星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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今回でこの章は終了でごさいます。


ハジメ「俺だ。前回は…こう、カオスだったな」

シュウジ「あのバカ勇者が悪い」

ハジメ「はいはい。まあ俺も驚いたがな、なんだあれ?」

シュウジ「企業秘密」

ハジメ「なんだそりゃ。で、今回は俺とシアの話がメインだ。それじゃあせーの、」


二人「「さてさてどうなる大樹編!」」


不確かな未来

 ハジメ SIDE

 

 

 

「うう、ひどい目に遭いました」

「くくっ、災難だったな」

 

 夕暮れ時、フェアベルゲン中央街から外れた広場。

 

 湧き水を利用した噴水のあるその広場で、俺は疲れ切った様子のシアと二人きりでいた。

 

 

 この機会にせっせと新しいアーティファクトやらなんやらを錬成しようと思ったが、やめた。

 

 というよりも、そんなことするのは無粋と幼馴染二人に言われてしまったので断念した、の方が正しいか。

 

 ま、錬成や修練はいつでもできるしな。

 

「アルフレリックのおっさんが回収するまで、散々追いかけ回されてたな」

「割と本気で恐怖しましたよ……」

「そう言ってやるな、お前が初めての同世代の友達なんだろ。存分にもてあそ……遊んでやれって」

「今弄べって言いかけましたよね?」

「気のせいだろ」

「全くハジメさんは……でも、なんとなくハジメさんの気持ちが理解できました。好かれるのは悪くないんですけど、すっごく疲れます」

「だろ?」

 

 ようやくティオの相手をする気持ちをわかってくれて、俺は心底嬉しい。

 

 まあ、ただの変態じゃなくて、好意を向けてくれてるのは解ってるんだが……如何せん表現方法が酷い。

 

 ……思えばなんでこんなモテてるんだ俺。

 

 シュウジと美空さえいればいいと思ってたのに、かなり……なんというか、増えたな。

 

 

 とはいえ、これまで俺とティオのやりとりを見ていたものを、今度は自分が同じ状況なんだ。

 

 流石に疲れたのだろうと、シアのウサミミに触れると、自分なりに優しい手つきで撫でてみる。

 

「ん……気持ちいいです」

「そりゃ良かった。ウサギにポイントを教えてもらった甲斐があるな」

「熟練の手つきですぅ〜」

 

 ふにゃふにゃとした顔つきになるシアからは、これでもかと幸せそうなオーラが出ていて。

 

 なんだか無性に愛でたくなり、もう片方の手で頬に触れてやると、シアは少し驚いた後に嬉々として手を重ねてきた。

 

「ハジメさんこそ、なんか疲れてません? 顔がいつもより元気ないですよ」

 

 そして告げられた言葉に、少し息を呑む。

 

 確かに、突然ペラペラ話し始めたかと思ったら、取っ組み合いを始めたバカ二人を諌めるので少々疲れた。

 

 顔には出してないつもりだったんだが……こいつは相変わらずというか、なんというか。

 

「……ほんと、よく見てんな」

「はい、いつでも見てますぅ!」

 

 少しも隠すことのない好意。

 

 それに自分の頬が緩むのがわかって……ふと、シアがこちらを見つめているのに気がつく。

 

「……ハジメさん。昼間のあの言葉って」

「……ちょっと移動するか」

 

 重ねた手と柔らかい頬に挟まれていた手を引き抜いて、そっとシアの手を握ると噴水のほうに行く。

 

 

 縁に二人で座った瞬間、湧き出していた水が突然形を変え始めた。

 

 まるで鏡面のように丸く形をとり、それによって陽光が収束されて天然のスポットライトになる。

 

「元からあった……ってわけじゃあなさそうだな」

「ふふっ、またあの人の仕業ですよ」

「だろうな」

 

 俺たちを照らす柔らかい陽の光に笑い合いながら、しっかりと向き合う。

 

 

 両手を伸ばし、肩に触れる。

 

 驚いたのか怯えてるのか、びくっと体を震わせるシアを、そのまま力強く抱き寄せた。

 

 先ほどとは裏腹に少し強引な手つきだったが、抱きしめたシアの目は……とても潤んでいる。

 

「……シア、お前の言う通りだった。〝未来は絶対じゃない〟。その通りだったよ」

「あ……」

 

 最初に告白してきた時のことを言うと、シアは声を漏らす。

 

 スッパリ切り捨てたはずなのに、それでも絶対に振り向かせると叫んだこいつの決意の表れ。

 

 

 あとはまあ、ウサギという二人……いや、あの時と違って美空もいるから三人目の〝特別〟か。

 

 本来ならあり得ない複数の特別な人という形がこの未来の証明だとも言ったが……流石に野暮か。

 

「今更何かを確認したりとか、気持ちを疑いはしない。俺はあいつみたいに口が回る方じゃないからな」

「……そこはハジメさん自身も誰かと比べないで欲しかったです」

「……マジか」

 

 この場合他の男の名前も出しちゃいけないのか、勉強に? なった。

 

「まあ、とにかく……シア」

「……はい」

「お前が愛おしい。誰にも渡したくない」

 

 我ながら、なんと独占欲にまみれた汚い言葉か。

 

 中学の時、美空に告白された時はもっとこう……ロマンティックにさせられたんだが。

 

 いよいよ来るとこまで来たな、俺。親父とお袋が今の俺見たら泣いたりしない? 大丈夫? 

 

「逃がすつもりはないから、そこんとこ覚悟しといてくれ」

「っ、はい……!」

「シアは、俺の女だ」

「はい、はいっ、私は、ハジメさんの女ですぅ!!」

 

 熱い吐息を発していたシアは、俺の格好つけた言葉にポロポロ涙を零しながら何度も頷いた。

 

 見上げる顔には、元気一杯の……いいや。それよりずっと可愛くて可憐な笑顔。

 

 

 ああ、なんて魅力的な笑顔だ。きっと他の男が見たら、たとえ亜人差別者だろうと惚れてただろう。

 

 そんなこと許さないが。今となってはもう俺のものだ、他の誰にだって渡すものか。

 

「あ、あの、ハジメさん……そんなに熱く抱擁されると、ドキドキするっていうか……」

「……ん、ならもっとさせてやる」

「え……んっ」

 

 こみ上げる愛しさのままに、シアの唇を奪う。

 

「ぁん……ハジメさん、嬉しいです……」

 

 嬉しそうに目を細めて、向こうから唇を押し付けてくるシア。

 

 もっととでも言うようなその仕草と甘い吐息に、俺はシアを決して離さないよう続けた。

 

「ん……ふ」

「……シア」

「……ハジメさん」

 

 一度息継ぎのために口を話すと、ツーと銀色の橋がかかる。

 

 普段の快活さは鳴りを潜めたシアは、上目遣いに俺を見上げ、開いた唇からチロチロと舌を動かした。

 

「……可愛いなオイ」

「ふふ、やっと普通に言ってもらえるようになりました」

 

 ゆっくりと目を閉じ、二度目を待つシアの頬に手を添え、俺は──

 

「ひゃわぁあ……! また始めたよあの二人……! こんなお外で……!」

 

 

 

 

 

 ●◯●

 

 

 

 

 

「ちょっと、鈴声出てる! 坂上くん、ちゃんと制御しといてよ」

「南雲……男だな!」

「もう、美空も二人もばれちゃうって!」

「……みんなうるさい」

「シアの邪魔しないで」

 

 ……後ろから聞き覚えのある声がする。

 

 ハッとしたシアと唇を離し、二人揃って声のした方に視線を向ける。

 

 

 すると、気付かれたことに動揺したのか一斉に複数人の気配が動き、バランスを崩す。

 

 そして「ちょ、おい、押してる押してる!」というお決まりの文句と一緒に悲鳴が上がって。

 

 次の瞬間、広場を囲う花壇の一角から人間の雪崩が起こった。

 

「いてぇ……平気か鈴?」

「う、うん、なんとか」

「光輝くん、重い……」

「す、すまない、さっきの北野とのいざこざで少し足腰が……」

「だーっ、いいから二人ともどけし!」

 

 折り重なって小山になってるのは、美空、香織、坂上、谷口、シュウジと殴り合って若干ボロい天之河。

 

 その後ろから呆れた顔でユエやウサギ、ティオ、八重樫が表れ……最後にスマホを横に構えたシュウジが出てきた。

 

「お前、それ録画してんのか?」

「記念すべき瞬間だからな。あとで送るよ」

「あー……頼む」

 

 一生忘れはしないだろうが、それはそれとして記録としては残しておきたい。

 

「みみみ皆さん、いつからそこに……!」

 

 あ、シアが頭から煙でも吹くんじゃないかってくらい真っ赤になってる。

 

 

 視線を彷徨わせる小山の連中の代わりに、俺がシアに答えた。

 

「んー、俺がお前のウサミミを触ったあたりからだな」

「最初からじゃないですか! いや、そこの人は噴水の時点でわかってましたけどね!」

「いい演出だったろ?」

「ありがとうございますド畜生ですぅ……」

 

 サムズアップするシュウジに、顔を俺の胸に埋めてポカポカ叩いてくるシア。可愛い。

 

「ハジメさんも、なんで教えてくれないんですかぁ」

「や、別に隠すことでもないしな。タイミング良かったし」

「ねえシアさん今どんな気持ち? 名実ともにハジメの女になって幸せなキスをして終了してどんな気持ち?」

「フンッ」

「アバランチッ」

 

 高速きりもみ回転しながら、バカが吹っ飛んでいった。

 

 いつものことなので気にせずに、ユエとウサギ、立ち上がっていた美空を見ると……微笑んでいた。

 

 多少の違いはあるものの、受け入れてくれるような微笑に少しホッとする。

 

「ユエさん、ウサギさん……」

「……シア」

「んー」

 

 ユエとウサギの方を向いたシアに、ユエがじっと見返す。ウサギは何かを考えていた。

 

 それから、ユエと何やら結論を出したらしいウサギが……ふわりと笑って両手を広げ。

 

「お姉ちゃんと、ハグしよ」

「……おいで」

「っ、ユエさぁ〜ん! ウサギさぁ〜ん!」

 

 二人の胸に飛び込んでいくシア。

 

 女の子座りでひしっと二人の腰に手を回し、二人も上から被さるように抱きしめ返した。

 

 その目は慈愛に満ちていて、優しくシアのウサミミを一本ずつ撫でる手つきも優しい。

 

「出会った時は足置きにしてたのに、お姉ちゃん……か。ウサギも丸くなったな」

「最初の頃とか、ほとんどアルバムから顔あげなかったしな」

「首の向きおかしいぞ」

「おっと百八十度違った」

 

 ゴキリと頭の向きを直したシュウジは、俺に祝福するようにふっと笑った。

 

 俺も同じ顔で笑い返して、からかい半分に尋ねる。

 

「この結末を最初から想像してたって?」

「シアさんみたいに未来視ができるわけじゃあないがな」

「はぁ、これで正妻を決める相手が三人……大変だなぁ」

「……美空。お前もありがとな」

「ん……まあ、あれだけ幸せそうな顔だとね」

 

 仕方がない、という感じで笑う美空(後ろに香織が張り付いてる)と一緒に、三人を見て。

 

「お二人ともぉ、私ぃ、やっとぉ……」

「よしよし」

「よく頑張りました。いい子いい子」

「ふぇえええん! 二人とも大好きですぅ! ずっと一緒ですぅ!」

「……俺の時より感極まってないか?」

「しゃーない」

 

 ちょっとだけ羨ましい。いや、嫉妬とかじゃないけど。

 

「次は妾達の番じゃな、香織」

「うーん……なんか最近、私は美空とハジメくんと一緒に居られればそれでいいかなって」

「お、おう。お主もお主で凄いの……まあ、妾もご主人様の方から積極的に攻めてもらえる日を夢見て頑張るがの!」

「ほんとブレないねティオ」

 

 そのブレなさはもっと他のベクトルに振れなかったのか。

 

 まあ、ともあれ……

 

「……ここまでくるとなぁ。あんまり誘惑しないでくれよ?」

「「!」」

 

 あ、テケテン! って音聞こえた。こっちを爛々とした目で見ている。

 

 

 なんだかんだと言って、美空やユエが大切にしている以上、無下に扱うつもりもない。

 

 つまりそれは、シアと同じ工程をたどる可能性もあるわけで……ほんと、いつからこうなった。

 

 ラノベの中のハーレム主人公に中指を立ててた頃が少しだけ恋しくなった。大変だったんだな、お前ら。

 

「あ、あの!」

「ん?」

 

 上ずった声に相槌を返しながら視線を定めると、やや緊張した様子の谷口が俺の前にいた。

 

 隣には同じような表情の坂上もいて、なんか真面目そうな雰囲気だったので一応姿勢を正してやる。

 

「そういやお前らもいたな。わざわざここにいるって事は、なんか用でもあんのか?」

「南雲くん。あのね……次の大迷宮、私達も連れて行ってください! お願いします!」

「俺からも頼む、南雲。次も同行させてくれ!」

 

 ほぼシンクロした動きで、谷口と坂上は頭を下げてきた。

 

 

 

 

 

 ●◯●

 

 

 

 

 

 気がつけば、八重樫や天之河も真剣な表情で坂上達を見ている。

 

「……とりあえず、最初から二人セットが前提なのは置いといて」

「ふにゃっ!?」

 

 おい、置いとくって言っただろ。そこで顔赤くすんな、話が長引く。

 

「理由を聞こうか。大樹の迷宮をクリアしたからと言って、はいそうですかとは頷けない」

「光輝も行くから……ってのは理由にもならねえよな」

「当たり前だ筋肉バカ。というかそいつは俺もよくわからんうちに決定したんだよ」

「おお、ちゃんと筋肉つけられた!」

 

 いや、反応するのそこかよ……

 

「……南雲くんが、日本に私達も連れ帰ってくれるのは感謝してる。でも、恵里のことまでは手伝ってくれないよね?」

「ああ、中村か……あれ、中里だっけ?」

 

 こいつらが付いてくる要因にもなった、王国でのことを思い返す。

 

 あの時見た中川……中町? は、完全に()()()やつの目をしていた。清水よりもっと手遅れだ。

 

 正直あの様子だと、次に何か仕掛けてきたらそのまま撃ち殺してしまいそうではある。

 

「それに、あいつも確か《獣》なんだろ?」

「ああ、確かにそう聞いた」

 

 天之河が、沈鬱な表情で頷く。

 

 シュウジを殺すため、エヒトが眷属とした異界の戦士達。

 

 シュウジが決着をつけたランダ、あれから姿を見ない紅煉。帝国の傲慢の獣と、大樹で撃退したキルバス。

 

 事情聴取した限りでは、中山もその《獣》の一柱であるという。

 

「こいつの命を狙うなら、俺の敵でもある。それ以上敵対は避けない」

「避けられない、じゃなくて避けないんだ……」

「まあ、今のハジメだしね」

 

 あそこまでいってると、もう救いようがないようにも思えるしなぁ……

 

「そう、だよね……でもね、鈴はもう一度恵里と会って、ちゃんとお話がしたい。その為には、きっと一つだけじゃ力が足りないの」

 

 切羽詰まった……いや、覚悟を決めたような顔で、谷口は語る。

 

 ……友のために、か。

 

 

 坂上が一歩踏み出して、谷口の肩に手を置く。

 

「俺は鈴を守るって誓ったからな。恵里がどういう対応をするにせよ、こいつを常に背中に庇ってやるために力が必要なんだ」

「龍っち……」

「次の大迷宮を乗り越えたら、お前魔人族の領に行くんだろ? だったら、なおさら一緒に行くしかねえな」

 

 真剣な表情で言う坂上に、見上げてぽわんとした顔で見惚れる谷口。

 

 なんでサラッと惚気るのこいつら。ほら、八重樫とか香織もなんとも言えない笑い方してるぞ。

 

 あとシュウジ、録音するのはやめてさしあげろ。こういうの後でめっちゃ後悔するから。

 

「で、天之河。一応お前がリーダーだろ? いいのか?」

「俺も目的は同じだからな。どうせ、やる事は変わらない」

 

 ……こいつも随分と肝が座ったな。

 

「どう思う、シュウジ?」

「んー、どうせ次は【シュネー雪原】だからな。魔人族は絶対絡んでくるし。そもそもそのアホ面連れてくのに、この二人置いてくのは変じゃね?」

「は?」

「あ?」

「こら二人とも、喧嘩しない」

 

 またメンチ切りを始めたのはともかく、確かにそうか。

 

 あの謎の力の件もあるが、何かと猪突猛進な天之河のストッパー役は多いほうがいい。

 

 

 それにシュウジの言う通り、大迷宮である【氷雪洞窟】は南大陸の東側。

 

 魔人族の国ガーランドは大陸中央、あのフリードが神代魔法を取得したことからも洞窟の位置を知っているのは明白。

 

 であれば、あちらにいる中西と話し合うにせよ最後は殺しあうにせよ、連れてくのは別に手間じゃない。

 

「もう一度確認するぞ、谷口、坂上。中越とのことが、結果的に辛いことになっても来るか?」

「恵里の名字は中村だぞ、南雲」

「うん。それでね、もし、もし恵里を説得できたら……その時は、恵里も一緒に日本に帰してほしい! お願いします!」

 

 バッと、また頭を下げる谷口。

 

 無言で坂上も、あまつさえ八重樫や香織、天之河も頭を下げ、俺に懇願した。

 

 

 しばし、静寂が訪れる。

 

 俺は頭を下げた五人をしばらく見つめ、それから隣に立つ男を見上げてアイコンタクトを送った。

 

 

 聞いたのは、エヒトを倒したとしてその眷属の呪いは解除されるのか? というもの。

 

 それに対してシュウジは頷き……しかし、その後に帽子で目元を隠すと、静かに首を横に振った。

 

 ……そうか、()()()()()()なのか。

 

 

 その情報と、健気に、必死に頼み込む姿勢を見せる五人をもう一度最後に見て。

 

 それから美空やユエ達を見ると、わかっているという風に頷かれたので。

 

「……連れて来た時」

『……?』

「その時まだ敵意や害意を持っていようものなら、その場で射殺する。それが条件だ」

 

 我ながら心底嫌そうに告げれば、勢いよく顔を上げた谷口は目を輝かせた。

 

「南雲くん、ありがとぉ!」

「やったな、鈴!」

「うん、うんっ!」

 

 感極まった谷口が坂上に抱きつき、ビクッとした坂上はややぎこちない手つきで背中を撫でる。

 

 後でまたビンタするんだろうなぁと思っていると、こちらに戻って来た香織と八重樫が小さく頭を下げる。

 

「ありがとね、二人とも」

「私からもありがとう」

「気にすんな。さっきも言ったが、何かあればすぐに殺す」

「ま、少なくとも俺には憎悪マックスだろうがね。あいつ、なんか知らないけどそこのバカタレを俺が変えたとか思ってるらしいし」

「あながち間違いでもないよ、北野」

「うるせえタコスミ目の中にぶち込むぞ」

 

 あの二人は放っておくとして……俺も甘くなったなぁ。

 

 

 まあ、どうせ最後の神代魔法を手に入れたとしても、帰還までは時間がかかる。

 

 帰還用の概念魔法、エヒトのような輩の再召喚を防ぐ用の概念魔法。

 

 

 

 

 

 そして──シュウジの〝抹消〟を取り除き、寿命を元に戻すための概念魔法。

 

 

 

 

 

 これらを作り出すまでの間ならば、こいつらが何をしようと構いはしない。

 

「ん、寛容」

「そんなハジメも、素敵?」

「ですね、ウサギさん!」

「割と優しいとこ残ってるじゃん、ハジメ」

「全く、ご主人様はツンデレじゃなぁ〜」

 

 微笑ましげな眼差しと言葉を向けてくるユエ達から目線を逸らすと、クスクスと笑う。

 

 

 

 色々と気になることはあるが……まあ、最後の大迷宮もサクッと攻略するか。

 

 




これで8章は終わりです。

読んでいただき、ありがとうございます。

いよいよ終盤、だな……
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