ナニコレ?(困惑する作者)
エボルト「俺だ。前回は天之河の話だったな。オリジナル化が止まらない」
ハジメ「原作の天之河が欠片も見当たらないレベルなんだが」
エボルト「ま、ここまで魔改造したらな。で、今回はある意味続き?だ」
ハジメ「注意、すごくカオスだぞ。それじゃあせーの、」
二人「「さてさとどうなる大樹編!」」
シュウジ SIDE
「……ハッ!?」
目を覚まし、がばりと起き上がる。
「あ、おはようシュー。気分はどう?」
「……知らない天井だ」
「ボケられるなら平気ね」
枕元にいた雫が呆れたように笑った。
ちょっと一回言ってみたかったので、わざわざ寝直して言いました。
『無駄ァ!』
とりあえず満足したので起き上がると、全身及び頭がものすごい痛みを発して、思わず両手で押さえた。
あーズキズキする……なんかこう、満遍なく全身をタコ殴りにされて、トドメに一発後頭部に入れられたような。
『まったくもってその通りだな』
ハジメと雫が羅刹になって折檻してきた上に、拷問のようなステゴロしたのは夢じゃなかったのか……
恐る恐る隣を見ると、雫は「ん?」と言わんばかりに首をかしげる。
うん、いつも通りの可愛い雫だね。とりあえず怒気は感じられないのでほっとする。
あ、体は〝自己再生〟で回復しとこう。
「えーと、まだ怒ってらっしゃる?」
「いいえ。ただし次に隠して使ったら……」
「使ったら……?」
シリアスな顔を作って聞き返せば、雫はニコリと笑って。
「あなたを襲って、私が責任取らないといけない体になるわ」
「既成事実っ!?」
「そうしたら流石の貴方でも死ぬような無茶はしないでしょう?」
「雫さん、あなた最近遠慮なくなってきてない?」
「あら? じゃあ遠慮していいのかしら北野くん」
「やめてください死んでしまいます」
今更苗字呼びとか、マジで心臓が止まった錯覚を覚え……あれっ鼓動が止まってる?
『緊急処置ィ!』
体内のエボルトにショックで停止した心臓は動かしてもらいつつ、とりあえず頷いておいた。
人差し指と中指の間に親指を入れていた雫は、それでようやく納得したようにそのジェスチャーをやめる。
「で、どんくらい寝てた?」
「数時間ってところかしら。下にみんなもいるけど、行く?」
「おお、そうするか」
よっこらせとベッドから降りて、雫と一緒に部屋を出た。
「ちょっと面白いことになってるわよ」
「ほほう、お祭り騒ぎにゃ俺が欠かせないな」
「またシアさんに殴られるわよ」
なるほど、つまりシアさんがメインってわけね。
にしても、ほんと最近シアさん強いんだけど……時々ハジメよりパンチ強いってどゆこと?
『ウサギの毎晩の訓練の賜物だな』
よりによってェ!
『次は貫通するぜ(確信)』
モツ抜き? モツ抜きされちゃうの俺?
15禁映画みたいになりそうな我が身を憂いつつも、大樹の中をくりぬいた螺旋階段を降りる。
そうして、亜人族の皆様方も使っている、ここ数日お世話になっている食堂に入れば──
「あぁんシアさん! とても良いですわ! この親友の私〝
「お願いですからそれ以上喋らないでくれませんかねぇ!?」
何故か森人族のお姫様が、シアさんに筋肉バスターをキメられていた。
見事に開脚された森人族の姫さん、その下着は純情そうなのに結構アダルティックなものだ。
しかし、それ以上に気になるのはプロレス技かけられてんのに、なぜかとても楽しそうなこと。
それを見て、すぐさま食堂内の様子を確かめる。
技をかけているのに必死な顔のシアさん、何故か微妙に拗ねているウサギ、苦笑しているユエ達。
オロオロとしてる食堂の従業員や姫さんの侍女、シアさんを実に和やかな顔で見ているハジメ。
そして、姫さんを同類を見る目でキラキラと表情を輝かせているティオ。
そこから導き出される答えは──
「なるほど、シアさんにもいい友達ができたんだな⭐︎」
「ぶっ殺しますよシュウジさん!?」
めっちゃ物騒な答えが返ってきた。
まあでも、きっと姫さんは特別扱いばっかりであの容赦のない扱いに喜んでるし。
「そうなった時点で手遅れだと思うよ?」
「うぅっ、目をそらしてた事実を!」
「いやぁ、同じ苦しみを分かち合ってくれるなんて。さすがは
「最後のセリフしか嬉しくないですぅ!」
涙目なシアさんと姫さんとの対比g……いやちょっと待ってハジメ今なんて言ってた?
驚いてハジメを見ると、俺の視線に気がついたハジメはなんかおかしなこと言ったか? みたいな顔をする。
雫達も聞いてないことだったのか、微笑むユエとウサギ以外は同じ顔でハジメを見ていた。
あ、ニッコリ笑顔でス◯ンド背負ってる美空さんは見えません(ガクブル)
『ブルってるじゃねえか』
だって怖い(素直)
「ぜぇ、はぁ……」
「ふふふふ、次はどんな技をかけてくれるんですの? いくらでもお相手しますわ!」
「ひぃっ! この人めんどくさ怖いですぅ!」
シアさんが姫さんに追っかけられながら逃げてったが、それどころじゃない。
「ハジメお前、ついに覚悟決めたのか」
「そ、そうだよハジメくん! 今のってどういうこむぐぅ!」
「はいはいあんたが絡むと複雑になるから」
◯タンドを収めた美空が詰め寄った白っちゃんを回収し、俺はニヤニヤしながらハジメを見る。
「あー、まあな。もう美空、ユエ、ウサギときて今更な気がするんだが。少し前に、あいつのことが〝特別〟になったことを自覚してな。相応の態度をとることにしたんだ」
「へぇ……ついに四股かけるわけだ」
「おい言い方を改めろ……まあ、そういうわけなんだが」
言い方がなんだと言いつつ、若干ビビりながら美空を見るハジメ。
なんだかんだ言いつつ、昔から俺達三人の中でラスボスは美空だ。だって怖いからね。
「……はぁ。まあ、薄々気がついてたし。今更怒っても、ユエさんを許した時点で手遅れだしね」
「……そうか」
「ただし! そういうことなら、しっかり大切にすること! もちろん私達のことも!」
「当たり前だ」
今度は真剣な顔で即答するハジメ。
きっとずっと一緒だった美空や、生死の境で培われたユエやウサギへの愛とはまた違うのだろう。
しかしそれでも、ハジメの目には真剣な……目の前にいる三人と比肩しうる愛情が現れていた。
「……そ。ならいいよ。まあ第一夫人は私だけど」
「む。それに関しては話し合いの必要がある」
「いいし。今度こそちゃんと決着つけるから」
「んー! んー!」
にらみ合い、というにはいささか緩い雰囲気で笑い合う美空とユエ。平和だなぁ(棒読み)
『いや白ちゃん無視してやるなよ』
ナンノコトカワカリマセン。
「ま、あんだけ一生懸命にアタックしてたんだ。最初からハーレムルートは予測してたよ」
「なんつー予想してんだ。いや、実現しちまってるけど」
「仕方ないね、ハジメは主人公だから」
「色々な意味でハードモードすぎるだろ」
俺? 俺はほら、意味深に裏で出没する系のキャラ。
『裏ボスだろ』
そうとも言う。
「あー、とにかくそういうわけだ。シアには後でちゃんと言う」
「演出いるか?」
「茶化すなら殺す」
「普通にしますはい」
いつものように冗談を交わすハジメの声には、「待ちきれない」という感情が色濃く出ている。
〝特別〟はみんなシアさんのことを可愛がってるので、とても微笑ましそうな顔でいた。
残るメンバーも、努力すれば自分も! と意気込んでいる。
それを見ていると、雫が体を寄せてくる。
「モテモテね、南雲くん」
「みんな精力的でよろしいようで」
「あなたも。頑張らないとね」
「……ああ」
俺も、腹をくくって会いに行かないとな。
内心決意を固めながらハジメ達の方に歩き出すと、後ろの階段の方から誰か降りてくる音がした。
シアさんが一周して戻ってきたか、と思って振り返る。
すると、階段から俺と雫を見下ろしていたのは──反転の試練からもっと変になった勇者(怖)だった。
「……北野と雫か」
「おうコラ、なんでお前が見上げてんだ。ここからジャンピング膝くらわせるぞ」
「それは嫌だから、そっちに降りるよ」
苦笑した正義バカは、言葉通りに降りてくると、食堂内を見渡す。
「……南雲もいるのか。ちょうどよかった」
「あら、起きたのね光輝。ずっと部屋にいたみたいだけど、平気?」
「ああ、
……何かおかしい。
いや視界に入れたくないレベルで存在がおかしいのはいつもだが、そうじゃない。
「ちょうどいい、って言ったな。どういうことだ天之河?」
「……俺の話は一つだけだ。次の迷宮にも、俺を連れて行ってくれないか」
………………何言ってんだこのスカタン???
『宇宙猫みたいな顔になってるぞ』
いや、そうもなるでしょ。
王国に続いて、気持ち悪いくらい直角で俺とハジメの間で頭を下げたアンポンタンを見る。
こいつは何を言ってんだろうか。もしかして大樹の迷宮クリアしてイキっちゃったの?
「ふむ。まあ大樹は攻略できたし、そのままにくか……いざという時のために力を蓄えてくれるならいいが」
「南雲くん、今また肉壁って言おうとしたわよね?」
「気のせいだ。だが俺はともかく、お前が話を通すべきはそいつだろ」
ビシッとハジメが俺を指差す。自分の顔がこれでもかと嫌そうに歪むのがわかった。
雫がなんとも言えない苦笑いを浮かべるのを視界の端に、顔を上げたバカと目線を合わせた。
あ、ヤベェ吐き気と怒りと苛立ちと殺意が湧いてきた。
『悪意たっぷりのスペシャルパフェだな』
食ったらその場で食中毒起こしそう(他人事)
「そうだよな。ついて行きたいなら、お前を納得させないとダメだよな──北野」
「認めません聞こえません見てません知りません。はい却下、評議は否決されました。終了」
とりあえずこいつ気絶させて、ゲートで王国の方にポイしよう。触りたくないけど。
ついでにタマの方も切除しておくか、と腕を動かそうとした瞬間──俺はナイフを握っていた。
「フッ!」
「……!」
魔力の光を纏った奴の、
その瞬間、接触面から衝撃波が発生して食道内のテーブルやら椅子などが吹っ飛んでいった。
「……自分から殺されにきてくれるとは、殊勝な心がけだな」
本気の殺意を込めて問う。
ハジメ達以外、その場にいた全員が気絶するが──関係ない。
「光輝、何を!?」
「……どうやら、
雫の言葉を無視して、天之河は俺を剣のように鋭い目で見てくる。
その目のままに、ゆっくりと剣を引いて鞘に収めた奴は、そのまま数歩後ろに下がって。
「……北野、見てくれ」
ボコッ、と奴の左肩が蠢く。
「「っ!?」」
雫や白っちゃんが息を呑む中、不自然に隆起をする奴の左肩に目を鋭くして注視する。
まるで内側で何かが暴れているかのように変形を繰り返し、少しずつその頻度は短くなっていき。
やがて──溢れ出した。
ボギュッ!
気色の悪い音を立てて、奴の左肩付近の服を突き破って何かが飛び出す。
ケタケタケタケタ……
クスクスクスクス
キャハハハハハハ
〝それ〟は、「口」の集合体だった。
それぞれ異なる笑い方をする歪な歯並びの口が、赤黒い不定形のもので繋がれ、翼のように形成される。
その隙間ではぎょろぎょろと赤い目玉が蠢き、忙しなく周囲を観察しており。
「……これなら流石のお前も、俺の話を聞くだろ?」
顔を上げた天之河は──黒く染まった左の眼球で光る、血のような瞳で俺を見た。
「──こいつはたまげた。確かに壊れるか狂うかしろとは言ったが、自分から喰われるとはな」
「そうなりたくなかったら飲み込め、とも言ったな。だからそうした」
「光輝、あなたそれ……」
両手を口で覆い、目を見張る雫に寂しげに笑う天之河(ムカつく)。
それはともかく。
俺はナイフを収め、近くに転がっていた椅子を立て直して座る。
「で?
「……確かに、虫のいい話だ。だが、俺には成し遂げたいことがある。傲慢で押し付けがましい偽善そのものだとしても、貫きたい意志がある」
「だから?」
こいつが何を言おうと、たとえ〝それ〟を御したとしても、俺の返事は変わらない。
どんなに変化しようが、結局俺にとって天之河光輝とは、某G先輩達と同等の本能的嫌悪対象だ。
故に──偽物であることを受け入れた俺は、同じ偽物だったこいつを、どこまでも否定する。
「お前をイキらせてるのがその力だってんなら、今すぐ俺が奪ってやる。お前は駒にすらならん、最初からお呼びじゃねえ。役者じゃない奴はすっこんでろ」
計画は最終段階に入っている。
今更この矮小な男が何をしようとも、どうせ全てはあと幾ばくもしないうちに終わりを迎えるのだ。
だから今更ちょこまかとこの羽虫に動き回られても、正直ウザッたいだけで何のメリットもない。
「それ以上何かを言ったり喚くのなら、たとえ雫に嫌われようともお前を再起不能にする。なにせ俺は、お前が大嫌いだからな」
「それでもついていく。お前こそ諦めろ北野、たとえこの左手一本になってもしがみつくぞ」
「ほぉ? 理想論並べ立てるだけで何もできなかった坊ちゃんが、随分強気になったじゃねえか」
一層殺気を濃くしていく。対象にこそ外しているものの、ハジメ達ですら息苦しそうだ。
対する天之河は、本当にイラつくことに平然とした顔で、俺のことを睨むように見てきた。
「何をそんなに意地になる? 前みたいに楽しそうに、勇者ごっこやってろよ。そうすりゃ心の底から死ぬくらい笑うだけで済ませてやる」
「断る。あの苦しみを、憎しみを聞いて、そんな
へぇ……大方、力の根底に残ってた記憶でも読み取ったか。
何を思って〝あいつ〟が、このクソ野郎にこの力を埋め込んだのかは知らないが……面白い。
「そのうち呑まれるぞ。残るのは化け物だけだ」
「この望みが果たせるのなら、化け物になったっていい。その時はお前に殺してもらう」
「嫌だね断る。お前だけは殺してやるものか」
「あれだけ殺すと言ってたのにか?」
「一生飼い殺しにして、無様な姿を嘲笑ってる方が面白そうだからな」
「悪趣味め。なら絶対化け物になんかならない。お前を見返してやる」
「あ、その時は容赦なく殺すわ」
「……この性根の腐ったクソ野郎」
「今更知ったかナルシストクソ野郎」
真正面から睨み合う。
気持ち悪い。実に不愉快極まりない気分だ。
今のうちにぶっ殺しておきたいし、こいつにだけは任せたくなどない。
だが……
「……もしあいつを救うのを失敗してみろ、死ぬまで地獄の苦しみを味あわせてやる」
「望むところだ。もう魂は売り渡したようなものだからな」
「テメェの魂なんざ二束三文の価値もねえだろカス」
「お前こそロクな死に方しないだろ」
「やかましいわボケ。少なくともお前よりは華やかに死んでやるわ」
「は? 無理だろこの大悪党」
「あ? 喧嘩売ってんのかクズ勇者」
椅子から立ち上がり、近づいてメンチを切りあう。
俺は誰も憎まないっ! みたいないい子ちゃん(笑)はどこへやら、同じ目で俺を睨む天之河。
「「フンッ!」」
しばらくガン付けあい、同時にそっぽを向いた。
「おいハジメ、このバカ次の迷宮連れてくぞ。そこで生き恥かかせてやる」
「上等だ」
「お、おう」
何故か呆気にとられたような顔のハジメが、どうにかといった感じで頷いた。
絶対に顔を合わせないようにしながら、ゲシゲシと天之河の足を踏みつけてやる。
対する天之河も、生意気にもロングソードの柄頭で脇腹をグリグリとやってきた。
「……………………え、っと。二人とも」
地味な嫌がらせをしあう俺たちを見て、見たこともないような困惑顔の雫が。
「……いつの間に仲良くなったの?」
「「それだけは百っぺん死んでも絶対にない………………オラァッ!」」
同じことを言い、そこでようやく互いに向き直って、互いに顔面パンチを繰り出した。
ナニコレ?
読んでいただき、ありがとうございます。
次回はハジメとシアの回だよ。