ルイネ「どうも、ルイネだ。ふむ、私のモデルか。どれどれ…おお、よくできている」
英子「それは本当ですの?…へえ、すごいですわね。あ、皆さま御機嫌よう。御堂英子と申しますわ」
ハジメ「俺たち男子の方はまだ実装されてないらしいな…で、前回はシュウジとランダが話したんだったな」
シア「なんか変な訓練も始まってますぅ!これ皆大丈夫なんですか!?」
エボルト「そいつは見てのお楽しみだ、それじゃあせーの…」
五人「「「「「さてさてどうなる峡谷編!」」」」」
ユエ SIDE
「えへへ〜、やった〜、やったですぅ〜!」
「……フン」
目の前で嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねるウザウサギ……いや、シアに私は鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
私たちが今いるのは、樹海の一角。ハジメたちがハウリア族の訓練をしている場所からほど近い空き地のようなところだ。
そしてここは今、まるで大災害がいくつも同時に起こったように荒れ果てていた。地面にはクレーター、木は融解し、凍り付けになっているところもある。
何でこんなことになっているかというと、もちろんその原因は私たちだ。つい先ほどまで、このウザいウサギと私は戦っていた。
フェアベルゲンの近くに滞在を初めてから今日で十日目、これまで私はシアをウサギと一緒に鍛えてきた。
そして例の霧の晴れる最終日の今日に、最後の試験を設けた。それは、私とウサギ両方と戦ってどちらかに少しでも傷つけられたらシアの勝ち、というもの。
案の定、シアはウサギに一発でノックアウトされた。その時「ノックアウトクリティカルスマッシュ!」とか無駄に流暢に言ってた。
私? 私は……いや、うん。
まあそのなんていうか、すごく遺憾だけど、訂正を要求したいけど、認めたくないけど………はい、負けました。
もちろん、最初のころはボコボコにしてた。でもこのウサギ、根性だけはあるようでいくらボコっても立ち上がってきた。
七日目くらいになると、もうこいつの異常な成長度合いに私も本気にならざるを得なくなった。本気と書いてマジと読むくらいだ。
そしてついさっき、勝負して負けた。ほんのちょっぴり傷付けられてしまった。悔しい、メチャクチャ悔しい。
まさかかつて世界最強の一角と言われたこの私が、十日前まで戦いとは無縁だった能天気ウサギに負けるなんて……
でも、もう結果は覆せない。審判のウサギがシアの方の旗を挙げている。勝ちは勝ち、いつまでも引きずってられない。
そしてこの勝負にもしも、万が一私が負けた場合、一つシアから頼まれていることがある。
「ユエさん、私勝ちましたよ」
「……………ん」
「これで、約束通りハジメさんに頼む時味方してくれますよね?」
「…………………………」
……そう。こいつが頼んだこと、それは私たちの旅について行きたいというものだった。そしてそれを頼む際、最大の障害はハジメだ。
だからシアは、勝ったら私とウサギに口添えをするよう頼んできたのだ。慢心してたからってなんで過去の私、こんなの許した…?
ちなみにシュウジたちの方は心配ないだろう。あの男はノリで生きてる気がするから力さえあればあっさり頷く。え、扱いが雑だって?今更何を(ry
そして勝負に負けた私に、これを拒否する権利はない。すんごく嫌だけどない。過去の自分をひっぱたきたい気分だ。
「ちょ、ちょっとユエさん?聞いてます?」
「………ん、聞いてる。今日の晩ご飯の話でしょ?」
「違いますぅ!やっぱり聞いてないじゃないですかぁ!お願いしますよ〜、お二人がいればハジメさん絶対頷くんですからぁ〜!」
すがりついてくるシア。鬱陶しかったのでビンタで吹っ飛ばす。だが、身体強化特化型のシアは無駄に頑丈だった。手が痛い……
ふーふーと手の平に息を吹いてるうちに、シアが復活した。そして「お願いします!」と土下座してくる。
しばし、私はそれを見たまま無言でいた。心の中では悔しさとか鬱陶しさとか、でも認めてやってもいいかという気持ちが葛藤している。
どうしてシアがこれほど私たちについて行きたいのか、その理由はなんとなーく察しがつく。半分はこれ以上に家族に迷惑をかけたくないからだろう。
そしてもう半分は………多分、ハジメへの好意。断固否定してやりたいけど、これほどのド根性を見せられたら認めざるを得ない。
それに……シアにシンパシーがないわけでもない。といっても二割くらいだけど。残り八割はまだハジメのそばに寄ってくる泥棒猫……泥棒兎?という認識である。
「………はぁぁぁ。わかった、味方する」
結局、悩みに悩んでため息とともに私の口から出た言葉は、そんなものだった。仕方ないじゃない、しつこそうなんだもの。
「っ!ほ、ホントですか!」
「何度も言わせるなウザウサギ」
ぐりぐりと頬をブーツでえぐる。しかしシアはえへへ〜といつもの気の抜けた笑顔を浮かべた。それに苛立ちが萎える。
その隙にシアは腕に抱きついてきて、これで一緒に旅できますね〜なんてへらへら笑ってた。それになんとも言えない気持ちになる。
……さっき泥棒兎なんて思ったけど、それは嘘だ。この緩んだ顔を見てれば、シアが私を嫌ってハジメの隣から排除しようとしているわけでないのはわかる。
多分シアが望んでるのは、ハジメのそばに自分がいて……そして私やウサギ、シュウジたち全員がいる、そんなものなのだろう。
だからこそ、私は本気の本気でシアを消そうとは思わなかった。それはきっとウサギも同じなんだろう。
「ウサギさ〜ん!これからよろしくお願いしますぅ!」
そんなことを思ってると、いつのまにかシアはウサギに近づいていた。ウサギはいつも通りハジメの写真集を見てる。
「ゲコッ」
そんなウサギの頭の上には、ウサギの頭と同じくらいの大きさのカエルが載っていた。緑に黒いまだら模様のカエルだ。
なんでもウサギ曰く、樹海の中を散歩してる時に見つけて、エサをあげたら懐かれたらしい。サイレントモードのシュウジ曰く、一応魔物だとか。
「うふふ〜、あなたもよろしくですぅ〜」
「ゲコッ」
頭を撫でようとしたシアに、カエルがベシッと舌を伸ばして顔に叩きつけた。「んぶっ」と呻くシア。やばい、ちょっとツボった。
「……シア」
笑いをこらえていると、不意にウサギの声が聞こえた。驚いてそちらを見れば、ウサギが写真集から目を離して、瞠目するシアを見ている。
「……え?う、ウサギさん、今初めて私の名前を……」
「……あなたは勇気を見せた。絶対勝てないはずの
「う、ウサギさん……!」
「よろしくね、シア」
ぱっと身内にしか見せない天使の笑みを浮かべるウサギ。それはつまり、ウサギがシアを仲間だと認めたことになる。
私より頑固なウサギがあんな顔をしては、いよいよ私も意地を張っていられなくなった。ため息を吐いて、シアに近づく。
「シア」
「へ?なんですかユエさぶえっ!?」
振り返ったシアに膝カックンをかけ、しゃがませると頭から水をかぶせる。そして汚れた体を丸洗いした。
「い、いきなりは酷いですぅ〜!」
「…これから一世一代の告白をするのにそんなに薄汚れてるのは、私が許さない」
「あ……えへへぇ、ありがとうございますユエさ〜ん」
「ちょ、抱きつくなアホウサギ」
濡れた体で抱きついて来ようとするシアの額を手で押さえながら、私はふと思った。シアとは長い付き合いになりそうだ、と。
そうしてシアを綺麗にすると、私たちはハジメたちのいる場所へと向かい始めた。
………あんなものを見るとは知らずに。
●◯●
シュウジ SIDE
「……ん、おお?」
不意に、目がさめる。すると最初に視界に映り込んだのは、俺を覗き込むエボルトのブラックホール面(新しいパワーワード)だった。
「よう、起きたかシュウジ」
「えーっと、なんで俺寝てるん?つーかここどこ?」
「何言って……ああ、そういやお前長時間回帰してるとその間の記憶がなくなるって言ってたな」
長時間の回帰、そう聞いて俺の最後の記憶が蘇ってきた。そうだ、確かハジメとバトンタッチしてハウリア族を鍛えることにしたんだった。
隠れ家にいた間訓練した結果、俺の〝世界の殺意〟への回帰は二種類の使用方法を確立することに成功している。
それは言わずもがな戦闘による短時間の回帰と、戦闘をせずに他のことをするという長時間の回帰の二つだ。
前者だと記憶は残るが、後者は人格に負担をかけないためかその間の記憶がすっぽりと抜ける。で、そのあと丸一日眠る。
以上、シュウジの今日の技能紹介コーナーでした〜。
閑話休題。
確か一週間最大で維持できたはずだから、寝ていた一日も合わせるとあれから八日経っている計算になるなと思いながら起きて立ち上がる。
キョロキョロと周囲を見渡すと、どうやら最初と場所は変わっていないようだった。近くの木にハジメが背中を預けて瞑目している。
「おーい、ハジメー」
「……ん、起きたのかシュウジ」
声をかけると、ハジメは目を開けた。そしたこちらにあくびをしながら歩いてくる。どうやら仮眠のようなものを取っていたらしい。
「あれ、ルイネは?」
「あっちで飯の準備をしている。もうすぐ奴らが帰ってくるからな」
「あいつも大したもんだなぁ、あれだけの人数の量を作り上げるってんだから」
二人によると、どうやらルイネは料理中らしい。隠れ家の時からそうだけど俺ら全員飯のこと完全にあいつに丸投げしてるよね。
とりあえず伸びをしてポキポキと骨を鳴らしていると、近くの茂みから物音がした。とっさにそちらを振り返る。
すると、出てきたのはユエ、シアさん、そしてなぜか頭にでかいカエルを乗せたウサギだった。いやちょっと待って、何あのでかいカエル。
「あ、ハジメさん!シュウジさん!エボルトさん!」
「………ただいま」
「よー三人とも、久しぶり。訓練は順調にいったかい?」
俺の計算では、すでにここにきてから十日経っているはず。それならばユエとウサギによる訓練も終わっているはずだが……
すると、ユエはなんだか悔しそうな顔を、シアさんは誇らしげな顔を、そのシアさんの頭をウサギが撫でた。上手くいったようだ。
「ていうかウサギ、シアさんのこと認めたのね」
「うん。もうシアはうちの子だよ」
にこりと笑うウサギ。隣から「ウサギマジ大大大大大天使」とかいうハジメの声が聞こえた。どっかの神様かな?
それじゃあ次はユエとシアさんの真反対な表情の理由を聞こうとすると、不意に複数の気配を感じた。
ハジメたちもそれを感じたようで、全員でそちらを振り返る。だが、そこには何もおらずただの樹海があるだけ。
……いや、違う。わずかに空気が揺らいでいる?まるで砂漠で起こる蜃気楼のように、何かの形に空間が歪んでいた。
ピ、ピピ……
不思議に思いながらも警戒していると、不意に電子音が響いた。そして、目の前の歪んだ空間に変化が起こる。
まるで空気から滲み出るように、三人の人間のようなものが姿を現したのだ。流石の俺も驚いて目を見開く。
その集団は、なんとも奇妙な格好をしていた。こらそこ、お前のテンションの方がずっと奇妙だろとか言わない。
全身の各所に金属の鎧を纏い、両腕の前腕には複雑な造形のガントレットを装着。両肩、あるいは片方の肩にはビーム砲と思しき小型の砲台がついていた。
顔にはシンプルな造形の鈍色のマスクをつけており、顔は見えない。髪型は全員長さ問わずドレッドヘアーであり、頭の上にはウサ耳……ちょい待ち、ウサ耳?
思わずそいつらの頭を二度見する。そこには確かに、二本のウサ耳が鎮座していた。ピコピコと動く、本物のウサ耳が。
それを認識した瞬間、俺の中に凄まじく嫌な予想が浮かび上がる。こいつらまさか、ていうかこの見覚えのある格好は……!
バッとエボルトの方を見るが、地球外生命体様はシンクロした動きでさっと俺から顔をそらした。この野郎!
『ボス、先生、ただいま帰りやした』
だらだらと冷や汗を流していると、不意に一人が言葉を発する。マスクのせいでそれはやけにくぐもって聞こえた。
煩わしそうな顔をしたハジメが、マスクを取るように言う。するとそいつらは両手でマスクを触り、プシュッという音とともに脱着する。
果たして、その中から出てきたのは……
「ふう……これでいいですかい、ボス?」
「おう」
やけにワイルドな顔つきの、ハウリア族の男だった。記憶力には自信があるので、ちゃんと顔を覚えている。
残りの二人を見れば、同じくハウリア族だったはずの男と女だった。なんか俺の知ってるハウリア族とはかけ離れたお顔つきでらっしゃるが。
「先生も、ただいまです」
「え?先生?俺?」
自分の顔を指差すと、かなり野生的な笑みを浮かべて頷く兎人族の男。あれ、こいつこんな笑い方でしたっけ?
「お題のもの、キッチリ狩ってきやしたぜ」
俺が首をひねっているうちに、バラバラと魔物の素材と思しきものを取り出す兎人族たち。見たところ、どれも上位の魔物のものだ。
「……俺は一匹でいいと言ったはずだが?」
「ええ、そうなんですがね?狩りをしている最中にわらわらと寄ってきまして。思わず先生に目覚めさせてもらった狩猟本能が疼いちまったんでさぁ」
「ファッ!?」
「なあ、そうだろみんな?」
「そうなんですよ。こいつら獲物の分際で生意気な奴らでした」
「きっちり落とし前はつけましたよ。一体残らず俺のレイザー・ディスクの錆にしてやりました」
「ウザイ奴らだったけど……リストブレイドで切り裂いた時はいい声で鳴いたわね、ふふ」
「見せしめに晒しとけばよかったか……」
「まぁ、コンビスティックで串刺しにしてやったんだ、それで良しとしとこうぜ?」
出るわ出るわ、不穏な言葉のオンパレード。あっれえおかしいなあ、ハウリア族ってもっとほんわかしてなかったっけ?
ああそうか、こいつぁ夢なのか。きっと俺が普段からふざけすぎたからバチが当たってるんだな、うんそうに違いない。
『おい、そろそろ現実逃避はやめとけ。本当はわかっているんだろ?』
ああ、わかっているさ。でも、これだけ言わせてくれ……
「アイエエエエエ!?プレデター!?プレデターナンデ!?」
「こっちのセリフですよッ!」
俺とシアさんの叫び声が、樹海にこだました。誰か説明プリーズ!
●◯●
「ちょっと!どういうことですかシュウジさん!」
「ちょ待って!ゆすらないで!三半規管がフルフルされてラビットアンドラビットしちゃうから!」
ガクガクと襟首をつかんで揺さぶってくるシアさんに、赤べこみたいになりながらなんとか頼み込む。こんなに力強かったっけか?
幸いシアさんはすぐに離してくれ、無事解放される。あーぐわんぐわんする。あれだ、車と船と飛行機に同時に乗った感じだ。
『どんな感じだそれ』
うん、俺もよくわからない。ていうか今のこの状況もワケワカメ。頼むから誰か説明して!
「なあハジメ、なんでこいつらこんなにワイルドになってるの?なんで地球外最強のハンターになっちゃってるの?」
「……そうか、お前記憶ないんだったな。聞いて驚け、これはお前の訓練の結果だ」
「な、なんだってー!?」
「シューウージーさーん!」
「ちょ、ヤメ、ヤメロォォォォ⤴︎⤴︎⤴︎!」
某眼帯引っ張られてる中二病ロリ魔法使いみたいな声を出しながら、なんとかハジメの言ったことを飲み込む。
あれが俺のせい?俺がウサギをプレデターにしたの?あっそうか、これは俺ではないもう一人の俺が……そうじゃん!回帰してる俺じゃん!
ハジメに説明を懇願すると、仕方がねえなという感じに教えてくれた。さすが親友、頼りになる。
で、聞いたところ……どうやら回帰状態の俺、隠れ家の時のハジメやルイネと同じようにハウリアを鍛えたとか。
徹底的に弱い心を粉砕し、まとめてゴミ箱どころか焼却炉にポイして一からこの武士なんだかバトルジャンキーなんだかわからん精神を植え付け。
その上で戦闘技術とは名ばかりの地獄のようなトレーニングを課し、極限まで追い詰めて超短時間で能力を鍛えさせ。
そして最後に、作成した装備を与えてプレデターverハウリアを作り上げた。そこで時間が来て終わったらしい。
「ーーというわけだ。これでわかったか?」
「あ、ああ……」
「まあ、なんだ。俺もそこそこ苛め抜くつもりだったが、お前には負けたわ」
ぽん、と肩に手を置くハジメ。崩れ落ちていた俺は頭を抱え、ガバッと起き上がって……
「装備作ってるところ見たかったーーーーーッ!!!」
「そっちかい」
「だってプレデターの装備だぞ!そんな男のロマンを自分が作っているところ見れないなんて、なんつー損失だ!」
「いや、人のこと言えないけどこいつらのこと何か思わないのか?」
「そんなのこの悲しみに比べればゴミだッ!」
「お前人に散々言っといて鬼畜だなオイ」
あーマジで惜しいことしたー!ちゃんとエボルトに録画頼んどけばよかったー!
『ところがどっこい、そういうと思って撮影しといたぜ』
エボルトマジありがとう!お前一生の相棒だわ!
『いや元からそうだったよね?』
「シューウジさんっ♪」
思わずガッツポーズしていると、明るい声とともにぽんっと肩に手を置かれた。な、なんだこの殺気は……!?
錆びた蛇口、あるいは天之河の寂れた思考のように緩慢な動きで振り返ると、そこには額に青筋を立てた、それはそれは良い顔のシアさんがいた。
「な、なんでせう……」
「もうおトイレには行きましたか?準備運動は?来世の人生への願い事は?何か言い残すことはありますか?」
「え、えーと、これからちょっとランダんとこに用事「黙ってください♪」ハイ」
即座に正座する俺。仕方ないじゃん、だってシアさんの目怒った時の雫みたいになってんだもん!エスタークの数百倍恐ろしいもの!
「はい、それじゃあ歯を食いしばってくださいね〜」
「べ、弁明の余t「ーー必殺」」
大きく振りかぶられた無表情のシアさんの腕。俺にはそれが、死神の鎌のように見えた。
「阿修羅百裂拳ッ!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッ!!!!!
神速で全身に叩き込まれるシアさんの拳をなすすべなく受け止める俺は、無事に訓練でウサギの無慈悲さを受け継いだなぁと思いました、まる。
「ふう、スッキリしました!」
「」チーン
晴れやかな顔のシアさんに対して、地面に沈んだ俺はボロ雑巾みたくなっていた。オレノカラダハボドボドダ!
『自業自得だわな』
ワァオ辛辣ぅ。
「まったくもう、ハジメさんもちゃんと止めてくださいよ!」
「え、お、おう………」
「さすがシア、先生を倒すなんて俺たちの先をいってるぜ!」
「我が一族の誇りだな!」
「そんなことで褒められても嬉しくないですぅっ!」
ぼやけた視界の中で、涙目で叫ぶシアさんの姿が見えた。あー痛え、全身粉砕骨折の上内臓破裂してるわこれ。
『むしろ内心とはいえよくそれだけ無駄口叩けるな』
実際の口は死んだも同然だけどね。
結局完全再生するのにはプレデターなハウリアの男たちにシアさんが突っ込み終えるまで時間がかかった。
「俺ちゃん完全復活!」
再生した全身に力を込め、立ち上がる。するとジトッとした目でシアさんがこっちを睨んできた。
「いやぁごめんシアさん、俺その間記憶なかったんだわ」
「それでも限度がありますぅ!うう……私の家族はもう死んでしまったんですぅ」
シクシクと泣くシアさん。プレデターハウリアどもは自分たちのことだとわかってないのか、首を傾げてた。
流石に悪いことしたかなーと思いフォローしようとしていると、またしても何かが近づいてくるのがわかった。
またプレデターが追加されたのか、プレデターフェスティバルかと思いながら後ろを振り向いて……絶句した。
なぜならそこにあった空間の歪みは、187ある俺すら凌駕するものだったからだ。ざっと二メートルくらいはあるだろうか。
ヴヴ……
いつものギャグは何処へやら、ぽかーんとしていると空間の歪みに色がつく。そしてでてきた奴に、俺はまた顎を落とした。
なぜなら……
「先生、どうかしましたか?」
「え、あんた……カムさん?」
「はい、そうですぜ」
その巨大なプレデターハウリアは、シアさんの父親であるカムさんだったのだから。コォォ……と口から煙が出る幻覚が見える。
俺を見下ろすカムさんは、もうマジで別人みたくなっていた。なんかギチギチ言ってる筋肉の鎧に、ガントレットと腰布をつけてるだけの状態だ。
えっ、これ兎人族でいいの?もはやプレデターハウリアですらないよね?アルティメットプレデターハウリアとかだよね?
「?どうかしやしたか先生」
「いや……なにがどうしたらそうなったん?」
「はっはっはつ、嫌だなぁ先生ったら。そんなの先生がネビュラガス入れたからに決まってるじゃないですか」
「なにやってんの!?」
マジでなにやってんの俺!?やめて、お陰で族長として示しがつく強さを手に入れられました!とか笑顔で言わないで!
「シ ュ ウ ジ さ ん ?」
顔を引きつらせていると、また肩に手を置かれる。振り返ってみれば、雷神のようなス◯ンドを背負ったシアさんが笑顔を浮かべていた。
「辞世の句は?」
「ーーー我が魂は、ゼクトと共にありィィィイイイイイ!」
ーーそして、この三秒後。俺は、犬◯家となったのでした、ちゃんちゃん。
うちのシアは容赦ないでぇ。
次回はそんなシアはんの告白です。
お気に入りと感想をお願いします。
……完結までにお気に入り500いくかなこれ。