星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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あと四週間弱で今年も終わり…

ハジメ「俺だ。前回はライダー同士の戦いだったな」

エボルト「ビルド二次創作なのにライダー同士があまり戦わない件()」

シュウジ「それはタブーってやつだ。さて、今回から迷宮攻略だな。それじゃあせーの、」


三人「「「さてさてどうなる洞窟編!」」」


ミラーボックスって超酔うよね

 

 

 シュウジ SIDE

 

 

 

「すまん! 迷惑かけた!」

 

 

 

 目が覚めた坂みんの第一声はそれだった。

 

「おい北野!」

「大奮闘だったじゃないの坂みん。で、体の具合は?」

「みーたんと香織のおかげでバッチリだぜ。メルドさん超強かったからヒヤヒヤしたけどな」

「でも最終的に勝ったわけだからな……で。メルさんに勝ったらどうするんだったっけ?」

「おいっ! 聞こえてるのか!」

「は? 何を……あー」

 

 我ながら実に愉悦を滲ませた顔で問うと、呆けていた坂みんは思い出したように声を出した。

 

 そう。あれは今から一万と……なんて大昔ではなく、一週間と少し前のことである。

 

 

 大樹の迷宮にて魔物になった時、ここ最近見慣れてきた谷ちゃんとのラブコメシーンの時だ。

 

 後から見せてもらったが、坂みんはラ◯ンモドキで谷ちゃんに大胆な告白宣言をしたのだ。

 

 図らずもこんなところでそれが成就したわけだが、さて坂みんはどうするのか。

 

 

『図らずもとは(真顔)』

 

 

 計画通り……! (某新世界の神顔)

 

「ん、まあ……折を見て話題振ってみるわ」

「そうかそうか。頑張れよ、はっはっはっ」

 

 はっはっはっはっはっ。

 

「北野ぉ! いい加減無視するなぁっ!」

「……なんだアホ勇者。今坂みんを弄って楽しんでるんだが」

「いま弄ってるつったか?」

「おっと口が滑った」

 

 雑な誤魔化しをしつつ、さっきから喚き立ててる勇者の方を向いてやる。

 

 すると、なんということでしょう。

 

 

 

 

 勇者の後方、四方八方の通路からうめき声をあげて迫る大量のゾンビがいるではありませんか⭐︎

 

 

 

 

 周囲には触れれば火傷する超低音の吹雪が吹き付け、アーティファクトがなけりゃ凍死する環境。

 

 極め付きには、全面ミラーのようになっている通路によって三倍に増えたように見え、非常にやりづらい。

 

 

 うん、端的に言って地獄的な状況だね。

 

「龍太郎が目覚めたのならこっちに貸してくれ! 手が足りない!」

「えー、お前が坂みんばっか頑張らせたから迷宮の攻略は自分が率先するって言ったんじゃん」

「そんなレベルじゃないんだが!?」

 

 まあそりゃ確かに。

 

 

 通路の半分はいつものようにハジメ達が無双しているが、残りは全部アホ之河に押し付けた。

 

 谷ちゃんが必死に前に飛ぶ結界とか爆発する結界とかで押し留めているが、攻め手が勇者しかいない。

 

 

 そのため、後ろのハジメ達に比べると圧倒的に殲滅力に劣っていた。

 

「北野、俺行くわ。もう十分休んだからな」

「そう? ならどうぞご自由に」

「ああ。変身!」

 

 グリスに変身した坂みんが勇者の援護に向かったので、弄る相手がいなくなってしまった。

 

 仕方がなく、ハジメ達に合流して肉片から再生する厄介なゾンビの殲滅に参加する。

 

「おう、天之河イジリは終わったか」

「ああ、実に楽しかったよ」

 

 

『うわ、なんていい笑顔しやがる』

 

 

 ストレス社会に発散方法を! (ゲス野郎)

 

「しかし、面倒だなこいつら」

「勝手に体使われた魔人族達もそう思ってると思うぜ」

 

 ア"ーア"ー言いながら殺到してくる霜被った三桁超えのゾンビどもを、ハジメと一緒に蜂の巣にする。

 

 こいつらは全員、かつて……あるいはつい最近、この迷宮に攻略に来た者達の成れの果て。

 

 それが迷宮のトラップに組み込まれ、こうしてバイオなハザード状態ってわけだ。

 

 しかもこれを引き起こしてる元を断たない限り、粉微塵にしても元に戻る不死身系モンスター。

 

 いやー、ゾンビはやっぱり厄介なモンスター筆頭だよね。

 

 

『当たって砕けさせる人海戦術に使う兵器としては、実に扱いやすそうだな』

 

 

 そりゃ死んでるからね。

 

「しかし、ここまで新しい方の魔人族のゾンビが多いとなると、奴らも軍を再編成し直そうとしてるんだな」

「そりゃ俺らにだいぶ削られたからな。お前がぶん殴った……なんだっけ、フカヒレ? も必死なんだろうよ」

「いやそんな美味そうな名前じゃねえ、確かフリーターとかだったろ」

「フリードでしょ。二人ともわざとやってるわよね?」

 

 ふざけてたら雫に呆れられた。

 

 

 しかし、俺たちにツッコミを入れながらも決して止まることなくゾンビを斬る姿は、まさしく戦女神。

 

 魔改造された楔丸から発せられる引力で間合いに入れ、空間ごと斬り捨てている。

 

 無論焼け石に水だが、その空間ごと斬っているので再生が遅れ、多少は足止めになる。

 

「あいつイケメンだったから、思わず跡が残るようぶん殴ったわ」

「いやハジメも十分イケメンでしょ。あれだよ、ラノベの自分は平凡って言ってる主人公レベルに顔いいからね」

「そうか? まあ美空達が好きでいてくれるならどうでもいいんだけどな」

「はいはいごちそうさん」

 

 ハジメの惚気を聞きつつ、雫の方に向かった不届き者(ゾンビ)へ[纒毒]を付与したナイフを投げて消滅させる。

 

 しかし、一匹倒してもその百倍は残ってるので意味はなく、女性陣もSAN値的に萎えた顔だ。

 

「坂上も起きたし、これの元凶を叩き潰しに行こうと思うんだが」

 

 ハジメも飽きてきたのか、面倒そうな口調で提案してきた。

 

「賛成。じゃ、勇猛果敢な我らが勇者に囮をしてもらってそのうちに行こう」

「聞こえてるぞ!」

 

 チッ、耳聡い野郎だ。

 

「くっ、北野だと冗談じゃなくて本当に俺を囮にしかねない! 鈴、龍太郎、一気に決めるからタイミングを合わせてくれ!」

「うん!」

『任せろ!』

 

 ……前はハジメ達に任せて、あっちの方見とくか。〝あれ〟のことが気になるし。

 

 何もしないのもアレなので四辻の一角にカーネイジを解き放ちつつ後ろを振り返る。

 

 すると、ブリザードナックルもどきでゾンビの先頭を押し返しているグリスと、その穴を埋める谷ちゃん。

 

 

 

 そして──赤黒いオーラを纏った剣を掲げたナルシスト勇者の姿が。

 

 

 

「今だ、龍太郎、鈴!」

『おうっ!』

「わわっ!」

「せぁあああっ!!」

 

 谷ちゃんを脇に抱えたグリスが退避した瞬間、エネルギーを纏った剣が振り下ろされる。

 

 勢いよく飛び出したエネルギーは空中で二つに分かれ、それぞれ白い歯が剥き出しの〝口〟に変形。

 

 その大きさは凄まじく、大口を開けて二つの通路を埋め尽くすゾンビ達にそれぞれ食らい付いた。

 

 

 ドゴォンッ!! 

 

 

 そのまま奥まで突き進んで、派手な音を立てて爆発する。

 

 結果、大部分のゾンビがバラバラ死体になったが……

 

「あ、あれ……」

 

 その場で勇者がぶっ倒れ、無様な姿勢となった。

 

 ……あの間抜け勇者、一気に力を使いすぎだ。加減もわからねえのか。

 

 

『20点だな』

 

 

 さらにマイナス一億点で。

 

 

『理由は?』

 

 

 相手がアホ之河だから(理不尽)

 

「シュウジ、こっちの道は開けたぞ!」

「おけ。おーい坂みん、そのバカ担いできてくれ。先に進むぞー」

『わかった!』

 

 ダウンした阿呆が回収されたのを見届け、ハジメがミサイルぶち込みまくって開いた道を行く。

 

 もう一方の道を任せていたカーネイジを呼び戻し、復活しかけているゾンビを潰しながら走り抜けた。

 

「ああもう、しつこいっ!」

「ううっ、凍ってても気持ち悪いよぉ!」

「ひゃぁっ! 今なんか尻尾に触られましたぁ!?」

「……ん、腕だけで飛んできてた」

「元気、だね」

「もうバ◯オハザードは勘弁だよっ!」

「そういえばハジメとシュウジがRTAやってたなー……」

「うむ、再生する様が非常に気色悪いの」

 

 女性陣の阿鼻叫喚具合が凄まじい。

 

 

 

 

 俺たちの足音、後ろから追いかけてくる百倍はいそうな数の足音。

 

 二つの足音が絡み合って不協和音をなし、それは東京ドームサイズの巨大空間に出るまで続いた。

 

「あらよっと!」

 

 全員中に入った……一応勇者も……瞬間、カーネイジをネットのように広げ、入り口を塞ぐ。

 

 ドンドンと向こうから大軍が押し寄せる中、ようやく安全になった事で女性陣が荒い息で座り込んだ。

 

「みんなお疲れちゃん」

「……見えた、あれだ」

 

 お、ハジメが諸悪の根源を見つけたらしい。

 

 

 それは入り口から対面の氷壁、その中に埋まっている拳大の赤く輝く魔石。

 

 ハジメも終わりのない迎撃は割とストレスだったのか、犬歯を剥き出しにして魔石を睨んでいる。

 

 

 アンチマテリアルライフルであるイェーガーが取り出され、赤雷が銃身に迸る。

 

 その照準はぴたりと入口と対面の壁に埋まった赤い魔石に定められ、そして引き金に指を──

 

「ハジメさん、上!」

「チッ! そりゃ無防備じゃねえか!」

 

 ハジメが弾かれたように顔を上げ、俺も見上げると、壁から氷製の大鷹が生まれている。

 

 次々と同じものがそこかしこから生まれ、一斉にハジメに向けて急降下を始めた。

 

「おっと、俺の親友は餌じゃないぜ」

 

 カーネイジを展開しているのとは反対の手でブラックホールを生み出し、氷の鷹達を吸い込む。

 

 ハジメにウィンクすると、ニヤリと笑ったあいつは再び狙いを定め、魔石を狙い出した。

 

「あ、ちょい待ち。あの魔石動くからこのボトル使え」

「サンキュー相棒」

 

 俺が投げ渡したロケットボトルをイェーガーに装填、三度目の挑戦。

 

 

 だが魔石の方も無抵抗ではなく、3桁を超える氷鷹や氷狼が生み出された。

 

 

 カーネイジを挟んだ向こう側のゾンビ、頭上を埋め尽くす鷹、夥しい量の狼。

 

 

 三種の魔物が皆一様に主人を守ろうと、ハジメに向かって包囲を狭めていく。

 

 ユエ達も迎撃をするが、例の如く周りにいくらでも材料がある氷の魔物達は再生していた。

 

 

 それだけではない。

 

 なんと魔石の埋まっていた壁が新たにせり出してくると、凄まじい速さで氷の体を作り上げていく。

 

 相手の正体を見定める……まあ俺は知ってるんだけど……間にいち早く頭部が完成し、ガパリと口を開いた。

 

「ユエ、防御頼む」

「ん……〝絶界〟」

 

 空間魔法による次元断絶結界が張られた瞬間、ソイツは咆哮を撒き散らした。

 

 

 

 

 

 クワァアアアアアアアアアアアアアアアン!! 

 

 

 

 

 衝撃波となった叫びは空間を震わせ、ユエの障壁もその凄まじさに波打つ。

 

 

 どうにか初撃を耐え抜いた直後、体を完成させたソイツが俺達の前に立った。

 

 一言で言うならば、六足の亀。

 

 あのフリッピーとかいう魔人族の連れてた魔物に似てるが、こっちは二十メートルを超えてる。

 

 全身高密度の氷製、背中には氷柱の剣山。いかにも強敵って感じだ。

 

「なるほど、数の暴力に加えてあのデカい亀をぶちのめせるかって試練か。オルクスに似てるな」

「こっちは抑えとくから、ちゃちゃっと倒してくれよ?」

「了解だ」

 

 答えたハジメから、大瀑布のように濃厚かつ膨大なプレッシャーが発せられた。

 

 それどころか赤い魔力の波動が全身から迸り、周囲の魔物を次々に打ち砕いていく。

 

 止まった包囲網を見逃さず、俺は結界を飛ばしている谷ちゃんの肩にポンと手を置いた。

 

「谷ちゃん、ちょっと入り口任せていいかね?」

「え、あのゾンビ達を!?」

「まあまあ、一瞬だけだから」

「そ、それならいいけど……」

 

 カーネイジは俺の体に繋がっていないと形を固定できないため、谷ちゃんに入り口を塞ぐのを任せる。

 

 交代し、瞬く間に露わになったゾンビの大群に、慌てて谷ちゃんが入り口に結界を張る。

 

「うう、気持ち悪いよ!」

「よし、じゃあパパッとあのア◯雪のパクリみたいな奴らを片付けるか」

「シュー、何をするつもりなの?」

「上の奴らをまとめてブラックホールで吸い込む。ユエ、結界はそのまま維持してくれ」

「ん、わかった」

 

 頷いたユエに、俺はドライバーを取り出して装着した。

 

「変身」

 

 

《ブラックホール! レボリューション! フッハハハハハ……》

 

 

 手早く変身を済ませ、軽く手首を回すともう一度レバーに手をかける。

 

『それじゃあ氷のオブジェども、チャオ!』

 

 

《ブラックホールフィニッシュ! Ciao〜♪》

 

 

 両手を広げ、全力で能力を解放する。

 

 すると、空中に瞬く間に巨大な黒穴が開き、それが発する引力が氷の鷹や狼達を吸い上げていく。

 

 結界内……未だ延びているアホ勇者も……にいるメンバーは、次々に取り込まれる氷像にホッと安堵していた。

 

 

 いくら再生する奴らでも、虚無の穴の中に放り込まれてしまえば元も子もないというもの。

 

 広範囲に設定した反動として吸収力はそこまで強くなく、質量的にあの亀は取り込めなかった。

 

 だが、そんなものは心配いらないだろう。

 

 

 

「──一撃だ。それで死ね」

 

 

 

 なぜなら、我らが魔神がその引き金を引いたのだから。

 

 ドパォンッ!!! という凡そ物体が出す音じゃない轟音を立て、豪弾が打ち放たれる。

 

 

 クワァアアアアアアア!! 

 

 

 大亀は目を赤黒く輝かせ、氷雪のブレスを吐いて凍らせようとする。

 

 

 が、それは無駄なこと。

 

 

 ロケットフルボトルによって追尾性を付与されたライフル弾はブレスを避けるように軌道を変えた。

 

 速度は衰えることなく、ライフル弾は最後の足掻きと氷柱を飛ばす甲羅に向けて飛んでいき。

 

 

 パキン! と音が響く。

 

 一瞬、この部屋の中の時間が停滞したような錯覚を覚えた。

 

 

 クァアア……

 

 

 直後、弱々しく声を漏らす大亀の甲羅の頂点からヒビが走り。

 

 瞬く間にそれは全身に回っていき、大亀の目から光が消えた途端に粉々に砕け散った。

 

 

 後に残っているのは、木っ端微塵になった魔石の残骸と……床に突き刺さったライフル弾のみ。

 

 それを視認したのとほぼ同タイミングに、新たに発生していた数百体の魔物も崩れていく。

 

 後ろからゾンビの呻き声も消え、谷ちゃんの「ひぇー……」という疲労たっぷりの声が聞こえる。

 

 

 

「なんだ、あっけねえな」

 

 

 

 宣言通り一撃で倒したハジメは、イェーガーを肩に担ぎ、キメ台詞を言い放つのであった。

 

 





読んでいただき、ありがとうございます。


あの試練に行くまでが長いんだよなぁ。

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