星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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楽しんでいただけると嬉しいです。


ご説明(真面目に聞いているとは言ってない)

 

  それは、まだ空に飛行機やら紫外線やら内海さんやらが飛んでいた頃の物語。

 

  北野シュウジという一人の男が、世界に破滅をもたらすというありがたい力(笑)を持って、異世界へと旅立ちました。

 

  お供を努めますのは、一匹の地球外生命体。エボルトというものです。

 

  さぁて、今宵北野一行を待ち受けますものは?

 

『前回はラブ◯イブで今回は最遊◯パロかよ。ていうか俺お供扱いなの?』

 

  そうだ、主に笛を吹いたり大砲を使ったりロケットに乗ってモンスターにアタックしたりするお供だ。

 

『いやそれお供じゃなくてオトモだから!アイルーだから!』

 

  どうも、エボルトと漫才をしている俺こと北野シュウジっす。年は17歳、ピッチピチの高校生でやんすよ。

 

  今、俺を含めた異世界から来た人間がいるのは、大広間とかいうでかい部屋。十メートルはくだらない机がわんさか並んでる。

 

  ここで騎士団の皆さんが食事とかするんだろうか。異世界って言ったら騎士はテンプレだし。あと宴会とかにも使われそう。

 

  非常に煌びやかな作りで、調度品や飾られた絵、壁紙がかなり価値のあるものだ。前世で、任務によっては義賊じみたこともしたのでそこらへんの目は培われている。

 

『火星に行った時も、こんなようなものがベルナージュの王宮をブラックホールに吸収した時、大量に吸い込んだな』

 

  あ、やっぱりどこ星の王族もこんな感じのものたくさん持ってるのか。ていうか、こんなもん吸収しても意味ないだろ。

 

『その通りだ。別にエネルギーにもならんし、ほとんどは消滅させてた』

 

 やっぱ無駄なのね。

 

  上座に近い方に畑山愛子(童顔ロリ)先生とクソ之河を筆頭とした四人組が座り、後はその取り巻き順に適当に座っている。

 

  俺ちゃんはハジメに合わせて最後方だ。空っちはまだ不安が抑えきれないんだろう、ハジメの腕をガッチリホールドしてた。

 

「ヒューヒュー、熱いねぇ」

「ちょっと、茶化さないでよシュウジ。ていうか八重樫さんが見てるよ?」

 

  マジ?という顔をすると、マジ。と頷くハジメ。振り返ると、すげえ不満そうな顔した雫が白っちゃんの隣にいた。

 

『あーあ、あとで朝までコースだな』

 

 あっ俺寝とくからエボルトよろしく。

 

『フジャケルナ!』

 

 なんで剣崎w

 

 ちなみに、ここに案内されるまで天之河(ゴミ)のカリスマ(笑)とランゴスタ(違う)が事情を説明すると言って生徒達を落ち着かせてたりする。

 

  教師より教師らしく生徒達を纏めていると畑ちゃんが涙目だった。頭撫でてたら怒られた上に雫にビンタされた。解せぬ。

 

『やーいやーい!』

 

 子供かっ!

 

 全員が着席すると、絶妙なタイミングでカートを押しながらメイドさん達が入ってきた。

 

  某秋さんとか、外国のデブBBAメイドではない。正真正銘、男子の夢を具現化したような美女・美少女メイドである。

 

  男どもの欲望がこんな状況でも健在で、大半がメイドさん達を凝視している。女子の目がゴミを見るものになってた。

 

  おいエボルト、後でメイド服借りて着てくれないか雫のとこに行って聞いてみてくれねえか?

 

『りょーかい。ちょっくら行ってくるわ』

 

  エボルトが了承したと思ったら、俺の首から音速で赤黒い塊……エボルトの遺伝子が飛び出していき、雫の耳の穴に入る。

 

  雫はちょっと不思議そうな顔をしたあと、急にびっくりしたような顔をして、そのあと赤くなってこっちを見た。

 

  そして、コクリと僅かに頷く。よっしゃ許可が出た!今晩はメイドパラダイスだ!思わず立ち上がってブレイクダンスしちゃうぜ。

 

「あ、あの、勇者様……?」

「ああ、気にしないでください。こいついつもこうなん、でっ!」

「バッキンガムッ!?」

 

  タマタマに拳を落とされ、俺は地面にうずくまる。さすがハジメ、全く容赦しない。そこに痺れる憧れるゥ!

 

『ハジメはどこのDIO様だよ……』

 

  遺伝子が戻ってきたエボルトに呆れられる。仕方がないじゃない、最っ高に可愛い雫が最っ強な激カワメイドになるんだもの。

 

  あ"ーあ"ーと俺がゾンビ、あるいは湯船に入った親父みたいな声を出しながらゴロゴロと転がってると、ハジメに首根っこを掴まれて座らされる。

 

  なにすんだよとっつぁんと言おうとしたら、空っちがハジメの腕をギリギリと絞りながらこちらを笑顔で見ていたので、背筋を正した。

 

  ねえこれなにがあったん?教えてエボルトせんせー!

 

『ハジメがメイドに見惚れてると、美空に威圧(殺気つき)をかけられた、オーケー?』

 

  オーケー。空っち結構嫉妬深いからなぁ。ハジメがちょっと他の子を見てると「刻むよ?」って言ってるし。

 

  南無三、炭酸、降参、Kさんとか考えながら、さっき俺を訝しげに見てたメイドさんから飲み物を受け取る。

 

『いやKさんって誰?』

 

  近所に住んでるゲーム友達のアメリカ人のおっちゃんのハンドルネーム。

 

「ペロッ……青酸カリだ!」

「やめなさい!」

「ゴリラモーンド!」

 

  ハジメに喉仏にチョップをかまされていると、そろそろいい加減にしろお前ら(殺気を多分に含んでおります)って目を全員してたので話を聞いた。

 

 んで、ブナハブラ・ランゴスタさんの話を要約するとこうだ。え、名前が違う?何言ってんだ、九割九分九厘合っててんだろうが。

 

『ちなみに後の一厘は?』

 

  ブナハブラ・ランゴスタがゲネルセルタス・ランゴスタになる(真顔)。

 

『結局モ◯ハンかよ!』

 

 

 さて、では話の内容だが(遅いよ)

 

 

 まず、この世界はトータスつって、人間族、魔人族、亜人族の三つの種族がある。そんでもって東都、西都、北都の三つに分かれて戦争してる。

 

『あっるぇーナンカチガウ』

 

  それは冗談として、人間族は北一帯、魔人族は南一帯に、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしい。

 

 この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。 そうするうちに世界は荒廃し、モヒカンが跋扈する魔境に……

 

『お前はもう、死んでいる……じゃねえよ!』

 

 エボルトさんノリツッコミありがとう。

 

  んで、全員レェベェルマァーークスッ!な魔人族に人間は数で対抗してたが、魔人族による魔物の使役で押されてるらしい。

 

『いや全員最大級のパワフルボディーだったらとっくに人族滅んでるから』

 

 魔物とは、通常の野生動物が魔力を取り入れ変質した異形のことだとか。それぞれ強力な種族固有の魔法が使えるらしく、強力で凶悪な害獣とのことだ。

 

『あっ無視ですかそうですか』

 

  本能のまま生きる魔物は、これまで使役できてもせいぜい一、二匹程度だったが、最近になって大量に操れるようになったらしく、数のアドバンテージがなくなった。

 

『あっちなみにこの世界って安倍さんとかいう魔物いるらしいよ』

 

 YA☆RA☆NA☆IKA☆

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

 ランゴスタがなんか恍惚とした顔でご高説垂れてる。 ジジイがそんな顔をしていても気持ち悪い、略してキモいだけなんだけど。

 

『じゃあ試しにお前やってみろよ』

 

 気持ち悪いと言ったな。あれは嘘だ。

 

『嘘だッ!!』

 

 まさかの嘘嘘返し!?

 

  ドスギアノスによれば、人間族の九割以上が創世神エヒトを崇める聖教教会の信徒らしく、度々降りる神託を聞いた者は例外なく聖教教会の高位の地位につくらしい。

 

『もはや虫ですらなくなったし。一致してんの色だけじゃねえか』

 

  ていうかさぁ、女神様から知識もらった俺達からすればさあ。全部嘘っぱちなのにそれに心酔してるのって滑稽でしかないんだけど。

 

  こう思ってる間にも、出てくる出てくる創世神(笑)エヒト様のヘドロみたいな情報。本当にゴキブリみたい。

 

 バン!

 

「ふざけないでください!」

 

 さーていつ折を見て逃げ出すかなーと思ってると、机を叩き突然立ち上がって猛然と抗議する人物が現れた。畑ちゃんだ。

 

「結局、この子達に戦争させようってことでしょ!そんなの許しません!ええ、先生は絶対に許しませんよ!私達を早く帰して下さい!きっと、ご家族も心配しているはずです!あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

 ぷりぷりと怒る畑ちゃん。彼女は今年二十五歳になる社会科の教師で、学校内で非常に人気がある。

 

  百五十センチ程の低身長に童顔、ボブカットの髪を跳ねさせながら、生徒のためにとあくせく走り回る姿は何とも微笑ましい。

 

  んだが、そのいつでも一生懸命な姿と大抵空回ってしまう残念さのギャップに、とても庇護欲を掻き立てられる。

 

『お前、前世の教え子にそんなのがいたから感情移入してるだけだろ?』

 

 あ、バレちった?

 

  エボルトの言う通り、俺の後継者にするために鍛えた3人の弟子のうち、一人がそう言うやつだった。

 

  そいつのふにゃっとした笑顔を思い出して、どうしても構ってしまう。大概怒られる上に雫に半殺しにされるけど。

 

  んで、そんな畑ちゃんは何でも、威厳ある教師を目指しているのだとか。そういうとこまであいつそっくりだ。

 

『結局、そうなるのを見る前に死んだけどな、お前』

 

  残念だよ、君ならわかってくれると思ってたのに。

 

『誰に言ってんだよ……』

 

 どうやら畑ちゃん、今回も理不尽な召喚理由に怒り心頭なようだ。クラスメイトどもがほんわかしてる。あっハジメが空っちに殴られた。

 

  んだが、次のベリオロスの言葉に俺とエボルト以外の、全員が凍りついた。

 

『完全に虫から離れたな…』

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

  まあそりゃそうだろうなぁ。わざわざ呼び寄せた()()()を、エヒトさんが手放すわけねえ。

 

『呼び寄せたって言えばアマ◯ンの配達今日じゃなかったっけ?雫と使うためのあはーんうふーんな商品の』

 

  これで(俺が)終わりだ、エボルトォォォォォォォ!

 

 静寂が、大広間を満たす。タールみたいなクソ重い空気が充満してるみたいだ。誰もが何を言われたのか分からないという表情でいる。

 

  俺?俺は93913顔してる。ハジメが堪えきれずに噴き出した。

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!?喚べたのなら帰せるでしょう!?」

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな。あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意志次第、ということになりますな」

「そ、そんな……」

 

 畑ちゃんが脱力したように、ストンと椅子に腰を落とす。周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた。

 

「うそだろ?帰れないってなんだよ!」

「いやよ!何でもいいから帰してよ!」

「戦争なんて冗談じゃねぇ!ふざんけんなよ!」

「ウソダドンドコドーン!」

「こんなところにいられねえ!俺は自分の部屋に帰らせてもらう!」

「メイドさんハァハァ」

 

 パニックになる生徒達。一部どこからか仕入れたネタに走っているものもいたが。とりま最後のやつはしばいとくわ。

 

『雫がメイド服着たら?』

 

 メイドさんハァハァ……はっ騙したな!?

 

『引っかかるお前が悪い』

 

 チクショウメ!

 

  ま、奴隷扱いじゃないだけまだマシだろ。そういうやつらが統治者の国をいくつも滅ぼした俺がいうんだ、絶対マシに決まってる。

 

 皆狼狽える中、ちらっと見るとババコンガは特に口を挟むでもなく、静かにその様子を眺めていた。

 

『なんでエヒトに選ばれたのに喜べないのか、とか考えてそうだな』

 

  そうだなー。宗教って怖い。そういや難波会長のあれってある意味宗教だよな。鷲雄兄弟(主に兄)ドンマイッ!

 

「一旦落ち着け!」

「モチツケ!」

「黙れ小僧!」

「モロッ!?」

 

 未だパニックが収まらない中、突然カスが立ち上がりテーブルをバンッと叩いた。ハジメが立ち上がり俺をグシャッと叩いた。

 

  その音にビクッと肩を震わせ、そちらを見るクラスメイトども。は全員の注目が集まったのを確認すると、おもむろに話し始めた。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放って置くなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無碍にはしますまい」

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

 ギュッと握り拳を作りそう宣言する天之河。無駄に歯がキラリと光る。

 

 同時に、天之河のカリスマは遺憾なく効果を発揮した。絶望の表情だった生徒達が活気と冷静さを取り戻し始めたのだ。

 

 奴を見る目はキラキラと輝いており、まさに希望を見つけたという表情だ。女子生徒の半数以上は熱っぽい視線を送っている。

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

「龍太郎……」

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

「香織……」

 

 いつもの四人のうち、二人がカスに賛同する。後は当然の流れというように、クラスメイト達が賛同していった。

 

 畑ちゃんはオロオロと「ダメですよ~」と涙目で訴えているが、あいつの作った流れの前では無力だった。

 

 

 

 

 

「ーーぷっ、ぶはははははっ!アーハッハッハッハッハッハッハッ!!!」

 

 

 

 

 

 

  それに思わず、俺とエボルトは大爆笑してしまった。




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