星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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どうも、感想をもらえるとニヤッとして更新が早くなる作者です。
タイトルはフェーズ3ですが、本命の内容は違います。

シュウジ「さてさて、何やら今回は重要な回らしいぞ」

ハジメ「その前にちゃんとあらすじ紹介しろよ。前回は、シュウジが二回目のエボル変身だったな。しかも進化してるし」

ルイネ「相変わらずマスターはすごくカッコ良かったぞ」

エボルト「ルイネはどんだけシュウジを上げんだ……んで、今回はシュウジが言った通り大事な回だ。皆、覚悟はいいか?それじゃあせーの……」


四人「「「「さてさてどうなる迷宮編!」」」」


エボル フェーズ3

 

 

 グォオオオオオオオオオオォォオオオッ!

 

 

 

『ふっ!』

 

  目の前の八首のドラゴンから降り注ぐマグマのようなブレスを、手に持った鏡のような盾……『鏡面鎧盾 ミラーリフレクター』で防ぐ。

 

  全て受けきると、グリップのスイッチを押して回転。ドラゴンフォームの強靭な膂力で飛び上がると、ブレスを吐いた頭に開放した。

 

《リフレクト!》

 

 

 ガァアアアァッ !

 

 

『おっと!』

 

  怒りの咆哮とともに振るわれた前脚を、元に戻したミラーリフレクターで防ぐと瞬間移動で着地する。そして片膝立ちになって息を整えた。

 

 

 

  現在、俺こと北野シュウジは真のオルクス大迷宮の七十五階層に相当する場所にて、また新たな魔物と激しい攻防を繰り広げている。

 

  今回の相手はプテラノドンのような魔物、シマウマのような魔物と続いて、八つの首を持つドラゴンだ。そしてこれがまたとんでもない強さを持っている。

 

  15mはあろうかという巨躯に4枚の翼と鋭い鉤爪のついた逞しい四本の足、長く太い尻尾。そしてそれらを十全に扱う、これまでの魔物で一番の戦闘能力。尖った甲殻は煮え滾るマグマのように輝いていた。

 

  すでに戦闘開始から一時間強、しかし未だに与えられたダメージは三つの首を落としただけだ。常識外のスペックになかなか攻め落とせない。

 

『滅茶苦茶な強さだな、こいつ』

〈さすがは()()()()()だけあるか〉

 

  俺の言葉にそういうエボルト。そう、こいつは長く続いていた螺旋階段の最後の部屋を守る、最強のガーディアンだった。

 

  というのも、この部屋の外の踊り場には下ってきた階段しかなく、これ以上下がない。何より、ドラゴンの背後に入ってきたのとは違う大きな扉が鎮座していた。

 

  つまり、正真正銘これが最後の戦い。ここにたどり着くまで五週間弱、必ず倒してあのクソつまらん無限回廊から脱出する。

 

〈とはいうものの、フェーズ2もここら辺が限界じゃないか?〉

『だな』

 

  ぶっちゃけ、このドラゴン強すぎる。ゲームだったら絶対設定間違ってんだろってくらいパワーもスピードも防御力も高い。

 

  衝撃波や瞬間移動、ミラーリフレクターやビートクローザーなどでなんとかやってきたが、倒すつもりなら今以上の力……つまり進化が必要だ。

 

『つーことで、第3段階と行こうか』

 

  両手に握っていた武器を地面に突き刺し、代わりにドラゴンフォームになったことにより出現したホルダーから一つのエボルボトルを取り外す。

 

  それは歯車のウサギのマークが刻まれた赤いボトル、ラビットエボルボトルだった。これはオリジナルであり、ハジメにやったのは同等の力を持つ複製品だ。

 

  人差し指でキャップを合わせ、ドライバーからドラゴンエボルボトルを抜いて代わりにスロットに差し込む。

 

 

《ラビット! ライダーシステム! エボリューション!》

 

 

  ウサギのマークとビルドマークが浮かび、融合して赤い天体のシンボルが浮かび上がった。立ち上がりながらレバーを回し始める。

 

  荘厳な音楽が流れ、ドライバーからチューブが伸びて例のごとくコンテナ状に広がって俺の体を囲った。

 

  赤い靄のかかった人型…ハーフボディと黄金の輪が形成されると、腕をクロスして構えをとった。

 

 

《ARE YOU READY ?》

 

 

『エヴォルヴ』

 

  クロスした腕を解くと、ハーフボディが迫ってきて俺の体を包み込む。その瞬間、3度目になる〝進化〟する感覚を覚えた。

 

 

《ラビット!ラビット!エボルラビットォ!》

 

 

  赤い靄と輪が吹き飛び、視界が開ける。同時に心なしかこれまでより強く回転していたアーミラリアクターが停止した。

 

  試しにミラーリフレクターを見てみると、変身した俺はコブラフォームともドラゴンフォームとも違う、新たな姿になっていた。

 

  丸みを帯びた赤い肩の装甲と、所々に青いラインが見え隠れするメットに赤いウサギが向かい合ったような複眼。シンプルであるのに、どこか邪悪さを感じる姿だった。

 

《フッハッハッハッハッハッハッ!》

『フェーズ3、完了』

 

  両手を少し見ると、左手の人差し指で左目の複眼の上をなぞる。それに合わせるように複眼が輝いた。

 

 

 グルァアアアアッ!

 

 

  姿の変わった俺を見て、五十階層の時の魔物と違い警戒するようにひときわ大きく鳴くドラゴン。そして攻撃を仕掛けてくる。

 

  五つの首から放射された溶岩のごとき火球を、全て数度体を傾けることでわずか数センチのところで回避した。

 

  そうするとさらに飛躍した跳躍力で首の一つに飛び乗ると、お返しと言わんばかりに連続して拳を叩き込む。

 

 

 ゴァッ!?

 

 

  内部に衝撃を与える技を使って刹那の瞬間に何十発も拳を叩き込むと、ものの見事にグチャグチャの肉塊と化すドラゴンの頭。残りの頭が声を荒げる。

 

  暴れるドラゴンの頭部から退避して、正面に着地すると挑発するように手招きする。怒り狂ったドラゴンは、再び攻撃をしてきた。

 

  爪や牙、火炎放射のようなブレスに固有魔法と思われるステージの周囲を取り囲むマグマから飛び出る溶岩の玉など、様々な攻撃方法を用いてくる。

 

  しかし、当たらない。フェーズ2よりさらに速度に特化したフェーズ3の力をもってすれば、いかなる攻撃も無意味と化す。

 

『そんなものか?』

 

 

 ガァアアアァアッ!!

 

 

  それまで若干翻弄されていたのが、むしろこちらが翻弄する。無駄に暴れさせ、体を大きく動かせて消耗させていった。

 

 そしてついに……

 

 

 

 グガッ!?

 

 

 

  突如、動きを止めるドラゴン。不自然な体勢で空中で止まっており、全身からギチギチと音が鳴っている。四つの頭は困惑した声を上げた。

 

「よくかかってくれたな」

 

  そんなドラゴンの頭の上に、一人の女が姿を現した。女の両手の指には、無数のきらめく糸が絡まっている。

 

  そう、ドラゴンを拘束しているのは女の操る極細の金属糸だった。よく見てみれば、ドラゴンの全身に糸が複雑に絡んでいるのがわかるだろう。

 

  そして女とは言わずもがな、我が愛弟子であるルイネだ。服の上から取り戻した力で軽装の鎧を纏っていた。

 

 

 ギ、ガァ……!

 

 

「これで……終わりだ」

 

  その言葉とともに、ルイネは両手を振り抜く。すると複雑かつ計算して絡まった糸がその力を発揮し、ドラゴンを細切れにして絶命させたのだった。

 

〈おー、すげえな〉

『あいつあれで国一つ大陸ごと細切れにしたからね』

〈どんな化け物育ててんだよ。いや、お前の方がそれよりはるかに強いんだろうが〉

 

  エボルトと会話をしていると、ルイネが目の前に着地する。それに俺もドライバーからボトルを抜いて変身解除した。

 

「お疲れさんルイネ。久しぶりの戦いはどうだった?」

「やはり、少しブランクがある。全盛期ならあと20分は早く仕掛け終えることができた」

「ま、まだ完全に身体能力を取り戻したわけじゃないしな」

 

  気にしない気にしなーいと頭を撫でると、ルイネは真剣な顔から一転、はふぅと表情を緩ませる。相変わらずすげえギャップだ。

 

  今回、ルイネはこれまでと違って戦いに参加した。なぜなら五十階層の魔物の部屋を出てから数日後、急に身体能力が戻ってきたのだ。

 

  といっても封じられたうちの半分でしかなく、未だ全盛期とは言えない。しかし、こうして戦える程度には力を取り戻した。

 

「そういえば、能力のほうは?」

「うむ。〝龍の血の力〟も戻ってきた。これで完全に特殊能力は戻った。重ね重ね、心の底から感謝するマスター」

「んにゃ、可愛い弟子のためならどうってことないさ」

「お礼に、私の体を隅々まで捧げ……」

「おっとそれ以上はまた今度にしよう」

「むう……」

「もう反応が手馴れてきたな、シュウジ」

 

 

 

 ゴゴゴゴゴゴ……

 

 

 

  そうしてルイネやエボルトと話していると、音を立ててドラゴンの背後にあった扉が開いた。

 

  三人で顔を見合わせると、こくりと頷きあう。そして散らばったドラゴンの残骸を回収すると、出口の扉に向かった。

 

  たどり着いた扉の向こうには、真っ暗な空間が広がっていた。おそらくこの先に、真のオルクス大迷宮があるのだろう。

 

「ようやくここまできたな」

「ああ、長かったぜ。よーやく退屈な階段からおさらばできるってもんだ」

「だが、今日もそれで終わりだ。行こう、マスター。エボルト」

 

  ルイネに促され、俺たちは扉の向こうに足を踏み出す。この先に何があるのか、不安とともに期待を抱きながら。

 

「うーん、暗いなー」

「そうだな」

「ああ、マスターに行かされた迷宮を思い出す」

「まるで前のエボルトの性根みたいだ」

「そうだn……おい待て今なんつった?」

 

  薄暗い道を、コツコツと足音を響かせながら三人で歩く。光源はシャカシャカと振っている発光するライトフルボトルのみ。

 

  一寸先は闇に包まれ、不気味な雰囲気が漂っていた。時折聞こえる魔物と思しき声がさらにそれを助長させている。

 

  三人で談笑しながらジメジメした洞窟を歩いていると、十分も歩いたところでようやく光が見えてきた。

 

「やーっと出口か。あれと戦ったあとにこの長い道とは、陰湿な作りしてんな」

「ま、その分戦う回数は少なかったからそれでバランス取ってんだろ」

「何はともあれ、ようやく終わりだな」

 

  口々にそんなことを言いながら、自然と足を早める。そして光の差す出口から、真のオルクス大迷宮へと侵入した。

 

  出たのは、大きな広間だった。そこら中に緑色の玉が落ちており、奥の方に縦割れの通路がある。

 

 そして……

 

「うぅ〜!」

「ちょ、おい、やめろよ〝ユエ〟」

 

  なんか、ビスクドールみたいな凄まじい美貌の、長い金髪の美少女にポカポカ叩かれてる白髪で隻腕の男がいた。

 

  その男の声を聞いた瞬間、体が硬直する。それはエボルトも同じようで、隣で瞠目していた。そんな俺たち二人を、ルイネは不思議そうに首を傾げて見ている。

 

「ん?」

 

  そうして固まっていると、男がこちらに気づいて振り返る。そして俺たちを見て、同じように硬直した。

 

  見覚えのありすぎるその顔には驚愕の表情が浮かんでおり、つられて振り返った金髪の美少女が不思議そうにしている。

 

  しばし、そのまま俺たちは黙って互いを見つめていた。あまりにも衝撃的すぎて、思考が停止してしまったのだ。

 

  そして、やっと我にかえったのは体感時間で十数分くらい経ってからだった。どちらからともなく、相手の名前を呼ぶ。

 

「……シュウ、ジ?」

「ハジメ、なのか?」

 

  自分の名前を呼ばれたことで、改めて目の前にいるのが我が親友にして幼馴染の、南雲ハジメだと認識する。それはハジメも同じようで、また驚いた顔をしていた。

 

  ハジメは、しばらく見ない間に随分と様変わりしていた。身長が10センチくらい伸びており、柔和だった顔は精悍な顔つきに。

 

  目は鋭く尖っており、何より左腕が肘までしかなかった。残る右腕には、大型の拳銃のようなものを持っている。首には白と赤のマフラーを巻いていた。

 

  あまりにも変わったハジメを呆然と見ていると、急にハジメの目に殺意が浮かんで銃口を向けてきた。

 

「ちょっ、どういうつもりだよハジメ?」

「お前が偽物のシュウジという可能性もある。そういう幻覚を使う魔物は何度か遭遇したからな」

 

  どうやら、知らんうちに随分と修羅場をくぐり抜けたらしいハジメだった。なんとかして本物だとわかってもらわなくてはいけない。

 

 それならば……

 

「ハジメ!」

「……なんだ」

「流派!東方不敗は!」

 

  胸を張って大声で叫ぶと、ハジメは瞠目する。そしてニヤリと笑い、大きく口を開いた。

 

「王者の風よ!」

「全新!系烈!」

「天破侠乱!」

 

 

 

「「見よ!東方は赤く燃えている!」」

 

 

 

  同時に同じ言葉を叫んで、互いの顔を見て不敵な笑みを浮かべた。ハジメは銃を下ろし、ホルスターに収める。

 

「どうやら、本物のシュウジみたいだな」

「おう。いつもニコニコ這い寄る混沌、あなたの隣に北野シュウジだ」

「相変わらずだな……エボルトも、久しぶりだな」

「よおハジメ。そういうお前は随分と変わったじゃねえか」

「まあな」

 

  肩をすくめるハジメ。そこで、困惑していたルイネと金髪の美少女が近づいてきた。

 

「なるほど、あなたが南雲ハジメか。いつもマスターから話は聞いている」

「お前は?」

「私はルイネ・ブラディア。前世のマスターの弟子であり、そのうち愛人になる予定の女だ。以後よろしく頼む」

「ぶっ!」

 

  ルイネの自己紹介に、思わず吹き出してしまう。呆気にとられていたハジメが、ジトッとこちらを見た。

 

「おいシュウジ、八重樫さん的に大丈夫なのかこれ?」

「いやいや、愛人にする予定なんてないから」

「む、ならば側室にしてくれるのか?私としてはそちらでも良いのだが……」

「……と、本人は言っているが」

「ルイネ、ステイ」

「了解した」

 

  どこか面白そうな笑いを浮かべながら、大人しく引き下がるルイネ。なんか最近、こいつ積極的になってきてるんだよな。

 

「……あなたが、シュウジ?」

 

  思わず眉間を抑えていると、金髪の美少女が話しかけてきた。表情が乏しく、口数が少ない性格なのがわかる。

 

「おう、俺がシュウジさんだ。君は?ハジメの第二夫人?」

「その予定。名前はユエ。ハジメにつけてもらった」

「ほほう、〝(ユエ)〟か。いいネーミングセンスじゃないの。ま、これからよろしくな」

「ん」

 

  握手を交わす俺たち。第二夫人宣言について諦めているのか、ハジメは特に訂正することなく溜息を吐いていた。

 

「はじめまして、ユエ。俺のことは聞いてるか?」

「ん、エボルト。シュウジのペットで、いつもふざけてる。でも元はやべーやつだって聞いてる」

「そうそう……って誰がペットだ」

 

  ユエとエボルトが自己紹介すると、挨拶もそこそこに部屋の一角を片付けて座る。そして話を始めた。

 

「その格好を見る限り、なんか色々あったみたいだな」

「ああ。聞くか?」

「是非とも」

 

  即答すると、ハジメは一つ一つ全て話してくれた。

 

  あの時誰かに魔法を当てかけられたこと。片腕を奪った爪熊のこと。共に暮らし、食らったウサギのこと。地獄のような時間の中で変心したこと。あの銃…ドンナーを作り、爪熊に復讐したこと。

 

  それからこの迷宮を降りてきて、数々の魔物の肉を食らって強くなったこと。そして、五十階層でユエと出会ったこと。

 

「ユエは最初、そこにある部屋に封印されていたんだ。なんでも叔父に裏切られたとかでな」

「ん」

 

  頷いたユエも、説明に参加する。自分が先祖返りの吸血鬼で、〝自動再生〟という技能でほぼ不老不死であることや、かつて最強の一角として吸血鬼の王だったことなどなど。

 

  なんでも全属性に適性があって、最上級魔法を魔法名を除いて詠唱なし、しかもノータイムで撃てるとか。そりゃチートだわな。えっお前がいうなって?知らんな(イケボ

 

  そして三百年もの間封印され、ハジメに助けられて自由の身になったこと。これまでずっと一緒に迷宮を冒険してきたこと。

 

「助けられた時、強力な魔物を二人で倒した。ハジメカッコよかった」

「あん時はマジでやばかったな。ま、なんとか倒したが」

「なるほどなー……で、お二人の関係は?」

「いずれ〝みそら〟と同じくらい大切にされる予定の恋人」

「おい」

「……ダメ?」

 

  ユエが上目遣いで言うと、ハジメは困ったようにぽりぽりと頬をかいたあと、そっぽを向いて肩をすくめた。

 

  あっこれはもう惚れかけてますね。まあ裏切られたと言う共通点とこんな場所でずっと一緒にいたとなれば仕方がないか。こいつぁ美空に報告しなければ(使命感

 

「で、ユエ氏はこう言っておりますがハジメ氏はどういったご意見で?」

「……まあ、元の世界に連れて行くことは約束してる。色々苦労するだろうが、その意思を変えるつもりはない」

「ん……」

 

  ポン、とハジメが頭に手を置くと、ユエはスリスリと甘えるようにこすりつけた。おうおう、目の前でイチャついてくれちゃって。

 

  つーかユエ、ハジメにベタ惚れしてんな。まあ孤独な三百年の時から掬い上げられて、さらに一緒にいてくれると約束されたらこうもなるか。

 

「ま、お前がそう思うならそれでいいさ。親友兼幼馴染として、全力で協力するぜ」

「ありがとなシュウジ……で、今度はこっちが聞く番だ」

「おお、そうだな」

 

  二人がしたように俺もまた、ここまでのことを語り出す。ルイネとの再会に始まり、永遠に続くかと思われる階段を降りてきたこと。

 

  その中で三度エボルに変身し、強力な魔物を倒してルイネの失った力を取り戻してきたこと。二人に比べれば語ることは少なかった。

 

  あとはまあ、ユエに聞かれたんで俺のこととかエボルトのこととか話した。いつも通り俺がボケてエボルトがツッコミ入れながら。

 

「すまんな、お前がひどく苦労してんのに俺は楽しちまってた」

「別に謝ることねえよ。そういうこともある。ただ、これから一緒に戦ってくれればそれでいいさ」

「当たり前だ。背中は任せな」

 

  再び不敵に笑いあった俺たちは、互いの拳を差し出して打ち付け合う。それによって、再びハジメとの友情を結んだような気がした。

 

「てか、随分と大層なもん背負ってんな」

「ああ、こいつか?これは対物ライフルで、名前はシュラーゲンつって……」

「いやそっちじゃなくて、その女の子のほう。二人もはべらすとは、やるじゃん。美空に刻まれても知らんぞー?」

「え?」

「え?」

 

  何いってんだって顔してるハジメに、何いってんだって顔で背中を指差す。しかし振り返ったハジメは首をかしげるだけだった。それは他のやつも同じようで。

 

  おっかしいなぁ……たしかに俺の目には今、ハジメの首に両手を巻きつけて抱きついている()()()()()()()()()が映ってるんだが。

 

  そう思って首を傾げていると、その女の子は俺が自分を見ていることに気づくと驚いた顔をして、自分の顔を指差した。

 

  もしかして、見えてるのか聞いてるのだろうか。とりま頷くと、女の子は少しワタワタとしたあと、しーっと唇に手を当てた。どうやら内緒にして欲しいらしい。

 

  なんだかよくわからんが、俺以外に見えない以上どうすることもできないのでもう一度頷いといた。ほっとする女の子。

 

「おいシュウジ、お前さっきから何一人で頷いてんだ?」

「ん、いやなんでもない。で、あそこの二人はなんであんなに盛り上がってるわけ?」

 

  俺の指差す先には、なにやらキャッキャと騒いでいるルイネとユエの姿が。いつの間にあんなに仲良くなったんだろうか。

 

「あー、それがだな……」

「なんでも、お前とハジメのかっこいいところを言い合って意気投合してるらしいぞ」

「なんじゃそりゃ」

 

  試しに耳をすませてみると、たしかにキリッとした顔がかっこいいとか寝てる時の緩んだ顔もいいとか、そんな言葉が聞こえてきた。

 

  恥ずかしくて頬をかいていると、ハジメがポンと肩に手を置いてくる。そしてなんか悟ったような顔をしていた。諦めろってことらしい。

 

「そういやこんなこと、前の世界でもあったよなぁ」

「ああ、なんか美空が俺のことを、八重樫さんがお前のこと熱弁してたっけな」

 

  今思い出すと、俺たちかなり愛されてたんだなぁ。これはなるべく早く顔を見せに行かなくては。

 

 

 

  そんなことを思いながらしばし、俺たちは二人を見て和んだのだった。

 

 

 〜〜〜

 

 

 オマケその1

 

「……ふ、ふふふふふ」

「み、美空?いきなり笑い出してどうしたの?」

「ハジメ、帰ってきたら一回刻む……絶対刻む……」

「美空ーっ!?」

「うーん……シュウジ、ちゃんとそういうのは紹介しなさい……」

 

 

 〜〜〜

 

 

 オマケその2

 

「ユエは吸血鬼なんだよな」

「そうだが、どうかしたのか?」

「いや、そこらへんハジメの性格的に憧れたりしないのかい?」

「まあ、否定はしない吸血鬼と言えば力が強くて、空を飛べて、暗闇でも目が見えて、不思議な力が使えて……」

 

 

 ハジメ:常人を遥かに超える筋力:3800、暗い場所でもよく見える〝夜目〟持ち、空中に足場を作る〝天歩〟持ち、魔力を操る〝魔力操作〟可能

 

 シュウ:チートの代名詞のようなステータス、実は飛行魔法を使える、暗視魔法やライトフルボトルがある、無数の魔法や技術を使える

 

「……これ、俺らでもできるくね?」

「あっ、そうじゃん」ビシッ

「おー」ぱちぱち

 

  右足と右腕をあげてポーズを取るハジメ。なぜか後ろにパンパカパーン!という背景が見えた気がしながらも拍手するシュウジであった。

 

 

 




うーん、なーんか中途半端な気が……
お気づきかもしれませんが、変身音はフェーズが上がるたびに力を得るのを表現するために徐々にはっきりさせています。
次回はついに……


ウェイクアップ!


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