星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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どうも、完結までにお気に入り500件突破を目指している作者です。

シュウジ「よう、シュウジだ。前回はハウリアがプレデターになってたな」

シア「シュウジさんのせいじゃないですかぁ!」

シュウジ「いや、あれは俺であって俺でなくてだな……」

英子「あの時のお師匠様は容赦がないですから」

ルイネ「うむ、その通りだ」

エボルト「お前らが真顔で言うってどんだけだ……で、今回はシアが告白するらしいぜ。それじゃあせーの……」


四人「「「「さてさてどうなる峡谷編!」」」」


ウサギの告白

「まったく!」

 

  目の前でプンスカと怒る残念ウサギ……シアの足元では、地面に上半身が埋まってピクピクしてる、犬◯家と化したシュウジがいた。

 

  その原因たるカムを筆頭にしたプレデターハウリアどもは、「さすがシア」とかいってウンウン頷いてる。天然さは健在かよ。

 

  だが、まさか俺もこんなのになるとは予想だにしなかった。あまりにも恐ろしい修行モードのサイレントシュウジを止めなかったのも悪いかもしれんが。

 

  まあ、そこは自分たちで生きていく力を手に入れたってことでよしとしよう。俺は悪くない、このクソッタレな世界が悪い。(目逸らし)

 

  しかし、普段のふざけた言動はともかくとして、まさかあのシュウジをボコボコにするとは、この残念ウサギ相当強くなったらしい。

 

「ユエ、あの残念ウサギどんだけ強くなったんだ?」

「……ん、魔法の適性はハジメと変わらないけど身体能力の強化に特化してる。正直化け物レベルで、最大強化で普通のハジメの三割くらいまで行ける」

「……マジ?」

 

  思わず聞き返すと、プイッとそっぽを向くユエ。なにやら勝負をしたみたいで、負けたのが悔しいんだろう。

 

  俺の通常の三割か……そうなると、だいたい平均9000くらいになる。なるほど、こりゃあ確かに化け物レベルと言っても過言じゃない。

 

  もう少し詳しく聞くと、どうやらまだまだ成長の余地があるらしい。ウサギの格闘術もある程度習得しているとか。

 

「そうだ、見てみろお前たち。先程狩った魔物の脊椎だ」

「おお、見事な脊椎ですね!」

「族長、首飾りにしてつけておいたらいかがですか?」

「うふふ、早く私もトロフィーを作りたいわ……」

「ちょっとぉ!物騒なこと言わないでくださいよ父様たち!」

 

  ちらりと残念ウサギ……いや、もうある意味残念でもないのか。シアを見てみれば、魔物の頭蓋と脊椎を見てワイワイしてるカムたちに涙目になっている。

 

  ……ああ、そういえばプレデターって狩った相手の脊椎集める習性があったっけな。サイレントモードシュウジのやつ、そんなとこまで似せたのか?

 

  あのユエに勝ったとは随分訓練に励んだようだと思っていると、なにやらシアがギャーギャーと騒ぎ始めた。

 

「皆、父様、お願いですから正気に戻ってください!」

「何を言っているんだシア、私たちは正気さ。ただ少し気づいただけだよ」

「き、気づいた?」

 

  困惑した様子のシアの頭に手を置き、にっこりと微笑むカム。あの巨躯だとそれだけで鳥肌が立つ。

 

「ああ……この世の九割の相手は暴力で黙らせられるということにな」

「……………」

 

  カムの言葉に絶望したような顔のシアは、ゆらゆらと幽鬼のような動きで犬◯家のシュウジに近づいていく。すでにその拳は固く握られていた。

 

  その後、シュウジがどうなったかは……まあ、レスラーさながらにジャイアントスイングでお空の星になったとだけ言っておこう。

 

「俺回収してくるわ」

「頼むエボルト」

「うう、酷いですぅ……」

 

  ジャイアントスイングしていたときの鬼のごとき形相は何処へやら、泣きべそをかきながらこちらに近づいてくるシア。こいつもいろいろ大変だな(他人事)

 

「まあ、悪い夢を見たとでも思え」

「ほんとに悪夢で終わらしたいですよぅ……」

「そ、それでユエに勝ったって?」

「あ、はい!そうなんですよ!いやあ見せたかったですね!私がユエさんに華麗に勝った瞬間へぶしっ!」

 

  コロコロと表情を変え、自慢げに胸を張って言うシアがジャンピングビンタで吹っ飛ぶ。犯人はもちろんユエである。

 

「……調子にのるなアホウサギ」

「うっ……ふ、ふん!そう言う態度なら言っちゃいますよ!ユエさんが訓練初日にペッタンコって言ったら拗ね痛い痛い痛いっ!?」

「お前は言ってはならないことを言った……!」

「もげるぅ!ウサ耳もげちゃいますぅ!」

 

  ギリギリとウサ耳を引っ張られるシア。頭ごと引っ張られてまるでタマネギみたいになってる。うん、やっぱりこいつただの残念ウサギだわ。

 

  シアの背中に馬乗りになっているユエを見ること数分、気が済んだのかユエは降りる。かろうじて残念ウサギの耳は残っていた。

 

  それを呆れた目で見ていると、涙目で耳をさするシアにむすっとした顔のユエが何やら言った。シアのピコンッ!とウサ耳が立つ。

 

  そうすると、なぜか若干赤い顔でチラチラとこっちを見てきた。

 

「ほら、早く」

「は、はいですぅ……」

 

  鬱陶しいその視線にイラッとしてゴム弾入りのドンナーを抜きかけていると、すくっと立ち上がったシアはこちらに近づいてくる。

 

  そして俺の前まで来ると、真剣な顔で背筋を伸ばし、青みがかった白髪をなびかせ、ウサミミをピンッと立てた。

 

  まるで一世一代の告白でもするようなシアに、とりあえずドンナーをホルスターに戻して話を聞くことにする。

 

「は、ハジメさん」

「………なんだ」

「その、ですね。頼みたいことが……」

 

  そこで、シアの言葉は止まった。その先をいうのをためらうように、口を開いては閉じてを繰り返す。

 

  それから十分、シアは一向に話し出す気配がない。流石にイライラしてきて、シアの額にドンナーの銃口を押し付ける。

 

「さっさとしろ、まどろっこしい。言わないと撃つぞ」

「わーっ!わかりました、言います、言いますからっ!」

「言ったな?ならさっさと話せ」

 

  ドンナーを下ろすと、シアはほっと安堵の息を吐く。そしてもう一度深く深呼吸をすると、キッと俺の目を決意のこもった目で見つめ……

 

「私を、皆さんの旅に連れてって「断る」せめて最後まで言わせてくださいよぉ!」

 

  酷いですぅ〜!と揺さぶってくる残念ウサギ。いや、何言ってんだこいつ。そんなの却下に決まってんだろ。

 

「うぅ、あんなに真剣に頼んだのに……」

「いや、そんなの知らんわ。ていうかあそこのプレデターどもはどうすんだ?まさか全員連れてけとか言わねえだろうな?」

 

  親指でくいくいと指差すと、良いワイルドスマイルでサムズアップするプレデターハウリアども。やめろ、返答は求めてない。

 

  シアは慌ててそれを否定し、連れて行って欲しいというのが自分だけのことだと言う。どっちにしろ却下だけど。

 

「よくあのプレデターどもが許したな」

「訓練を始める前に説得しました。その、自分たちに迷惑がかかるからって言う理由ならダメだけど、私がどうしてもって言うならいいって……」

 

  指の先と先をつんつんと突き合わせ、上目遣いで言ってくる。あざとい仕草に隣のユエがイラっとした顔をする。ウサギがモフモフしてた。本当に気に入ったんだな。

 

「いや、それこそ訳がわからん。どうしてそこまでして俺たちについて来ようとするんだよ?その実力ならもう大概のことはなんとかなるだろ?」

「いや、それはそうなんですけど、そうじゃなくてですね………」

 

  あいも変わらずじれったくモジモジするシア。うざってえ、わざわざ時間使ってやってるんだから早よ話進めろや。

 

  苛立ちを覚えながら、今度こそドンナーでゴム弾を撃ってやろうかと思っていると、不意にパッ!とシアが顔を上げて叫んだ。

 

 

 

「ハジメさんの傍に居たいからですぅ! しゅきなのでぇ!」

 

 

 

 ……………は?

 

 

「うう、言っちゃいました!でも噛んじゃいました!」

 

  あわあわしているシアを前に、俺はただ呆然とする。鳩が豆鉄砲を食らったような気分とはこういうことをいうのだろうか。

 

  たっぷり五分ほどかけて、ようやく理解不能な言葉によるショックから立ち直る。そして意味を理解し、すぐに突っ込んだ。

 

「いやいや待て待て、おかしいだろ。シュウジならまだしも、いつ俺にフラグが建った?」

「おーいハジメ、シュウジ拾ってきたぞー」

 

  噂をすればなんとやら、脇にシュウジを抱えたエボルトが帰ってくる。するとシアはにっこりと笑い、親指でシュウジを指差した。

 

「いやだなぁハジメさん、冗談はやめてくださいよ。アレのどこを好きになれと?」

「お、おう」

 

  どこまでも雑な扱いな我が親友だった。いやまあ、ある程度長い付き合いじゃないとあいつの良いところは見えてこないけどさ。

 

  それはともかく、一旦気持ちを切り替えると咳払いして話を続ける。シュウジはエボルトが端っこに連れてった。

 

「で、俺を好きだって?随分と雑な扱いをしてたはずだが?……ハッまさかそういう趣味が」

「違いますぅ!私そんな変態じゃないですぅ!ていうか自覚あったんならもうすこしソフトにしてくださいよ!」

「する意味のないことはしない主義でな。つか、状況につられてるんじゃないのか?」

 

  吊り橋効果っていうのがある。ピンチな時に優しくされたり助けられたりすると、そのはずみで好きになるというものだ。

 

  相当雑ではあったものの、俺はこいつを救ってる。それに釣られて自分の気持ちを勘違いしてるんじゃないのか?

 

「……確かに、そういう要素がないといえば嘘になります。家族も、自分の命も助けてもらいましたから。でも、そんなの関係ないくらい好きになっちゃったんです」

「なっちゃったんです、って言われてもなぁ……」

「まあ自分でも思いますよ?なんでハジメさんなんだろうって。まだ残念ウサギ呼ばわりだし、鬼だし平気で殴るし、扱い雑だし、鬼だし……あれ、ほんとになんでだろう」

「お前は告白しているのか?それとも俺にシバかれに来たのか?」

 

  ひくっと口の端が引きつるのがわかる。確かにまったくもって言う通りだが、面と向かっていわれると腹立つ。

 

「それでも、この人だ!って思ったんです。ハジメさんじゃなきゃダメだって」

「……………」

「だから、お願いします!側にいさせてください!」

「……あのな、何回も言ってるけどそのつもりはないからな。ていうかユエとウサギ前にしてよく堂々と言えるな?お前の1番強いところ身体能力強化じゃなくてアザンチウム製のハートじゃね?」

「誰が世界最高の頑強さを誇るハートですか!……ふふ、わかってましたよ、わかってましたとも。一筋縄ではいかないことくらい」

 

  よくわかっている。よっぽどでもない限り、俺はこいつを連れて行く気は毛頭ない。

 

「ですが!こんなこともあろうかとお二人を味方につけたのです!ユエさん、ウサギさん、お願いします!」

「は?」

 

 ユエと、ウサギ?

 

  そちらを振り向くと、ユエはものすごく仕方がなさそうに、深い深いため息を吐いてから「……連れて行こう」といった。

 

  苦虫を百匹噛み潰したようなその顔に、俺はようやく悟る。ユエとウサギの言っていた勝負というものの意味を。

 

  つまるところ、シアはユエとウサギに俺に頼む時、勝負に勝てば協力するように頼んだのだろう。それはかなり命がけだったはずだ。

 

「ハジメ……」

「ウサギ、お前もか?」

「シアを、連れていこ?」

 

  パッと笑顔を浮かべるウサギに、思わず「オッケー」と即答しかけた。〝オッ〟まで口に出てた。あ、危ねえ……ウサギの可愛さにやられるところだった。

 

  しかし、まあ……もはやここまでくると怒りやら呆れやら通り越して、こいつに関心すらする。よくもまあ、これだけのためにそこまでするもんだ。

 

  ……いや、違うな。むしろこれだけしてまで俺についてきたいと思うほど、こいつの思いが本物ということだ。

 

  思わずガリガリと頭をかく。面倒なことになった。いや、別にこの二人が認めたからといって俺が認めなければそれで終わりだ。

 

  だが……目の前のシアの目には、どこか奈落にいた時の俺とよく似た、不屈の意志が秘められていた。これを否定していいものか。

 

  もう一度、二人のことを見る。ユエは仕方がないと肩をすくめ、ウサギは上目遣いをしてきた。やばい、尊くて危うく吐血しそうになった。

 

  ここで無残に断ったら……この二人は、どう思うだろうか。

 

「………はぁああぁ」

 

  結局、俺の口から出たのはそんな深いため息だった。シアと目線を合わせ、しっかりとその奥にある意志の炎を射抜く。そしてゆっくりと話し出した。

 

「……ついてきたって、答えがやれるわけじゃねえぞ」

「知らないんですか、未来は絶対じゃないんですよ?それに、ウサギさんがいますし」

 

 ……それもそうだ。

 

「危険な旅だ。命がいくつあっても足りないくらいに」

「よかったです、ちょうど化け物になったところだからついていけます」

「俺たちの目的は神を殺して、故郷に帰ることだ。ついてくるというのなら、もう家族には会えないかもしれないんだぞ?」

「何度でも言います、〝それでも〟なんです」

 

  強い口調で言い切るシア。カムたちの方を見れば、少し寂しそうではあるものの、またサムズアップしてきた。

 

  今一度見たシアの表情に、やっと理解する。もうこいつの思いは、理屈を並べたところで折れないということに。

 

「……………」

「ふふ、もう終わりですか?なら、もう一度言います」

「……言ってみろ」

 

  すっと息を吸い、シアはもう一度俺に向かって口にする。自分の、心の底からの望みを。

 

「私を、連れて行ってください」

「……………」

 

  その蒼穹のように青い目をじっと見つめる。それに答えるように、絶対にシアは俺から目線をそらさなかった。

 

「……はぁ。勝手にしろ、この物好きめ」

 

  そして、俺は折れた。

 

  驚いたように目を見開くシアに、俺は気まずい気持ちになってそっぽを向き、頬をかく。

 

「や……やったあ!やったですぅ!」

 

  次の瞬間、シアの歓声が耳に届いた。ぴょんぴょんと飛び跳ねるシアは、ユエに抱きついたりウサギに抱きついたり、カエルを高い高いしたりして全身で喜びを表す。

 

  それにユエは鼻を鳴らしながらもまんざらでもなさそうに、ウサギは天使より天使な微笑みを浮かべて「頑張ったね」と言っていた。

 

「ったく、はしゃぎすぎだろ」

「えへへ、これでハジメさんとずっと一緒ですう」

「……シア、こっちにきて」

 

  ちょいちょいと手招きするユエ。飛び跳ねていたシアはトコトコと近寄っていく。

 

「はい、なんですかユエさん?」

「ハジメについては私たちの方が上級者、先輩の教えを守ることから始める」

「はい、わかったですぅ!」

「まずは毎朝自作のハジメ讃歌を歌い、そして寝る前には毎日50ページのハジメポエムを作成することがノルマ。これができてこそハジメマスターの第一歩」

「待ってユエさん、えっいつもそんなことしてたの?」

 

  ユエに思わずつっこんでいると、目を覚ましたシュウジがエボルトとともに近寄ってきた。

 

「よおハジメ、今どういう状況?」

「起きたかシュウジ……まあ、なんだ。端的に言うとシアが一緒に旅することになった」

「お、マジか。シアさん、これからよろしくなっ☆」

「……すいません、もう一発殴らせてもらってもいいですか?」

「なんでや!」

 

  笑顔で拳を握るシアから逃げるシュウジに、俺はこれからより一層騒がしくなりそうだと思った。

 

 

 ピ、ピピ……

 

 

  追いかけっこ(ガチ)をしている二人を眺めていると、聞き覚えのある音とともに目の前に小柄なプレデターハウリアが姿を現した。

 

  ヘルメットをつけていない子供のプレデターハウリアは、確かバルとかいう名前だったはずだ。なにやら神妙な顔をしている。

 

「ボス、ご報告が」

「なんだ、一体どうした」

「実は……大樹への道に、フェアベルゲンのものが」

 

 ……どうやら、また新たな騒動のようだ。

 

 

 〜〜〜

 

 

 オマケその1

 

 シア「私身体強化に特化しているので、その気になれば大きなものだって持てちゃいます!」大岩を持ち上げる

 ハジメ「ほお、大したもんだ」

 シア「でもちょっとコツがいるっていうか、気をぬくと能力通りの見た目になっちゃうんです」

 ハジメ「……どういうことだ?」

 シア「こういう………(ムキョッ)」筋肉モリモリマッチョウーメン

 ハジメ「……うん、元の見た目で頼むわ」

 

 細身女子に大きな武器はロマン

 

 




シアは後にプーチン(ウサビッチ見た人しかわからん)になります。
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