星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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前回の続きかと思った?残念ハジメたちの方でした!
…ごめんなさい、調子に乗りました。なんでもするからゆるしてくださ(ry

シュウジ「ど、どうもシュウジだ。なんか前回、俺ボコボコにされたうえにとんでもないことになっちゃったんだけど!え、俺死んでないよね!?」

ハジメ「これ、一体どうなっちまうんだ?」

ルイネ「本編の私……マスターになんてことを……」

ユエ「ん、不可抗力」ナデナデ

シュウジ「どうなるかドキドキだが、今回はハジメたちの戦いだ。それじゃあせーの……」


五人「「「「「さてさてどうなる迷宮編!」」」」」


前回も言いましたが、毎回のように感想にBadをつけていく方やめてください。面白半分なのか知りませんがとてもイライラしています。読みたくないならブラウザバックするなりなんなりしてください、本当にやめてください。


進化せし守護者

 

「シュウジ!?ルイネ!?」

 

  どこかへと転移されたシュウジたちに、俺は声を上げる。一瞬前まであいつらがいた場所には、シュウジの異空間の中にあったものの山が残っているだけだった。

 

  あまりに急なことに、思考が停止する。再会できたと思ったら、こんな最後の最後にまた目の前で消えてしまうなどと予想だにしなかった。

 

「一体、何が……」

「……っ!ハジメ」

 

  だが、困惑していられるのもそこまでだった。ユエに名前を呼ばれて、ハッと我に返って扉の方を見る。

 

  すると俺たちと扉の間の三十メートル程の空間に、巨大な魔法陣が出現していた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。

 

  それは、よく見覚えのあるものだった。あの日、俺を絶望に陥れた最悪の魔物を召喚したものと同じ。つまり、召喚魔法の魔法陣だ。

 

  だが、あの時とは比べ物にならないほど魔法陣は巨大かつ精密な術式が書き込まれており、まだ召喚すらされていないのに凄まじいプレッシャーを感じる。

 

「チッ、空気の読めないラスボスだな……!」

「……ある意味、読んでる?」

 

  舌打ちしながらも、異空間を付与されたライターにシュウジのものを収納してドンナーの銃口を向ける。ユエもいつでも魔法を放てるよう掌をかざした。

 

 そんな俺たちの前で、魔法陣はより一層輝いて弾けるように光を放つ。咄嗟に目を瞑り、顔を背けて目が潰れないようにした。

 

 光が収まった時、そこに現れたのは……

 

 

 

 クルゥァァアアン!!

 

 

 

 目測体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。

 

  十二の目で俺たちを睥睨するヒュドラからは、それだけで心臓が止まりそうなほどのプレッシャーが発せられていた。たらり、と頬に冷や汗が流れる。

 

  しかし俺は、ウサギの魔石を握って恐怖を無理やりねじ伏せ、獰猛に笑った。それにわずかにヒュドラが怯んだ……ように見える。

 

「……上等だ、やってやるよ。お前を殺して、生き残ってやる」

「ん。私たちが……勝つ」

 

  今は、一旦シュウジたちのことは忘れよう。それよりもこの化け物を殺して生き残るために、戦わなくては。

 

  それに、あのシュウジがちょっとやそっとでやられるはずがない。きっとルイネと一緒に、いつも通り飄々とした笑顔で帰ってくるに決まってる。

 

 

 クルァアアン!

 

 

  だから俺も絶対に勝利をつかんでやる、そう決意を固めていると赤い頭が口を開け、まるで壁のような火炎放射をした。

 

  すぐさまユエが飛び退き、俺はシュウジから受け取ったプレデーションシールドを構える。すると自動的に半透明のバリアが出現した。

 

  攻撃を受け止めたバリアは完全にヒュドラの火炎放射を防ぎ、熱すら通さない。これ幸いと、俺はそのまま突き進んでいった。

 

「これでも喰らえ!」

 

 

 ドパンッ!

 

 

 

 クルァッ!?

 

 

  そして火炎放射が終わった瞬間、ドンナーを電磁加速させて発砲する。迷宮で戦う中で研ぎ澄まし、さらにシュウジの手ほどきを受けた銃撃は寸分たがわず赤い頭を粉砕した。

 

「まずは一つ……!」

 

 

 クルァアアン!

 

 

  次はどれを、そう思った瞬間文様の入った白い頭が鳴く。すると破壊した赤い頭がみるみるうちに再生した。チッ、回復役か!

 

「〝水弾〟!」

 

  すかさず移動しながら魔法を構築したユエが緑色の頭に魔法を打ち込み貫く。が、先ほどの巻き戻しのように白い頭が鳴き再生してしまった。

 

 〝ユエ、あの頭を先に叩くぞ〟

 〝ん〟

 

  念話をすると、ユエはこくんと頷く。俺もうなずきかえし、プレデーションシールドを構えながら攻撃を開始した。

 

  他の頭の攻撃に備えながら、白い頭に発砲する。が、黄色い頭が割り込んだかと思うと翼のように展開して弾丸を弾いた。さしずめ防御役ってとこか。

 

「だが、俺は一人じゃない」

「〝緋槍〟!」

 

  ユエから燃え盛る炎の槍が射出された。それは黄色い頭の展開されていない部分……つまり頭部を貫き絶命させる。

 

  しかし、防御役の意地を見せたのか黄色い頭は槍を命と引き換えに受け止めた。槍が消えると、そこに白い頭が鳴いてまた復活させてしまう。

 

  無傷に戻った黄色い頭に、俺たちはめげずにドンナーと魔法を撃ちまくった。その悉くを受け止められるが、まったく無傷では済まない。

 

  だが焼け石に水、どれだけ傷を負わせようとも白い頭がこまめに回復してしまい、赤と緑の頭から放たれる炎弾と風刃から逃げながら攻撃する羽目になった。

 

「なら、こいつはどうだ!」

 

  [+縮地]と[+空力]を使い、高く跳躍して腰から〝焼夷手榴弾〟を取り外して白い頭めがけて投げる。そしてドンナーで撃ち抜いた。

 

  弾丸が当たった瞬間、〝焼夷手榴弾〟が爆発して中から燃え盛るタールのようなものが降り注ぐ。さしもの白い頭も苦悶の絶叫を上げた。

 

 

 クルァアアン!

 

 

  白い頭をやられた怒りからか、声をあげながら赤と緑の頭が魔法を放ってくる。空気を蹴りながら縮地をして回避し、地面に着地した。

 

「ユエ、今のうちにーー」

「いやぁあああっ!」

 

  回復ができない今のうちに白い頭を叩け、そう言おうとした瞬間ユエの絶叫が部屋中に響き渡った。

 

  反射的にそちらを振り返れば、魔法を準備していたはずのユエは座り込んで頭を抱えていた。何かされたのか!?

 

「……そういや、あの黒い頭何もしてこないな」

 

  もしや、と思い見てみれば、案の定黒い頭はユエをじっと見ていた。その額の文様が怪しく輝いており、何かをしているのがわかる。

 

 

 ドパンッ!

 

 

  相変わらず続いている他の首からの攻撃をかわしながら、黒い頭を吹き飛ばす。するとようやくユエは叫ぶのをやめた。

 

  すぐさまユエに近づこうとするが、まるで邪魔をするように青い頭が大口を開けて襲いかかってきた。

 

「邪魔だッ!」

 

  [+豪脚]と[+死脚]を掛け合わせた膝蹴りを下あごに叩き込み、強制的に口と命を閉じさせる。力を失った頭を蹴り飛ばすと、ユエに走り寄った。

 

「ユエ、聞こえるか!ユエ!」

「あ、ああ………」

 

 

 クルァアアン!

 

 

  頬をペチペチと叩いて呼びかけるが、ユエはまったく反応しない。くっと歯噛みしていると、背後から復活した青い頭が襲ってきた。

 

  即座に左腕のシールドで防ぎ、スロットにシュウジから預かったタカフルボトルを入れて取っ手についたスイッチを押す。

 

 

《ボトルイン! ツヴァイブレイク!》

 

 

  やけに渋い男の声が響き、前面のパーツに取り付けられた宝玉からオレンジ色のタカのエネルギー群が飛び出して、青い頭に風穴を開けた。

 

  さらに駄目押しと言わんばかりに〝音響手榴弾〟を投げ、その音にヒュドラが怯んでいるうちにもう一度ユエに向き直って、必死に声をかける。

 

「ユエ!いい加減めを覚ませ!」

「いや、いや……ひとりにしないで……」

「くっ、こうなったら!」

 

  シールドを置いてドンナーをホルスターに押し込み、取り出した試験管からポーションを口に含む。

 

  そして、ユエに口づけした。ピクッと震える唇を無理やりこじ開け、ポーションを口移しで流し込んだ。許してくれよ、美空!

 

  全て移し終えると、唇を離す。ユエの顔はまるでタコのように真っ赤になっており、虚ろだった目はうるうると潤んでいた。

 

「……ハジ、メ?」

「おう、ようやく目を覚ましたか。この寝坊助め」

「よかった……ちゃんといる……」

 

  弱々しい声で呟いたユエは、俺の服の裾を掴む。身体が小刻みに震え、何かに怯えているのがわかった。

 

「どういうことだ?」

「突然不安がこみ上げてきて……ハジメとか、ルイネに見捨てられて、またあの部屋に封印されて……」

 

  ……要するに、トラウマを突くようなビジョンを見たらしい。まだフラッシュバックしているのか、キュッと服の裾を掴まれる。

 

  ユエが、俺たち……特に俺のことを心の拠り所にしているのはわかっている。名前が出たルイネも、唯一の同性で仲の良い友達のような間柄だった。

 

  そんな俺たちに見捨てられるというのは、ユエにとってきっととてつもなく恐ろしいことだったのだろう。

 

「そんなこと、あるわけねえだろ」

「ハジメ……」

「シュウジにも言った通り、お前は俺と故郷に帰るんだ。何があろうと絶対にな」

 

  不安そうな面持ちのユエに、俺ははっきりと断言する。この気持ちがただの同情なのか、はたまた……恋心なのか。

 

  それはわからんっていうか現実逃避っていうか美空が怖いっていうか、とにかくはっきりとはしない。

 

  だが、ユエが今の俺にとって大切な存在なことだけはわかる。だから、ユエを見捨てる可能性などゼロだ。

 

「ハジメ、私……」

 

  んだが、この状態のこいつにどう伝えるか……いや、わかってるんだけど流石に二回は美空に刻まれるんじゃないだろうか。

 

  そう思ったものの、それ以外に方法がなさそうなので仕方無しにその方法を選択した。

 

「ユエ」

「なに……んっ!?」

 

  今一度唇を重ねる。先ほどよりも長く、少しだけ深く。ユエは体を強張らせていたものの、すぐに脱力した。

 

「……ん、ぷはっ。これで安心したか?」

「んはっ……」

 

  とろんとした顔のユエに一瞬どきりとしながらも、まっすぐその目を見て言葉を紡ぐ。

 

「いいか、もう一回言うぞ。お前は俺が連れて帰る。ずっと一緒だ、いいな?」

「……んっ!」

 

  俺の言葉に、今度こそユエはしっかりと答えた。いつもの無表情は、いつしかあの暗闇から解放した時と同じ微笑みに変わっている。

 

 

 クルァアアン!

 

 

  と、そこへ空気が読めないことに定評のあるヒュドラが無視すんなや!と言わんばかりに大声をあげた。どうやら復活したらしい。

 

「ユエ、シュラーゲンを使うから時間を稼いでくれるか?」

「ん、わかった」

 

  頷いたユエが前に立ち、魔法を連発してヒュドラの注意を弾き始める。その間に背負っていたシュラーゲンを撃つ準備を始めた。

 

  シュラーゲン。元はドンナーの威力不足を補うために作った電磁加速式の対物ライフルだったそれは、シュウジによる改造のおかげでさらに凶悪なものになっている。

 

  巻き付いていた布の中から現れたのは、洗礼された見た目のライフルと機械じみた大剣を合体させたような武器。

 

  名をイェーガー。ボトル装填機能、ならびにシュウジが砲身に崩壊魔法の術式を書き込んだことにより、ドンナーの約百倍の威力を持つ化け物兵器。

 

  加えて魔力を流すことで大剣にも変形することができる。ちなみにこれは単なるロマンでつけた機能らしいので、一晩中宙吊りにしといた。

 

 

「〝緋槍〟! 〝砲皇〟! 〝凍雨〟!」

 

 

 クルァアアン!

 

 

  イェーガーに魔力を充填している間にも、ユエは魔法を放っている。最上級は一発撃つと魔力がすっからかんにるので、連射性の効く魔法にしているようだ。

 

  すでに赤、青、緑の頭が落とされており、慌てて白い頭が回復しているがすぐにまたユエの魔法で破壊されていた。

 

 

 グルァ!

 

 

  それに見かねたのか、またしても黒い頭がユエの方を向いてジッと見つめる。しかしユエは止まらなかった。

 

「もう効かない……!」

 

  強い語気で静かに言ったユエは、黒い頭に炎槍を放ってさらに黒焦げにした。もう完全に吹っ切れたみたいだな。

 

「今の私を止めたかったら、ハジメが百人に増えて一斉にプロポーズしてくる光景を見せた上で幸せな家庭を築きたくさんの子供に囲まれる夢でも見せるといい……!」

 

  ……どうやら完全に吹っ切れたようだ。つかあいつ最近、シュウジとエボルトに毒されてきてるんだよな。

 

「あいつ倒したらしばいとくか……」

 

  チラッチラッとこっちを見るユエに我ながら淡白な声でつぶやいているうちに、イェーガーの魔力充填が終わった。

 

「ユエ!」

「ん!」

 

  ユエが下がったのを確認して、イェーガーにタカフルボトルとラビットエボルボトルを装填、引き金を引いた。

 

 

 ゴァァアアアアッ!!!

 

 

  まるで魔物の咆哮のような声をあげながら、シュタル鉱石という魔力を込めれば込めるほど硬くなる鉱石でコーティングされた赤い弾丸が飛び出した。

 

  音速を超え飛ぶ弾丸は、荒々しい形をしたタカとそれに乗るウサギのエネルギー体へと姿を変え、ヒュドラへと一直線に向かう。

 

  すかさず黄色い頭が防御に入るが、ウサギが飛び上がったかと思うときりもみ回転しながら蹴りをぶつけ、ミンチにした。

 

  一瞬で防御を破られ驚くヒュドラに、タカが大きく広げたその翼で残る首を全て、知覚すらできないうちに斬りとばして爆発した。

 

  後に残ったのは、断面の黒焦げた首のないヒュドラだけ。一拍遅れて体が死を自覚したのか、ズズン……と倒れ伏す。

 

「ふう、思ったより反動でかいな……」

「ハジメ!」

 

  全身にのしかかるような重みに息を吐いていると、ユエが近づいてきた。そして手を挙げたので、ニヤリと笑ってハイタッチする。

 

「ハジメ、やった」

「ユエのサポートあってこそだ。その……サンキュー」

「んっ!」

 

  スリスリと甘えてくるユエの頭を撫でながら、未だ警戒してヒュドラの死骸の方を見る。崩壊魔法の力でどんどん溶けていた。

 

 

 ズル………

 

 

  すると、突如溶けかかった胴体の中から銀色の頭が出てきた。奥の手があったのかと、シュラーゲンを手放してドンナーを構える。

 

  しかし、すでに銀の頭に力はないようだった。長い首がまるで蛇の体のように力なく這いずり、胴体から千切れる。

 

  あれならそう警戒することもないだろう、そう思ってユエに視線を戻して……

 

 

 

 ーーゾッ

 

 

 

「「ッ!?」」

 

  背筋に悪寒。即座に銀の頭の方を一瞬で顔を強張らせたユエとともに振り返る。

 

 

 グ、ルァアアア……!

 

 

  未だ諦めの見えない鮮烈な眼光を放つ銀の頭の体が、バキバキと音を立てて変形していく。それはまるで、生物の進化を見ているようで。

 

  程なくして、小型化した銀の頭の体は屈強な二足歩行の体になった。ファンタジーの定番の一つ、リザードマンのようだ。

 

 

 グルァアアアアアァアアアッッッ!!!!!

 

 

  凄まじい雄叫びをあげる、新生した銀のリザードマン。空間がビリビリと震え、肌に風圧が叩きつけられる。

 

「何、あれ……」

「この土壇場で進化したってのかよ!」

 

  戦慄する俺たちに、咆哮を終えた銀のリザードマンがゆっくりと振り向く。そしてガパリと口を開けた。

 

  その瞬間、これまでで最大の悪寒を覚えてドンナーを投げ捨て、シールドを拾ってユエを隠すように抱きしめながら蹲った。

 

  次の瞬間、極太の極光がリザードマンの口から放たれてシールドにぶつかった。ガリガリと嫌な音を立てるシールドを握りしめ、全力で踏ん張る。

 

 

 

 パキッ、ビキキッ……バキンッ!!

 

 

 

  しかし、奮闘むなしくシールドは砕け散り、発生源の装置も破壊された。即座に回避は不可能と判断した俺は、せめてユエだけでもと思い切り突き飛ばす。

 

「ッ!? ハジッーー」

 

 

 

 ゴウッ!!!!!

 

 

 

  そして瞠目するユエの顔を最後に、俺は白い光に飲み込まれた。

 

 

 




次回は……


レボリューション!


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