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ようやく実像化したネルファさん。わりといい出来
今回はシリアスは半分だよ(ネタバレ)
雫「前回はウサギさんと、美空さんの話だったわね。にしてもこれ、鈴大丈夫かしら……(台本みながら)」
龍太郎「俺は気合入ってるけどな」
光輝「頑張れよ龍太郎」
龍太郎「おう!」
鈴「うぅ〜!」
香織「よしよし……えっと、今回はこの通り二人のお話です。それじゃあせーの、」
五人「「「「「さてさてどうなる洞窟編!」」」」」
鈴 SIDE
鈴は笑う理由は、なんだろう?
それは自分を守るため。灰色の風景が嫌で、耐えられなくて、だから笑顔を作ってきた。
理由は、鈴が小さい頃からパパとママが仕事人間で、ほとんど家にいなかったから。
授業参観にも、親が参加する恒例行事にも出てくれなくて、それが子供心に悲しかった。
愛されてなかったんじゃない。
昔から買い与えてくれたものはどれも良いもので、夜遅く帰ってきた時にも頭を撫でてくれた。
鈴は自分が恵まれてないなんて、一回も思ったことはない。一生懸命働く二人のおかげで裕福だった。
でも、多分今よりもっと小さかった鈴にはそれじゃ足りなかった。寂しかった。一緒にいてほしかった。
だからそっけない態度をとったり、拗ねて寝たふりをしたり……我ながらツンケンしてたと思う。
そんなんだから性格も暗くて、お友達もあんまりいなくて、広い家の中でも外でも一人ぼっち。
そんな鈴を変えてくれたのは、うちに来ていたお手伝いのおばさん。
二人が家を空けてばかりだったから、おばさんは私のもう一人のお母さんみたいだった。
活服の良い見た目に外れず、おおらかなおばさんは落ち込む私にこう言った。
〝とりあえず、笑っとけ〟と。
どこででも聞くような言葉だ。きっと、当時見てた子供向け番組でも言ってるようなセリフ。
それでも小さい鈴にはそれが光明のように思えて、寂しくなくなるならと。
言われた通り、とりあえず両親に全力で笑ってみた。
喜怒哀楽を表現するために飛び跳ね、頭を撫でられたりプレゼントを貰えた時にはしゃいでみた。
寂しさとか拗ねた気持ちとか全部抑え込んでやってみたら、二人も笑ってくれた。それはもうデレっと。
それからパパもママもよく笑うようになって、〝ああこれなんだ〟って思った。
同じように、小学校でも笑ってみた。特に楽しいことがなくても、それが唯一の〝手段〟だったから。
すると、それまでのことが嘘みたいにみるみるうちに鈴の周りには多くの人がやってきて。
鈴の灰色の世界は、幸せで彩られた。
そこまでやっていけば、小さくて頭の回らない鈴でも理解できた。
どんな状況であろうとも笑顔を絶やすことがなければ、もう二度と一人になることはないんだって。
ああ……でも、だからこそわかっちゃったんだ。
『あの子の……恵里の笑顔も仮面だってね?』
「……」
目の前の真っ白な自分に、無言で鉄扇を振るう。
シャリン、と北野っちが後から取り付けた小鈴が鳴って、展開した数十の障壁が動き出す。
それは白い鈴に飛んでいって、内包する魔力が爆弾のように炸裂した。
地面が抉れ、氷片が舞う。
されど細氷が霧散したときには、試練が始まってから一度も破れぬ障壁がそこにある。
顔の半分を隠すように白の鉄扇を掲げた白い鈴は、口を裂くように開いて言い募る。
『
鈴は知っていた。
恵里のことを人が見たときに真っ先に口にすることは、大人しそうで優しそうな良い子。
いつも一歩引いた位置から物事を見ていて、ここぞという時には的を射た意見を言える思慮深い子。
そんな気配りのできる良い子だとみんな言うけれど、鈴は少し違っていた。
時折、恵里の目の中に現れる鋭さと冷たさ。
自分の寂しさを埋めるために笑顔を貼り付け、人の表情を見続けてきたから気付けたもの。
だからそんな恵里のことを、鈴は少し打算的な女の子じゃないかと思ってた。
一歩引いているのは、そうすることでより多くのことを俯瞰して観察できるから。
観察から得た情報を活用し、さりげない手助けや気配りをするのは自分を人の輪に溶け込ませるため。
鈴はそれを否定しない。だって同じように、鈴は笑顔を道具にしてきたんだから。
演じることは悪じゃない。弱い自分を守るために何かをすることは、決して間違いではない。
自分に正直に生きられるなんて、そんなのは特別な人間だけの特権だ。
だから、気がついたら恵里と深く関わろうと思いながら接するようになっていった。
きっと鈴が気がついたように、恵里も鈴の仮面を見抜いていて。だからシンパシーを感じてくれてると。
ああ、それは……
『なんて酷い傲慢だろうね? その自己満足に浸って、そこから抜け出すことが怖い
そう。こんなのは単なる自己満足。
自分が安心したいだけの、上っ面の感情。
恵里を信じた? 違う、ただ怯えていただけ。
打算的で保身的だから、同類だからあっちも好意的に思ってくれてるなんて押し付けがましい思い。
それに溺れていれば、この笑顔という仮面を取り払う理由を作らなくてすむから。
その結果が、あの夜の悲劇だ。
『近藤くんが死に、光輝くんは拐われかけた。南雲くん達が来てくれなかったら、そのままみんな死んでいた──なのに何もしなかった。
「っ!」
それでも鈴が恵里の本性から目を逸らさずに、もっと早く語りかけていれな何か変わったかも。
そんな思いがあの日からずっとぐるぐると頭の中に渦巻いて、鈴の心を何度も何度も突き刺す。
……これだって、ただの感情の押し付けなんだろう。
それで恵里が止まるかなんてわからなかったし、もしかしたら言った途端殺されたかもしれない。
それでも目を背けることよりは、打ち明けたほうが良かったのかも……なんて。
そう、矛盾する心は告げてくる。
『親友だなんて綺麗なものじゃない。ただ一番安全で都合が良かっただけ。そうでしょう?』
「……」
『薄々気付いていた歪さにまやかしの安心を得て、そのくせ怖いから踏み込むこともしなかった。ずっと笑顔さえ貼り付けていればいいなんて本気で思ってたの? 浅く広く周囲を人で固めて、それで本当に誰かが側にいてくれるって思ったの?』
そう、そうなんだ。
だから鈴は──
『恵里の言う通り──馬鹿丸出しだね?』
「……!」
何もできない、お馬鹿さんだった。
もう一度鉄線を振るう。今度はより強く。
障壁は飛び、また弾かれ。
そして白い鈴が嗤う。
『もう一度会って、話してどうするの? 何を言いたいのかも自分で理解できてないのに。そんなことしても、取り合ってすらもらえず殺意と嘲笑が返ってくると思ってるのに』
それは心を揺さぶるためのまやかしじゃない、確定する可能性の高い未来。
目を逸らして、偽って、貼り付けて、ハリボテで。
欺瞞と虚偽に満ちてきたこの心は、誰にも届くことなんてないとすら思える。
でも……
『……これだけ言っても、強化されないね。最初は言えば言うほど弱くなっていたのに。今はもう、鈴は強くなれない』
「……やっぱりね。そういう仕組みなら、もう鈴は揺るがない。君には負けない」
『そうみたい。途中から……ううん違う。最初からあなたの心の底には、この罪悪感と向き合えるだけの力があった』
やれやれ、って顔で白い鈴は笑う。
対してボロボロな私は、肩で息をして、額から汗を流しながら、それでも鉄扇を握りしめ。
「君の言葉が効いたのは本当。突きつけられれば突きつけられるだけ苦しい。だってそれは全て、正しいから」
『…………』
「だから、
だって、あの時。
「龍っちが、醜くて弱い鈴を認めてくれたから」
あの夜、みっともなく泣きじゃくる鈴を最後まで何も言わずに見守ってくれた。
怖くて怯えて震えながら誰かを求めることは、当然だと言ってくれた。
この打算も恐怖も薄い仮面も、全部全部──優しさと強さだと言ってくれたんだ。
「鈴が自分の悪意を認めたのは、
『……その優しさを利用したのに、あっけらかんと笑ってたよね』
「うん。でもね、きっと
あの日、鈴は幸せを得た。真実に受け入れられるという喜びを知れた。
知ったのなら、笑って全てをやりすごすこの喜劇はもう終わり。
今度は、鈴の番だ。
「何をしたいのかはわからない。罵りたいのか、責めたいのか、謝りたいのか……けど欺くことだけは、もうしない」
『……また少し力が下がった。どうやら本当に決意をしてるみたい』
「偽物の笑顔で手に入るレプリカは、もういらない。本物を手に入れたいから、鈴はもう一度恵里と会う──還れ、帰れ、返れ。〝聖絶・華〟!!」
言葉を紡ぎ、一対の鉄線を薙ぐ。
直後、白い鈴の周囲に逆再生のように障壁が作り出されていった。
それは外側から見ると、まるでこの部屋に咲き誇る大輪の華のようで。
再生魔法で霧散した魔力を再利用・障壁を再構築するこの魔法を華に彩ったのは、北野くん。
きっと彼はわかってる。この選択の結末が、どんなものになってしまうのか。
何故言ってくれなかったのかという怒りはない。
南雲くんが作ったこの鉄扇を最後に改造した時に、言ってくれたから。
〝いつか、その造花が生花に変わるように祈ってる〟って。
「やってみるよ。龍っちのあの笑顔に、届くように!」
『なら、試してみて。あなたの華に血は通っているのかを!』
花弁は計百五十枚。同じ存在である白い鈴の魔力も利用した。
一度咲いた花は、あとは萎んで朽ちるのみ。
最後の一振り、鉄扇を強く薙ぎ払う。
花弁は舞い散り、白い鈴に向かって一斉に飛来し──爆発した。
その瞬間部屋ごと凄まじい揺れに襲われて、あまりの爆発力に鈴自身も吹き飛ばされる。
「あうっ!?」
全ての魔力を込めたので、壁に直接背中をぶつけた。
鼓膜が破けたのではないという耳鳴りが響く中、痛みをこらえて揺れる視界をなんとか定め。
そして爆心地を見ると──そこには魔力の残滓と氷片の煙と、クレーターしかなかった。
それと一緒に、すぐ隣の壁が溶けて通路みたいなのが出来上がった。
「終わった、のかな……」
……もう疲れちゃった。
「少しだけなら、休んでもいいよね……」
そう呟いて、目を閉じようと……
「オラァァアッ!」
……する前に、通路の中から覚えのある叫び声が聞こえた。
通路の中で反響したのか、何重にも聞こえたその声にぱっちりと目を見開く。
「……今のって、龍っち?」
もしかしてこの通路の先で、同じように龍っちも戦ってるの?
それなら……
「もうちょっとだけ、頑張ろっかな」
魔力枯渇で震える手で、鉄扇の一本を胸のところまで持ってくる。
そして持ち手に紐で繋がれている小鈴を手に取って……全力で握り潰した。
元から壊れやすくなっていたそれは、砕けた瞬間に溢れた魔力が体に通っていく。
「ふぅ……よし、元気満タン!」
わざと勢いよく立ち上がって、自分を鼓舞するように言ってから通路を見た。
いくのよ鈴。恵里に会う想いと同じくらい、この想いは固めたんだから。
「……よし」
一人で頷いて、通路に踏み込む。先は真っ暗だけど、私は怖気ることなく歩きだした。
一歩進むごとに、通路の向こうから聞こえる音は大きくなっていく。
何かと何かがぶつかりあう激しい音に、鈴はぐっと怯える心を押さえて足を動かして。
やがて、出口にたどり着いた時。
『ドラァアッ!』
『フンッ!!』
そこで、やっぱり彼は戦っていた。
「……水色の、グリス」
相手をしているのは、多分鈴と同じようにこの迷宮が作り上げた負の部分。
見慣れた黄金のスーツを纏った龍っちとは裏腹に……その体は
龍っちが握ってるナックルと対になったような、ロボットみたいな片腕が酷く不気味だった。
『いい加減認めたらどうだ!?
「……え?」
水色のグリスが放った言葉に、鈴の意識は止まった。
どういう、こと?
『あの日、ベヒモスから南雲に助けられた時からお前は無力感に苛まれていた! そしてこの仮面ライダーの力を手に入れて戻ってきた時、鈴を見てこう思った!
『……!』
「う、そ……」
虚像の言葉は、自分が心の奥底に隠しておいた負の感情そのもの。
だとしたら……ずっと、ずっと龍っちが鈴を守ってくれてたのは。
ただ、鈴が弱そうだったからなの?
「っ……!」
そう思った途端、憧れたあの快活な笑顔とは裏腹に、胸の苦しさが増していく。
もう一人の自分と対面して定めた、とある決心がみるみるうちに萎んでいった。
あの虚像の龍っちの言葉が本当なら、鈴のこの想いが届くことは……ない。
『我ながらひでえよなぁ! あんな思わせぶりなこと言っといて、実は好きじゃなかったですなんて……』
『──ゴチャゴチャうるせぇぞ、この全身アイス野郎っ!』
そんな鈴の目の前で、本物の龍っちのナックルが水色のグリスの顔に直撃した。
気がつけば入っていたその一撃と吹っ飛ばされる水色のグリスに、鈴は苦悩も忘れポカンとした。
水色のグリスが氷柱に打ち付けられて、『ガハッ』と声を出した後に地面に落下する。
『くっ、なぜ力が……!』
『ったくよぉ、黙って聞いてりゃぐちぐち冷めるような事並べ立てやがって。頭の中までアイスかてめぇ』
『っ、だがこれは
『……ま、そんなクソくだらねえ考えもあったかもな』
「っ……」
その言葉に、またキュッと胸を締め付けられる。
試練を乗り越えなくちゃいけないんだから、認めるしかないのはわかってる。
でも……でも、悲しいよ。
『けどな、そんなのはほんの1パーセントくらいだ』
「……え?」
『何?』
龍っちの言葉に、俯きかけていた顔をあげる。
すると龍っちはナックルを水色のグリスに向けて、思い切り叫んだ。
『残りの99パーセントははな──心の底から溢れ出る
「…………………………………………………………………へ?」
カッ、と顔が熱くなるのがわかった。
これまでに何度も、何度も何度も何度もあの脳筋男のせいで感じた、もの凄い恥ずかしさ。
それが、目の前でぶっちゃけられた愛の告白でこれまでにないほど込み上げた。
『ぶっちゃけもう一回ちゃんと見てみたら一目惚れした! 何だあの可愛い女は! 俺を全力で萌え殺す気か!』
ふぇええええええええええっ!!!??
『庇護欲だ? んなもん感じるに決まってんだろボケ! 俺があの笑顔に何回悶えたと思ってんだ! むしろ全身可愛いまであるッ!』
えっ、ちょっ、あのっ! 鈴ここで聞いてるんですけどぉ!?
『ちっちゃい体でここぞという時は頑張って、しかも自分の弱さを認められる……こんないい女はみーたん以外にはいねえ! 最高だ!』
む、みーちゃんの名前を出したのはちょっとマイナスかも。
『……ま、あいつはそれで思い悩んでるみたいだけどな。そんなとこも可愛いが』
『……言ってて恥ずかしくないのか、お前?』
『聞かれてねえから平気だ!』
だからッ! ここで聞いてるってばッ!
『けどまあ、お前の言うようにそんな考えがあったから、自分の気持ちから目ぇ逸らしてたのは認めるよ。俺はとんだチキン野郎だったさ』
『あそこまで言っといて今更よく言えるな……』
『けどな、俺はもう迷わねえ。自分の気持ちに正直に、全力で心火を燃やして鈴を好きだと言う! そこに後悔だの罪悪感だの関係ねえ、男は度胸だコラ!』
ナックルを自分の掌に打ち付けて、それはもう力強く龍っちは叫んだ。
……もういやぁ。何であの筋肉おバカ鈴のことこんなに辱めるのぉ! これじゃあ決意が台無しだよぉ!
そうツッコミを入れるのも無理になって、その場で座り込んで龍っちのことを見ることしかできない。
『……ま、そうやって吹っ切れるのも攻略の方法か。実際俺は弱くなってるしな』
『あん? よくわからねえが、とりあえずテメェをぶっ潰しゃぁいいんだろ?』
『ま、そういうこった。できるもんならやってみろ!』
『上等だコラ!』
金色のグリスと水色のグリス、両方がベルトのレバーに手を伸ばす。
レンチみたいなレバーを振り下ろして、それぞれ金色と水色のオーラを纏った。
《 《スクラップフィニッシュ!》 》
『行くぞ、アイス野郎!』
『来いや、金ピカ野郎!』
二人のグリスが同時に走り出した。
龍っちは肩から黒いゼリーみたいなのを出して勢いよく、水色のグリスは冷気を纏って。
『『ハァアアアアッ!!』』
そして、衝突した。
「っ!?」
まるでさっきの鈴の試練の時みたいな衝撃とエネルギーの奔流に、両手で顔を庇う。
しばらく揺れは続いて、やがて少しずつおさまっていった。
「ど、どうなったの……?」
恐る恐る、手をどけて目を開く。
すると、ナックルを振り抜いたままの龍っちと、氷みたいに体が半分くらい砕けた水色のグリスが。
『……俺の勝ちだ』
『ああ、試練はクリアだ。その前向きな気持ち、絶対忘れるなよ』
『あたりめぇだ』
『それとさっきから鈴がそこで見てるぞ』
『は!?』
龍っちが振り返った途端、水色のグリスは一人でに粉々に砕け散って消えてしまった。
それと同時に、よく見るとドライバーのゼリーが氷漬けになってた龍っちも変身が解ける。
それから勢いよくあちこち見回して……通路の出口で座り込んでる鈴を見つけた。
「鈴!? お前、いつからそこに……」
「こ……」
「こ?」
「この、おバカー!」
羞恥心溢れるままに、勢いよく立ち上がって龍っちの方に突撃した。
驚いて龍っちが逃げようとするが、瞬時に鉄扇を振って障壁で両足を固定してやる。
「げっ!?」
「あんな恥ずかしいことを堂々と叫ぶなぁあああああっ!」
「がほっ!?」
鉄扇でぶん殴る……のはかわいそうなので、鳩尾に頭突きを入れる。
受け身も取れない龍っちはすごい悲鳴をあげるけど、手加減なんてしてあげない!
ぐりぐりと頭を押し付けると、龍っちがギブアップと言うように鈴を押し返した。
「い、いきなり何しやがる!」
「こっちのセリフだよ! なんであんな小っ恥ずかしいこと堂々と言えんの!?」
「そんなのお前、この心火を燃やしてフォーリンラブ!する想いが止められないから……」
そこで、ピタリと言葉を止める。自分が何言ってるのかわかったみたい。
すんごい今更な気がするのでジト目を送ると、龍っちはポリポリと頬をかいた。
「あー、その……つまりそういうことだ」
「…………」
「自分の罪悪感っつーの? それも乗り越えたし、この際ちゃんと言っとこうと思って」
「……ふーん。でも肝心の言葉が聞けてないんだけど?」
そう言ってやれば、龍っちはまた動きを止めた。
それから「あー」とか呻きながら今度は頭をかいて……それから、鈴をジッと見つめてくる。
ドキン、と胸が跳ねた。
「鈴……いや、谷口鈴さん」
「……はい」
「君が、好きです」
「っ!」
その瞬間、鈴はこれまでにない幸福感に心の底からつま先まで染め上げられた。
「俺はガサツだし、まだまだ頭もわりーし、苦労かけると思うけど……ずっと一緒にいてくれねえか?」
「……うんっ! 鈴の方こそ、よろしくお願いしますっ!」
めちゃくちゃ照れながら言う龍っちに、今度はめいいっぱいの好きって気持ちをこめて抱きついた。
恵里、会いにいくよ。鈴に本当の笑顔を教えてくれた、この人と一緒に。
恵里「いや来んなよ(ケッ)」
グリスブリゲフンゲフンがスクラッシュドライバーなのは仕様です。龍太郎はビルドドライバーもルインドライバー(多分誰も覚えてない)も知らないからね。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回は変態か、あるいは勇者か……