星狩りと魔王【本編完結】   作:熊0803

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評価バーが7を超えた∑(゚Д゚)この調子でお気に入り500件を目指す…!
どうも、エイリアンVSプレデターの1と2を観た作者です。

シュウジ「よお、シュウジだ。俺はあれだ、2のウルフプレデターが好きだな。終わり方はともかく」

ハジメ「確かにスッキリとはしない終わり方だったな。で、前回はシアが告白して、仕方がなく旅についてくることを了承した」

シア「うふふ、一緒ですぅ」

ユエ「むう…」

エボルト「今回はハウリア族どもの狩りの話だ。それじゃあせーの……」

五人「「「「「さてさてどうなる峡谷編!」」」」」


人狩りいこうぜ!(誤字にあらず)

 ハジメ SIDE

 

  プレデターハウリアの子供、バルから告げられた情報。それによれば、どうやら大樹への道にフェアベルゲンの亜人がいるらしい。

 

  待ち構えているのは熊人族……あの時シュウジに殴りかかった種族の集団であり、完全武装の状態でいるようだ。

 

「なるほどな、目的を目の前にして潰そうってか。中々いい性格してんな」

「そこに痺れる憧れるゥ!」

「痺れないし憧れねえよ。ていうか頭にたんこぶついてんぞ」

 

  二重にたんこぶができてるとか漫画でしか見たことないわ。

 

「しかし……」

 

  目の前で跪くプレデターハウリアを見る。子供のはずなのに、鎧を装着しても一切体が揺れない姿は、さながら軍人のようだ。

 

  よくもまあ、こんなになるまでやらかしたもんだ。結構可愛がってたはずだが、一旦スイッチが入ると容赦ねえな。

 

  思わず嘆息しながらどうする?とシュウジにアイコンタクトを送る。すると奴は肩をすくめ、カムたちの方をちらりと見た……ああ、そういうことか。

 

「おい、カム」

「はい、なんですかいボス」

「待ち構えている熊人族たち、お前らがやれ」

 

  そう言うと、カムたちは待ってましたと言わんばかりに裂けるような笑みを浮かべた。バトルジャンキー丸出しだ。

 

「お任せくださいボス、私たちの力を奴らに見せつけてやります」

 

  力強い口調でそういったカムは、不意に上を向くと両手を口元に持って行き、凄まじい大声をあげた。

 

  樹海全体に響き渡るようなその声に、耳がキーンとする。これがほかのプレデターハウリアどもを呼んでるんじゃなけりゃ殴ってるとこだ。

 

「あれで〝じょーーーーーっ!〟っていってたらなおよかったな」

「テラ◯ォー◯ーじゃねえんだよ」

「そういや女神様の知識によれば七大迷宮の一つに似たようなやついるらしいよ」

「えっマジで」

「……ハジメ、テ◯フ◯ーマーって何?」

「ほら、こんな感じのやつだ」

「うっわ擬態の再現度高いなエボルト。キモいぞお前」

「この姿のことだな?俺のことじゃないよな?」

 

  某火星在住のゴキブリ星人に擬態したエボルトに、ユエとウサギが嫌そうな顔をする。その迷宮行った時大丈夫だろうか。

 

  それからほどなくして、そこかしこの茂みから物音がした。気配感知の技能に大量の反応が引っかかる。

 

  数秒もすると、広場は透明化を切った四十人強のプレデターハウリアに埋め尽くされた。軍隊のごとく整列する様は壮観の一言だ。

 

  先頭に立ったカムが、「ボス、先生、お言葉を」と促してくる。ここは俺ではなくシュウジのほうがいいだろうと肩を叩いた。

 

「あ、ここで俺に振るのね……んんっ!」

 

  スッとシュウジの顔から表情が消える。異空間から伊達眼鏡を取り出し、それをかけた。どうやら回帰したようだ。

 

「諸君、静粛に耳を傾けなさい。今ここにいる貴方たちは、もはや踏み潰されるだけのド底辺のクソ虫ではありません。己の力、知恵で命を刈り取る暗殺者です。そんな貴方たちが、私怨にかられて盲目的になっている[ピーーッ]ごときに負ける道理はありません。自分たちが絶対強者だと自惚れている彼らに現実を見せてあげなさい!四肢をもぎ、首を切り落とし、勝利のトロフィーを掲げるのです!ハウリア族が強者に……命の捕食者(プレデター)になったことを、この樹海に生きとし生けるものすべてに知らしめるのです!」

「「「「「「「「「「Sir、yes、sir!!」」」」」」」」」」

「叫びなさい、諸君! 我が親愛なる弟子の諸君! 貴方たちの望みはなんですか!」

「「「「「「「「「「強きものをねじ伏せ、狩り、その頭蓋を掲げること!」」」」」」」」」」

「貴方たちは何者ですか!」

「「「「「「「「「We are Assassin!」」」」」」」」」」

「獲物はどうします!!」

「「「「「「「「「「ねじ伏せ、踏み潰し、殺せ!! 殺せ!! 殺せ!!」」」」」」」」」」

「そうです!それでこそ私の教え子です!この樹海のものたちはあまねく貴方たちの獲物!徹底的に殺しなさい!」

「「「「「「「「「「Aye、aye、Sir!!」」」」」」」」」

「良い返事です!さあ行きなさいハウリア族諸君!サーチ&デストロイ!ハイド&キル!その力を見せつけなさいッ!!」

「「「「「「「「「「YAHAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」」」」」」」」」」

 

  ジャキンッ!とリストブレイドを伸張させ掲げたプレデターハウリアどもは、ガントレットに拳を叩きつけると透明になり、樹海の中へと消えていく。

 

  後に残ったのは、胸を張っているサイレントシュウジと俺たち、そして「私の、家族、が……」と地面に膝をついたシアだった。

 

「ふぃ〜、ノリと勢いに任せて演説しちまったけど、すげえなあれ」

「ラビットパーンチ!」

「ばいばいきーんっ!?」

 

  伊達眼鏡を外して振り返ったシュウジは、刹那の瞬間に立ち上がったシアによって空高く打ち上げられる。

 

  そしてドシャッと地面に落ち、そのまま動かなくなった。拳を振り上げたシアに、俺は試合終了のゴングが鳴るのを幻聴する。

 

「いやぁ、難波チルドレンも中々だったが、ありゃ別の意味で洗脳だわな」

「……ん、シュウジは闇魔法が得意」

「いや、魔法じゃなくて素だろあれ……」

「……それ、もっと悪い?」

「ゲコッ」

 

  どことなく嫌な予感を覚える俺たちの耳に、ウサギの頭上のカエルの鳴き声がやけに大きく響くのだった。

 

 

 ●◯●

 

 

 三人称 SIDE

 

「レギン殿、戦闘準備が整いました」

「ああ、わかった」

 

  近づいてきた部下に、その男……熊人族の一つ、バントン族のレギン・バントンはそう返した。そして腕組みをし眼前を睨みつける。

 

  彼らは今、大樹へつながる道であるものたちを待ち伏せしていた。それは、十日前に現れた人間族の集団とハウリア族。

 

  その理由は、現熊人族族長ジン・バントンにある。あのときシュウジによって関節の筋肉を断裂させられた彼は、動くのもままならない状態なのだ。

 

  幸か不幸か、シュウジの作った例の回復ジュースの劣化版で多少は治ってきているものの、もう戦うことはできない。

 

  ちなみにフタを開けるとベストマッチ音声が鳴るのは健在であり、それで驚いて関節の痛みに悶えるという地味な嫌がらせをしている。さすがシュウジ、人をおちょくる事に関して右に出る者がいない。

 

  そんなバントン族に限らず、全ての熊人族から尊敬を集めているジンが、人間族に傷つけられた。それを聞いたときレギンは唖然とした。

 

  まさかあのジンが、と信じられずにいたものの、実際に自宅で回復ジュースの音で無様に悶えるジンを見て現実を認識した。

 

  ひどく怒りを覚えたレギンは長老に詰め寄って事情を聞き出し、そしてシュウジたちの存在を知る。

 

  たかが人間族ごときが、皆が尊敬するジンを傷つけた。こんなことを熊人族……特に右腕的存在であるレギンが許せるはずもない。

 

  ゆえに、レギンとその部下たちは完全武装をし、ここでシュウジたちが来るのを待っているというわけである。

 

(相手は所詮兎人族と人間、ジン殿をやったのだって卑怯な手を使ったに決まっている)

 

「奇襲を仕掛ければ、我ら熊人族が兎人族と人間ごときに負けるはずがない!」

「そうですね、レギン殿」

 

  長老たちの必死の説得が功を奏し、熊人族全員ではなかったが、総勢五十人もの部下がいる。レギンは傲慢にも、すでに自分たちの勝利を確信していた。

 

「……ん?おい、お前。それはなんだ」

「え?一体何のことですか?」

「その額の模様だ、()()()()()()()()()()()()()()()()()ーー」

 

 ーーそれが、絶望を呼び寄せるとは知らずに。

 

 

 

 ドシュンッ!!

 

 

 

  次の瞬間、レギンの目の前で部下の頭が〝何か〟によって消し飛んだ。残った体のグロテスクな首の断面から、真っ赤な鮮血が吹き出す。

 

「………は?」

 

  自分の頬に飛び散る生暖かい血の感触に、レギンは呆然とした声を上げた。他の部下も混乱し、騒然とする。

 

 

 

 シュルルルルルルルッ!!

 

 

 

  すると、どこからか風切り音が聞こえてきた。

 

「ぎゃぁぁあぁあああっ!?」

 

  不意に上がった部下の悲鳴に、ハッと我に返ったレギンは声のした方を見る。すると、部下の一人の片腕が根本から無くなっていた。

 

  一体何が、そう思う前に再び風を切る音がして、飛んできた銀色の何かによって腕を失った部下の頭は切り飛ばされた。

 

  力を失い、ドサッと地面に倒れた仲間だったものを見て、熊人族たちはパニックになる。それが命取りだともわからずに。

 

 

 ーーひぎゃぁぁああああああっ!?

 

 

 ーーう、うわぁぁあああああっ!?

 

 

 ーーば、バケモノがぁぁぁあぁっ!?

 

 

  霧の中、そこかしこから部下の悲鳴が聞こえてくる。つい先ほどまで虚無の勝利感に浸っていたレギンの思考は混乱を極めていた。

 

「くっ!隊列を立て直せ!」

「わ、わかりま……がぁあぁぁぁぁあぁあああああぁっ!?」

 

  振り返って答えようとした部下の体が、突如不自然に宙に浮いた。その胸元に血の付着した半透明の刃のようなものが浮き出ている。

 

  ここに至ってようやく、レギンはこれが何者かによる攻撃だと気がついた。しかし、今更気づいたところでもう遅い。

 

  ガクガクと白目をむいて痙攣していた部下が動かなくなると、刃が胸から引き抜かれて死体が地面に落ちる。

 

「なんだ!?何がどうなっている!?」

 

  恐怖に若干声を震わせながら、レギンは腰から剣を抜いて振り回す。そんなレギンを嘲笑うように、どこからか嘲笑が聞こえた。

 

「レギン殿、逃げてくださっ」

 

 

 ズドッ!!

 

 

  目の前に転がってきた部下の一人が、最後まで言い終える前に飛んできたものによって首を落とされる。

 

  足元に突き刺さった銀色の何かを、レギンはゆっくりと見下ろし……そしてそれが、六枚の刃のついた円盤だと理解した。

 

「これは、武器!?」

 

  血の滴る円盤を見て叫ぶレギン。そう、これはどこからどう見ても武器。けして知能のない本能で生きている魔物が使えることのないもの。

 

  そうすると、すなわち答えは一つに収束する。これまでの攻撃は全て、魔物ではなく知性のあるものによって行われたということだ。

 

「まさか、例の人間族……!」

「レギン殿!」

 

  最悪の予想を浮かべて顔を歪めるレギンの前に、ひとりの部下が肩を抑えながら走り寄ってくる。腹心のトントだ。

 

「一度撤退しましょう!この攻撃の主は俺たちが相手できるようなやつじゃない!これ以上の被害を防ぐべきです!」

「ぬぅ……!」

 

  苦い顔をするレギン。トントの言うとおり、すでに五十人いた部下は二十人弱まで減っていた。

 

  このまま戦い続けたとしても、姿どころか正体もわからない敵に対していたずらに部下の命を散らすだけだ。

 

「しんがりは俺が務めま」

 

 

 ドグシュッ!!!

 

 

  レギンが腹心の言葉に耳を傾けようとした瞬間、目の前でトントはバラバラになった。全身に血が降りかかる。

 

  ドサドサと重々しい音を立てて、トントの腕や頭、胴体の半分が転がった。その中心には、ひときわ大きく、太い湾曲した刃が地面に突き刺さっている。

 

「な、あ……」

(こんな、こんなことありえるはずが……!)

 

 

 

「ーー気分はどうかな、最強種殿」

 

 

 

  崩れ落ちるレギンの耳に、聞き覚えのある声が響いた。忌まわしいハウリア族の族長だったはずの男の声だ。

 

  レギンは憎悪の炎が燃える瞳でキッと声のした方を振り返り……そして、それを見たことを心の底から後悔した。

 

「お久しぶりだ、最強種殿」

「な、おま……!?」

 

  自分を見下ろす、筋骨隆々のおおよそ兎人族とは思えない大男。複雑な造形のガントレットと腰布しかつけていないその男は、言わずもがなカムである。

 

(こいつ、前に見たときはこんなに巨大じゃ……!?)

 

「いやはや、無様なものだ。あれほど最強と豪語していた貴方方がこの程度とは」

 

  スタスタとレギンの横を通り過ぎたカムは、地面に突き刺さった刃を右腕のガントレットに連結する。

 

  刃こぼれしていないか確認すると、血振りしてグッと拳を握りガントレットに収納した。そしてレギンの前に戻ってくる。

 

「さて、何か言うことはあるかな?」

「ッ……!」

 

  ギリィッ……!と歯ぎしりをしながら、レギンは状況を確認する。すでに部下は十数人まで減っており、不思議な武装をした兎人族と思しきものに囲まれていた。

 

  「もういじめないで……?」と体育座りで怯えているシュールな部下たちに、プレデターハウリアたちがジリジリと包囲を狭めていく。

 

  おおよそ兎人族とは思えない、というかもはや亜人族なのかすらわからないハウリア族の姿にレギンは戦慄を覚えた。

 

  今ここでいうことを間違えれば、自分も部下も殺されるのは目に見えている。ならば、一体どうするべきか。

 

「……頼む」

「…………」

「部下だけは、見逃してくれ。あいつらは俺に駆り立てられただけなんだ……!」

「…………………」

「頼む、兎人族……いや、ハウリア族の族長殿。俺は煮るなり焼くなりどうとでもしていい、だから部下の命だけは……!」

 

  レギンが選んだのは、自分の命と引き換えに部下の命を救うことだった。無感情に自分を見下ろすカムに、屈辱を感じながらも頭を下げる。

 

  そんな決死の懇願をするレギンに対する、かつての温厚さは何処へやら血も涙もない暗殺者に変貌したカムの返答は……

 

「断る」

「なっ!?」

 

  案の定の、拒否だった。瞠目して頭をあげるレギンに、カムは悪魔のような笑みを浮かべる。

 

「貴様らは私たちを殺そうとした。ならば私たちもお前たちを全員、最後の一人まで殺す権利があって当然だろう?」

「そ、それは……!」

「そして何より……踏ん反り返って胡座をかいていた貴様らが屈辱的な顔で死んでいくのを見るのは楽しいのでなぁ!」

「んなっ、この外道がぁ!」

 

  こいつマジでハウリア族?ていうかもう完全にプレデターだよね?と突っ込みたくなるようなことを言うカム。

 

  これまで虐げられてきたこと、そして文字通り地獄を見て強くなったことへの狂喜が完全にカムの心のブレーキをぶっ壊していた。

 

  もう言うことはないと言わんばかりに、カムはジャキンッ!とガントレットのリストブレイドを伸張させて振り上げる。

 

  同様に、他のプレデターハウリアたちもリストブレイド、あるいはスピアやレイザー・ディスクを振りかざした。

 

「ではさらばだ、最強種殿!」

 

  そしてそれを容赦なくレギンに振り下ろしーー

 

 

 

 シュッ!

 

 

 

  ーーしかし、その時カムの頬を一本のナイフが掠めた。

 

 

 ●◯●

 

 

  ぴたり、と動きを止めるカム。頬に一筋の切り傷が走り、血が伝う。それをぎろりと冷めた目で見るカム。

 

  そんなカムの目の前の木には、精緻な彫刻の施されたナイフが突き刺さっていた。超絶技巧を持つ職人でもないと作れないようなものだ。

 

  この世界においてそんなものを作れる、あまつさえ武器に使うなどという無駄なことをする人物は、一人しかいない。

 

「……どういうつもりですかな、先生」

 

  カムの声に応え、霧の中からシュウジが姿を現わす。伊達眼鏡をかけており、すでに回帰した状態のようだ。

 

  カム同様に気がついたレギンは、件のジンを傷つけた人間を前にして憎しみよりも先に、命が長引いたことに安堵を覚える。

 

  そうしているうちに、シュウジの後を追いかけるようにハジメ、ユエ、ウサギ、エボルト、ルイネ、そしてシアの六人が出てきた。

 

  勢揃いしたシュウジたちに、プレデターハウリアたちもカムと同じように動きを止める。そして全員がシュウジに目を向けた。

 

「先生、なぜ邪魔をしたのですか?獲物を殺せと教えたのは貴方でしょう?」

「……ああ失礼、カムでしたか。思わず見間違えてしまいましたよ」

「見間違えた?一体何にです?」

 

  首をかしげるカムに、シュウジはスッと鋭い目を向ける。あまりにも冷たすぎるその目に、カムは怯んだ。

 

「決まっていますーー貴方たちを襲った帝国兵にですよ」

「「「っ!?」」」

 

  ざわっとプレデターハウリアたちの空気が揺れる。カムもまた、脳裏に歪な笑いを浮かべる帝国兵を思い浮かべ目を見開いた。

 

  そして口元を触り、自分が同じような笑みを浮かべていることを知る。振り上げられていた手が、力なく垂れ下がった。

 

  カムたちの目に、理性の光が戻る。それまでの高揚した気分が一気に冷め、慌てて薄皮一枚で止まっている武器を引っ込めた。

 

「せ、先生、私たちは、一体何を……」

「……初めての殺しです、力に酔ってしまうのも仕方がないでしょう。実際ルイネもそうでした」

「うっ……」

「ですが、一つだけ言っておきます……この愚か者どもがッ!!!!!」

 

  シュウジの出した大声が、衝撃波のようにビリビリとその場にいた全員の肌を叩きつける。

 

「確かに私は教えました。一度定めた獲物は殺しなさいと、必要ならば追い詰めなさいと……だが、()()()()()()とは一度たりとて教えていない!」

「「「!!!」」」

「生きるためには殺すのならば良いでしょう。だが楽しんで殺すのはただの狂人だ!純然たる悪だ!お前たちは〝強者〟になりたかったのか!それとも〝悪〟になりたかったのか!?」

「私、たちは……」

 

  カムたちの脳裏に、先ほどまでの自分の所業が駆け巡る。怯える熊人族たちを嘲笑い、ゲームのように殺していく自分たちが。

 

  ああ、確かに言う通り、これではただの悪党ではないか。自分たちから家族を奪った帝国兵たちと、なんら変わらないではないか。

 

  自分たちが力を求めたのは、断じてこのようなことをするためではない。ただ、生きるために力を欲した。それだけだったはずだ。

 

「それなのに、私たちは……」

「俺は、なんてことを……」

「私、私……!」

 

 

 カラン、カラン……

 

 

  次々と武器を手放すプレデターハウリアたち。それを見て、慌てて熊人族たちがどさくさに紛れて逃げようとする。

 

 

 ドパンッ!

 

 

「ぬがっ!?」

 

  しかし、そうは問屋がおろさない。ハジメの撃ったゴム弾が正確無比に逃げようとした熊人族の後頭部にぶつかる。

 

「何逃げようとしてんだ、話終わるまで正座でもしてろや」

「私が縛っておこう」

 

  ルイネが金属糸を操り、全員の首に巻きつけて逃げられないようにする。それをちらりと見て、シュウジは話を続けた。

 

「……その様子だと、気づいたようですね。一度で学習できたのならば、私からはもう何も言うことはありません。今後も鍛錬に励みなさい」

「「「は、はっ!ご寛大なお言葉に感謝します!」」」

 

  敬礼をするプレデターハウリアたちに、シュウジは頷く。そうすると伊達眼鏡を外し、回帰を解除した。

 

  伊達眼鏡を異空間に放り込むと、「んあ〜説教疲れた〜」と伸びをしながら歩いていく。そしてポンとハジメの肩を叩いた。

 

「俺っちもう疲れちゃったから後始末よろしく」

「はいはい、わかったよ」

 

  やれやれ、と肩をすくめながらもハジメは前に出て、拘束されている熊人族に近づいていくとレギンの前にしゃがみ込む。

 

「つーわけだ。よかったな、生き長らえて」

「くっ……」

「せっかく生き延びたんだ、さっさとフェアベルゲンに帰れ。そして長老たちにこう伝えろ」

「……何をだ」

「〝貸し一つ〟ってな」

「なっ!?」

 

  あまりにもな言葉に絶句するレギンの肩に、ハジメは手を置く。そしてニコリといっそ純粋そうな笑顔を浮かべた。

 

「もし伝えないで惚けでもした時ーーその時がフェアベルゲンの最後と思え」

「ぐ………わかった」

 

  借金取りのヤクザどころかテロリストさながらのハジメの要求に、しかし拒否など以ての外なので頷くレギン。

 

  その後、解放された部下たちとともに、レギンは逃げるようにフェアベルゲンへと帰っていった。残ったのはハジメたちとハウリア族だけだ。

 

「……さて、お前ら」

「ボ、ボス……」

 

  立ち上がったハジメは、カムたちに向き直る。そして……わずかに頭を下げた。

 

「すまなかった」

「……え?」

「今回の事に関して、鍛えたのはシュウジだったが、それを別にいいかと傍観していた俺にも責任がある。だからまあ、すまなかった」

「ボス……」

 

  謝るハジメに困惑するカムたちに、シュウジもいつものおふざけを納めて少し決まり悪そうに前に進み出た。

 

「あー、俺も散々お説教したけどさ。いくら生きるためとはいえ、別にあそこまでする必要はなかった。明らかにやりすぎた、すまん」

「せ、先生……」

 

  二人揃って頭を下げるハジメとシュウジに、さらに困惑するカムたち。次の言葉は、こんなものだった。

 

「……どこか具合でも悪いんですかい?あるいはここに来るまでに頭を?」

「……お前らな」

「あっはっはっ、酷いねぇ君たち」

 

  口元をひきつらせるハジメと、能天気に笑うシュウジ。すっかりいつもの空気に戻り、緊張が弛緩する。

 

「さぁーって、それじゃあひと段落ついたことだし、広場に戻って飯にすんぞー。そしたら大樹への案内よろぴく〜」

「言い方がうざいが、まあその通りだな。ほら、さっさと動け。じゃないと撃つぞ」

「うむ、沢山用意しているから存分に食べるといい」

「「「ヒャッホー!姐さんの飯だーーーー!」」」

 

  さっきまでのシリアスな雰囲気は何処へやら、歓声をあげたハウリア族たちは広場に戻っていくシュウジたちについていく。

 

 

 

  こうして熊人族の多くの若者が命を落とした上にフェアベルゲンはシュウジたちに借りができ、ハウリア族の最初の戦いは終わりを告げたのだった。

 




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 カム・ハウリア 48歳 男 レベル:40 HL:3.2
 天職:プレデター
 筋力:4600
 体力:5200
 耐性:4600
 敏捷:4600
 魔力:0
 魔耐:4000
 技能:隠密・索敵・超聴覚・暗殺術・闘術[+獣術]・外骨格・透明化・咆哮・損傷修復促進
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誰得なカムのステータス。
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