしていき、それに比例するように一升瓶の中身も減っていく。
俺が勝手に拝借したグラスを使って二つ同時に飲めば、ハジメは三つのグラスを逆さにして全部口に落とす。
「す、すげえ!あのゲロみたいな不味い酒を流し込んでやがる!」
「あれ、お前がこの前一口飲んでぶっ倒れてた奴だろ!ほとんどアルコールの!」
「ばっかお前、あん時はたまたま調子が悪かったんだよ!」
その度に、おおっとどこからか歓声が上がった。いつの間にかギャラリーができているようだ。
「こいつで……」
「ラスト!」
僅か五分の攻防、それを制したのは……図らずも、ハジメだった。
「ん……ふっ、俺の勝ちだ」
「あー、さっきので差をつけられたかぁ」
今回はハジメに軍配が上がった。
健闘を称え合ってガッシリと握手を交わすと、周りからは歓声が、女性陣からはため息が返ってきた。
「二人とも、もう満足した?」
「おうよ美空。で、マスター。見世物には充分じゃあねえかい?」
「……わかった、降参だ。お前らは立派な客だよ」
渋いイケ顔に苦笑いを浮かべ、両手を上げるマスター。男の憧れるシチュエーションを達成できた俺たちも満足である。
ちなみにわざわざこんなショーをしたものの、俺たちはまっっったく酔わない。ハジメにも俺にも毒耐性があるからだ。
ならどうしてやったかって?そんな質問はエンターテイナーにとっては野暮ってもんさ。
「で、亜人族の情報だったな……お前らが聞きたいのは兎人族のことか?」
「ビンゴだマスター。で、どんなものなんだ?」
それからマスターは、知っている情報を話してくれた。
なんでも数日前、暴れに暴れた兎人族の集団がいたらしい。そいつらは未知の武具を纏い、とんでもない力を持っていたとか。
しかし、やってきた百人以上の帝国兵になす術なく捕まりかけたところ、化け物のような半裸の兎人族が現れた。
他の兎人族とは一線を画す力を持ったその兎人族は帝国兵たちをリンチし、その間に集団はどこかへ退散。
そして、さらにやってきた増援の手によってようやく捕らえられ、今は帝城の方に収容されたのだとか。
「へえ、城にね……」
「化物のような兎人族……父様ですね」
あ、また熱視線が飛んできた。ただしこっちを焼き殺そうとするタイプのやつ。
シアさんの視線を受け流しつつ、事前に掴んでいた情報とそこがないことを確認して一人安堵する。
そしてカムさんが生きていることも、逃げおおせた兎人族たちがどこにいるのかまで、俺は知っていた。
「マスター、言い値を払うといったら、帝城の情報、どこまで出せる?」
「っ! 」
おや、切り込むなハジメ。マスターも面食らっている。
「……冗談でしていい質問じゃないが、その様子を見る限り冗談というわけじゃなさそうだな……」
「ああ、大マジだ」
不適に笑うものの、目が全く笑っていないハジメに、マスターの頬を冷や汗が伝う。
治外法権のような冒険者ギルドとはいえ、下手すりゃ国家反逆罪だ。それを知っている上でこっちは問いかけてる。
そう目線で訴えるハジメに、マスターは先ほどのように降参、と両手を上げた。
「……警邏隊の第四隊にネディルという男がいる。元牢番だ」
「ネディルね。わかった、訪ねてみよう。世話になったな、マスター」
「追加の代金だ。とっといてくれ」
もうワンコインマスターに支払い、俺たちは席を立った。
そして周囲のさっきとは違う意味を含めた視線で見てくる冒険者たちの間をすり抜け、皆でギルドを出る。
それからしばらくメインストリートを行ったところで、ハジメの前まで歩き出してくるりと向き直った。
「さて、それじゃあ行ってくるかね」
「一人でか?」
懐疑的な顔で聞いてくるハジメに、俺は頷く。残りのメンバーは首を傾げた。
「行くって、どこに行くの?」
「俺にお似合いの汚れ仕事、さ」
そう言えば、雫は一瞬で察した顔になった。他のメンバーも理解したものの、やや複雑そうな顔をする。
あれ、もしかしてまた心配されてるんだろうか。ハジメが多少の無茶キメても信じられるのに、なんだこの差は。
『日頃の行いじゃね?』
返す言葉もございません。
「おいおい、心配すんなって。ただちょいと話を聞いてくるだけだ。みんなは飯でも食って待っててくれや」
「……気を付けろよ」
ハジメにウィンクし、俺は皆と別れて雑踏の中へと紛れていく。
さあ、暗殺者らしい仕事といこうじゃないか。
なぜだ、ツンデレ気味になっている…
感想をいただけると生命力になります。